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猛獣に狙われて2
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「希彩ちゃん、初めてでしょ?」
耳元で問われれば、ぞわぞわしたものが、希彩の背を這っていく。
「大丈夫、優しくするから。俺に任せて」
答えなかったことを肯定だと思ったのか、光希の手はするりと希彩の首筋を撫でて更に下りていこうとする。
「いや……」
喉が締め付けられているかのように、希彩の声は自身でも消え入りそうだと思うほどだった。強い抵抗の意思を伝えるには至らない。
「気持ち良くしてあげるよ?」
蠱惑的に光希は笑う。それは、まるで人を堕落させる悪魔のように見えた。
「あ、あの、柊原君」
「ん?」
「私のこと、好き、なの……?」
希彩は必死に声を絞り出し、思い切って聞いてみた。
どうにか逃げ道がほしかったのだ。好きならば良いということではない。そんなことはあるはずがないのだから。
「うーん、可愛いとは思ってるよ? だから抱きたい、じゃダメなの?」
「ダメ、だよ……!」
希彩は必死に光希の胸を押すがびくともしない。
可愛いなどと言われても嬉しくない。その気にさせるためだけの言葉だとわかっているからだ。
「好きじゃなくても、抱けるよ」
期待していたわけでもないのに希彩は落胆した。失望にも似ている。
「付き合ってもいないのに……」
「相性が良かったら付き合ってあげてもいいよ? 希彩ちゃん可愛いし、面倒臭くなさそうだから」
「……最低」
泣かされた女子も多いとは聞いていたが、本当だったのだと希彩は改めて実感しながら吐き捨てる。
それでも、彼の周りにはいつも女子が集まり、自分でなくて良いはずなのにと希彩は思わずにはいられなかった。
「何とでも言いなよ。俺は君を抱くって決めたし、自信がある」
その自信とやらは一体どこからやってくるものなのか。希彩には一向につかない自信だが、羨ましいとは言い難い。
光希は覆らない決定だと言わんばかりだが、希彩は流されるわけにはいかなかった。しかし、そうしている間にも手際よくボタンが外されていき、希彩は焦る。
「ほ、他を当たって!」
「今は希彩ちゃんがいいの」
そんな言葉を真に受けて喜べたら幸せだっただろうか。
なぜ、自分なのか。希彩は理解できないまま光希を見上げ、疑問を投げかける。
下着越しに彼が触れる胸もほとんど膨らんでいないようなものだ。
「小さい女の子が好きなの?」
ぶはっ、と光希が吹き出す。そういう表情もするのかと思えば新鮮ではあったが。
「ちょっと、人をロリコンみたいに言わないでよ」
笑い混じりに光希は言うが、希彩としては別段そういうつもりで言ったわけではない。
自分が良いと思われる理由を真剣に考えてみただけだ。彼は背が高い方だが、希彩はクラスで一番背が低い。立てば柊原君の視界には入らないのではないかと希彩は思っていたのだが。
「じゃあ、初めての女の子……?」
「今度は初物好きみたいな言い方……希彩ちゃん、俺のこと、誤解してるよね? 処女厨じゃないからね?」
光希は少し困ったような表情を見せるが、誤解も何も希彩は彼がよくわからない。
「私、初めて、じゃないから……だから……」
それを言うのは希彩にはひどく恥ずかしく、勇気がいることだった。既に十分に恥ずかしいことをされてはいるのだが。
しかしながら、処女が良いと言うのなら自分はその条件から外れ、解放してもらえると思ったのだ。
「マジで?」
光希の声が低くなる。
じっと見詰められ、その迫力に気圧されるようにしながら希彩は頷く。それは事実である。
「俺、その辺はこだわらないよ? 初めてなら痛くないようにしてあげようと思っただけ」
光希は手強かった。どうすれば諦めてくれるのか。完全にお手上げ状態で希彩は泣き出したい気持ちになりながら、そうしたところでやめてはくれないのだろうとぼんやり理解していた。けれども、実際に行動に移されて諦められるわけでもない。
「やっ、だめっ!」
下着がずらされ、胸が晒されると希彩は光希の手を引き剥がし、隠そうとしたが、その手首は掴まれ頭上で一纏めにされてしまった。
指先はなだらかな胸の頂の周囲に撫でるように触れる。
「あはは、ここ、勃ってきた。可愛い」
「やっ、やぁっ……」
手は動かず、身を捩って逃れようとすることもできない。
「まさか、付き合ってる奴がいちゃったりするとか?」
「い、いないけど……!」
嘘でもいると言えば解放してもらえただろうか。正直に答えてしまった自分を希彩は恨めしく感じていた。
「じゃあ、問題ないよね」
「問題、ある……んっ!」
問題しかないから抗議しているというのに、一向に状況は覆らず、悪化の一途を辿っていく。
すっかり勃ち上がってしまった頂を擦られ、希彩の体がぴくりと跳ねれば光希は更に続ける。
掴まれていた手が解放されても、両胸をいじられると力が入らなくなってしまう。
痛いようで、何か得体の知れない疼きは下腹に及び、希彩は戸惑った。処女ではないのに、知らない感覚が恐ろしかった。
「ひ、あっ!」
きゅっと摘み上げられ、漏れる声に希彩は手で口を押さえる。
「そんなに経験ないよね? 最後にしたのはいつ?」
光希は乳首を嬲る手を止めず、尋問のように問う。
彼は楽しげだが、答えられるはずがなく、希彩は首を横に振った。なぜ、彼にそんなことを教えなければならないのか。
「って言うか、相手誰?」
光希の追及は止まず、涙の滲む目で希彩は彼を見上げる。
「な、なんで、そんなことっ、聞くの?」
「俺、今、ちょっとショック受けて……いや、違う。嫉妬かな?」
光希が誰に嫉妬すると言うのか。困惑するばかりの希彩は問うことができずにいた。
しかし、光希は構うことなく、更なる攻めに転じるように希彩の胸に唇を寄せる。
「それ、だめ……!」
舌先で乳首を舐られ、咄嗟に光希を押し返そうとする希彩の手はただ彼にしがみつくだけだ。
「気持ちいいんだ?」
「気持ち悪い……やだっ……」
「ふーん?」
「ぁっ、ん、んぅっ!」
指と舌で胸に与えられる刺激を希彩は必死に声を殺して耐えるしかなかった。
耳元で問われれば、ぞわぞわしたものが、希彩の背を這っていく。
「大丈夫、優しくするから。俺に任せて」
答えなかったことを肯定だと思ったのか、光希の手はするりと希彩の首筋を撫でて更に下りていこうとする。
「いや……」
喉が締め付けられているかのように、希彩の声は自身でも消え入りそうだと思うほどだった。強い抵抗の意思を伝えるには至らない。
「気持ち良くしてあげるよ?」
蠱惑的に光希は笑う。それは、まるで人を堕落させる悪魔のように見えた。
「あ、あの、柊原君」
「ん?」
「私のこと、好き、なの……?」
希彩は必死に声を絞り出し、思い切って聞いてみた。
どうにか逃げ道がほしかったのだ。好きならば良いということではない。そんなことはあるはずがないのだから。
「うーん、可愛いとは思ってるよ? だから抱きたい、じゃダメなの?」
「ダメ、だよ……!」
希彩は必死に光希の胸を押すがびくともしない。
可愛いなどと言われても嬉しくない。その気にさせるためだけの言葉だとわかっているからだ。
「好きじゃなくても、抱けるよ」
期待していたわけでもないのに希彩は落胆した。失望にも似ている。
「付き合ってもいないのに……」
「相性が良かったら付き合ってあげてもいいよ? 希彩ちゃん可愛いし、面倒臭くなさそうだから」
「……最低」
泣かされた女子も多いとは聞いていたが、本当だったのだと希彩は改めて実感しながら吐き捨てる。
それでも、彼の周りにはいつも女子が集まり、自分でなくて良いはずなのにと希彩は思わずにはいられなかった。
「何とでも言いなよ。俺は君を抱くって決めたし、自信がある」
その自信とやらは一体どこからやってくるものなのか。希彩には一向につかない自信だが、羨ましいとは言い難い。
光希は覆らない決定だと言わんばかりだが、希彩は流されるわけにはいかなかった。しかし、そうしている間にも手際よくボタンが外されていき、希彩は焦る。
「ほ、他を当たって!」
「今は希彩ちゃんがいいの」
そんな言葉を真に受けて喜べたら幸せだっただろうか。
なぜ、自分なのか。希彩は理解できないまま光希を見上げ、疑問を投げかける。
下着越しに彼が触れる胸もほとんど膨らんでいないようなものだ。
「小さい女の子が好きなの?」
ぶはっ、と光希が吹き出す。そういう表情もするのかと思えば新鮮ではあったが。
「ちょっと、人をロリコンみたいに言わないでよ」
笑い混じりに光希は言うが、希彩としては別段そういうつもりで言ったわけではない。
自分が良いと思われる理由を真剣に考えてみただけだ。彼は背が高い方だが、希彩はクラスで一番背が低い。立てば柊原君の視界には入らないのではないかと希彩は思っていたのだが。
「じゃあ、初めての女の子……?」
「今度は初物好きみたいな言い方……希彩ちゃん、俺のこと、誤解してるよね? 処女厨じゃないからね?」
光希は少し困ったような表情を見せるが、誤解も何も希彩は彼がよくわからない。
「私、初めて、じゃないから……だから……」
それを言うのは希彩にはひどく恥ずかしく、勇気がいることだった。既に十分に恥ずかしいことをされてはいるのだが。
しかしながら、処女が良いと言うのなら自分はその条件から外れ、解放してもらえると思ったのだ。
「マジで?」
光希の声が低くなる。
じっと見詰められ、その迫力に気圧されるようにしながら希彩は頷く。それは事実である。
「俺、その辺はこだわらないよ? 初めてなら痛くないようにしてあげようと思っただけ」
光希は手強かった。どうすれば諦めてくれるのか。完全にお手上げ状態で希彩は泣き出したい気持ちになりながら、そうしたところでやめてはくれないのだろうとぼんやり理解していた。けれども、実際に行動に移されて諦められるわけでもない。
「やっ、だめっ!」
下着がずらされ、胸が晒されると希彩は光希の手を引き剥がし、隠そうとしたが、その手首は掴まれ頭上で一纏めにされてしまった。
指先はなだらかな胸の頂の周囲に撫でるように触れる。
「あはは、ここ、勃ってきた。可愛い」
「やっ、やぁっ……」
手は動かず、身を捩って逃れようとすることもできない。
「まさか、付き合ってる奴がいちゃったりするとか?」
「い、いないけど……!」
嘘でもいると言えば解放してもらえただろうか。正直に答えてしまった自分を希彩は恨めしく感じていた。
「じゃあ、問題ないよね」
「問題、ある……んっ!」
問題しかないから抗議しているというのに、一向に状況は覆らず、悪化の一途を辿っていく。
すっかり勃ち上がってしまった頂を擦られ、希彩の体がぴくりと跳ねれば光希は更に続ける。
掴まれていた手が解放されても、両胸をいじられると力が入らなくなってしまう。
痛いようで、何か得体の知れない疼きは下腹に及び、希彩は戸惑った。処女ではないのに、知らない感覚が恐ろしかった。
「ひ、あっ!」
きゅっと摘み上げられ、漏れる声に希彩は手で口を押さえる。
「そんなに経験ないよね? 最後にしたのはいつ?」
光希は乳首を嬲る手を止めず、尋問のように問う。
彼は楽しげだが、答えられるはずがなく、希彩は首を横に振った。なぜ、彼にそんなことを教えなければならないのか。
「って言うか、相手誰?」
光希の追及は止まず、涙の滲む目で希彩は彼を見上げる。
「な、なんで、そんなことっ、聞くの?」
「俺、今、ちょっとショック受けて……いや、違う。嫉妬かな?」
光希が誰に嫉妬すると言うのか。困惑するばかりの希彩は問うことができずにいた。
しかし、光希は構うことなく、更なる攻めに転じるように希彩の胸に唇を寄せる。
「それ、だめ……!」
舌先で乳首を舐られ、咄嗟に光希を押し返そうとする希彩の手はただ彼にしがみつくだけだ。
「気持ちいいんだ?」
「気持ち悪い……やだっ……」
「ふーん?」
「ぁっ、ん、んぅっ!」
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