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第二章

侵食される日常 22

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「あぁ……先輩の中、気持ちよすぎて、ずっと入っていたいです」
「ずっとはだめぇっ……!」

 うっとりとした声に紗菜は首を横に振る。早く終わらせてほしくてたまらないのだ。こんなことをずっと続けられては困る。晃の陰茎は紗菜には大きく、中から広げられる感覚が恐ろしくもあった。

「だめ? 俺のチンポ嫌いですか? こんなにグショグショにして、キュンキュン締め付けてくるくせに? 好きって言われてるようにしか思えないですよ」
「ひぅうっ!」

 本音だとしても、紗菜には嫌いだと言うことはできない。晃も言わせるつもりはなかったのだろう。
 グリグリと最奥に擦り付けられれば経験の浅い紗菜は怖くもなる。自分の中の深い部分に触れられていることが信じられない。
 大きな物に内臓を押し上げられるようでありながら、それだけではない感覚があるのだ。

「素直になった方が先輩も気持ち良くなれますよ?」

 大嘘吐きに言われたくない台詞だったが、反論することも紗菜には許されなかった。晃がゆっくりと抜き差しを始めてしまったからだ。
 その太さと長をを知らしめるかのようにゆっくりと引き抜かれ、また最奥まで押し込められる。抜けていく度に先端の張り出した部分が襞を引っかけ、またみっちりと埋められる。それだけのことが紗菜の快感を引き出そうとしていた。

「おかしくなっちゃ、あぁっ!」
「おかしくなってくださいよ……!」

 パンッと激しく打ち付けられた瞬間、紗菜の中で快感とは違うものが膨らんだ。それは一瞬で快感に流されかけていた体を引き戻すほど強かった。

「ひゃあんっ!」

 弾けそうで弾けない。絶頂に至らなかったが、強い刺激だった。
 それが紗菜には何よりも恐ろしい。背後の動きが見えないまま奥深くまで貫かれたのだ。

「いっぱい突いてあげますから」

 晃は紗菜の反応に気を良くしたようにパンパンとリズミカルに打ち付けてくる。
 その度に紗菜の中を快感が駆け抜けていく。しっかり腰を掴んで、次第に速くなる動きは紗菜には見えない。

「ゃあっ! こわっ……こわ、いの……!」

 見えない物は怖いものだ。すがりつく物があっても、後ろからされる行為は紗菜には受け入れがたかった。
 動物のようであるからではない。なす術もなく、晃の先端が無防備な最奥を叩くからだ。我慢すれば、すぐに終わると自分に言い聞かせても初めての時と違う体位は、あまりにも晃が自由に感じられた。
 前回とは違う場所を擦られ、もっと奥まで入り込んでくる。気持ちが良いからこそ怖いことを紗菜が認められるはずもなかった。

「大丈夫。怖くない。怖くないですよ」
「ぃやぁっ! もぉ、やあっ! やだぁっ!」

 暗示にかかられたら幸せだっただろうか。
 一度怖いと思ってしまえば恐怖が膨らむ。嫌と繰り返す紗菜に晃がぴたりと動きを止めた。

「後ろからすると痛いですか? 深すぎますか?」

 顔にかかった髪を払うように頭を撫でながら晃は気遣わしげに覗き込んでくる。
 痛いというほどでもないが、深いのは間違いない。しかし、ふるふると首を横に振った紗菜は問われた言葉の意味を理解していたわけでもない。ただ怖い、それだけだった。
 それが晃に伝わったのかはわからない。

「大丈夫ですよ。先輩が気持ち良くなれることしかしません」

 よくわからないまま、また優しい言葉には惑わされそうになった時、紗菜は自分の体が浮いたように感じた。

「きゃっ……ひぅっ!」

 手は背もたれを離れ、晃に後ろから抱き締められているかと思えば深く陰茎が突き刺さる。
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