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再会

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 明王館に寝泊まりして3ヶ月が経った。3ヶ月というと、もはや寝泊まりと言うレベルではなく住んでいるに等しい。今日はここ3ヶ月で初めての休日だった。
 3ヶ月間…日々の修練はキツく、何度死にかけたか。

 まぁ、そんな事より最近俺は気になってしょうがない事がある。


「何でリーシュ達は来ないんだ? 忙しいとか言ってたけど、一度くらい顔出してくれてもいいんじゃないか?」


 今日もツグミに同じ事を問い掛ける。
 修練は本気でやっているし、今も強くなりたいという気持ちは変わらない。いや、むしろ強くなっている。


『5柱会議から帰ってきてから、お二人とも暇がないんですよ。さすがに戦争というのは準備に時間が掛かりますから』


 困り顔をしながら前回とまったく同じ事を言われた。


 俺が聞いたのは

 リーシュ達はすでに帰って来ている事。

 5柱会議が長引き、国同士で揉めている事。

 念の為、戦争に備えて準備をしている事。


 これだけだ。


「あのさ、何か俺に隠してない? てか、会議の内容とか何で揉めてるとかも聞いてないしさ」



『はぅっ!? な、何もありませんよ? 旦那様ったらぁ、冗談が過ぎますよっ』


 冗談も何も事実を言っただけなのだが、この慌てようはクロだ。完全なクロだ。

 どう吐かせようかと思っていた所で、最近明王館を賑やかにしている新たな住人が俺達の会話に割り込んだ。


『あーー、ツグミちゃんがウソついてるっーー!!』


『ウソは……ダメ』


 レヴァとレヴである。見た目幼き子供達に指摘されるのは心が痛むものだと思う。

 それは図星であれば尚更に


『レヴァちゃん、レヴちゃんっ!? わ、私はウソなんてついてませんよっ? 本当ですよ!?』


 焦るツグミを更にレヴァが追い討ちを掛ける。


『いいもんっ! ウソつくツグミちゃんとはもう遊んであげないんだからっ!』


『ふぇ!? それはズルイよぉ…』


 観念したようだ。


 さて、何故俺の深層領域に居たはずのレヴァとレヴがここにいるのか。

 この世界の肉体は魔力で出来ている。ならば俺が制御の修練で行っている魔力を圧縮、形成した物にレヴァとレヴの意識を移せないかと考えたのだ。

 結果はこの通り。

 日々の修練でモールドの技術も上がっていたが、結局はレヴァとレヴが自分達で細かい調整はやってしまった。今や俺の深層領域にも行来が自由という何でもアリな存在となってしまったが、可愛く憎めないのでどうしようもない。ツグミはレヴァレヴの登場以来、可愛い可愛いと常にレヴァとレヴの相手をしている。
 ちなみにこの2人、俺の深層領域に戻ることはほとんど無い。



 一度だけ何故帰らないのか聞いた事がある。



 本人達曰く



『だってコッチは美味しい物がたくさんあるからっ! ゆーちゃんの森は居心地は良いけど、黄色くてちょー酸っぱい果物しかないんだもんっ!』



 だそうだ。




 俺の深層領域にはレモンしか食べ物がないらしい。

 何故なのかは俺も知らないし、正直知りたくもない。


 そんなレヴァレヴとツグミのやり取りを見ながら、俺はリーシュ達に会いたい気持ちを募らせていた。
 きっとこの金髪と銀髪の幼女に会ったらリーシュ達もツグミのようにベタ惚れするに違いない。
 リーシュは母性が強そうだし、ロキはなんだかんだ言っても可愛いのが大好きだ。5柱会議に行く時、いつの間にかフェニを連れて行ったほどに。



「こんなに会ってないと、顔忘れるかも」



 目を閉じて何となく発した独り言なのだが



 ズシリ…



『あん? 私達があんたの靴底みたいな顔忘れるのは当然だけど、あんたが私達の顔忘れるのは許さないわよ?』



「うぉ!? ロキ!? お前っいつ…え!?」



 突然俺の膝の上に現れたロキに驚きの言葉をかける途中で、強引に俺の首は上へと角度を変えられてしまった。



『ユシル!? あたしの顔忘れちゃった!? ダメだよ、それは絶対ダメ!』



 吐息を感じるほどの距離で久しぶりに見るリーシュの顔は言葉にできないほど可愛らしく、俺はただ見蕩れてしまっていた。


『ン!』


「っぐ!」


 そんな時間は長くは続かず、腹部に強烈な痛みが走り俺は現実に引き戻された。ロキが一瞬腰を上げ思いきり降ろしたのだ。


『この至近距離でピンクな空気はやめてよね!』


 3ヶ月ぶりでも相変わらずの2人にホッとすると同時に、せっかくの再会なのだからもっとドラマチックにならなかったものかと思ったが今は会えただけで良しとしよう。





 その後、リーシュとロキにレヴァレヴを紹介しつつ俺はこの世界の本当の現状を知ることになる。


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