2 / 27
入団テスト
しおりを挟む
16歳になった年、二人は第二騎士団の養成所に入った。
ここで集団生活をしながら訓練を受け、半年後の試験に受かれば、第二騎士団の一員になれる。
「二人で絶対合格するぞ!」
「おお!」
それから毎日、厳しい訓練が行われた。十数名の騎士候補生たちは、基礎体力や剣術の訓練の他、礼儀や騎士としての規範などを叩き込まれた。
そして半年後の入団試験。
アイザックは大きな身体を生かした力強い剣術で他の者を圧倒し、リアンは相手を翻弄するような動きと鋭い剣術が認められ、二人とも無事合格した。
寮では同じ部屋を割り当てられた。
「あー、疲れたあ」
リアンがベッドに倒れ込むと、アイザックがリアンの隣に寝転んだ。
「入団前は四人部屋だったから広く感じるな」
「ちょっ、狭いだろ。おまえ、でかいんだから自分のベッドで寝ろよ」
「今日だけ一緒に寝てよ。部屋が変わると眠れないんだ」
「くっ……わかった。今日だけだぞ」
「うん。ありがとう、リアン」
「昔は俺の方がでかかったのにな……ふわぁ」
大きなあくびをするリアン。
「……まったく、いくつになっても、甘えん坊なんだから……」
「リアン? ……寝たのか」
アイザックはクスリと笑い、リアンに毛布をかけた。
「そうやって付け入る隙を与えるから、変なのが寄ってくるんだぞ……まあ、俺が全部排除するけどな」
この半年間、リアンのことを妙な目で見るやつらをけん制しまくってきた。
リアンは差別やいじめには敏感だが、自分が性の対象として見られているという自覚がない。人前でも平気で脱ぐし、優しくされるとあっという間に警戒心を緩める。
(危なっかしくてしょうがない)
アイザックは、何かにつけて部屋に来ようとするやつらを追い出し、万が一のことがないよう、シャワー室でも食堂でも常にリアンのそばにいた。
『なんだよ、あいつ。邪魔だなあ』
『あいつのせいで、全然リアンに近づけない』
『まるでご主人様を守る忠犬だな』
アイザックが裏で〈リアンの番犬〉と呼ばれていることも、リアンはまったく知らなかった。
ここで集団生活をしながら訓練を受け、半年後の試験に受かれば、第二騎士団の一員になれる。
「二人で絶対合格するぞ!」
「おお!」
それから毎日、厳しい訓練が行われた。十数名の騎士候補生たちは、基礎体力や剣術の訓練の他、礼儀や騎士としての規範などを叩き込まれた。
そして半年後の入団試験。
アイザックは大きな身体を生かした力強い剣術で他の者を圧倒し、リアンは相手を翻弄するような動きと鋭い剣術が認められ、二人とも無事合格した。
寮では同じ部屋を割り当てられた。
「あー、疲れたあ」
リアンがベッドに倒れ込むと、アイザックがリアンの隣に寝転んだ。
「入団前は四人部屋だったから広く感じるな」
「ちょっ、狭いだろ。おまえ、でかいんだから自分のベッドで寝ろよ」
「今日だけ一緒に寝てよ。部屋が変わると眠れないんだ」
「くっ……わかった。今日だけだぞ」
「うん。ありがとう、リアン」
「昔は俺の方がでかかったのにな……ふわぁ」
大きなあくびをするリアン。
「……まったく、いくつになっても、甘えん坊なんだから……」
「リアン? ……寝たのか」
アイザックはクスリと笑い、リアンに毛布をかけた。
「そうやって付け入る隙を与えるから、変なのが寄ってくるんだぞ……まあ、俺が全部排除するけどな」
この半年間、リアンのことを妙な目で見るやつらをけん制しまくってきた。
リアンは差別やいじめには敏感だが、自分が性の対象として見られているという自覚がない。人前でも平気で脱ぐし、優しくされるとあっという間に警戒心を緩める。
(危なっかしくてしょうがない)
アイザックは、何かにつけて部屋に来ようとするやつらを追い出し、万が一のことがないよう、シャワー室でも食堂でも常にリアンのそばにいた。
『なんだよ、あいつ。邪魔だなあ』
『あいつのせいで、全然リアンに近づけない』
『まるでご主人様を守る忠犬だな』
アイザックが裏で〈リアンの番犬〉と呼ばれていることも、リアンはまったく知らなかった。
212
お気に入りに追加
390
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
恋人に捨てられた僕を拾ってくれたのは、憧れの騎士様でした
水瀬かずか
BL
仕事をクビになった。住んでいるところも追い出された。そしたら恋人に捨てられた。最後のお給料も全部奪われた。「役立たず」と蹴られて。
好きって言ってくれたのに。かわいいって言ってくれたのに。やっぱり、僕は駄目な子なんだ。
行き場をなくした僕を見つけてくれたのは、優しい騎士様だった。
強面騎士×不憫美青年
【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたアルフォン伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
アルフォンのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる