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乱入者と旦那様
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『…何であんたまで付いて来るわけ?』
「だってこんな美女・美少女軍団と旅行っすよ!?行かないわけにはいかないっす!」
俺たちは今、黄泉への転送門の前にいる。転送門というのは羅刹と遭遇した戦場ヶ原に転移した時使った、しめ縄で囲まれた魔方陣の事である。10人ほどを一瞬で運べるのでとても便利なのだが、国同士での転送門の設置を禁じている為、俺達はスキーズブラズニルでこの国まで送られたらしい。
そして…何故かニニギまで転送門に来ていた。
話を聞いていたのは知っていたが、まさか付いて来る気だとは思わなかった。
『ニニギ、これは任務なのですよ?参加自由ではないんです。あなたに行く権利は有りません』
ウズメがピシャリと言い放つ。
「ニニギ…旅行気分で来ると痛い目見るぞ?」
「旅行気分だが…俺っちは行くぞ」
「いや、旅行気分で来んなってのっ!」
真面目な顔で言うニニギにツッコまざるをえない。
「…この前はマジで死ぬかと思ったけど、ユシルは逃げずに助けてくれた…ユシルが危険な場所に行くなら、今度は俺っちが助ける番だ!」
(…ったく…俺がそうしたくてからやったんだから、別に気にしなくていいのに…)
どうやら俺にはもうニニギの同行を拒否するのは出来そうにない。
(しょうがないか…ヤバそうだったら俺が守るか…)
だが、そう簡単に周りが納得するはずがない。
『なんか青春してるみたいだけどダメよ。手間が増えるわ』
バッサリ行くロキ…
『あたしも反対かな…面倒が増えそうだし』
『あなたを連れていく必要が有りません』
『…旦那様との会話が減るので、邪魔なだけです』
リーシュ、ウズメ、ツグミの順にニニギを拒否する発言が出る。
(手間、面倒、不必要、邪魔…これだけ言われたら、俺なら心折れそう…)
『いえ、行くっす!もうおばあ様の許可は取ったっすから!』
俺達に1枚の紙を見せつけるニニギ…
それを凝視したウズメが言う。
『確かに…これは天照大御神様の字です。』
『でもさぁ…これには「今後一切、おばあ様と呼ぶ事を禁ずる代わり」って書いてるよ?…今、言ってたよね?』
『ダメじゃん。こんなアホ連れてったら後が大変よ、さっさと行きましょう?』
俺以外の全員がニニギをほったらかしに魔方陣へ歩みを進める。
「別におばあ様の目の前で言ったわけじゃないんで、セーフっす!それに男がユシルだけのこのメンバーで旅に出るのは、ユシルにもキツいはずっす!」
『『『はぁ?』』』
「ひぃっ!!…」
リーシュ、ロキ、ツグミが一斉にニニギを威嚇する。
「まぁまぁ…落ち着けって。ニニギ、そのキツいと言える理由は何だ?」
とりあえずその根拠もない理由を聞いてみようと思う。
「ユシル…人は3人集まれば派閥ができるんだ。私たちだから大丈夫!ってのにはならないんだよ…その時ユシルは1人…つまり中立!…中立はキツいぞ?ずっと板挟みが続いて取り合いが始まり、宥める一方になり、どっちかの肩を持った瞬間に場の空気が険悪になる……それに耐えられるのか?」
ゴクリ…
あまりに的確過ぎて俺は言葉を失った。
(…確かにその通りかもしれない…)
「その状態は絶対に避けたい…」
「だろっ!?だったら、俺っちが一緒に行った場合どうなるか……それは俺達が第3の派閥になるんだ!そうすることでユシルの取り合いは起きないし、取り合いが起きなければ板挟みになる事もない!皆WINWINだぞ!」
「くっ…確かに…」
俺が説得された直後…抗議の声が上がる。
『ちょっと待ちなさいよっ!何で私達がユシルを取り合うのよ!そんな事絶対ないわ!』
「本当にそう思ってるっすか?」
『当たり前でしょ!』
「じゃあ、言わせてもらうっす。俺っちの予想だと2つの派閥ができるっす。それは…リーシュさんロキさんの派閥とウズメさんツグミちゃんの派閥っす」
『はぁ?何でそんな事わかるのよ!』
「自分、人間観察得意っすから…。この前と今日を比べると1つ違う事があるっす……それはツグミちゃんがユシルを呼ぶ呼称っす」
ピクッ…
リーシュとツグミとロキが反応する…。
ニニギは続ける。
「前回ツグミちゃんがプロポーズと勘違いして、リーシュさんとロキさんに怒られてたっす。なのに、今度は「旦那様」…これは前回の怒られた事にツグミちゃんが納得してない証拠っす。そして、リーシュさんはそれに気付いてるっす。リーシュさんとツグミちゃんが対立した場合、ロキさんはリーシュ派へ…ウズメさんはツグミ派に行くはずなんすけど、ツグミちゃんは性格上 あまり前に出られないので代わりにウズメさんが出るっす。そうするとリーシュ派対ウズメ派が完成するっす」
・・・
あまりにも完璧だった…
話を聞いていただけで、容易に想像できた…
「ニニギお前…スゲーな……でも、何で突然旦那様なんだ?ツグミ」
ツグミに聞いてみると、顔を赤くしモジモジしながら…
『あの…私…ユシル様と結婚する事にしました。そしたら、これからもずっと皆で一緒に居られますよね?』
(は?…結婚?…何?)
俺は頭がパニックになった。
『ツグミちゃん!その話には触れないようにって約束したじゃない!』
すでに険悪な空気だった。
「どうゆう事なんだ?」
『つまり、ツグミは私達全員とずっと一緒に居たいのよ…この前の件で決めたらしくて説得したんだけど、なかなか頑固で…』
「…そんな事が……ん~…まぁツグミ、お前が呼びたいなら旦那様でも何でもいいぞ」
『『『え!?』』』
俺の一言にニニギ以外が驚愕の表情をする。
『じゃあ、結婚…』
「結婚はわからない…だって俺は転生して間もないからな。ツグミを可愛いとは思うけど、結婚は俺にとってもツグミにとっても大事な事だ。だから、俺と結婚するかどうかはもう少し期間を空けてもいいんじゃないか?もちろん、俺が他の人と結婚する可能性もあるが…俺達はお前の友達だ。それはこれから先ずっと変わらないし、急にお前の前からいなくならないから……だから焦るなよ。決めるまで…旦那様でも何でも好きに呼ぶといい」
何かを確かめるようにジッと俺を澄んだ瞳で見つめるツグミ…
(ここは目を逸らしちゃいけない…この子は不安なんだ……初めてできた友達と離れる事が…離れたら友達じゃなくなるとか思ってんだろうなぁ…)
『…本当に本当ですか?』
「あぁ…本当だよ。それに俺と結婚しなくても、ロキたちはツグミと一緒にいてくれるし、どこか行くとしてもきっとツグミも連れていく」
・・・
ツグミの目に涙が溜まっていく。
『…ごめんなさい……ぐす……私…皆さんと離れたくなくて…』
そして泣き出すツグミ…
ツグミに近付いていくリーシュ…
『…もう…ちゃんと言ってくれればいいのに、ツグミちゃん』
リーシュはツグミを優しく抱き締め、頭を撫でた。
「お前は行かなくていいのか?」
『こうゆうのは私よりリーシュが適任よ。それにこれでお互い和解したでしょ。まったく…私の新しい友人は問題ばっか起こすわ…』
「…ハハ…確かにな…」
『ツグミ様が自分の意思を伝えるのは珍しいんですよ?それだけあなた方を信用しているのでしょう…』
最後にウズメが締めくくる。
そんな感動的なシーンだったのに
「は~~いっ!注目っ!今のこの和解…俺っちのおかげっすよね?」
『黙れカス!!空気ブチ壊しじゃないっ!』
(この状況でそれを言えるハートの強さスゲーな…)
『で、君は何が言いたいの?』
リーシュが冷たい視線を送りながら問う。
「やっぱ俺っち、必要っすよね?このメンバーに」
・・・
「あのさ…ニニギって戦力的にはどうなの?」
素朴な疑問だった。
「え!?ヒドっ!鬼討伐の時、見てたっしょ!?俺っちがバタバタ切り伏せて行くの!」
確かに鬼相手には…だが…
俺が考えていると…
『ユシルさん、ニニギが戦力になるかという問いに関しては問題ないかと…実力はどうあれ、神器が破格ですから』
ウズメが答えてくれた。それにしても
「神器が破格って?あれ?これって聞いたらマズイですかね?」
『ユシルさんなら問題ないでしょう…。ニニギは私やツグミ様と同格の神器を与えられています』
「…与えられてる?」
神器というのはもらう物なのだろうか…今まで疑問ではあったがこの際だから聞いてみる。
『神器というのは私どものように与えられる場合と神器自体に選ばれる場合があります。後者の方が神器の力をより引き出せるのですが、前者の場合でも神器に認めさせれば後者と同じくより多くの力を引き出せます』
初耳だった…それじゃまるで…
「…それじゃまるで…神器に意志があるみたいじゃないですか」
『え!?』
驚きの顔をするウズメ…
「あっ、変なこと言ってすいません…ハハ…ありえませんよね」
『確かに変な事言ってるわね。あんたが』
ロキが唐突に割り込む。
『ユシル?教えてなかったけど、神器には意志があるの』
「…その口ぶりだと全員知ってる事なのか?」
『そうね、常識よ』
(マジでか…じゃあ…)
「このレーヴァテインにも?」
『当然あるでしょうね。勝手にいなくなったり、外れなくなったりするくらいだから』
「マジかよ…じゃあ、俺はまだ神器に認められてない…ってことか…意志の存在すら知らなかったんだから…」
『私が言うのもなんですが…神器に認められる事は滅多にないんですよ。もちろんニニギもまだです』
「そうっす。でもなユシル!俺っちの神器はちょっとすごいぜ?なんせ天下五剣の1つ…[数珠丸]だからな!絶対に認めさせてやるけど!」
なんか色々言っているが、俺は新しい事実に驚き、話の内容がまったく入ってこなかった。
「とりあえず…今は考え事でいっぱいだから、ニニギ…参加でいいぞ。後で色々神器の事教えてくれ」
「イヤッホーゥ!さすがユシル!いくらでも教えるぜ!」
『はぁ…なんかどさくさ紛れな感じがするけど…もうめんどいからいいわ…』
ロキの言う通り、どさくさ紛れにニニギの参加が決まった。
「だってこんな美女・美少女軍団と旅行っすよ!?行かないわけにはいかないっす!」
俺たちは今、黄泉への転送門の前にいる。転送門というのは羅刹と遭遇した戦場ヶ原に転移した時使った、しめ縄で囲まれた魔方陣の事である。10人ほどを一瞬で運べるのでとても便利なのだが、国同士での転送門の設置を禁じている為、俺達はスキーズブラズニルでこの国まで送られたらしい。
そして…何故かニニギまで転送門に来ていた。
話を聞いていたのは知っていたが、まさか付いて来る気だとは思わなかった。
『ニニギ、これは任務なのですよ?参加自由ではないんです。あなたに行く権利は有りません』
ウズメがピシャリと言い放つ。
「ニニギ…旅行気分で来ると痛い目見るぞ?」
「旅行気分だが…俺っちは行くぞ」
「いや、旅行気分で来んなってのっ!」
真面目な顔で言うニニギにツッコまざるをえない。
「…この前はマジで死ぬかと思ったけど、ユシルは逃げずに助けてくれた…ユシルが危険な場所に行くなら、今度は俺っちが助ける番だ!」
(…ったく…俺がそうしたくてからやったんだから、別に気にしなくていいのに…)
どうやら俺にはもうニニギの同行を拒否するのは出来そうにない。
(しょうがないか…ヤバそうだったら俺が守るか…)
だが、そう簡単に周りが納得するはずがない。
『なんか青春してるみたいだけどダメよ。手間が増えるわ』
バッサリ行くロキ…
『あたしも反対かな…面倒が増えそうだし』
『あなたを連れていく必要が有りません』
『…旦那様との会話が減るので、邪魔なだけです』
リーシュ、ウズメ、ツグミの順にニニギを拒否する発言が出る。
(手間、面倒、不必要、邪魔…これだけ言われたら、俺なら心折れそう…)
『いえ、行くっす!もうおばあ様の許可は取ったっすから!』
俺達に1枚の紙を見せつけるニニギ…
それを凝視したウズメが言う。
『確かに…これは天照大御神様の字です。』
『でもさぁ…これには「今後一切、おばあ様と呼ぶ事を禁ずる代わり」って書いてるよ?…今、言ってたよね?』
『ダメじゃん。こんなアホ連れてったら後が大変よ、さっさと行きましょう?』
俺以外の全員がニニギをほったらかしに魔方陣へ歩みを進める。
「別におばあ様の目の前で言ったわけじゃないんで、セーフっす!それに男がユシルだけのこのメンバーで旅に出るのは、ユシルにもキツいはずっす!」
『『『はぁ?』』』
「ひぃっ!!…」
リーシュ、ロキ、ツグミが一斉にニニギを威嚇する。
「まぁまぁ…落ち着けって。ニニギ、そのキツいと言える理由は何だ?」
とりあえずその根拠もない理由を聞いてみようと思う。
「ユシル…人は3人集まれば派閥ができるんだ。私たちだから大丈夫!ってのにはならないんだよ…その時ユシルは1人…つまり中立!…中立はキツいぞ?ずっと板挟みが続いて取り合いが始まり、宥める一方になり、どっちかの肩を持った瞬間に場の空気が険悪になる……それに耐えられるのか?」
ゴクリ…
あまりに的確過ぎて俺は言葉を失った。
(…確かにその通りかもしれない…)
「その状態は絶対に避けたい…」
「だろっ!?だったら、俺っちが一緒に行った場合どうなるか……それは俺達が第3の派閥になるんだ!そうすることでユシルの取り合いは起きないし、取り合いが起きなければ板挟みになる事もない!皆WINWINだぞ!」
「くっ…確かに…」
俺が説得された直後…抗議の声が上がる。
『ちょっと待ちなさいよっ!何で私達がユシルを取り合うのよ!そんな事絶対ないわ!』
「本当にそう思ってるっすか?」
『当たり前でしょ!』
「じゃあ、言わせてもらうっす。俺っちの予想だと2つの派閥ができるっす。それは…リーシュさんロキさんの派閥とウズメさんツグミちゃんの派閥っす」
『はぁ?何でそんな事わかるのよ!』
「自分、人間観察得意っすから…。この前と今日を比べると1つ違う事があるっす……それはツグミちゃんがユシルを呼ぶ呼称っす」
ピクッ…
リーシュとツグミとロキが反応する…。
ニニギは続ける。
「前回ツグミちゃんがプロポーズと勘違いして、リーシュさんとロキさんに怒られてたっす。なのに、今度は「旦那様」…これは前回の怒られた事にツグミちゃんが納得してない証拠っす。そして、リーシュさんはそれに気付いてるっす。リーシュさんとツグミちゃんが対立した場合、ロキさんはリーシュ派へ…ウズメさんはツグミ派に行くはずなんすけど、ツグミちゃんは性格上 あまり前に出られないので代わりにウズメさんが出るっす。そうするとリーシュ派対ウズメ派が完成するっす」
・・・
あまりにも完璧だった…
話を聞いていただけで、容易に想像できた…
「ニニギお前…スゲーな……でも、何で突然旦那様なんだ?ツグミ」
ツグミに聞いてみると、顔を赤くしモジモジしながら…
『あの…私…ユシル様と結婚する事にしました。そしたら、これからもずっと皆で一緒に居られますよね?』
(は?…結婚?…何?)
俺は頭がパニックになった。
『ツグミちゃん!その話には触れないようにって約束したじゃない!』
すでに険悪な空気だった。
「どうゆう事なんだ?」
『つまり、ツグミは私達全員とずっと一緒に居たいのよ…この前の件で決めたらしくて説得したんだけど、なかなか頑固で…』
「…そんな事が……ん~…まぁツグミ、お前が呼びたいなら旦那様でも何でもいいぞ」
『『『え!?』』』
俺の一言にニニギ以外が驚愕の表情をする。
『じゃあ、結婚…』
「結婚はわからない…だって俺は転生して間もないからな。ツグミを可愛いとは思うけど、結婚は俺にとってもツグミにとっても大事な事だ。だから、俺と結婚するかどうかはもう少し期間を空けてもいいんじゃないか?もちろん、俺が他の人と結婚する可能性もあるが…俺達はお前の友達だ。それはこれから先ずっと変わらないし、急にお前の前からいなくならないから……だから焦るなよ。決めるまで…旦那様でも何でも好きに呼ぶといい」
何かを確かめるようにジッと俺を澄んだ瞳で見つめるツグミ…
(ここは目を逸らしちゃいけない…この子は不安なんだ……初めてできた友達と離れる事が…離れたら友達じゃなくなるとか思ってんだろうなぁ…)
『…本当に本当ですか?』
「あぁ…本当だよ。それに俺と結婚しなくても、ロキたちはツグミと一緒にいてくれるし、どこか行くとしてもきっとツグミも連れていく」
・・・
ツグミの目に涙が溜まっていく。
『…ごめんなさい……ぐす……私…皆さんと離れたくなくて…』
そして泣き出すツグミ…
ツグミに近付いていくリーシュ…
『…もう…ちゃんと言ってくれればいいのに、ツグミちゃん』
リーシュはツグミを優しく抱き締め、頭を撫でた。
「お前は行かなくていいのか?」
『こうゆうのは私よりリーシュが適任よ。それにこれでお互い和解したでしょ。まったく…私の新しい友人は問題ばっか起こすわ…』
「…ハハ…確かにな…」
『ツグミ様が自分の意思を伝えるのは珍しいんですよ?それだけあなた方を信用しているのでしょう…』
最後にウズメが締めくくる。
そんな感動的なシーンだったのに
「は~~いっ!注目っ!今のこの和解…俺っちのおかげっすよね?」
『黙れカス!!空気ブチ壊しじゃないっ!』
(この状況でそれを言えるハートの強さスゲーな…)
『で、君は何が言いたいの?』
リーシュが冷たい視線を送りながら問う。
「やっぱ俺っち、必要っすよね?このメンバーに」
・・・
「あのさ…ニニギって戦力的にはどうなの?」
素朴な疑問だった。
「え!?ヒドっ!鬼討伐の時、見てたっしょ!?俺っちがバタバタ切り伏せて行くの!」
確かに鬼相手には…だが…
俺が考えていると…
『ユシルさん、ニニギが戦力になるかという問いに関しては問題ないかと…実力はどうあれ、神器が破格ですから』
ウズメが答えてくれた。それにしても
「神器が破格って?あれ?これって聞いたらマズイですかね?」
『ユシルさんなら問題ないでしょう…。ニニギは私やツグミ様と同格の神器を与えられています』
「…与えられてる?」
神器というのはもらう物なのだろうか…今まで疑問ではあったがこの際だから聞いてみる。
『神器というのは私どものように与えられる場合と神器自体に選ばれる場合があります。後者の方が神器の力をより引き出せるのですが、前者の場合でも神器に認めさせれば後者と同じくより多くの力を引き出せます』
初耳だった…それじゃまるで…
「…それじゃまるで…神器に意志があるみたいじゃないですか」
『え!?』
驚きの顔をするウズメ…
「あっ、変なこと言ってすいません…ハハ…ありえませんよね」
『確かに変な事言ってるわね。あんたが』
ロキが唐突に割り込む。
『ユシル?教えてなかったけど、神器には意志があるの』
「…その口ぶりだと全員知ってる事なのか?」
『そうね、常識よ』
(マジでか…じゃあ…)
「このレーヴァテインにも?」
『当然あるでしょうね。勝手にいなくなったり、外れなくなったりするくらいだから』
「マジかよ…じゃあ、俺はまだ神器に認められてない…ってことか…意志の存在すら知らなかったんだから…」
『私が言うのもなんですが…神器に認められる事は滅多にないんですよ。もちろんニニギもまだです』
「そうっす。でもなユシル!俺っちの神器はちょっとすごいぜ?なんせ天下五剣の1つ…[数珠丸]だからな!絶対に認めさせてやるけど!」
なんか色々言っているが、俺は新しい事実に驚き、話の内容がまったく入ってこなかった。
「とりあえず…今は考え事でいっぱいだから、ニニギ…参加でいいぞ。後で色々神器の事教えてくれ」
「イヤッホーゥ!さすがユシル!いくらでも教えるぜ!」
『はぁ…なんかどさくさ紛れな感じがするけど…もうめんどいからいいわ…』
ロキの言う通り、どさくさ紛れにニニギの参加が決まった。
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