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変態のピンチ 解決編?
氷河期突入の危機
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バレてしまっては開き直るしかないのか、はたまた我慢の限界だったのか……
それからの竜也君は竜也君だった。私がよく知ってる感じの竜也君。オタクの方。
イケメンヤリチンチャラ男のキャラなんて幻だったかのよう。悪い夢?
いや、こっちの方が悪い夢なのかもしれない。
「りーりちゃん! 一緒に帰ろっ!」
荷物を持ってこっちに来る竜也君。ブンブン振られた尻尾が見えるかのよう……こんな暴走変態ワンコお世話できません!
「無理!」
「何で!?」
断られるなんてありえないって顔の竜也君。
大事なことを忘れすぎてる。多分、脳内ではお花畑を駆け回ってる。
「これから部活だもん」
「あっ、そっか! じゃあ、俺も文芸部入る!」
やめて、マジでやめて、私の安息の地がなくなる。
そう思ったけど、言えるわけがなかった。
助けて由真ちゃん! と思ったら、すたすたと先に行ってしまった……
こうなったら部長に門前払いしてもらうしかない。
って言うか、今日、あの人来るんだっけ……連れて行った方がいいのか。
「いちゃついてんじゃねぇよ」
唸るような低い声が聞こえたかと思ったら田辺君。思いっきり睨まれてる。私達に言ってたらしい。
怖い。また竜也君を刺激しそうで怖い。
「別れたんじゃなかったのかよ? 見損なったぞ、光石!」
言われることはご尤も。
でも、あれは竜也君が勝手に吐いた嘘だった。私に言われても困るんだけど……
事実があるとしても、ガチのオタクだからって引いてたわけじゃない。ガチの変態だからドン引きしたんだけど。多分、お昼のアレで周りも引き始めてる。
「俺のことは何言っても構わないけど、りりちゃんのこと悪く言うなら……」
ひっ……何かひやっとした。冷気を感じる気がする。体感温度が下がっていくような……
やばい、竜也君がキレる前触れかも……!
「わ、私は大丈夫だよ! 大丈夫だからね?」
「はわわ、りりちゃんがお手々繋いでくれた……!」
こっちは竜也君がキレないように必死に手を掴んだのに、竜也君はお幸せなもの。
そのスイッチの切り替わりが意味不明。
それとも、気のせいだった? 私が過敏になりすぎ? 取り越し苦労ならいいんだけど……
「イケメンのくせに」
田辺ぇぇぇぇぇっ!
一番言っちゃいけないことを吐き捨てやがった!!
ぐっと竜也君の手に力が入ったのがわかる。
やばい、今度こそ気のせいじゃ済まない。氷河期突入を止めなきゃ! 由真ちゃんに見捨てられた今、私しかいない!
「だめっ! キレちゃだめーーっ!」
「り、りりちゃ……」
竜也君が暴れないように必死に抱き着く。
どうしたらいいかなんてわからないけど、私なんか簡単に弾き飛ばされそうだけど、体を張って止めるしかない。
「田辺君もそれ言うと竜也君がマジギレするからやめて! 氷河期来ちゃうから! みんな恐怖のどん底に突き落とされるから!」
普段なら人に強く言うことなんてできないんだけど、今は緊急事態。これはみんなを守るため。私が最後の砦みたいな気分。
変な目で見られるけど、みんなは竜也君のマジな怖さを知らない。この場で私だけが知ってる。身をもって知ってる。
「り、りりちゃん……そこまで言わなくても大丈夫だよ? 今はキレないよ」
あれ……? 竜也君まで困ってる?
完全に田辺君が地雷を踏んだのに?
恐る恐る見上げれば竜也君は耳まで真っ赤? なぜ?
「イケメンを理由にオタクであることを否定されてキレた結果、今に至るのに?」
竜也君の大丈夫なんて全然信用できない。
当時よりも大人になって寛容になった? いや、私にも怖かった。
「だから、いちゃつくなって言ってるだろ!」
わけわかんないって顔で田辺君が吠える。
ぶち切れ竜也君が不発に終わって良かったんだけど、そうなると急に恥ずかしくなって竜也君から離れる。
まだ残ってるクラスメート達の視線が痛い。逃げたい。そうだ、逃げよう。逃げるしかない!
「もう行こう! 部活遅れちゃう!」
そうして私は教室から逃亡したのだった……
これ以上田辺君に絡まれたら私の心臓が無理! 明日、このことが噂になったらなんて考えたくない!
「りりちゃん、りりちゃん、待って!」
ついてきてると思ってたのに、どうやら置いてきていたらしい。竜也君が遅れて追いかけてきた。
「またお手々繋いで?」
「やだ」
おねだりしながら竜也君は手を差し出してくるけど、もちろん握らない。
「さっきは繋いでくれたし、ギュッてしてくれたのに……」
「竜也君がキレると思ったから咄嗟に仕方なくだよ。爆弾抱き締めてる気分だったよ」
こっちはめちゃくちゃ必死だった。
全力で止めなきゃと思ってた。別に竜也君のためにギュッとしてあげたわけじゃない。
「絶対にキレないって約束したじゃん!!」
「したけど……竜也君、嘘ばっかり吐くし」
「うぐっ……」
これは言い返せないらしい。
信用できないのは竜也君のせい。
私に吐いた嘘の数々忘れたとは言わせない。何て言うか身から出た錆だと思う。
「耐えたよ、俺。超耐えてたでしょ?」
「限界だったよね?」
「りりちゃんが入れば無敵のヒーローになれるよ」
竜也君は格好付けてるつもりかもしれないけど、それを信じられたら心配なんてしない。
そして、そうこうしてる内に部室に着いたわけで、後のことはあの人と部長に任せたい。それくらい既にお疲れモード。私のライフはもう……
それからの竜也君は竜也君だった。私がよく知ってる感じの竜也君。オタクの方。
イケメンヤリチンチャラ男のキャラなんて幻だったかのよう。悪い夢?
いや、こっちの方が悪い夢なのかもしれない。
「りーりちゃん! 一緒に帰ろっ!」
荷物を持ってこっちに来る竜也君。ブンブン振られた尻尾が見えるかのよう……こんな暴走変態ワンコお世話できません!
「無理!」
「何で!?」
断られるなんてありえないって顔の竜也君。
大事なことを忘れすぎてる。多分、脳内ではお花畑を駆け回ってる。
「これから部活だもん」
「あっ、そっか! じゃあ、俺も文芸部入る!」
やめて、マジでやめて、私の安息の地がなくなる。
そう思ったけど、言えるわけがなかった。
助けて由真ちゃん! と思ったら、すたすたと先に行ってしまった……
こうなったら部長に門前払いしてもらうしかない。
って言うか、今日、あの人来るんだっけ……連れて行った方がいいのか。
「いちゃついてんじゃねぇよ」
唸るような低い声が聞こえたかと思ったら田辺君。思いっきり睨まれてる。私達に言ってたらしい。
怖い。また竜也君を刺激しそうで怖い。
「別れたんじゃなかったのかよ? 見損なったぞ、光石!」
言われることはご尤も。
でも、あれは竜也君が勝手に吐いた嘘だった。私に言われても困るんだけど……
事実があるとしても、ガチのオタクだからって引いてたわけじゃない。ガチの変態だからドン引きしたんだけど。多分、お昼のアレで周りも引き始めてる。
「俺のことは何言っても構わないけど、りりちゃんのこと悪く言うなら……」
ひっ……何かひやっとした。冷気を感じる気がする。体感温度が下がっていくような……
やばい、竜也君がキレる前触れかも……!
「わ、私は大丈夫だよ! 大丈夫だからね?」
「はわわ、りりちゃんがお手々繋いでくれた……!」
こっちは竜也君がキレないように必死に手を掴んだのに、竜也君はお幸せなもの。
そのスイッチの切り替わりが意味不明。
それとも、気のせいだった? 私が過敏になりすぎ? 取り越し苦労ならいいんだけど……
「イケメンのくせに」
田辺ぇぇぇぇぇっ!
一番言っちゃいけないことを吐き捨てやがった!!
ぐっと竜也君の手に力が入ったのがわかる。
やばい、今度こそ気のせいじゃ済まない。氷河期突入を止めなきゃ! 由真ちゃんに見捨てられた今、私しかいない!
「だめっ! キレちゃだめーーっ!」
「り、りりちゃ……」
竜也君が暴れないように必死に抱き着く。
どうしたらいいかなんてわからないけど、私なんか簡単に弾き飛ばされそうだけど、体を張って止めるしかない。
「田辺君もそれ言うと竜也君がマジギレするからやめて! 氷河期来ちゃうから! みんな恐怖のどん底に突き落とされるから!」
普段なら人に強く言うことなんてできないんだけど、今は緊急事態。これはみんなを守るため。私が最後の砦みたいな気分。
変な目で見られるけど、みんなは竜也君のマジな怖さを知らない。この場で私だけが知ってる。身をもって知ってる。
「り、りりちゃん……そこまで言わなくても大丈夫だよ? 今はキレないよ」
あれ……? 竜也君まで困ってる?
完全に田辺君が地雷を踏んだのに?
恐る恐る見上げれば竜也君は耳まで真っ赤? なぜ?
「イケメンを理由にオタクであることを否定されてキレた結果、今に至るのに?」
竜也君の大丈夫なんて全然信用できない。
当時よりも大人になって寛容になった? いや、私にも怖かった。
「だから、いちゃつくなって言ってるだろ!」
わけわかんないって顔で田辺君が吠える。
ぶち切れ竜也君が不発に終わって良かったんだけど、そうなると急に恥ずかしくなって竜也君から離れる。
まだ残ってるクラスメート達の視線が痛い。逃げたい。そうだ、逃げよう。逃げるしかない!
「もう行こう! 部活遅れちゃう!」
そうして私は教室から逃亡したのだった……
これ以上田辺君に絡まれたら私の心臓が無理! 明日、このことが噂になったらなんて考えたくない!
「りりちゃん、りりちゃん、待って!」
ついてきてると思ってたのに、どうやら置いてきていたらしい。竜也君が遅れて追いかけてきた。
「またお手々繋いで?」
「やだ」
おねだりしながら竜也君は手を差し出してくるけど、もちろん握らない。
「さっきは繋いでくれたし、ギュッてしてくれたのに……」
「竜也君がキレると思ったから咄嗟に仕方なくだよ。爆弾抱き締めてる気分だったよ」
こっちはめちゃくちゃ必死だった。
全力で止めなきゃと思ってた。別に竜也君のためにギュッとしてあげたわけじゃない。
「絶対にキレないって約束したじゃん!!」
「したけど……竜也君、嘘ばっかり吐くし」
「うぐっ……」
これは言い返せないらしい。
信用できないのは竜也君のせい。
私に吐いた嘘の数々忘れたとは言わせない。何て言うか身から出た錆だと思う。
「耐えたよ、俺。超耐えてたでしょ?」
「限界だったよね?」
「りりちゃんが入れば無敵のヒーローになれるよ」
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