運命のレヴル～友達増やして神様に喧嘩売りました～

ライクかラブか

　
『何ですか！この体たらくは！！』


　大和軍戦術会議場に怒り狂った豊受大御神の怒声が響く。


　コの字形に並べられた机の真ん中に立っているは甕星だった。


「いや、だってさぁ。まさかあんな奥の手持ってるとは思わないじゃん？広範囲型の打突系風魔法とか聞いてないし」



　そんな言い分ではこの怒り狂った豊受大御神を納得させる事など出来ない。


『甕星っ！貴方は大和の誇る最高戦力の一角！軍団長なのですよ！？たかだか転生したての人間に遅れを取るとは何なのです！』


「いや、だからさぁ。俺が憑依神装の魔力を障壁に回してなきゃウチの兵達、消し飛んでたぜ？いや、マジで」


『たかが人間にそんな事などあるわけがないでしょう！』


「あのさぁ、アイツ…本当に人間？まずそこからじゃね？」


『甕星っ！！』


『待て』


　豊受大御神が更に問い詰めようとすると天照大神がそれを止める。


『トヨ…、もう過ぎた事を責めるな。それに妾はホッとしておるよ。オーディンにも、あの子らにも危害を加えずに済んだ。妾に一言もなく軍を動かしたそなたにもこれで罰を与えずに済むしの』


　そう言い、ひと睨みされ豊受大御神は黙りこんでしまう。それを確認し、表情を崩した天照大神は甕星に問いかける。


『甕星、うちのラブマ…ゴホンッ！ ユシルをどう感じた？』


「本気で戦ってみたい。まだ伸びしろもありそうだし、意志も強そうかな。ただ…」


『ただ？』


「なぁんか背伸び感があんだよなぁ。一緒にいる面子が面子だからなぁ。流されてるようなさぁ、多分だけどアイツ…神界大戦止めるとか本気で思ってないんじゃないかね。どっちかというと周りに合わせて自分も頑張らなきゃ的な？」


『なるほど。まだ若い上に転生したばかりだからかのぅ。まぁ、それも経験かの』


「天照様は随分と買ってんだね」


　天照大神は持っていた扇子で口元を隠し微笑む。


『妾の秘密を知る唯一の男だからの。妹の婿じゃし？』


「何それ、三角関係とかいうヤツ？天照様も物好きだよね」


『フフ…ライクかラブかは別じゃがのう』


　天照大神の意味深な発言はその場に居た甕星以外の大和の重臣を凍りつかせるのだった。