病んで死んじゃおうかと思ってたら、事故ってしまい。異世界転移したので、イケおじ騎士団長さまの追っかけを生き甲斐とします!

もりした透湖

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【愛人と奴隷と心理士と諜報員?】その18

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 なんだかおかしい。
 世話係に決定した三人は世間的に“夫候補”とされている。
 だから、婚約者扱いになるのはマクシムだけでなくていいはずだ。
 だって、一生そばに居てお世話をしてくれる人間なのだから・・・確かに“夫”だよね?

 “聖女の夫”と認められるには形式的な順番があるらしいのだが、何故か誰も教えてくれないし、それらしい“決まり”を知っているのはマテオGと世話係三人らしいのだ。
 つまり、もしかして、聖女の意志では夫が選べない・・・と言う事になるのかな?
 ソラルの「ヒロコに対して異性として接していたら大変な事になる」と言う台詞が、何だか頭の片隅に引っ掛かった。

「そうか・・・済まなかったな、気が利かなくて」
 そう言って、私ごと軽々と椅子から立ち上がり、イスマエルに荷物のように私を差し出した。
 年中父親への反抗期が止まないイスマエルは、やはり簡易的に私を横抱きのまま受け取った。
 なにゆえ親子して・・・お姫様抱っこの受け渡しに慣れている?
 そして、クレーの視線がぬるく刺さった。

 うんうんと眉間に筋を立てて考えたが、すぐにクタリと脱力する。
 もう、疲れて頭が回らない。
 項垂れる頭を預けた先は、イスマエルのご立派な胸筋だった。
 これも少しおかしいと感じた。
 初めて会った時のイスマエルはもっと・・・優男風というか、策略家風というか。
 もしかして・・・最近マジで鍛えてるのか!?

「・・・ヒロコ、気にするな、深い意味はない」
「父上が余計な事を言うからです」
「・・・・・・・・・気になります」
 あれ? イスマエルは最初・・・私に選ばれるために・・・変な事を言ってた。
「はははっ! ・・・私がこれ以上言うと聖女への冒涜になるからな、イスマエルの覚悟次第だ。まずはキミが聖女として正しく育って欲しい・・・それだけだ」
「イスマエルの・・・覚悟?」
 ひょんと、私はイスマエルの顔を見た。
 不思議そうに首を捻って見せると。
「う・・・」と、言いながら一瞬だけ狼狽えた。
 イスマエルはまだ・・・世話係の交換を望んでいるのだろうか?
 それに、マクシムにはあって、イスマエルにはない覚悟ってなんだろう・・・。

 “その覚悟”が、至極当然で単純明快な事だったと知るのは、もう少しあとの話である――――。

*****あとがき&お知らせ******
こんにちは、もりしたです。
ここらで一区切りです。
11月は検定試験の期間に入りますので、更新は少々スローテンポになると思います。
なにとぞよろしくお願い致します。
しかし、試験前になると余計に書きたくなるのと、妙に掃除が単語はかど捗るのってどうしてなんでしょうね・・・。
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みんなの感想(1件)

いあにす
2020.09.24 いあにす
ネタバレ含む
2020.09.24 もりした透湖

( *´艸`)こ・・・こんなところに転移者様がいる!

解除

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