病んで死んじゃおうかと思ってたら、事故ってしまい。異世界転移したので、イケおじ騎士団長さまの追っかけを生き甲斐とします!

もりした透湖

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【それは偽りではなく、ノリです。】その11

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 アーチュウ先生は相変わらず読めない笑顔で右手を上げて、騎士団長であるソラルさまに軽く挨拶をした。
「やあ! 元気そうで何よりだソラル殿!」
「おや・・・アーチュウ殿・・・看護塔送りになったのに元気そうじゃないか?」
 いつも優しいソラルさまの顔が険しい。
「ははは・・・失礼だなあ? ヘマして左遷されてくるのは看護師の一部だけだよ? 看護塔の医師はワタクシを含め、優秀な者ばかりさ」
 城内の医療機関は看護塔だけではない。
 単に看護塔と呼ばれる区域がかなり広めでハードな勤務場所らしい。
 救急搬送施設がある所なので、医師の腕は確かだが・・・24時間体制なので、医師の目元のクマはマストアイテムらしい。
「懲りずに優秀な“才”の持ち主の血液とか盗んでないでしょうね?」
「・・・・・・・・・・・してないよ?」
 どうやらソラルさまはその被害者らしい。
 でも、先ほどの話といい・・・このアーチュウ先生がプロフェッショナルなのは確かだ。

 ソラルさまは一歩下がり、私の右斜め後ろに立ち、護衛の体勢を取っていた。
 アーチュウ先生は、私の“魔力駄々洩れ現象”について、ナトンとソラルさまに、改めて説明をしてくれた。

 かくかくしかじか・・・。

「結局、ヒロコはどう行動すれば健やかに過ごせるのだ?」
 ソラルさまは小首を傾げた。
「う~ん、それは本人がどんなふうに過ごして調子が良くなったか自覚してもらわないと分からないですね」
「どうだ? ヒロコ? 思い当たる節はあるか?」
 (そう言われてもな・・・)
 とりあえず、思い当たる事をぽそぽそと上げてみた。
「日向ぼっこ・・・お散歩・・・ご飯・・・お昼寝・・・お酒!」
「酒・・・?」
 “鳩が豆鉄砲を食ったような”という代表的な表情をソラルさまは浮かべた。
「まあ、ヒロコ様の身体が喜ぶ事で、改善に向かうと言う事ですね」
 アーチュウ先生は分かりやすいように補足を加えた。
「身体が喜ぶ? そっかあ・・・」
 では是非とも大きな浴場施設を追加でお願いしたいのですが・・・銭湯的なヤツを!
「でも、寝てばかりでは血液の循環が悪くなってしまいますので、規則正しい生活も大事ですよ? お酒が飲みたいからと言って、深酒は脳細胞を壊します」
「・・・・・・・はい」

 私は日本での生活を猛省していた。
 いわゆる社畜生活、早朝出勤からの終電の帰宅は・・・ストレス発散の言い訳的な深酒を繰り返してしまい、不眠症へ至ってしまうものなのだ。
 記憶中枢は壊れ、上司に同じ内容を繰り返し確認する事によって・・・「あいつ記憶力大丈夫か?」と、じわじわと不評が際立って行く。
 詰まる所、問題は“記憶力”だけではなく、“”が、周囲に迷惑をかけてしまっていた。
 まあ、“鬱病あるある”ネタである。
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