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【本物って誰のこと?】その5
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「まだ、正式発表をしていない聖女見習いでは予算が少なくてな・・・服も少なくて、申し訳ない・・・」
「は? もう普段着が10着もあるし、寝間着も3枚あるし、下着も毎日ちゃんと準備してあるじゃん!」
食事を取りしながらも、ちゃんとものを飲み込んでから会話を続けた。
「いや、とっておきのドレスもまだ・・・」
「いらん!」
どうも最近、気心が知れているからか、イスマエルと私の言葉遣いが適当になってきた。
たまに二人そろって、クレーに「めっ!」されたりする。
「いいや! 陛下の前に出るときの鮮麗されたドレスは全ての衣服代金を合わせても足りんのだ!」
「デスヨネ」
「いっぺんに二人も聖女を召喚するから・・・予算が・・・」
(予算・・・?)
「帳簿見して」
私はそう言って掌を出した。
「は?」
「この国のお金の単位は?」
「通常は金貨・銀貨・銅貨だが?」
「じゃあ、金属の価値で物価の流通価値が決められてしまうの? 国内通貨の単位がきちんと決まっていれば、その国の価値が推し測れるはずなんだけど」
そう、金属価値で換算してしまうと、国内の物価価値と国外の物価価値がイコールにならないのだ。
A国でパンが一つ銅貨一枚で、B国で銅貨二枚であったとすると、物価価値を理解しない一般人が暴動を起こす恐れがある。
だから、貨幣価値と単位は国ごとに分けた方が賢明なのだ。
まあ、基準は「M社のハンバーガーがひとついくらか?」などの基準で考えると分かり易い。
某国では日本円に換算してひとつ1,000円とか恐ろしい価格でもある。
要するにハンバーガーが安い南の国は国民が豊かで、高い北の国は貧乏と言う理論に行き着くのだよ・・・。
人の感覚によって何が豊かで、何が貧しいかなんて推し測れないのは確かだけどね。
「貨幣単位はΒ(べー)だ」
「べい?」
「銅貨一枚が10Βだ、その上が大銅貨で100Βだ」
「ふんふん、ジャガイモの価値に換算すると?」
「知らん」
「・・・・・・やはり、坊ちゃんか」
「坊ちゃん」
「じゃあ、この国の平均収入は何ベー?」
「し・・・知らん」
イスマエルは少し悔しそうにしゃもじを握っていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「先ずは統計学観点からこの国の基準を知りたいのですが?」
「統計学・・・」
「まさかとは思いますが、この国の人口ってご存じですか?」
「し・・・調べてくる・・・いや、調べてきますので一日ほど時間を下さい。ヒロコ様」
「宜しくお願い致します」
私の差し出したお皿に、しゃもじで白米を盛りつつ、少しだけ放心気味であった。
「あと、地理の勉強もさらっとではなく詳しく知りたいな。地域による収穫物や、特徴的な特産品、隣国の規模や人口、海産物、山では鉱山、歴史的発掘物の価値、もちろん武力のレベルなども詳しく・・・退屈な歴史ではなく、今現在のこの国の経済状況についても学びたい」
もぐもぐもぐもぐもぐ・・・。
「わかりました・・・家庭教師をつけます」
「いいえ、イスマエル、私と一緒に学びましょう? 度々教師をゲストとして呼ぶのは喜ばしい事ですが、一方的な固定願念の授業なんて面白くないでしょう」
「あなた何者ですか?」
「とりあえず、25歳、リテールマーケティング職の元派遣社員で、現在は聖女見習いのヒロコですが?」
「13歳ぐらいにしか見ませんが?」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ・・・。
「おかわり!」
「ダメです。さすがに食べすぎです!」
「えぇ~っ!」
「ほら、白米ばかり食べてないで、水を飲みなさい、水を!」
(“坊ちゃん”ではなく、正体は“おかん”だったか・・・)
「は? もう普段着が10着もあるし、寝間着も3枚あるし、下着も毎日ちゃんと準備してあるじゃん!」
食事を取りしながらも、ちゃんとものを飲み込んでから会話を続けた。
「いや、とっておきのドレスもまだ・・・」
「いらん!」
どうも最近、気心が知れているからか、イスマエルと私の言葉遣いが適当になってきた。
たまに二人そろって、クレーに「めっ!」されたりする。
「いいや! 陛下の前に出るときの鮮麗されたドレスは全ての衣服代金を合わせても足りんのだ!」
「デスヨネ」
「いっぺんに二人も聖女を召喚するから・・・予算が・・・」
(予算・・・?)
「帳簿見して」
私はそう言って掌を出した。
「は?」
「この国のお金の単位は?」
「通常は金貨・銀貨・銅貨だが?」
「じゃあ、金属の価値で物価の流通価値が決められてしまうの? 国内通貨の単位がきちんと決まっていれば、その国の価値が推し測れるはずなんだけど」
そう、金属価値で換算してしまうと、国内の物価価値と国外の物価価値がイコールにならないのだ。
A国でパンが一つ銅貨一枚で、B国で銅貨二枚であったとすると、物価価値を理解しない一般人が暴動を起こす恐れがある。
だから、貨幣価値と単位は国ごとに分けた方が賢明なのだ。
まあ、基準は「M社のハンバーガーがひとついくらか?」などの基準で考えると分かり易い。
某国では日本円に換算してひとつ1,000円とか恐ろしい価格でもある。
要するにハンバーガーが安い南の国は国民が豊かで、高い北の国は貧乏と言う理論に行き着くのだよ・・・。
人の感覚によって何が豊かで、何が貧しいかなんて推し測れないのは確かだけどね。
「貨幣単位はΒ(べー)だ」
「べい?」
「銅貨一枚が10Βだ、その上が大銅貨で100Βだ」
「ふんふん、ジャガイモの価値に換算すると?」
「知らん」
「・・・・・・やはり、坊ちゃんか」
「坊ちゃん」
「じゃあ、この国の平均収入は何ベー?」
「し・・・知らん」
イスマエルは少し悔しそうにしゃもじを握っていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「先ずは統計学観点からこの国の基準を知りたいのですが?」
「統計学・・・」
「まさかとは思いますが、この国の人口ってご存じですか?」
「し・・・調べてくる・・・いや、調べてきますので一日ほど時間を下さい。ヒロコ様」
「宜しくお願い致します」
私の差し出したお皿に、しゃもじで白米を盛りつつ、少しだけ放心気味であった。
「あと、地理の勉強もさらっとではなく詳しく知りたいな。地域による収穫物や、特徴的な特産品、隣国の規模や人口、海産物、山では鉱山、歴史的発掘物の価値、もちろん武力のレベルなども詳しく・・・退屈な歴史ではなく、今現在のこの国の経済状況についても学びたい」
もぐもぐもぐもぐもぐ・・・。
「わかりました・・・家庭教師をつけます」
「いいえ、イスマエル、私と一緒に学びましょう? 度々教師をゲストとして呼ぶのは喜ばしい事ですが、一方的な固定願念の授業なんて面白くないでしょう」
「あなた何者ですか?」
「とりあえず、25歳、リテールマーケティング職の元派遣社員で、現在は聖女見習いのヒロコですが?」
「13歳ぐらいにしか見ませんが?」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ・・・。
「おかわり!」
「ダメです。さすがに食べすぎです!」
「えぇ~っ!」
「ほら、白米ばかり食べてないで、水を飲みなさい、水を!」
(“坊ちゃん”ではなく、正体は“おかん”だったか・・・)
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