上 下
10 / 42
第一章

「いつもお世話になってます」 10

しおりを挟む
「んんっ……!」

 唇に触れるのは晃の唇なのだろう。先ほど味わわされた感触が再び紗菜を苛む。
 顔を背けて逃げようとすれば晃の手が頭に回されるが、片手が自由になっても紗菜にできることはない。
 片手を繋いでキスをして、まるで恋人同士のようである。

「ふ、ぁ……」
「ほら、先輩、目開けて俺を見てくださいよ」

 そうは言われても晃が自分を見ているかと思うと紗菜は目を開けることができなかった。それが晃にとっては答えになったのかもしれない。

「っ!」

 僅かな膨らみが包み込まれるだけでも紗菜には一大事である。ふにふにと柔らかさを確かめるように揉まれ、火が出るのではないかと言うほど自分の顔がどうしようもなく熱くなっていくのを感じる。しかし、どうして溶けてなくなってしまえないのか。

「ちっちゃい乳首、立ってて可愛いですね」
「んっ……ぅんっ……」

 既に固くなってしまった胸の先端を指先が掠めただけで紗菜の体は敏感に反応を示す。面白がるように摘ままれれば唇を引き結ぶしかない。

「っ、ひゃぅっ!」

 どれほど耐えれば良いのかもわからない内に感じた違う刺激に紗菜は驚きで目を開ける。充分に刺激が強い経験をしているというのに、異性が胸に唇を寄せているということが信じられなかった。
 大人の階段を上っているということなのか。高速エレベーター、あるいはジェットコースターに乗せられているような気分だった。

「やっと見てくれましたね」
「ぁ……」

 ふと晃と視線がぶつかって紗菜の居たたまれなさに拍車がかかる。もう目を閉じることも逸らすこともできなくなってしまったが、それを見透かしたように晃が見せつけるように先端を舐めた。

「だめっ! ぁっ、そんな……!」

 舌先で転がされたかと思えばちゅぱちゅぱと音を立てて吸われ、もう片側は指先で弄ばれる。どれも紗菜には初めての刺激であり、むずがゆさのような未知の感覚がひっきりなしに襲いかかってくる。それは胸から伝わって下腹部に溜まっていくようで、わけもわからずに悶えることしかできなかった。

「あっ、ふ、ぁあっ! も、やめ……」

 羞恥心を感じている暇などなかった。快感と呼んで良いのかもわからない感覚の方が問題であるが、こうなってしまえば、紗菜にできることはない。過敏なほどに反応する体を震わせるだけだ。
 けれども、そうして紗菜が耐えている間にも晃の不埒な手は次の段階へ進もうとしていた。

「ゃあんっ! そこっ、だめぇっ!」

 胸への刺激に紗菜が気を取られていると不意にまた違う刺激が紗菜を襲った。わけもわからないまま、もじもじと擦り合わせていた足の間に晃の手が伸びていたのだ。

「こっちも先に脱がせてあげれば良かったですね。もう湿っちゃってますよ、ここ」
「やあっ!」

 最も触れられたくない秘めた場所をショーツ越しにトントンと指先で叩かれて伝わってくる振動が未知の感覚を強める。ジンジンするような、何とも言えないもどかしさに紗菜は怯えた。今や残っているのはショーツと靴下だけであり、最後の砦とも言える。

「これ以上濡らしちゃう前に脱がせちゃいますね」
「なっ……だめっ!」

 彼は一体何を言っているのか。なぜ、そうする必要があるのか。
 理解できない内にショーツに手がかけられて紗菜は慌てて手を伸ばすが、いとも簡単にはぎ取られてしまう。それでもまだ足に残っているショーツを紗菜は必死に引き戻そうとした。

「ビショビショのパンツ履いて帰るんですか? それとも、ノーパンで?」

 そんなになるものなのか。紗菜は一瞬考えてしまった。晃にとっては慣れたことでも紗菜にとっては全てが初めての経験だ。その上、望んでいるわけでもないのだから理解が追い付かずにパニックになっていた。

「もっと恥ずかしいことになる前に脱いじゃいましょうね」

 こうなってくると何が一番恥ずかしいのかわからなくなるものだ。そうなる前にやめてほしいものだが、言い返すことすらできないまま紗菜の足からショーツが抜き取られていく。

「ぁ……ぅ……」

 まさか、そんなところまで見られることになるとは思いもしなかった。紗菜の体を覆う物は何もなく、手で隠すことも許されない。それどころか、最も隠したい部分に再び晃の手が触れるのを止めることもできなかった。

「ここ、ヌルヌルですよ」
「やっ……触っちゃ、あっ!」

 晃の指が割れ目を滑るように行き来する。その度に大きくなる疼きをどうやり過ごせば良いのかが紗菜にはわからない。

「こんなになっちゃうなんて、何が気持ち良かったんですか? キス? それともおっぱいですか? 好きなの、いっぱいしてあげますよ」
「ゃっ、しなくていいからぁっ……!」

 言いながらも晃の唇は胸の頂を捉えている。弱い場所を同時に責められては、どちらに反応しているのかもわからない状態だ。

「いっぱい気持ち良くなって、俺がイケるぐらいエロい顔見せてくださいよ」

 見られたくないが、見せなければ帰ることができない。それは紗菜にとって高いハードルだった。この行為はどこまでエスカレートしてしまうのか、先が見えないのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

お屋敷メイドと7人の兄弟

とよ
恋愛
【露骨な性的表現を含みます】 【貞操観念はありません】 メイドさん達が昼でも夜でも7人兄弟のお世話をするお話です。

【完結】Mにされた女はドS上司セックスに翻弄される

Lynx🐈‍⬛
恋愛
OLの小山内羽美は26歳の平凡な女だった。恋愛も多くはないが人並に経験を重ね、そろそろ落ち着きたいと思い始めた頃、支社から異動して来た森本律也と出会った。 律也は、支社での営業成績が良く、本社勤務に抜擢され係長として赴任して来た期待された逸材だった。そんな将来性のある律也を狙うOLは後を絶たない。羽美もその律也へ思いを寄せていたのだが………。 ✱♡はHシーンです。 ✱続編とは違いますが(主人公変わるので)、次回作にこの話のキャラ達を出す予定です。 ✱これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。

雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。 ——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない) ※完結直後のものです。

うちの娘と(Rー18)

量産型774
恋愛
完全に冷え切った夫婦関係。 だが、そんな関係とは反比例するように娘との関係が・・・ ・・・そして蠢くあのお方。 R18 近親相姦有 ファンタジー要素有

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

処理中です...