【R18】変態に好かれました

Nuit Blanche

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変態は変態を呼ぶ?

私のネット世界、狭すぎ?

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 部室に着いて、いよいよ萌花ちゃんの話を聞くことになったんだけど……

「りり先輩が教室でお菓子配るんです」

 ハンカチを目に当てて芝居がかった調子で萌花ちゃんが語り出す。さめざめって感じで。

「萌花ちゃんは良い子だよキャンペーンだよ」

 竜也君には友達できたし、萌花ちゃんと一緒にするとうるさいしってことで、お昼は結局萌花ちゃんのところに行ってる。更正プログラムも終わりに近付いてきたし、クラスの子達とも仲良くできるようにと思って私なりに頑張ってるわけで。飴とかチョコとかちょっとしたお菓子を配ってアピールして感触は上々のはずなんだけど……そんなに嫌がられてると思わなかった。

「そんなことされたら……されたら……!」
「それが恥ずかしいって?」

 由真ちゃんが萌花ちゃんに冷めた視線を送ってる。ここ数日で由真ちゃんが疲れ果ててるのは竜也君と萌花ちゃんの相乗効果じゃないかな……いや、マジごめん。どっちも私のせいだ。

「みんな、りり先輩のこと好きになっちゃうじゃないですかー! うわぁぁんっ!」

 顔を覆う萌花ちゃん。そんなに演技しなくても……。何言われるかってドキッとした。本当に。

「うっさいのがもう一人いなくて良かった……」

 心の底からそう思ってるような由真ちゃん。
 うん、本当にそう思う。竜也君がこの場にいたら間違いなく「俺のりりちゃんなのにー!」が始まる。間違いない。

「……わかる」

 ぽつりと呟いたのは加納君。泣き真似も甚だしい萌花ちゃんに突っかかるわけでもなく、ぽつりと同意した。

「小さくて可愛い先輩がいるって僕のクラスでも噂になってますよ。どれだけ人をたらせば気が済むんですか! 僕だって泣きたいですよ! うわーん!」

 加納君までおかしくなっちゃった!
 いや、キャラ変わってたけど、変わってたけど……!

「本当にもう! 何でそんなに人たらしなんですか!?」

 珍しく加納君と萌花ちゃんの意見が合致してる……

「いやいや、お菓子あげただけだからね? 萌花ちゃんと話が合いそうな子見つかったじゃん!」
「自覚がないから質が悪い!」
「天然にもほどがありますよ!」

 何で二人がかりで責められてるんだろう?
 いや、本当に竜也君がいなくて良かったけど。

「あんた達案外お似合いなんじゃない?」

 溜息一つ吐いて由真ちゃんが言った。確かに……と思ってしまったけど、これ以上火の粉はノーサンキューだから黙っておく。

「こんなトラブルメーカー勘弁してください」
「私はりり先輩がいいんですー! こんな性格悪い男嫌ですー!」
「性格の悪さでは言われたくない!」

 何かもうどっちもどっちのような気がして面倒臭くなってきた……そうして溜息を吐いたところでふと視線を感じて見たら部長と目が合った。


「他にも何かあった?」

 空気と化してた部長も仲裁が面倒臭かったのかもしれない。

「そー言えば、りり先輩、変なこと言ってましたよね? ネットが本当に世界と繋がってるのかって」
「ネット親友がクラスメートだった問題ですか?」

 迷探偵が一人で迷宮入りしてぐるぐるしてても仕方ないし、ここは英知の集まりに期待するしかないと思った。客観的に見ることって大事だよね?

「これ、もらったんだけどね……」

 さっきもらったアクセサリーをそっと机の上に出す。やっぱり白昼夢じゃなかった。神居カケルさんが実在してた。

「あれ? りり先輩が拡散してる……」

 さすがストーカー萌花ちゃん、すぐに気付いた。

「そう、神居カケルさんのアクセで間違いないと思うんだけど……」
「それを向井にもらったわけ?」

 どう切り出すか迷ってる内に由真ちゃんがそう言うからびっくりした。

「えっ、何でわかるの?」
「名前にひねりがない。神居は向井のアナグラム。あいつ、名前に翔の字が入ってるでしょ?」

 言われてみれば、確かに……そうかも?
 いや、名前のセンスは人それぞれ……

「それに、この前、その神居さんが好きだって言うりんごもらってたじゃない」

 そう言えば、あの後、ご本人に食べました報告をしたところまで由真ちゃんに熱く語ったっけ……超美味しかった。
 もしかして、由真ちゃん、その時から何か気付いてた?
 私はカケルさんが女性だと思ってたんだけど……


「つまり、光石先輩が好きなネット上のアクセサリー作家がクラスメートで彼氏の元親友だった、と」

 加納君が要約してくれた。
 由真ちゃんは一人で納得してたけど、どうにか皆にもわかるように説明したわけで。改めて考えると事実は小説よりも奇なりって言うか、やっぱり私が繋がってるネットの世界、狭すぎ?

「向井君、どういうつもりなんだろう……意味はないって言ってたけど、向井君が本当に神居カケルさんなら竜也君と仲良くできると思うんだ……」

 喧嘩したって言うか、離れていったって言うか……だから、仲直りって言うか、何だろう?
 騙してた部分があるとは言っても上手くやってたんだし、わかり合えると思いたい。

「天の邪鬼なんじゃない? あいつもひねくれてそうだし」
「深い意味はないって言ってたけど……」

 由真ちゃんは言うけど、向井君はただのお詫びみたいに言ってたし……

「きっと超ツンデレなんですよ!」

 萌花ちゃんが言った。力説って感じで。
 確かにツンデレだと思ったけど……

「萌花ちゃんみたいに?」
「そうですよ! どうせ、私はかまってちゃんでツンデレですよ! もっとかまえ!」

 萌花ちゃんは自棄になったご様子。多分、今夜も通知が凄いことになるんだろうな……

「やっぱり竜也君と仲良くしたいのかな? でも……」

 意味はないって言ってたし、うーん……

「そこは大沢先輩見習ったらいいんじゃないですかね?」

 勢いで強引に行けってこと?
 加納君はふみちゃんのこと何だと思ってるんだろう?

「えーっ、りり先輩があんな図太くなったらやですよぉ」

 いや、萌花ちゃんも先輩に対して失礼だと思うんだけど……
 萌花ちゃんの暴挙を許してくれたわけなんだし……
 でも、言えない。先輩らしくビシッといえない。だから、だめなのかも……

「やりたいようにやればいいと思うよ」

 部長……!
 何だろう、勇気をもらった気がする!

「明日、本人に聞いてみます……!」

 やっぱり、みんな仲良しが良いよね! ふみちゃんを見習おう!
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