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変態は変態を呼ぶ?
決着がつきました?
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勝負が始まれば竜也君は真剣そのもの。こんなに真剣な竜也君も珍しいかもってくらい。
途中から部長と加納君も合流した。二人ともカードゲームに詳しい人を解説員としてアニ研から引っ張ってきたらしい。
いや、解説されてもよくわからなったし、萌花ちゃんはすぐに飽きて私の髪の毛で遊び出すし……竜也君が勝負に集中してくれてて良かった。
正直ポーカーフェイス大会で決着をつければフェアだと思うだけど、フェアじゃないことに意味があるはず。
そもそもポーカーフェイス大会は尤もらしい理由を付けて合法的に遊ぶっていう脱法ゲーム的なあれだから普通はポーカーフェイスする必要ないし、普通にやると運の要素が強く……
やっぱりこうするしかなかったのかもしれないけど、ハラハラしすぎてクレープが食べられるか心配になってきた。
でも、田辺君が劣勢なのかもっていうのは取り巻きの様子からもわかってきた。
田辺君はカードゲームが強いんだと思ってた。いつも余裕綽々みたいな感じでやってることが多い感じだったから。ううん、最初は竜也君なんて敵じゃないくらいの感じだった。それが今は眉間に皺を寄せて、かなり険しい顔になってる。
そして、勝敗が決まるのに時間はそんなにかからなかった。
結果は田辺君の負け。でも、それで決着じゃなかった。「もう一回!」からの「次はこいつらが相手だ!」で……時間がかかったけど、全敗の田辺軍。
最終的に崩れ落ちる田辺君と屍の山、って言うのは大げさだけど、そういうイメージ。
屍の山の上で満面の笑みで手を振る竜也君的な……カオス。地獄絵図。
「りりちゃん! 勝ったよ! ハグして! チューして!」
しねぇよ!
心の中では全力ツッコミ。でも、現実にはお疲れモード。
「しないからね?」
「そんな……!
するわけないのに、竜也君はショックを受けた顔。
大丈夫、今なら味方がいっぱいいる……!
「むしろ今すぐベロベロってしたいのに……」
「気持ち悪いわ!」
どうやら聞かなかったことにした竜也君だけど、由真ちゃんのツッコミ。
代弁してくれるの超助かるけど、ゴメン……由真ちゃん、朝から酷使してゴメン……今度何かご馳走するから許してゴメン……
「りり先輩! 早くクレープ食べに行きましょう!」
「いやいや、俺と勝利のディナーでしょ! クレープは今度俺が作ってあげるから!」
「萌花ちゃんと約束してるからね。竜也君のせいで遅くなっちゃったし」
「ですです! 行きましょう! 今すぐ行きましょう!」
萌花ちゃんはぐいぐい腕引っ張ってくるし、竜也君はディナーとか大げさすぎない?
クレープでお腹いっぱいになりそうなくらいの気分……
「って言うか、何でりりちゃんの髪はそんなことになってるの?」
やばい、竜也君が気付いちゃった。暇を持て余した萌花ちゃんに編み編みされた私の髪に。
「も、萌花ちゃんが……」
「俺にはやらせてくれないくせにぃぃぃぃっ!!」
あー、うるさいうるさい。
由真ちゃんみたいにこの心の声をはっきり口にすることはできないけど。
「りり先輩は一週間私の物なんです。彼氏面しないでください」
萌花ちゃん……! 竜也君に喧嘩売るの、やめて!
それ、語弊があるからね……?
「彼氏だもん! 俺、彼氏だもん! りりちゃんはずーっと俺のだもん!」
由真ちゃんはもう頭痛が痛い状態みたいだし、加納君もさすがに面倒みたいだし……収拾つかなくない?
そう思った時だった。
「ししょぉぉぉっ!」
崩れ落ちてた田辺君、突然の復活。竜也君の前に来たかと思えば、突然の土下座。床に額擦り付けるレベルの土下座。
「今まで! 数々のご無礼! 本当に! すいませんでしたっ!!」
唖然。みんな、唖然。何この変わりよう。
「いや、いいからそういうの」
みんなをドン引きさせてきた竜也君でさえドン引き。いかにも面倒臭そうにあしらう。
でも、ぱっと顔を上げた田辺君にはまるで伝わってないみたいだった。
「何と寛大な……!」
「だから、いいんだって。りりちゃんとのラブラブスクールライフさえ邪魔しないでくれれば」
ラブラブしないんだけど、むしろそれに関しては邪魔してくれていいんだけど、そうすると竜也君面倒臭いし、今までの絡み方は正直気分悪かったし……
「師匠と呼ばせてください!」
「いや、弟子とかいらないから」
竜也君はうんざりしてるけど、これってまさか田辺君がデレてる……?
萌花ちゃん的展開なの? 改心からの和解なの? 超変わり身の術?
「俺も! 弟子にしてください!」
なぜか田辺君に続く田辺軍。カオス。
やばい、何だこれ。この隙に逃げ出したい。
ふとスマホを取り出すと天馬君からメッセージが来てた。それも結構前に。気付いてなかった……!
『元々兄貴のカードなのでご心配なく』
もっと早くに知りたかった……とは思っても見なかった私が悪いんだけど。
そう言えば、天馬君、竜也君が不要になったオタグッズとかもらってるんだっけ……
私の心配を返せと言いたい気分。
「俺、引退してるからね?」
「いやいや、カムバックしましょう! 今でも十分通用しますって!
「しねぇから!」
「師匠、帰宅部でしたよね?」
しつこい男田辺、ここでも発揮される……
ねちねち嫌みを言うよりはいい気もするけど
「師匠って呼ぶな! 俺、文芸部に入るから!」
そう言い放った竜也君、ちょっとドヤってる。いや、まだ確定はしてないよね、それ。
そこで「あ」と声を上げたのは我らが文芸部部長だった。
「君の入部だけどね、残念ながら不合格ってことでごめんね」
申し訳なさも感じさせない安定の無表情。
そして、この世の終わりみたいな顔になる竜也君。不合格になることなんて考えてなかったみたい。
お昼にはその話しなかったんだ……
「熱意はわかったんだけど、高度すぎて、アニ研に相談したら、入部届持ってかれちゃった。てへぺろ」
無表情のてへぺろ怖すぎる……何の読書感想文書いたの、竜也君……
「のぉぉぉぉぉっ!」
響き渡る竜也君の叫び声。だけど、可哀想とは思わないのは何でだろう。
「師匠! お任せあれ! 俺達が取り返して来るんで、パソ部に入りましょう!」
すっかり手のひらを返した田辺軍の頼もしさ。昨日の敵は今日の味方?
「いやいや、アニ研でいいじゃないですか。今度勝負してくださいよ」
まさかの助っ人さん参戦。解説員として呼ばれてきたけど、デュエリストの血が騒いだ的な?
「師匠は渡さんぞ!」
「もううちのものですよ」
パソコン部対アニ研、まさかまさかの竜也君争奪戦勃発。オタクから嫌われていた竜也君がオタクに取り合われる日が来るなんて……!
「ぶちょぉぉぉぉぉっ!」
「ごめんね、君の部長じゃないんだ」
泣きつく竜也君だけど、佐々木部長はドライだった。
この件に関しては竜也君が入部しない方が私的には助かるし、由真ちゃんもだと思う。竜也君が入ってちゃんと活動できるとは思えない。
「いいじゃないですか、アニ研とは国交がありますよ。誰かさんのせいで断絶されるかと思いましたが」
部長の味方加納君がここぞとばかりにチクリ。チクリされた萌花ちゃんは素知らぬ顔で「クレープ……クレープ……」と譫言のように繰り返してる。そろそろクレープが食べたすぎてやばいのかもしれない。
「助けて、りりちゃん!」
「竜也君、人気者で良かったね。私達はもう行くからね?」
溺れる者は藁をも掴む?
つには私にまで助けを求めてくる竜也君だけど、私が助けるわけないって言うか、助けられるわけないよね?
「レッツゴー!」
「いやぁぁぁぁぁっ!」
急に元気になった萌花ちゃんに腕をぐいぐい引っ張られ、今度こそ私達は教室を後にしたのだった。竜也君の悲鳴を聞きながら。
途中から部長と加納君も合流した。二人ともカードゲームに詳しい人を解説員としてアニ研から引っ張ってきたらしい。
いや、解説されてもよくわからなったし、萌花ちゃんはすぐに飽きて私の髪の毛で遊び出すし……竜也君が勝負に集中してくれてて良かった。
正直ポーカーフェイス大会で決着をつければフェアだと思うだけど、フェアじゃないことに意味があるはず。
そもそもポーカーフェイス大会は尤もらしい理由を付けて合法的に遊ぶっていう脱法ゲーム的なあれだから普通はポーカーフェイスする必要ないし、普通にやると運の要素が強く……
やっぱりこうするしかなかったのかもしれないけど、ハラハラしすぎてクレープが食べられるか心配になってきた。
でも、田辺君が劣勢なのかもっていうのは取り巻きの様子からもわかってきた。
田辺君はカードゲームが強いんだと思ってた。いつも余裕綽々みたいな感じでやってることが多い感じだったから。ううん、最初は竜也君なんて敵じゃないくらいの感じだった。それが今は眉間に皺を寄せて、かなり険しい顔になってる。
そして、勝敗が決まるのに時間はそんなにかからなかった。
結果は田辺君の負け。でも、それで決着じゃなかった。「もう一回!」からの「次はこいつらが相手だ!」で……時間がかかったけど、全敗の田辺軍。
最終的に崩れ落ちる田辺君と屍の山、って言うのは大げさだけど、そういうイメージ。
屍の山の上で満面の笑みで手を振る竜也君的な……カオス。地獄絵図。
「りりちゃん! 勝ったよ! ハグして! チューして!」
しねぇよ!
心の中では全力ツッコミ。でも、現実にはお疲れモード。
「しないからね?」
「そんな……!
するわけないのに、竜也君はショックを受けた顔。
大丈夫、今なら味方がいっぱいいる……!
「むしろ今すぐベロベロってしたいのに……」
「気持ち悪いわ!」
どうやら聞かなかったことにした竜也君だけど、由真ちゃんのツッコミ。
代弁してくれるの超助かるけど、ゴメン……由真ちゃん、朝から酷使してゴメン……今度何かご馳走するから許してゴメン……
「りり先輩! 早くクレープ食べに行きましょう!」
「いやいや、俺と勝利のディナーでしょ! クレープは今度俺が作ってあげるから!」
「萌花ちゃんと約束してるからね。竜也君のせいで遅くなっちゃったし」
「ですです! 行きましょう! 今すぐ行きましょう!」
萌花ちゃんはぐいぐい腕引っ張ってくるし、竜也君はディナーとか大げさすぎない?
クレープでお腹いっぱいになりそうなくらいの気分……
「って言うか、何でりりちゃんの髪はそんなことになってるの?」
やばい、竜也君が気付いちゃった。暇を持て余した萌花ちゃんに編み編みされた私の髪に。
「も、萌花ちゃんが……」
「俺にはやらせてくれないくせにぃぃぃぃっ!!」
あー、うるさいうるさい。
由真ちゃんみたいにこの心の声をはっきり口にすることはできないけど。
「りり先輩は一週間私の物なんです。彼氏面しないでください」
萌花ちゃん……! 竜也君に喧嘩売るの、やめて!
それ、語弊があるからね……?
「彼氏だもん! 俺、彼氏だもん! りりちゃんはずーっと俺のだもん!」
由真ちゃんはもう頭痛が痛い状態みたいだし、加納君もさすがに面倒みたいだし……収拾つかなくない?
そう思った時だった。
「ししょぉぉぉっ!」
崩れ落ちてた田辺君、突然の復活。竜也君の前に来たかと思えば、突然の土下座。床に額擦り付けるレベルの土下座。
「今まで! 数々のご無礼! 本当に! すいませんでしたっ!!」
唖然。みんな、唖然。何この変わりよう。
「いや、いいからそういうの」
みんなをドン引きさせてきた竜也君でさえドン引き。いかにも面倒臭そうにあしらう。
でも、ぱっと顔を上げた田辺君にはまるで伝わってないみたいだった。
「何と寛大な……!」
「だから、いいんだって。りりちゃんとのラブラブスクールライフさえ邪魔しないでくれれば」
ラブラブしないんだけど、むしろそれに関しては邪魔してくれていいんだけど、そうすると竜也君面倒臭いし、今までの絡み方は正直気分悪かったし……
「師匠と呼ばせてください!」
「いや、弟子とかいらないから」
竜也君はうんざりしてるけど、これってまさか田辺君がデレてる……?
萌花ちゃん的展開なの? 改心からの和解なの? 超変わり身の術?
「俺も! 弟子にしてください!」
なぜか田辺君に続く田辺軍。カオス。
やばい、何だこれ。この隙に逃げ出したい。
ふとスマホを取り出すと天馬君からメッセージが来てた。それも結構前に。気付いてなかった……!
『元々兄貴のカードなのでご心配なく』
もっと早くに知りたかった……とは思っても見なかった私が悪いんだけど。
そう言えば、天馬君、竜也君が不要になったオタグッズとかもらってるんだっけ……
私の心配を返せと言いたい気分。
「俺、引退してるからね?」
「いやいや、カムバックしましょう! 今でも十分通用しますって!
「しねぇから!」
「師匠、帰宅部でしたよね?」
しつこい男田辺、ここでも発揮される……
ねちねち嫌みを言うよりはいい気もするけど
「師匠って呼ぶな! 俺、文芸部に入るから!」
そう言い放った竜也君、ちょっとドヤってる。いや、まだ確定はしてないよね、それ。
そこで「あ」と声を上げたのは我らが文芸部部長だった。
「君の入部だけどね、残念ながら不合格ってことでごめんね」
申し訳なさも感じさせない安定の無表情。
そして、この世の終わりみたいな顔になる竜也君。不合格になることなんて考えてなかったみたい。
お昼にはその話しなかったんだ……
「熱意はわかったんだけど、高度すぎて、アニ研に相談したら、入部届持ってかれちゃった。てへぺろ」
無表情のてへぺろ怖すぎる……何の読書感想文書いたの、竜也君……
「のぉぉぉぉぉっ!」
響き渡る竜也君の叫び声。だけど、可哀想とは思わないのは何でだろう。
「師匠! お任せあれ! 俺達が取り返して来るんで、パソ部に入りましょう!」
すっかり手のひらを返した田辺軍の頼もしさ。昨日の敵は今日の味方?
「いやいや、アニ研でいいじゃないですか。今度勝負してくださいよ」
まさかの助っ人さん参戦。解説員として呼ばれてきたけど、デュエリストの血が騒いだ的な?
「師匠は渡さんぞ!」
「もううちのものですよ」
パソコン部対アニ研、まさかまさかの竜也君争奪戦勃発。オタクから嫌われていた竜也君がオタクに取り合われる日が来るなんて……!
「ぶちょぉぉぉぉぉっ!」
「ごめんね、君の部長じゃないんだ」
泣きつく竜也君だけど、佐々木部長はドライだった。
この件に関しては竜也君が入部しない方が私的には助かるし、由真ちゃんもだと思う。竜也君が入ってちゃんと活動できるとは思えない。
「いいじゃないですか、アニ研とは国交がありますよ。誰かさんのせいで断絶されるかと思いましたが」
部長の味方加納君がここぞとばかりにチクリ。チクリされた萌花ちゃんは素知らぬ顔で「クレープ……クレープ……」と譫言のように繰り返してる。そろそろクレープが食べたすぎてやばいのかもしれない。
「助けて、りりちゃん!」
「竜也君、人気者で良かったね。私達はもう行くからね?」
溺れる者は藁をも掴む?
つには私にまで助けを求めてくる竜也君だけど、私が助けるわけないって言うか、助けられるわけないよね?
「レッツゴー!」
「いやぁぁぁぁぁっ!」
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