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変態は変態を呼ぶ?
仲良し大作戦開始!
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仲良し大作戦決行! と意気込んだ朝、私は向井君を部室まで呼び出した。
確認も兼ねてカケルさんにDMして、呼び出しには応じてくれたわけで。
「本当に向井君がカケルさんなんだ……」
呟きを読み返しても、元々呟きが多いわけじゃないし、性別もわかりにくくて、向井君だって確定できる要素はなかった。
でも、やっぱり私の手元にある作品は間違いなくカケルさんの物だった。
「何? イメージが崩れた?」
「そうじゃなくて……!」
カケルさんが向井君だったからって何かが変わるわけじゃない。作品と作者の人格は別物……!
「じゃあ、何? 意味なんてないって言ったでしょ?」
怒ってるよね?
向井君、ちょっと機嫌悪いよね?
「でも、竜也君と仲直りしたいんじゃ……」
「別に喧嘩したわけでもないし、余計なことしなくていいから」
竜也君に対して怒ってるわけでもなさそうだけど、もしかして……!
「じゃあ、自分で?」
「その期待に満ちた目やめてくれる?」
「だって……」
自分でどうにかするから手を出すなってことかなって思ったけど、違ったみたい。
いや、超ツンデレだから照れ隠しとか? いや、萌花ちゃんとは違うよね?
「もういいでしょ?」
「あっ……」
引き留める言葉もなくて、向井君は行ってしまった……
いやいや、仲良し大作戦はまだまだ終わらない!
*****
「ご・は・ん! りりちゃんとご・は・ん!」
昼休み、一緒にお弁当食べるから竜也君は上機嫌。うざいくらいに。いや、普通にうざい。
でも、今はそれよりも向井君を捕獲しなければ……
「向井君!」
「何?」
呼べば反応してくれるけど、あからさまに迷惑そうな向井君。負けるもんか……!
「一緒にご飯食べよう!」
あとで絶対向井ファンに怒られるけど、そんなこと気にしてたら仲良しは実現できない!
そう思ったんだけど……
「やだ」
「そう言わずに!」
「断る」
そう簡単に行くとは思ってなかったけど、ツン……ツンが増してる!
「いやぁぁっ! りりちゃん、浮気だめぇぇぇぇっ!」
竜也君が静かにしてくれるわけがなかった……
誰のためだと思ってるんだ! と言いたいけど、さすがに恩着せがましいかも。
あえて言うなら、竜也君がまた向井君と仲良くなったら鬱陶しいのが少しは落ち着くかなって……思ってたりする。
「竜也君は大人しく待ってて!」
駄犬に「待て」なんてできるはずがないんだけど、言うしかない。竜也君が騒ぐと色々ややこしくなる。
向井君をどうにかしなきゃなんだけど……
「あっ……待って!」
これ幸いとばかりにいなくなろうとしてる向井君を追いかけようとしたところで丁度いいところに萌花ちゃんが来たのが見えた。
「萌花ちゃん! その人捕まえて!」
「ほいさー!」
瞬時に理解したらしい萌花ちゃんが向井君に襲いかかる!
「うわっ、やめてっ!」
のし掛かられるように捕まえられた向井君が暴れるけど、萌花ちゃんは離さない。
「巨乳美少女からの抱きつきにもっと喜んだらどうです?」
「それ、本気で言ってるの?」
「本気ですよ?」
「潰れる! 本気で潰しに来てるよね!?」
萌花ちゃんはかなり体重をかけてるみたいで、男子の中では小柄な向井君が潰れそうに見えるのは強ち嘘でもない。
「うわぁぁぁんっ! ひどい! ひどすぎます!」
「いやいや……!?」
萌花ちゃん、絞めてる!
向井君、めっちゃタップしてる……!
「萌花ちゃん、ストップ! 向井君、死んじゃう!」
仲良しの前に天国の門の前に立っちゃうかもしれない……!
「りり先輩が言うなら仕方ないですね」
「いつから猛獣使いになったの……」
萌花ちゃんが力を緩めれば、観念した様子で向井君はもう逃げようとはしなかった。
「猛獣って私のことですか? 失礼な人ですね!」
「君に失礼とか言われたくないよね。どれだけ面の皮厚いのさ」
「りり先輩が寛大な心で許してくれたんです」
何もかも許して何もなかったことにしたわけじゃない。だから、今、厚生中なわけで。
「そう言えば向井君にも迷惑かけたよね」
萌花ちゃんを見れば私が言いたいことがわかったらしい。この数日の躾の成果……!
「チッ……ごめんなさぁい」
「舌打ちしたよね? 今、舌打ちしたよね?」
「えー気のせいですよ」
気のせいじゃない。私にも聞こえたよ、舌打ち。思いっきりしてたよ、舌打ち。
「萌花ちゃん」
ここは先輩として、預かっている人間としてビシッと締めなければ……!
「ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
「萌花ちゃんも反省してるから……」
今度はちゃんと頭を下げた萌花ちゃんと一緒に私も頭を下げる。
いつかは竜也君がちゃんと話さなきゃいけないことだったんだけど、萌花ちゃんの暴露で三人の友情に亀裂が入ったわけだし……ゴタゴタさせちゃったし、向井君って結構被害者だと思う。
それで正体がわかったからって、また竜也君と仲良くしてなんて虫のいい話かもしれないけど。
「君に言われるとお互い様って言うか、強く言えないんだけど」
「でも、賄賂もらっちゃったし……」
「賄賂とか言わないでくれる?」
「ご、ごめん……」
やっぱり向井君ツンツンしてるよね? いや、最初からこういう人だったっけ? 何かもう「じー」されたあの時に初めて話したくらいだし、接し方がわからない。
ネット上でカケルさんと話すのとは勝手が違う。
どうしたものかと思ってたら向井君が溜息を吐いた。やばい、呆れられたかも。
「本当にお人好しだよね」
「りり先輩は人たらしなんです」
完全に呆れてる向井君に対して何で萌花ちゃんは誇らしげなんだろう?
「あ、うん……多分、知ってた」
知ってたの? 納得しちゃうの?
いやいや、このままじゃ本懐を遂げられない……! こうなればノリだ!
「ってことで、ご飯一緒に食べてくれるよね?」
「いつかの仕返し?」
「あっ、そうかもしれない……?」
そう言えば、気まずい昼食会は向井君のせいのような気がする。そういういことになるのかな?
「君って賢いの? バカなの?」
「りり先輩は天然なんです!」
向井君が本当に呆れてる気がしたけど、気付かないフリをすることにした。
萌花ちゃんが何かこう部長の話をする時の加納君と重なった気がした。
確認も兼ねてカケルさんにDMして、呼び出しには応じてくれたわけで。
「本当に向井君がカケルさんなんだ……」
呟きを読み返しても、元々呟きが多いわけじゃないし、性別もわかりにくくて、向井君だって確定できる要素はなかった。
でも、やっぱり私の手元にある作品は間違いなくカケルさんの物だった。
「何? イメージが崩れた?」
「そうじゃなくて……!」
カケルさんが向井君だったからって何かが変わるわけじゃない。作品と作者の人格は別物……!
「じゃあ、何? 意味なんてないって言ったでしょ?」
怒ってるよね?
向井君、ちょっと機嫌悪いよね?
「でも、竜也君と仲直りしたいんじゃ……」
「別に喧嘩したわけでもないし、余計なことしなくていいから」
竜也君に対して怒ってるわけでもなさそうだけど、もしかして……!
「じゃあ、自分で?」
「その期待に満ちた目やめてくれる?」
「だって……」
自分でどうにかするから手を出すなってことかなって思ったけど、違ったみたい。
いや、超ツンデレだから照れ隠しとか? いや、萌花ちゃんとは違うよね?
「もういいでしょ?」
「あっ……」
引き留める言葉もなくて、向井君は行ってしまった……
いやいや、仲良し大作戦はまだまだ終わらない!
*****
「ご・は・ん! りりちゃんとご・は・ん!」
昼休み、一緒にお弁当食べるから竜也君は上機嫌。うざいくらいに。いや、普通にうざい。
でも、今はそれよりも向井君を捕獲しなければ……
「向井君!」
「何?」
呼べば反応してくれるけど、あからさまに迷惑そうな向井君。負けるもんか……!
「一緒にご飯食べよう!」
あとで絶対向井ファンに怒られるけど、そんなこと気にしてたら仲良しは実現できない!
そう思ったんだけど……
「やだ」
「そう言わずに!」
「断る」
そう簡単に行くとは思ってなかったけど、ツン……ツンが増してる!
「いやぁぁっ! りりちゃん、浮気だめぇぇぇぇっ!」
竜也君が静かにしてくれるわけがなかった……
誰のためだと思ってるんだ! と言いたいけど、さすがに恩着せがましいかも。
あえて言うなら、竜也君がまた向井君と仲良くなったら鬱陶しいのが少しは落ち着くかなって……思ってたりする。
「竜也君は大人しく待ってて!」
駄犬に「待て」なんてできるはずがないんだけど、言うしかない。竜也君が騒ぐと色々ややこしくなる。
向井君をどうにかしなきゃなんだけど……
「あっ……待って!」
これ幸いとばかりにいなくなろうとしてる向井君を追いかけようとしたところで丁度いいところに萌花ちゃんが来たのが見えた。
「萌花ちゃん! その人捕まえて!」
「ほいさー!」
瞬時に理解したらしい萌花ちゃんが向井君に襲いかかる!
「うわっ、やめてっ!」
のし掛かられるように捕まえられた向井君が暴れるけど、萌花ちゃんは離さない。
「巨乳美少女からの抱きつきにもっと喜んだらどうです?」
「それ、本気で言ってるの?」
「本気ですよ?」
「潰れる! 本気で潰しに来てるよね!?」
萌花ちゃんはかなり体重をかけてるみたいで、男子の中では小柄な向井君が潰れそうに見えるのは強ち嘘でもない。
「うわぁぁぁんっ! ひどい! ひどすぎます!」
「いやいや……!?」
萌花ちゃん、絞めてる!
向井君、めっちゃタップしてる……!
「萌花ちゃん、ストップ! 向井君、死んじゃう!」
仲良しの前に天国の門の前に立っちゃうかもしれない……!
「りり先輩が言うなら仕方ないですね」
「いつから猛獣使いになったの……」
萌花ちゃんが力を緩めれば、観念した様子で向井君はもう逃げようとはしなかった。
「猛獣って私のことですか? 失礼な人ですね!」
「君に失礼とか言われたくないよね。どれだけ面の皮厚いのさ」
「りり先輩が寛大な心で許してくれたんです」
何もかも許して何もなかったことにしたわけじゃない。だから、今、厚生中なわけで。
「そう言えば向井君にも迷惑かけたよね」
萌花ちゃんを見れば私が言いたいことがわかったらしい。この数日の躾の成果……!
「チッ……ごめんなさぁい」
「舌打ちしたよね? 今、舌打ちしたよね?」
「えー気のせいですよ」
気のせいじゃない。私にも聞こえたよ、舌打ち。思いっきりしてたよ、舌打ち。
「萌花ちゃん」
ここは先輩として、預かっている人間としてビシッと締めなければ……!
「ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした」
「萌花ちゃんも反省してるから……」
今度はちゃんと頭を下げた萌花ちゃんと一緒に私も頭を下げる。
いつかは竜也君がちゃんと話さなきゃいけないことだったんだけど、萌花ちゃんの暴露で三人の友情に亀裂が入ったわけだし……ゴタゴタさせちゃったし、向井君って結構被害者だと思う。
それで正体がわかったからって、また竜也君と仲良くしてなんて虫のいい話かもしれないけど。
「君に言われるとお互い様って言うか、強く言えないんだけど」
「でも、賄賂もらっちゃったし……」
「賄賂とか言わないでくれる?」
「ご、ごめん……」
やっぱり向井君ツンツンしてるよね? いや、最初からこういう人だったっけ? 何かもう「じー」されたあの時に初めて話したくらいだし、接し方がわからない。
ネット上でカケルさんと話すのとは勝手が違う。
どうしたものかと思ってたら向井君が溜息を吐いた。やばい、呆れられたかも。
「本当にお人好しだよね」
「りり先輩は人たらしなんです」
完全に呆れてる向井君に対して何で萌花ちゃんは誇らしげなんだろう?
「あ、うん……多分、知ってた」
知ってたの? 納得しちゃうの?
いやいや、このままじゃ本懐を遂げられない……! こうなればノリだ!
「ってことで、ご飯一緒に食べてくれるよね?」
「いつかの仕返し?」
「あっ、そうかもしれない……?」
そう言えば、気まずい昼食会は向井君のせいのような気がする。そういういことになるのかな?
「君って賢いの? バカなの?」
「りり先輩は天然なんです!」
向井君が本当に呆れてる気がしたけど、気付かないフリをすることにした。
萌花ちゃんが何かこう部長の話をする時の加納君と重なった気がした。
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