病んで死んじゃおうかと思ってたら、事故ってしまい。異世界転移したので、イケおじ騎士団長さまの追っかけを生き甲斐とします!

もりした透湖

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【聖女の育成って何ですか?】その7

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 かわいいハート型に折りたたんである。
 私は遠慮なく、素早くそれをルベンの手から取り上げた。
 ハート型の折り目を崩し、手紙を広げた・・・多分、ルベンはこの形に何か意味があるのだろうと勘ぐって、開けずにいたようだ。
「読むわよ!」
 と、意気込んで手紙を開いたが、声を出そうとして開けた唇は・・・そのまま止まり、それよりも私の眼が先に語り始めてしまっていた。
「どうした! なんと書いてある・・・なぜそなたが泣くのだ?」
 私は泣いていた・・・ボロボロと両目からたくさん涙をこぼしていた。
「・・・て・・・けてって・・・」
「よく聞こえん! ちゃんと言ってくれ」
 ぐしゃりとした顔で、私は叫ぶように声を出した。
「“助けて”―――っ!!」
「え・・・そんな、私は何もノエミ様に危害を加えるような事はしていない!」
「バカじゃないの? 何もしていない? 充分“罪”だわ! どうせノエミの話を理解しようともせず、聞き流して、ノエミの方がおかしいと決めつけて閉じ込めていたんでしょう!?」
「だ、だがノエミ様の話は飛び過ぎていて、私達の理解が追い付かない」
 (ダメだ、これはダメだ! 作戦変更だ、緊急出動決定だよ)
 私は席を立ち、いつもの温室の噴水に顔を突っ込み、顔を洗った。
 すっとクレーが、タオルを差し出した。
「ありがとうクレー」
 私はふわふわした心地好いタオルに顔をうずめ、大きなため息を出した。
 そして、決意を込めて顔を上げる。
「ミリアン様、ご指示を・・・それとも・・・」
 彼女の赤茶の瞳が柘榴石ガーネットのように輝き始めた。
「今は、“ミリアン”のままで彼女とちゃんと話をしたいの、この姿の方が多分受け入れ易いと思うから」
「かしこまりました。ご一緒いたします」
「うん、ファーストコンタクトは地味めにしないと、みんなに心配かけちゃうもの」
「左様ですね」
 クレーはニコリとする。
「ちょっと、そこの腰抜け魔王! 今すぐノエミちゃんに会いに行くわよ! しっかりなさい!」
「ま、魔王だと! なんという事を・・・」
「“マティアス・ルート”はね、ムツノクニを皇帝陛下から奪う為に“魔王”になるのよ!」
「ノエミ様と・・・同じことを・・・なぜ?」
「その質問には答えない、貴方はノエミの話を聞かなかったんだから、私から聞いても意味がないでしょう?」
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