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47 王子からの手紙

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拝啓  サバラン・アルタミス・ポーテル


君から女性を匿って欲しいと言われるとは思いもよらなくて驚いたよ。女嫌いの君が気に入った女性はどんな人か楽しみで仕方なくえ、執務に身が入らずポルカには叱られたよ。その女性もかならずカスティーラを気に入ると思う。僕が部屋の改装を指示したからね。


さて、わざわざ僕が魔法で保護した手紙を送付したのには理由がある。ハニーニ国は混乱状態にあることは君の耳にも届いているだろう。採れる鉱石の数が減り、飢餓で何十万人もの民が苦しんでいる。なのに、王家では国王が病に伏せ、後継をめぐって血で血を洗う戦をしている。だが、君の知っている以上に事態は深刻だ。これは周囲の国には隠されているが、国王はひと月以上前に亡くなっているのだ。病気で死んだというのも怪しいと思っている。呪いの類ではないかと調べているところだ。黒い花が現れた時期とも重なるだろう?それに、民衆の不満をそらすために戦争を仕掛ける可能性も高い。とにかく気をつけた方がいい。



君が旧ブラウニ国のことをどこまで知っているのか分からない。が、おそらくイートポーテル国が滅ぼしたと思っているだろう。それは事実とは違う。ハニーニ王国がブラウニ国を滅ぼし占領したのだ。支援を求められていながら、イートポーテル国は当時、拒否したのだ。詳しい詳細までは分からないが、滅ぼされた旧ブラウニ国への扱いをみかねて、ハニーニ王国から奪い返して今に至っている。ブラウニ国の人達からすれば、なぜ最初から助けてくれなかったのかと筋違いと分かっていても、イートポーテル国の王家を恨まずにはいられなかったようだ。そういった事情もあってか、当時の王は詳細な記録を残させなかったから君が誤解をしていてもしょうがない。


協力を断った理由が不明だと書いたが、資料を漁っていて1つ分かったことがある。イートポーテル国が協力を拒否した頃、黒い花が1輪咲いていたようだ。これは当時、第2王妃だったマリーナ様の手記に書かれていたものだ。我が国に嫁いだのが丁度その時期でそれ以降のことは分からない。とにかく十分注意してくれ。君に死なれたら君の国だけでなく我が国も危険に陥ると認識しておいてくれ。


ps.どうして僕が旧ブラウニ国のことに詳しいかって?僕の祖父が子供の頃、今でいうティラスポートで暮らしていたからさ。

 
敬愛を込めて
ルガール・ヴィンセント・カスティーヌ


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