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 指と舌で散々イかされて、早く早くって思ってる。いつからこんなに淫乱になったんだろうって思う。だけど、きっと全部、誠一郎さんのせい。あまりにも魅力的だから私を狂わす。
 誠一郎さんの下着が盛り上がってるのが見えてたから勃たないわけじゃないって何となくわかってた。生理現象かもしれないけど、私に全く魅力がないわけでもないと思ってた。比較対象がないから、そんなになるものなのかって不思議だったけど。

「そろそろいいか……」
「ひぇっ」

 やっとそう呟いた誠一郎さんが下着を脱いで、ブルンってそれが飛び出してきてビックリした。
 見てしまっていいものか迷うけど、圧倒的な存在感は完全に想定外。

「そ、それ、大きすぎないですか……?」

 恐る恐る問いかける。それ、これから私の中に入るんだよね? 早くほしいって思ってたのがソレなんだよね……?

「だから、確認したし、忠告もした」

 そう言われると言葉に詰まってしまう。確かにそう。大きいから時間がかかるって誠一郎さんはわかってたんだと思う。

「や、やっぱり仕切り直しというわけには……」
「ここでのお預けは堪えるな」
「ですよね……」

 好きにされたいとか散々煽って、脅して、それでも誠一郎さんは気遣ってくれたのに、私が望んだからここまでしてくれた。それを私は今なかったことにしたがってる。いや、先送りにしたいだけなんだけど……
 結局、私は最初から自分のことしか考えてなかった。誠一郎さんはきっと全部わかった上でここまで丁寧に愛撫してくれたのに。

「ここまで解したんだから野獣らしく襲いかかってみるか?」
「うっ……」

 少しばかり乱暴に奪われたいとか思っていたのに、完全に怖じ気付いた私の頭を誠一郎さんが「大丈夫だ」って撫でてくれる。泣きたくなるぐらい優しい。

「すぐには挿れない。君を傷付けたりはしない」
「あっ……」

 覆い被さられると思わず体が竦んでしまう。誠一郎さんが怖いわけじゃないし、優しい言葉をかけてくれるけど、絶対痛いやつ……!

「俺だって君がほしい。早く俺のモノにして実感したい」
「ひ、ぁっ……!」

 ひたりと頬に手が触れて、あそこにも塊が触れる。どっちも熱い。火傷しそうなくらい。
 嫌じゃない、でも、怖い。お腹の奥が欲しがるけど、それ、入り口通るの……? 先の方が太くなってるのに?

「欲しがったり拒んだり、君は俺を翻弄する天才だな」

 そう言われて申し訳なく感じけど、どうしようもない。怖いものは怖い。ただでさえ痛いって言うのに、余計に痛みを感じそうで怖い。誠一郎さんに抱かれる夢から覚めそうなくらい。

「だが、そんな君を愛している」
「え……んっ! ん、はぁっ……」

 それは不意打ちで何を言われたか理解が追いつかない内にキスされる。でも、そのキスの甘さはわかった。ねっとりと舌が絡みついてきたり、口内を舐め回されたり、ゾクゾクが止まらない。
 誠一郎さんのモノがニュルっと滑り、その質量が怖いのに、気持ちいい。

「君を愛しているから抱かせてくれ、優里奈」

 愛して……本当に? 夢を見ているような台詞。
 だから、私の我が儘に応えてくれた? 幻滅せずに?

「いいだろう?」
「あぁんっ! は、ぅっ!」

 私のなけなしの理性を突き崩すようにソレは何度も擦り付けられてクリトリスが刺激される。

「君を愛したいだけなんだ。君が俺に愛されたいと願ったように」

 切なげな表情に何と言ったらいいかわからなくなる。
 自分に自信があったわけでもないのに、一度でも抱いてほしいと思った。誠一郎さんの中にいる野獣を起こしてみたかった。でも、実際に猛獣の爪を、牙を見たら怯んでしまったというような状況。
 愛したいと思われていて、愛されたいと思っている。だったら、その先は一つのはずなのにその勇気を出せない私に誠一郎さんが「強情だな」と笑う。

「それなら、もう一度その気にさせるだけだ。君が俺を煽ったように」
「んぅっ……んんっ!」

 これは仕返しなのだろうか。けれども、キスは何度されても嬉しいと思ってしまうし、何度もクリトリスを擦られるのが気持ちいい。まるで本当にセックスしてるみたい。これだけで十分な気がしてくるのに、そうもいかないわけで……

「ふぁっ……んっ! ぁ、ふっ…………んぁっ!」

 その瞬間は突然だった。
 情熱的なキスに夢中になって、気付けば自分から押し当てるように腰が動いて止められなくて、気持ちよくてたまらない――そんな最高潮に達した時だった。それが入ってきたのは。

「ぁっ、まっ、はいって、あぁぁっ!」

 入ってる、入ってくる、奥まで来る。痛みはないわけじゃない、苦しい、みっちりと中が広げられてる。

「っは……んぅ……」
「よく飲み込めたな」

 誠一郎さんが笑ってる。頭を撫でて褒められると嬉しくなってしまう。
 入らないって、絶対無理だと思ったのに、私の中が誠一郎さんでいっぱいになってることが何よりも嬉しい。
 本当に繋がってる。一つになれた。そう思うと涙が溢れてきて、誠一郎さんが困ったように顔を歪めたのがわかった。

「痛い思いをさせてすまない」
「ちがっ……嬉しくて……」

 昨日は、ううん、ほんの数時間前は夢が叶うなんて思わなかった。胸がいっぱい。まだ夢みたいなのに、痛みが現実だって教えてくれる。だから、耐えられる。怖かったけど、もう入っちゃったわけだし。

「一緒に気持ち良くなろうな」

 大きな手に顔を包み込まれるように固定されてキスされる。上も下も繋がるみたい。
 夢みたいに愛されてるって感じる。だから、これはきっと幸せな痛み。好きな人に初めてを捧げられたから。


「んぁあ……! っくぅんっ!」

 キスをしながら、しばらくは抱き締めてくれていた誠一郎さんがゆっくり腰を動かして、出し入れされる度に痛みがあったのは最初だけ。
 それからは気持ちいいのが強くなって、縋るものがほしくて首に手を回している。
 二人の汗ばんだ肌が触れ合うのさえ心地いい。

「きもち、いぃです……!」

 混ざり合った唾液を口の端から垂らしながら、そんなことさえどうでもいいくらい気持ちいい。
 物事はやってみなければわからないとは言うけれど、こんなに気持ち良くなるとは思わなかった。

「もっとだ、もっと気持ち良くしてやる」

 これ以上気持ちいいことなんてあるの?
 ニヤリと笑った誠一郎さんが体を離して、少し寂しく感じたのも束の間だった。

「ひゃうぅっ!」

 尖りきった胸に吸い付かれて、誠一郎さんのモノをくわえ込んだそこに力がこもったのも、誠一郎さんが一瞬呻いたのもわかった。でも、続けられて、誠一郎さんの頭を掻き抱く。髪の感触さえ刺激になるのに、腰の動きが速くなった。繋がった部分からグチュグチュ響く音も大きくなってる。

「優里奈……!」

 余裕のない声が嬉しく感じるのは私がそうさせてると思えるから?
 自分だって余裕なんて全然ない。

「イっちゃ……も、イク、からぁっ!」

 繋がってる部分が溶けそうなくらい熱い。今日だけで何回絶頂したかわからない。それなのに、慣れられなくて、怖いくらい大きな波が近付いてきてる気がする。

「ああ、一緒にっ……! 中で出すからな……!」
「くださっ、あっぁあっ!」

 いつしか足を絡めて、その瞬間を待ち望む。
 誠一郎さんはコンドームなんて着けてない。
 既成事実を望んだのは私。だけど、責任取ってくださいって脅されるのに「望むところだ」って誠一郎さんだから。

「くっ……!」
「あぁぁぁぁっ!」

 叩き付けられるようにして激しい絶頂感が駆け上って体が震える。一番奥で熱いのが弾けたのを感じた。その一瞬意識が飛んでいたのかもしれない。


「はっ……はぁっ……」

 こんなに凄いものだなんて思いもしなかった。
 これからどうなるかなんてわからないけど、余韻から抜け出せなくて、今は何も考えずに幸せなまま眠りたかった。

「ぁっ…………んぅ……?」

 眠りたかったんだけど……ずるりと誠一郎さんが抜けていくのさえ感じてしまうのに、体をひっくり返される。
 何だろうって思ってる内に誠一郎さんがのしかかってきて、またあれが押し当てられる。

「次はもっと好きにさせてもらおうか」

 私はもうぐったりなのに誠一郎さんは全然元気……?

「んっ、あんっ! なんで……まだ、おっき、あぁ!」

 さっきより抵抗感なく押し込まれるソレの質量に驚く。一回出したらおさまるものじゃないの……? アラサーにもなって今日まで機会もなかったし、その辺の知識に疎い自分が恨めしい。

「これで終わりだと誰が言った?」

 耳元に熱い声を吹き込まれてゾクッとした。声もいいのに、これは反則だと思う。嫌なわけじゃないからこそ余計に困る。体力が限界なだけで。

「も、もぉ無理っ……無理です……!」

 訴えてはみるものの、さっきとは違う角度で抉ってくるソレが止まる気配なし。
 若々しさを保っているのに女っ気がないし、仕事以外では女性を寄せ付けたがらないから性欲はもう枯れてるんじゃないかとかふざけたこと言ったの誰だったっけ……いや、そんなことどうでもいい。若くないのは私の方だ。
 って言うか、こういうの何て言うんだっけ? 何か適切な言葉があったはず……
 その言葉が出てこないまま、私が眠りに就けるのはまだ先のことらしい。
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