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変態は変態を呼ぶ?
駄犬の躾です
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「りりちゃんは俺じゃダメ? 俺はりりちゃんじゃなきゃダメだよ。りりちゃんが必要なんだよ」
竜也君はソファーに座る私の前で正座してる。その上目遣いに心がグラグラするのは何でだろう?
「りりちゃんのことが好きすぎて、りりちゃんが可愛すぎて、どうしようもないの。ほんとに好きだから、誰よりも好きだから、りりちゃんへの愛なら誰にも負けないから」
「竜也君は勝手すぎるんだってば」
愛の押しつけが凄い。一方通行なのに、見捨てたら人でなしみたいな。私は二次元のキャラじゃないのに。
「じゃあ、りりちゃんはどういう人がタイプ? そうなれるように頑張るよ。レオン様?」
「リアルと二次元は別だもん」
チャラ男に擬態してた竜也君は何にでもなれるのかもしれないけど、私はそこまでガチじゃない。
大体、そういう作り物はいつボロが出るかもわからないし、意味がない気がする。
リュウ君そのままだったら? ううん、リアルとネットは別。私だってそう。
「じゃあ、リアルは?」
「ずるくなくて、嘘吐かなくて、身勝手じゃなくて、話が通じて、氷河期到来させなくて……」
思いつく限りのことを言えば、竜也君にグサグサとナイフが突き刺さってるような気もする。普段だったらヤンデレモード怖くて言えないけど。
でも、後は何だろう? 理想的な恋人ってどんなだろう?
「包容力があるとか?」
「俺の包容力、どう? どう?」
竜也君はキラキラした目で問いかけてくるけど、残念な評価を下さなければならないことをわかっているんだろうか。いや、竜也君は自信があると思ってるから期待してるんだ。
「竜也君のは包容力っていうか……何重にもくるまれる的な」
「優しく、優しく、いっぱい包むよ。壊れ物みたいに」
「ラップでぐるぐる巻きにされて息できなくて死にそう」
窒息不可避。竜也君は色々過剰すぎる。
「友達から始めようって言いたいところだけど、付き合ってることになっちゃってるし……」
友達になりたいわけじゃないって最初に言われちゃってるし、竜也君が解放してくれることもなさそうだし。
本当に嫌だったら竜也君を国外追放してるんだと思う。家族が協力してくれる。でも、私はここに遊びに来ることは嫌じゃない。天馬君もお姉様もみんな大好き。改めて外堀埋まってるんだなって思うけど。
「俺と結婚してくれる?」
「そんなに先のことまで考えられないよ……」
竜也君はシュンとしちゃったけど、私にとってはまだまだ全然先のこと。
「嫌なことは嫌って言う。そうしたら、ちゃんとやめてくれる? って言うか、やめてくれないと国外追放してもらうけど、それでも我慢できる?」
「が、頑張る……超頑張る……」
深刻そうな顔の竜也君、確かに真剣な話。
当たり前のことを言ってると思うんだけど、竜也君にとってはそんなに頑張らなきゃいけないことなんだ……
こういうズレをそのままにしたらいけないと思ったから向き合ってるつもりなんだけど。
「じゃあ、付き合うのはいいよ」
絆されてるのか、諦めなのかは自分でもわからない。
今まで通りかもしれない。竜也君は流そうとするかもしれない。
けど、私達の間には明確なルールが必要だと思う。
「りりちゃん!」
「やめて! お座り!」
ばっと飛びついてきそうな竜也君を慌てて制止する。
本当にお預けされた犬みたい。何て言うか「いいよって言ったのに何で?」みたいな不満顔にも見える。そうだった、竜也君は駄犬だった。厳しく躾けないとダメなんだ……!
「勝手に抱きついたりとかしないで」
「チューも?」
「もっとダメ!」
付き合うからってそういうことしなきゃいけないわけじゃないと思う。
友達からスタートしたいところを百歩譲って付き合いたてからスタートみたいな? そもそも、何で私が譲らなきゃいけないのかもわからないところだけど。
「え、エッチは……」
控えめに問いかけてくる竜也君、予想はしてたけど、ちょっとうんざりした気持ちがあったりする。
付き合ってるからって絶対にしなきゃいけないことでもないし、お互いの気持ち次第だと思う。
「私がしてもいいって思うまで絶対にしないに決まってるでしょ? 今度無理矢理したら国外追放だし、絶交だからね?」
この世の終わりみたいな顔をする竜也君。誰のせいだと思ってるんだろう? やっぱりさっきの言葉、取り消した方がいいかな?
「だって、怖いんだもん……」
「りりちゃん……」
「これからはもっと大事にしてくれる?」
「やばい、キュンってした……りりちゃん、好きだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこは全力で頷いて欲しかったんだけど、突然叫びだした竜也君にビックリして私は思わず防犯ブザーを鳴らしてしまったのだった。
まだまだ前途多難? だけど、バカだなぁって思いながら竜也君を拒みきれないってことは……? ううん、そこはゆっくり考えよう。
*****
翌日、竜也君は許可なしに手も繋げない(しかも許可が下りない)ことにめそめそしてはいたけど、バーベキュー&ボドゲ大会は盛況だった。
部長がはしゃいでたり(私にはわからなかったけど加納君曰くテンション爆上がりだったらしい)、向井君が影本家の女性達と意気投合したり(天馬君提案の女装しての女子会は拒否してたけど今度はお母様とお姉様を連れて遊びに来るらしい)、ミスターが商談をもちかけて武器商人ブラザーズを呼んでくれて上野君と竜也君の和解からのトリオが復活したり(由真ちゃんは三馬鹿とか言ってたけど)、何かもう語りきれないくらい色々なことがあって楽しかった。
これからもこういうことがあればいいなぁって気持ちが竜也君に伝わったかはわからないけど。でも、変態に好かれて色々あったけど、悪いことばっかりじゃないなぁって思う今日この頃。
竜也君はソファーに座る私の前で正座してる。その上目遣いに心がグラグラするのは何でだろう?
「りりちゃんのことが好きすぎて、りりちゃんが可愛すぎて、どうしようもないの。ほんとに好きだから、誰よりも好きだから、りりちゃんへの愛なら誰にも負けないから」
「竜也君は勝手すぎるんだってば」
愛の押しつけが凄い。一方通行なのに、見捨てたら人でなしみたいな。私は二次元のキャラじゃないのに。
「じゃあ、りりちゃんはどういう人がタイプ? そうなれるように頑張るよ。レオン様?」
「リアルと二次元は別だもん」
チャラ男に擬態してた竜也君は何にでもなれるのかもしれないけど、私はそこまでガチじゃない。
大体、そういう作り物はいつボロが出るかもわからないし、意味がない気がする。
リュウ君そのままだったら? ううん、リアルとネットは別。私だってそう。
「じゃあ、リアルは?」
「ずるくなくて、嘘吐かなくて、身勝手じゃなくて、話が通じて、氷河期到来させなくて……」
思いつく限りのことを言えば、竜也君にグサグサとナイフが突き刺さってるような気もする。普段だったらヤンデレモード怖くて言えないけど。
でも、後は何だろう? 理想的な恋人ってどんなだろう?
「包容力があるとか?」
「俺の包容力、どう? どう?」
竜也君はキラキラした目で問いかけてくるけど、残念な評価を下さなければならないことをわかっているんだろうか。いや、竜也君は自信があると思ってるから期待してるんだ。
「竜也君のは包容力っていうか……何重にもくるまれる的な」
「優しく、優しく、いっぱい包むよ。壊れ物みたいに」
「ラップでぐるぐる巻きにされて息できなくて死にそう」
窒息不可避。竜也君は色々過剰すぎる。
「友達から始めようって言いたいところだけど、付き合ってることになっちゃってるし……」
友達になりたいわけじゃないって最初に言われちゃってるし、竜也君が解放してくれることもなさそうだし。
本当に嫌だったら竜也君を国外追放してるんだと思う。家族が協力してくれる。でも、私はここに遊びに来ることは嫌じゃない。天馬君もお姉様もみんな大好き。改めて外堀埋まってるんだなって思うけど。
「俺と結婚してくれる?」
「そんなに先のことまで考えられないよ……」
竜也君はシュンとしちゃったけど、私にとってはまだまだ全然先のこと。
「嫌なことは嫌って言う。そうしたら、ちゃんとやめてくれる? って言うか、やめてくれないと国外追放してもらうけど、それでも我慢できる?」
「が、頑張る……超頑張る……」
深刻そうな顔の竜也君、確かに真剣な話。
当たり前のことを言ってると思うんだけど、竜也君にとってはそんなに頑張らなきゃいけないことなんだ……
こういうズレをそのままにしたらいけないと思ったから向き合ってるつもりなんだけど。
「じゃあ、付き合うのはいいよ」
絆されてるのか、諦めなのかは自分でもわからない。
今まで通りかもしれない。竜也君は流そうとするかもしれない。
けど、私達の間には明確なルールが必要だと思う。
「りりちゃん!」
「やめて! お座り!」
ばっと飛びついてきそうな竜也君を慌てて制止する。
本当にお預けされた犬みたい。何て言うか「いいよって言ったのに何で?」みたいな不満顔にも見える。そうだった、竜也君は駄犬だった。厳しく躾けないとダメなんだ……!
「勝手に抱きついたりとかしないで」
「チューも?」
「もっとダメ!」
付き合うからってそういうことしなきゃいけないわけじゃないと思う。
友達からスタートしたいところを百歩譲って付き合いたてからスタートみたいな? そもそも、何で私が譲らなきゃいけないのかもわからないところだけど。
「え、エッチは……」
控えめに問いかけてくる竜也君、予想はしてたけど、ちょっとうんざりした気持ちがあったりする。
付き合ってるからって絶対にしなきゃいけないことでもないし、お互いの気持ち次第だと思う。
「私がしてもいいって思うまで絶対にしないに決まってるでしょ? 今度無理矢理したら国外追放だし、絶交だからね?」
この世の終わりみたいな顔をする竜也君。誰のせいだと思ってるんだろう? やっぱりさっきの言葉、取り消した方がいいかな?
「だって、怖いんだもん……」
「りりちゃん……」
「これからはもっと大事にしてくれる?」
「やばい、キュンってした……りりちゃん、好きだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そこは全力で頷いて欲しかったんだけど、突然叫びだした竜也君にビックリして私は思わず防犯ブザーを鳴らしてしまったのだった。
まだまだ前途多難? だけど、バカだなぁって思いながら竜也君を拒みきれないってことは……? ううん、そこはゆっくり考えよう。
*****
翌日、竜也君は許可なしに手も繋げない(しかも許可が下りない)ことにめそめそしてはいたけど、バーベキュー&ボドゲ大会は盛況だった。
部長がはしゃいでたり(私にはわからなかったけど加納君曰くテンション爆上がりだったらしい)、向井君が影本家の女性達と意気投合したり(天馬君提案の女装しての女子会は拒否してたけど今度はお母様とお姉様を連れて遊びに来るらしい)、ミスターが商談をもちかけて武器商人ブラザーズを呼んでくれて上野君と竜也君の和解からのトリオが復活したり(由真ちゃんは三馬鹿とか言ってたけど)、何かもう語りきれないくらい色々なことがあって楽しかった。
これからもこういうことがあればいいなぁって気持ちが竜也君に伝わったかはわからないけど。でも、変態に好かれて色々あったけど、悪いことばっかりじゃないなぁって思う今日この頃。
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