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第一章
「いつもお世話になってます」 8
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「ああ……可愛いですね」
「ん、ぅぐ……っ」
その声も髪を撫でる手つきも優しいのに、彼はどうしてこんなにもひどいことを要求してくるのだろうか。
これで良いのだろうかと不安になりながら様子を窺おうと上目遣いに見た時、紗菜はそうしたことを後悔した。まるでその瞬間を待ち構えていたかのように晃がスマートフォンを手にしていたからだ。
だが、シャッター音を聞いた時にはもう手遅れだということはわかった。
「んぐぅっ……!」
「まだやめちゃダメですよ」
抗議をするために口を離そうとすれば晃の手が頭を押さえつけ、陰茎が深く入り込んでくる。喉の奥まで突かれそうな恐怖に紗菜は抗議を諦めるしかなかった。続けるしかないのだと悟ったからだ。
晃の声に怒りはなかった。あくまで優しく諭すようで、紗菜がまた大人しくなると褒めるように押さえる力を弱めて頭を撫でた。
「必死に俺のチンポくわえてるのが可愛かったんで、つい」
目を細めて彼は笑う。
何度『可愛い』と言われようと紗菜が喜んでごまかされることはない。軽く吐き出される言葉にきっと意味はないからだ。
「もう撮るなとも言われなかったし」
晃はぬけぬけと言い放つ。これが彼の本性なのだと紗菜は漠然と感じていた。
優しそうだと惑わされるべきではなかった。結局、見た目で判断して騙されたのだ。最悪の事態にはならないと約束されたから、混乱の中で誠実だと勘違いしてしまったのかもしれない。実際は不実で卑劣な行いをしているというのに。
「あはは、睨まれても可愛いだけですよ」
恨めしげに睨みつけても痛くも痒くもないと言わんばかりに晃は笑う。
頭がおかしいのではないか。そんな罵倒の言葉は思いついても、紗菜には口にできそうになかった。どこかではまだ彼を信じようとしてしまっている。そうなるとお人好しと言うよりも馬鹿だと自分でも思うのに、どうにもならない。
「全然刺激が足りないんですよね。俺が動かしてもいいんですけど、先輩が苦しいと思いますし、何か可哀想で萎えてきちゃうって言うか」
「ぷはっ……」
ようやく陰茎が抜けていき、息苦しさから解放された紗菜は呼吸を整えようとする。
しかし、息苦しさからはこの部屋を出るまで解放されないとわかっていた。
「したら帰っていいって……」
「満足したら帰します。そう言いましたよね?」
「あっ……」
その行為を我慢すれば帰れるというのは自分の勝手な思い込みだったということに紗菜は気付く。
彼が満足しなければ帰れない。そして、満足させられるとは限らない。初めから簡単には帰さないつもりだったのかもしれない。可哀想などとは心から思っての言葉ではないのだ。
「いくら紗菜先輩が可愛くてもイケなきゃ意味ないんで」
「写真、消して……もう撮らないで……」
見た目通りの優しい男ではなく、非情な人間だと思い知ったというのに紗菜は懇願せずにはいられなかった。
生々しい感触もいずれは消えるだろう。きっと忘れられるはずだ。しかしながら、画像は残るのだ。
「いいこと思いついたんです」
晃が微笑みながら言うことが自分にとっては良からぬことだろうと察しがつくのに聞かないと言う選択肢がないのもわかっている。初めて声をかけられたあの時から既に絡め取られていたのかもしれない。
「先輩が俺の彼女になってくれれば写真はなくてもいいです」
「それは……」
画像を消してもらうためには彼の彼女になるしかない。選択肢はあるようで存在しないが、わかっていても受け入れることは難しい。
紗菜には恋人も想いを寄せる相手もいないが、こんな形で交際することには抵抗感を覚える。可愛いと言われているだけで、好きだと言われたわけでもないのだ。
「大事にしますよ?」
彼の場合、大事にすることと愛することはイコールではないだろう。単に乱暴なことはいないというだけなのかもしれない。今も決して乱暴ではないが、強引な流れで追い込まれているのだから優しいとは言えない。
だからこそ、紗菜は首を横に振った。
「なら、触らせてください」
そう言いながら晃の手は頭から頬へ首筋へと降りて胸元に触れる。拒絶できる空気ではない。
自分でできないのならば、それを許すしかない。交際を受け入れる以外は他に逃れる道はない。
「先輩が同意しなければチンポは入れないので、安心して気持ち良くなってくださいね」
安心できるはずもない。紗菜は気持ち良くなりたいわけでもないのだが、最早抵抗などできるはずもなかった。
「汚れたり皺になったりしないように制服脱がしちゃいますね」
紗菜に抵抗の意思がなくなったのを見て取って、晃がボタンに手をかける。
女に困っていないようなことを自分でも言ったが、やはり手慣れているのだろう。
あっという間に制服を剥ぎ取るように脱がされてしまった紗菜はベッドに押し倒されていた。
「ん、ぅぐ……っ」
その声も髪を撫でる手つきも優しいのに、彼はどうしてこんなにもひどいことを要求してくるのだろうか。
これで良いのだろうかと不安になりながら様子を窺おうと上目遣いに見た時、紗菜はそうしたことを後悔した。まるでその瞬間を待ち構えていたかのように晃がスマートフォンを手にしていたからだ。
だが、シャッター音を聞いた時にはもう手遅れだということはわかった。
「んぐぅっ……!」
「まだやめちゃダメですよ」
抗議をするために口を離そうとすれば晃の手が頭を押さえつけ、陰茎が深く入り込んでくる。喉の奥まで突かれそうな恐怖に紗菜は抗議を諦めるしかなかった。続けるしかないのだと悟ったからだ。
晃の声に怒りはなかった。あくまで優しく諭すようで、紗菜がまた大人しくなると褒めるように押さえる力を弱めて頭を撫でた。
「必死に俺のチンポくわえてるのが可愛かったんで、つい」
目を細めて彼は笑う。
何度『可愛い』と言われようと紗菜が喜んでごまかされることはない。軽く吐き出される言葉にきっと意味はないからだ。
「もう撮るなとも言われなかったし」
晃はぬけぬけと言い放つ。これが彼の本性なのだと紗菜は漠然と感じていた。
優しそうだと惑わされるべきではなかった。結局、見た目で判断して騙されたのだ。最悪の事態にはならないと約束されたから、混乱の中で誠実だと勘違いしてしまったのかもしれない。実際は不実で卑劣な行いをしているというのに。
「あはは、睨まれても可愛いだけですよ」
恨めしげに睨みつけても痛くも痒くもないと言わんばかりに晃は笑う。
頭がおかしいのではないか。そんな罵倒の言葉は思いついても、紗菜には口にできそうになかった。どこかではまだ彼を信じようとしてしまっている。そうなるとお人好しと言うよりも馬鹿だと自分でも思うのに、どうにもならない。
「全然刺激が足りないんですよね。俺が動かしてもいいんですけど、先輩が苦しいと思いますし、何か可哀想で萎えてきちゃうって言うか」
「ぷはっ……」
ようやく陰茎が抜けていき、息苦しさから解放された紗菜は呼吸を整えようとする。
しかし、息苦しさからはこの部屋を出るまで解放されないとわかっていた。
「したら帰っていいって……」
「満足したら帰します。そう言いましたよね?」
「あっ……」
その行為を我慢すれば帰れるというのは自分の勝手な思い込みだったということに紗菜は気付く。
彼が満足しなければ帰れない。そして、満足させられるとは限らない。初めから簡単には帰さないつもりだったのかもしれない。可哀想などとは心から思っての言葉ではないのだ。
「いくら紗菜先輩が可愛くてもイケなきゃ意味ないんで」
「写真、消して……もう撮らないで……」
見た目通りの優しい男ではなく、非情な人間だと思い知ったというのに紗菜は懇願せずにはいられなかった。
生々しい感触もいずれは消えるだろう。きっと忘れられるはずだ。しかしながら、画像は残るのだ。
「いいこと思いついたんです」
晃が微笑みながら言うことが自分にとっては良からぬことだろうと察しがつくのに聞かないと言う選択肢がないのもわかっている。初めて声をかけられたあの時から既に絡め取られていたのかもしれない。
「先輩が俺の彼女になってくれれば写真はなくてもいいです」
「それは……」
画像を消してもらうためには彼の彼女になるしかない。選択肢はあるようで存在しないが、わかっていても受け入れることは難しい。
紗菜には恋人も想いを寄せる相手もいないが、こんな形で交際することには抵抗感を覚える。可愛いと言われているだけで、好きだと言われたわけでもないのだ。
「大事にしますよ?」
彼の場合、大事にすることと愛することはイコールではないだろう。単に乱暴なことはいないというだけなのかもしれない。今も決して乱暴ではないが、強引な流れで追い込まれているのだから優しいとは言えない。
だからこそ、紗菜は首を横に振った。
「なら、触らせてください」
そう言いながら晃の手は頭から頬へ首筋へと降りて胸元に触れる。拒絶できる空気ではない。
自分でできないのならば、それを許すしかない。交際を受け入れる以外は他に逃れる道はない。
「先輩が同意しなければチンポは入れないので、安心して気持ち良くなってくださいね」
安心できるはずもない。紗菜は気持ち良くなりたいわけでもないのだが、最早抵抗などできるはずもなかった。
「汚れたり皺になったりしないように制服脱がしちゃいますね」
紗菜に抵抗の意思がなくなったのを見て取って、晃がボタンに手をかける。
女に困っていないようなことを自分でも言ったが、やはり手慣れているのだろう。
あっという間に制服を剥ぎ取るように脱がされてしまった紗菜はベッドに押し倒されていた。
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