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第二章

侵食される日常 16

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「デザートいただきますね」

 何をバカなことを言っているのか。止める間もなかった。晃はエプロンをめくり、何の躊躇もなく紗菜の秘部に顔を近づける。

「だめぇっ……あぅぅっ!」

 割れ目を広げられ、秘芽を掠めるように舐め上げられて紗菜はとビクビクと震えて晃へと手を伸ばす。
 紗菜には強烈すぎて一番苦手な行為だと言えるのかもしれなかった。背中を駆け上がるものが快感だとは知りもしなかったというのに、この先も知ってしまっている。だからこそ、怖いのだ。

「きゃうぅっ! だめっ……だめなのっ!」

 柔らかい舌先が蜜口を抉り、震える手を伸ばして髪を引っ張れば晃が顔を上げる。しかし、そんな晃の顔を直視するのは紗菜には難しかった。その唇が何で濡れているのかを考えたくもない。
 最早、エプロンを残した意味もなくなっている。恥ずかしさで気が狂いそうであった。

「指もチンポも嫌なんですよね? そうしたら口でするしか残ってないですよね?」

 言い聞かせるような晃は紗菜の答えなど求めていないのだろう。エプロンで隠して押さえようとする紗菜の手を掴んで、再び顔を近づけると音を立てて蜜を啜る。

「ゃっ! これ、やぁっ!」
「紗菜先輩、我が儘ですね。可愛いですけど」

 紗菜が嫌だと訴えれば晃は僅かに顔を話すが、やめる気などないのだろう。吐息が掠めるのにさえ紗菜はビクビクと反応する。

「うぅ……怖いんだもん……」
「大丈夫、怖くないです。気持ち良くなるだけです」

 何と言われようと怖い物は怖い。
 紗菜としてはその気持ち良くなることが何よりも怖いというのに、セックスに関しては一切話が通じないのかもしれない。

「じゃあ、指入れていいですか?」

 問いかけながら晃の指は蜜口に触れる。指が嫌だと言えば口、口が嫌だと言えば指、結局堂々巡りになってしまうのかもしれない。

「今日は、入れないって……」

 紗菜は晃がしようとしていることをはっきりと理解できているわけではない。挿入しないのなら中に触れる必要はないのではないか。そう考えていた。
 既に認めざるを得ないほど紗菜の秘部は潤いを帯びている。もう十分ではないかと紗菜が思っても晃は自分の満足を盾に取る。

「滑りを良くしないと。ローションないので紗菜先輩がいっぱい出してください」
「入れちゃだめっ……あぅっ!」

 紗菜の制止も聞かずにつぷりと指先が埋まる。それだけで紗菜の体は過敏に反応するというのに、入り口でクチュクチュと音を立てて動かされればあっという間に快楽に飲み込まれそうになってしまう。

「ぁっ……は、ぅぅっ!」
「指でくらい紗菜先輩の中感じさせてくださいよ。それとも痛いですか?」

 嘘でも痛いと言えば良かったのかもしれないが、紗菜は躊躇ってしまった。嘘吐きの彼は紗菜の嘘など簡単に見抜いてしまうだろうが、正直に答えることもできなかった。

「紗菜先輩のためにしてるのに、ダメなら、好きにしますね」

 一体、何が自分のためなのか、嫌な予感がした時にはもう遅かった。

「待っ……ひゃうぅっ!」

 弓なりに体がしなるほどの快感が紗菜を襲う。
 晃が指を埋めたまま秘芽に吸い付いてきたのだ。

「すごい反応ですね」
「ゃあぁっ! いっしょっ、だめぇぇっ!」

 強烈な快楽を紗菜に与えながら晃は涼しげに笑う。そんな吐息さえ刺激になることはわかっているだろう。

「本当に敏感で可愛いです」
「あぅっ! めっ、ほんとに、だっ、あぁんっ!」

 あの恐ろしい絶頂の感覚が近付いているのがわかった。
 彼が何時間も続けられると言ったこの行為が怖くて嫌だったから、やめてもらうために彼女になったはずだった。
 意思を尊重すると言った彼は結局何かと理由をつけて脅してくるのだ。

「いいですよ、イって」
「ゃっ! まっ! っひ、あぅぅっ!」

 確実に紗菜を追いやる動きに変わり、グチュグチュ、ジュルジュルと響く卑猥な音が大きくなる。耳を塞ぎたい気持ちになりながら紗菜は必死に晃を止めようとした。
 慣れることのできない感覚を受け入れることが怖くてたまらない。それなのに、結局あらがうことはできなかった。陸に揚げられた魚のようにビクンビクンと体が跳ね、見開いた紗菜の目には天井が映っていた。
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