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第一章

騎士達と背徳の夜

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「指を、挿れさせていただきますね」
「んっ……!」

 アイトが言うか早いか、そっと指を挿れてきた。
 許可じゃなくて独り言みたいなものだったのかもしれない。そもそも「全部好きにして」って言ったの私だし。

「痛くはないですか」
「だ、だいじょうぶ……」

 この体では百年ぶりって考えると凄いけど、でも、多分、時が止まってたんだと思う。私はミイラミイラって言ってるけど、厳密にはまずミイラじゃない。内臓抜いたとか防腐処理とかもなく、アヴィたちに魔力を注がれて保たれてきた体。
 腐らないこの体を単純にみんなは奇跡だと思ってたのかな? 神に捧げられた体だから、誰も疑問に思ったりはしなかったのかな?
 そんなこと私にはわからないけど、この体にとってはアヴィたちに犯されたのが昨日のことのようなそうじゃないような。よくわからないけど、凄くご無沙汰って感じじゃないんだと思う。

「んんっ……ぁあっ!」

 やばい。これはやばい。ちょっと異物感はあるけど、痛みはなくて、ただ気持ち良い。
 アイトは可愛い顔してるけど、やっぱり男の人だと思った。長くて筋張ってて、剣を握る人の指。
 今の体の紅葉みたいなお手々と比べると余計かもしれない。アイトはそんなに背が高くないけど、それでも身長差はそれなりにある。元の体より身長が五センチくらいは縮んでると思う。多分、百四十センチ台だと思う。うん、間違いなく殿の性癖。
 いや、私も身長差・体格差万歳だけれども……! それこそ、うさぎ精霊さん的なポジションで血眼で覗き見したかった。切実に。

「あいと……! あっ! ぁあっ!」

 気持ち良い。わけがわからないくらいに。ゆっくり探るように中をかき混ぜる動きがスムーズになって、自分が感じてるって嫌でも思い知らされる。
 グチュグチュ響く音が大きくなって、恥ずかしくてたまらない。上品なアイトが啜る音が下品で、だけど嫌じゃない。神殿に仕える騎士とこんなことしてるなんて、凄く背徳的で、スパイスになってる気がする。

「あいと、あいとぉっ」

 多分、これがイっちゃいそうって感覚なんだと思う。
 どこかへ行ってしまいそうな、あるいは何かが来そうな未知の感覚。知らないから怖くて、思わずアイトを呼ぶことしかできなかった。

「自分もいます」
「らいん……」

 ギュッと腕に力が込められて耳元で切なげに囁かれてキュンとした。
 大丈夫、ちゃんとわかってる。忘れてたわけじゃない。そんな気持ちを込めてラインの腕に手を添える。

「今、中が締まりましたよ」
「ゃぁっ、そんな、言わなっ、あぁぁっ!」

 ふふっとアイトが笑って、何だか凄く恥ずかしくなった。何かもう羞恥心にキリがない。まだいわゆる前戯で本番はこれからなのに、自分でも先が思いやられる。
 殿の小説はもう何度も読み返してきたけど、読むのとヤるのでは大違い。元の体でも未経験だったから余計に。

「本当にサクラ様は可愛らしいですね」
「ぁぅぅ……」

 そんなところでクスクス笑わないでほしいのにアイトもさりげなくSっ気ある気がする。隠れSとか属性としては好きだけど! 好みだけど、以下略的な。
 もう怒濤の展開で頭の中グチャグチャで死にたくない一心で始めたこと。こうしてる今は繋ぎ止められてるけど、さっき感じた死の恐怖は本物だった。前世って言ったら良いのかわからないけど、咲良としての死はあっという間で、実感もなかったから。

「そろそろ、イきましょう?」

 アイトが怖いくらいに綺麗に微笑んだ気がした。こういうところ、本当に殿のヒーロー。顔が良くて、えっちシーンになると一気にエロくなる。
 そもそも、イきそうなのはわかるけど、イくのがわからないから怖くて、『一緒がいい……』とか言って先延ばしにしたい気持ちがあったけど、間に合わなかった。

「ひゃあっ! ま、待っ……あっ、ゃあっ! あっ! あぁぁッ!!」

 アイトは全然待ってくれなかった。思いっきり追い詰めてきた。隠れS騎士おそろしや。
 抗うことのできない波が襲いかかってきて、頭がおかしくなりそうなくらい気持ちが良くて、体が限界まで張り詰めるみたいになって、一気に弾けた。

「はっ……ぁ……」

 ビクビクと痙攣する体をラインに支えられて、凄く頭がフワフワした。散々エッチな小説読んできたけど、イくのは初めてだったから、何か本当にこんなになるんだ……って衝撃的で、ある意味感動した。
 でも、今からもっと凄いことをするんだってわかってるからこそ、怖くなる。だって、前戯だけでこんなに感じる超敏感ボディっていうファンタジー仕様。処女なのにすぐにアンアン喘いじゃうって桜兎さん知ってる。だから、期待よりも怖くなる。
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