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本編
キノコで遊ばないで-1
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完全にお疲れモードの千晶に「今日は大人しくしてろよ?」と念を押されたのは朝のこと。
高熱ってほどじゃないけど、またうっかり熱を出しちゃった私は千晶ストップでお休みになったわけで。
仮病じゃない。工作なんてしてない。昨日のショッキングな出来事のせいじゃないかな……もしくはエノキのせい。学校こわいのは間違いないけど。
そして今や夕方、帰ってきた千晶がご飯の支度をしてる。熱も下がったから私がやるって言ったけど、「絶対安静!」って凄く怒られた。
今日も皇月君のじいやさんを追い返したけど、貢ぎ物はちゃっかり貰っちゃう千晶、したたか。弟が逞しく育ってくれて嬉しいような申し訳なくなるような?
あと、皇月君が何を考えてるか相変わらず謎。いや、本当に謎過ぎるけど、貰っちゃった物は返せない。
どう見ても高級なジュースをストローでチューチュー吸う。何かもう禁断の果実を凝縮した味がするような気がする。
そう思ったところで、またピンポンがきた。今度は何だろう? 面倒なことじゃないといいなぁって思ってる内に千晶が出たみたいだった。
千晶は料理中だけど、その千晶に「絶対安静!」って言われちゃったし、私が出ると面倒なことになるから絶対に出るなって釘刺されたから任せるしかない。
完全復帰したら千晶のお疲れさま会をやってあげたいけど、何を用意すれば千晶が喜ぶかわからない。貢ぎ物の山もあるわけだし……。
余計なことするなって怒られちゃうかもしれないなって溜息を吐いた時、ドアがノックされた。
「よっ!」
「先生……!」
軽い調子で現れたその人にビックリ。千晶は「担任だって言うから……」と渋々通したご様子。
そう担任の四柳柾先生。
ゲームらしく色素薄い系のキャラが多い中、黒髪が艶やかで切れ長の目も相まってなんだかセクシー。ホストが似合いそうだけど若くてイケメン教師、つまり攻略対象者。先生は二週目から攻略可能になるキャラで属性:俺様。
「元気そうだな」
さすがに先生には逆らわないらしい千晶がキッチンに戻って、二人っきりになると先生はベッドの端に座って私の顔をじっと見てくる。
先生が部屋にいるってだけで変な気分なのに、近い。普段こんなに接近することもないし、相手は乙女ゲームの攻略対象者だから魅力的にもほどがある。ただし今現在、ヒロイン紫愛ちゃんとラブの気配ゼロ。って言うか、紫愛ちゃんは誰ともフラグが立ってない気がする。ゲームとしてはまだまだこれからだし、転校生とか後輩とかまだ登場してない攻略対象も……いやいや、そうじゃなくて!
「ず、ズル休みじゃありません……!」
今回は死にそうな感じの高熱じゃないし、全然元気に見えるかもしれない。しかも、高級ジュースを吸引してご満悦だった。そのジュースをそっとサイドテーブルに置いたところでなかったことにはならない。ほとんど飲み終わってるし。
でも、断じてズル休みじゃない。その辺はストップした千晶に確認してほしいけど、先生は笑った。
「ははっ、わかってるって。明日は来られそうか?」
「た、多分……?」
正直行きたくないと言うか顔合わせるのが辛いというか、紫愛ちゃんのこともまだ克服できてないから……不安しかない。どうしたものか。
「ま、来てみて無理だったら永至のところで寝てればいいしな」
先生は私の気分を軽くしようとしてくれてるのかもしれないけど、ずーんとした。
先生は名雪先生と仲が良くて、その絡みでよく登場した名雪先生を攻略したいって声が挙がったくらい。
だから、ここで名前が出てくるのも当然なのかもしれないけど、正直名雪先生にはお会いしたくないし、保健室にも近付きたくない。
さらっと流すべきだったのかもしれないけど、何て言ったらいいかわからないまま、先生が不意にニヤッと笑う。
「あー、また熱が上がっちまうかもな」
ぎくっとした。あのことを先生が知るはずもないのに。そう、知るはずもない。つまり……
「あはは、みんな言ってますよね」
クラスの女子達が言ってたことだ。名雪先生を見たら熱が出る。
名雪先生と仲が良くて、本人も女子達から人気でよく囲まれてる「よっちゃん」こと四柳先生だからこその冗談。きっとそう。
そう思ったんだけど……
高熱ってほどじゃないけど、またうっかり熱を出しちゃった私は千晶ストップでお休みになったわけで。
仮病じゃない。工作なんてしてない。昨日のショッキングな出来事のせいじゃないかな……もしくはエノキのせい。学校こわいのは間違いないけど。
そして今や夕方、帰ってきた千晶がご飯の支度をしてる。熱も下がったから私がやるって言ったけど、「絶対安静!」って凄く怒られた。
今日も皇月君のじいやさんを追い返したけど、貢ぎ物はちゃっかり貰っちゃう千晶、したたか。弟が逞しく育ってくれて嬉しいような申し訳なくなるような?
あと、皇月君が何を考えてるか相変わらず謎。いや、本当に謎過ぎるけど、貰っちゃった物は返せない。
どう見ても高級なジュースをストローでチューチュー吸う。何かもう禁断の果実を凝縮した味がするような気がする。
そう思ったところで、またピンポンがきた。今度は何だろう? 面倒なことじゃないといいなぁって思ってる内に千晶が出たみたいだった。
千晶は料理中だけど、その千晶に「絶対安静!」って言われちゃったし、私が出ると面倒なことになるから絶対に出るなって釘刺されたから任せるしかない。
完全復帰したら千晶のお疲れさま会をやってあげたいけど、何を用意すれば千晶が喜ぶかわからない。貢ぎ物の山もあるわけだし……。
余計なことするなって怒られちゃうかもしれないなって溜息を吐いた時、ドアがノックされた。
「よっ!」
「先生……!」
軽い調子で現れたその人にビックリ。千晶は「担任だって言うから……」と渋々通したご様子。
そう担任の四柳柾先生。
ゲームらしく色素薄い系のキャラが多い中、黒髪が艶やかで切れ長の目も相まってなんだかセクシー。ホストが似合いそうだけど若くてイケメン教師、つまり攻略対象者。先生は二週目から攻略可能になるキャラで属性:俺様。
「元気そうだな」
さすがに先生には逆らわないらしい千晶がキッチンに戻って、二人っきりになると先生はベッドの端に座って私の顔をじっと見てくる。
先生が部屋にいるってだけで変な気分なのに、近い。普段こんなに接近することもないし、相手は乙女ゲームの攻略対象者だから魅力的にもほどがある。ただし今現在、ヒロイン紫愛ちゃんとラブの気配ゼロ。って言うか、紫愛ちゃんは誰ともフラグが立ってない気がする。ゲームとしてはまだまだこれからだし、転校生とか後輩とかまだ登場してない攻略対象も……いやいや、そうじゃなくて!
「ず、ズル休みじゃありません……!」
今回は死にそうな感じの高熱じゃないし、全然元気に見えるかもしれない。しかも、高級ジュースを吸引してご満悦だった。そのジュースをそっとサイドテーブルに置いたところでなかったことにはならない。ほとんど飲み終わってるし。
でも、断じてズル休みじゃない。その辺はストップした千晶に確認してほしいけど、先生は笑った。
「ははっ、わかってるって。明日は来られそうか?」
「た、多分……?」
正直行きたくないと言うか顔合わせるのが辛いというか、紫愛ちゃんのこともまだ克服できてないから……不安しかない。どうしたものか。
「ま、来てみて無理だったら永至のところで寝てればいいしな」
先生は私の気分を軽くしようとしてくれてるのかもしれないけど、ずーんとした。
先生は名雪先生と仲が良くて、その絡みでよく登場した名雪先生を攻略したいって声が挙がったくらい。
だから、ここで名前が出てくるのも当然なのかもしれないけど、正直名雪先生にはお会いしたくないし、保健室にも近付きたくない。
さらっと流すべきだったのかもしれないけど、何て言ったらいいかわからないまま、先生が不意にニヤッと笑う。
「あー、また熱が上がっちまうかもな」
ぎくっとした。あのことを先生が知るはずもないのに。そう、知るはずもない。つまり……
「あはは、みんな言ってますよね」
クラスの女子達が言ってたことだ。名雪先生を見たら熱が出る。
名雪先生と仲が良くて、本人も女子達から人気でよく囲まれてる「よっちゃん」こと四柳先生だからこその冗談。きっとそう。
そう思ったんだけど……
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