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本編
キノコをいじめないで-2
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「ひぅんっ!」
上履きを履いたつま先がそこを撫でる。ぞっとする。踏まれそうな勢いでマジ怖い。ちびらずにいる私を褒めてほしい。
「あなた、男でしたの!?」
西園先輩の声がキンキン頭に響く。
男だからってことで無罪放免にしてほしいけど、そうもいかないって言うかまたややこしいことになりそうで困る。パンツの中を見られるのは死守したい。
「確かめなさい」
西園先輩に命じられた女子が私の前に座ってパンツ越しにキノコを撫でる。そんなことされたら……!
「ゃあっ!」
千晶に七星君に名雪先生に四柳先生に散々弄ばれた感があるキノコを女の子に撫でられるのは初めてで変な感じがする。千晶に教えられて自分でしたのとも違う。
そうされるとムクムクしちゃうのは仕方ないよね。
「あなた、何なんですの!?」
西園先輩は混乱している。
気持ちはわかる。頭の中はグルグル。私だって訳わからない。
「早く確かめなさい!」
「だめっ! だめぇぇぇぇっ!」
西園先輩が命令して、パンツに手がかかって脱がされる……! と思った瞬間だった。
凄い音がして、みんな一斉にそっちを見る。私もヒーローの登場に期待を込めた。
視線の先にあったのは、倒れたドアと、足を上げた……
「紫愛ちゃん……!?」
ずかずか入ってくるのはミルクティー色のふわふわ髪を揺らした紫愛ちゃんに間違いない。
ドアを蹴破って登場するとかヒロインちゃんがやることじゃねいよね?
「私の莉緒に何してるの?」
先輩達に臆することなく問いかける紫愛ちゃん。格好いい。
何だか凄くときめいてる。ドキドキする。
やむを得ない事情があるとは言え、避けてたのに……! 凄く感動する。
「このことをうちの兄と皇月が知ったらどう思うかしら?」
「くぅっ!」
ギリィってハンカチ噛む感じの西園先輩と勝ちを確信したみたいな紫愛ちゃん。
結局、紫愛ちゃんのヒロイン補正に敵うはずがないんだけど、何か違う感が否めない。
いや、私、ヒロインじゃないのに。助けにくる紫愛ちゃん格好良すぎて惚れそう。
「要は知られなきゃいいんだろ……!」
頭が悪いタイプの信者の暴走……!
取り巻き男子が紫愛ちゃんに襲いかかる! やばい、紫愛ちゃんモブレは絶対ダメ!!
「紫愛ちゃん!」
逃げて! マジ逃げて! 超マッハで逃げて!
この際私のことは置いていっていいから貞操守って!
そう重いながら怖くてぎゅっと目を瞑ったら、何だか重い音が聞こえた。
「うぐっ……」
うめき声は野太い。紫愛ちゃんじゃない……?
恐る恐る目を開けると紫愛ちゃんを襲おうとしてた人が倒れてる。
「生憎、うちの兄が『お前が誘拐されると迷惑だから自分の身は自分で守れ』と言うので武術を嗜んでおりますの」
にっこり丁寧な紫愛ちゃんの圧が怖い。そこは華道とか茶道とか本当にお嬢様的な習い事で聞きたかった! って言うか一度も聞いたことないよ、そんな話!
ゲームのヒロインちゃんにそんな設定なかった! かよわい女の子だったのに!
碧流先輩も紫愛ちゃんにそんなこと言うはずなかったのに!
これには皆が意気消沈。私を抑えつけてた手も緩んだから脱出して紫愛ちゃんの後ろにさっと隠れる。一番安全とみた!
「うちの兄は黒い物も真っ白にするので覚悟しておいてくださいね」
白くするっていいことじゃないの? って思ったけど、私がこの言葉の意味を知るのは今じゃないみたいだった。
「帰ろ? 莉緒」
振り返った紫愛ちゃんがにっこり微笑んで私の手をとる。その手を振り払うことなんかできなかった。
そうして、私達は倒れたドアを踏み越えて部室を後にするのだった……
上履きを履いたつま先がそこを撫でる。ぞっとする。踏まれそうな勢いでマジ怖い。ちびらずにいる私を褒めてほしい。
「あなた、男でしたの!?」
西園先輩の声がキンキン頭に響く。
男だからってことで無罪放免にしてほしいけど、そうもいかないって言うかまたややこしいことになりそうで困る。パンツの中を見られるのは死守したい。
「確かめなさい」
西園先輩に命じられた女子が私の前に座ってパンツ越しにキノコを撫でる。そんなことされたら……!
「ゃあっ!」
千晶に七星君に名雪先生に四柳先生に散々弄ばれた感があるキノコを女の子に撫でられるのは初めてで変な感じがする。千晶に教えられて自分でしたのとも違う。
そうされるとムクムクしちゃうのは仕方ないよね。
「あなた、何なんですの!?」
西園先輩は混乱している。
気持ちはわかる。頭の中はグルグル。私だって訳わからない。
「早く確かめなさい!」
「だめっ! だめぇぇぇぇっ!」
西園先輩が命令して、パンツに手がかかって脱がされる……! と思った瞬間だった。
凄い音がして、みんな一斉にそっちを見る。私もヒーローの登場に期待を込めた。
視線の先にあったのは、倒れたドアと、足を上げた……
「紫愛ちゃん……!?」
ずかずか入ってくるのはミルクティー色のふわふわ髪を揺らした紫愛ちゃんに間違いない。
ドアを蹴破って登場するとかヒロインちゃんがやることじゃねいよね?
「私の莉緒に何してるの?」
先輩達に臆することなく問いかける紫愛ちゃん。格好いい。
何だか凄くときめいてる。ドキドキする。
やむを得ない事情があるとは言え、避けてたのに……! 凄く感動する。
「このことをうちの兄と皇月が知ったらどう思うかしら?」
「くぅっ!」
ギリィってハンカチ噛む感じの西園先輩と勝ちを確信したみたいな紫愛ちゃん。
結局、紫愛ちゃんのヒロイン補正に敵うはずがないんだけど、何か違う感が否めない。
いや、私、ヒロインじゃないのに。助けにくる紫愛ちゃん格好良すぎて惚れそう。
「要は知られなきゃいいんだろ……!」
頭が悪いタイプの信者の暴走……!
取り巻き男子が紫愛ちゃんに襲いかかる! やばい、紫愛ちゃんモブレは絶対ダメ!!
「紫愛ちゃん!」
逃げて! マジ逃げて! 超マッハで逃げて!
この際私のことは置いていっていいから貞操守って!
そう重いながら怖くてぎゅっと目を瞑ったら、何だか重い音が聞こえた。
「うぐっ……」
うめき声は野太い。紫愛ちゃんじゃない……?
恐る恐る目を開けると紫愛ちゃんを襲おうとしてた人が倒れてる。
「生憎、うちの兄が『お前が誘拐されると迷惑だから自分の身は自分で守れ』と言うので武術を嗜んでおりますの」
にっこり丁寧な紫愛ちゃんの圧が怖い。そこは華道とか茶道とか本当にお嬢様的な習い事で聞きたかった! って言うか一度も聞いたことないよ、そんな話!
ゲームのヒロインちゃんにそんな設定なかった! かよわい女の子だったのに!
碧流先輩も紫愛ちゃんにそんなこと言うはずなかったのに!
これには皆が意気消沈。私を抑えつけてた手も緩んだから脱出して紫愛ちゃんの後ろにさっと隠れる。一番安全とみた!
「うちの兄は黒い物も真っ白にするので覚悟しておいてくださいね」
白くするっていいことじゃないの? って思ったけど、私がこの言葉の意味を知るのは今じゃないみたいだった。
「帰ろ? 莉緒」
振り返った紫愛ちゃんがにっこり微笑んで私の手をとる。その手を振り払うことなんかできなかった。
そうして、私達は倒れたドアを踏み越えて部室を後にするのだった……
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