【R18】乙女ゲームの世界でふたなりになって溺愛されすぎです！

本編

キノコから始まるホラー？－２

「んっ……」

　ご尊顔が更に近づいてきて唇が重なる。そう言えばキスは初めて。色々エッチなことされたと思ってたけど、不思議。
　もう処女喪失したのに、ファーストキス。その相手が碧流先輩だなんて考えもしなかった。

「可愛い顔しちゃって、どうしたの？　キス、初めてじゃないでしょ？」
「はじめてです……」

　近い距離で碧流先輩がクスクス笑うのがくすぐったい。嫌じゃないから困る。

「君はずるいね。こんなに僕を煽るなんて」

　碧流先輩が信じてくれたかはわからない。碧流先輩だって全てを知ってるわけじゃない。

「じゃあ、いっぱいキスしようね」
「まっ……んんっ！」

　待ってとも言わせてくれなくて、また唇が重なる。こんな異様な状況じゃなければ碧流先輩にコロッと落ちちゃいそうなくらい甘い。
　どうにか胸を押し返そうとしてもびくともしないけど、先輩の唇が離れる。満足したかな？

「口開けて」
「やっ……ふ、ぁっ！」

　全然だった……！
　先輩はキスをやめてくれなくて、舌が入り込んでくる。舌が絡まって、唾液がどっちのかわからなくて、涙が出て、クラクラするのは酸欠のせい？

「せんぱっ……！」

　キスしてるのさえ信じられないのに、先輩の手が胸に触れた。平らなのに、先輩は気にした風もなく、時々指先が乳首を掠めるせいで体がビクビクする。

「こんなっ……やです……！」

　涙目で訴えれば顔を覗き込むように視線を合わされる。わかってほしい。もうやめてほしい。楽しいパーティーに戻りたい。

「皇月は良くて、僕はダメ？」
「ダメじゃないんですけど……」

　悲しそうに首を傾げられてダメなんて言えるはずがなかった。
　先輩はさっき私のことをずるいって言ったけど、先輩こそ本当にずるい。
　七星君とはしたけど、七星君のことを好きなわけじゃない。プロポーズは保留中、付き合ってるわけじゃない。だから、碧流先輩を拒む理由にはならない。
　いや、すること自体は諦めてる。エノキ神にもパワー溜めてもらわないと困るし。

「時と場所をですね……」
「なんだ、そんなこと気にしてたの？」

　ふふって笑う碧流先輩は楽しそう。さっきまで悲しそうだったのに、とんだ俳優だと思う。この世界の碧流先輩はそうやって人を操ってきたんだ、きっと……！

「義妹と義弟がいるところでってドキドキしない？」

　悪戯っぽく言われてドキッとしたけど、惚けてる場合じゃない。すぐに首を横に振る。
　ドキドキしかしないけど、多分、碧流先輩が言ってる意味と違う。四柳先生よりひどくない？
　元が全年齢ゲームだからわからないけど、まさか碧流先輩って結構ヤバい性癖持ち……？

「じゃあ、僕の部屋ならいいの？」

　まだお邪魔したことのない碧流先輩のお部屋。正直怖いけど、入ったら出られなくなる気がしたけど、背に腹は替えられない的な感じで。

「……千晶と紫愛ちゃんもちゃんとしたところで寝かせてあげてください」
「わかった。莉緒ちゃんのお願いなら仕方ないね」

　頷いた碧流先輩は体を起こして、私のことも起こしてくれた。それからテーブルに置いてあったベルを鳴らして、すぐに使用人さんが来た。もしかして、ドアの外に待機してた？　そういう状況で事に及ぼうとしてたの……？
　ぞっとしたけど、碧流先輩は平然と使用人さんに指示を出すし、使用人さんは全然動じた様子がない。やばい。
　そしてお姫様抱っこされる私。七星君にされたから平気ってわけじゃない。今は紫愛ちゃんが用意したワンピで少しはお姫様感あるのか……いや、きっとない。

「自分で歩けますよ……？」

　逃げないし……と思ったんだけど、にっこりする碧流先輩から圧を感じた。血は繋がってないはずなのに、こういうところ似てるんじゃないかな。やっぱり一緒に育ったから？

「僕がしたいから。それに、皇月にさせて僕にさせないはなしだよ？」

　そうだ、校内でニュースになっちゃったんだった。碧流先輩の耳に入らなかったなんてことは考えにくい。七星君にされたことは拒めない。どうしよう、手錠とか出してきたら……怖い。