38 / 70
三章ヤクザさん
返してもらおうか弐
しおりを挟む
「桃ー!桃ー!どこだー!」
夕日が照らす路地裏を這いずり回っている奏斗は時間が刻々と無慈悲に過ぎていく事に焦っていた
「頭、そんなに大声出して誘拐されてたら見つかりませんよ・・・」
指定の場所に居ず、時間が過ぎてもう家に帰ってもいい時間に誰からも連絡はない、誘拐はほぼ確定しているのに源田が奏斗にかけた言葉はあくまでも桃が無事という現実を言葉にしている
「ぐっ、で、でも桃の事だきっと大丈夫だろう、なんせあの蒼井さんの娘なんだから」
「けど、いくらあの方の血を引いていたとしても今のあの子は堅気ですぜ」
「ちっ、なんで・・・なんであの子が・・・」
奏斗が頭を抱え嘆いている、少し間を開け源田は口を開いた、とても淡白で何も感情なんて込めていないように
「・・・そんなの、頭があの子に関わるからでしょう」
その言葉を聞いた瞬間奏斗は源田の胸ぐらを掴み睨みつけた、息を切らし、焦っているように見える、そして・・・
「ふざけるな・・・」
怒り、悲しんでいる
「あの人に託されたんだ、俺は、あの子を立派に育て上げる、あの子が望むなら俺はこの身だって捧げてやる」
「頭っ!そんな事言わないでくだせぇ!」
胸ぐらを掴まれ苦しんでいる源田が奏斗の手を掴み驚いたように叫んだ
「誰がなんと言おうと、俺の決めた道に指図するのは許さん」
言い終わると手を話した、源田は苦しそうにゴホッゴホッと咳き込んだ後一息置いてからまた声を張り上げた
「そんなやり方じゃあいつか身を滅ぼしますよ!」
「いいんだよ・・・俺の人生なんかよりも桃にはもっと輝かしいものがあるんだから、嫌になったか?こんな頼りない頭は」
奏斗は睨むでもなく怒るでもなく悲しく憂いを帯びた表情を源田に見せた
「そんな訳・・・」
「よくよく考えりゃヤクザが一般市民と一緒に暮らすなんて馬鹿げてるよな、それを受け入れてくれただけでも俺は嬉しいよ、桃は婆さんらに任せるか、それがあの子の為だろう」
「それは・・・」
そんなことを言われた源田は何も言えない、奏斗がどんな思いでおばあさん達桃を引き取ったか知っているから、ましてやその理由が自分にも大切な人が関わるならすべき事は決まっているのに、なんとも酷いことを言った
「頭、俺はあの子が嫌いだ」
「あぁ?なん・・・」
「あの子はもうこちら側なのに、なのに今更怖いなんて許されない・・・。俺も兄さんの願いを叶えたいからあの子を組に置くのは賛成する、他のやつだってそうだ、ただ俺が嫌いなのは・・・」
「源田ぁ、おめーも随分イカれてんなぁ。お前が桃を嫌いなのは前から知ってたよ」
「そ、そうですか・・・」
「だがなぁ・・・」
奏斗は源田に近ずきぶん殴った、鈍い音が路地裏に響き源田はよろよろと座り込んだ。
「あのなぁ、源田」
夕日が照らす路地裏を這いずり回っている奏斗は時間が刻々と無慈悲に過ぎていく事に焦っていた
「頭、そんなに大声出して誘拐されてたら見つかりませんよ・・・」
指定の場所に居ず、時間が過ぎてもう家に帰ってもいい時間に誰からも連絡はない、誘拐はほぼ確定しているのに源田が奏斗にかけた言葉はあくまでも桃が無事という現実を言葉にしている
「ぐっ、で、でも桃の事だきっと大丈夫だろう、なんせあの蒼井さんの娘なんだから」
「けど、いくらあの方の血を引いていたとしても今のあの子は堅気ですぜ」
「ちっ、なんで・・・なんであの子が・・・」
奏斗が頭を抱え嘆いている、少し間を開け源田は口を開いた、とても淡白で何も感情なんて込めていないように
「・・・そんなの、頭があの子に関わるからでしょう」
その言葉を聞いた瞬間奏斗は源田の胸ぐらを掴み睨みつけた、息を切らし、焦っているように見える、そして・・・
「ふざけるな・・・」
怒り、悲しんでいる
「あの人に託されたんだ、俺は、あの子を立派に育て上げる、あの子が望むなら俺はこの身だって捧げてやる」
「頭っ!そんな事言わないでくだせぇ!」
胸ぐらを掴まれ苦しんでいる源田が奏斗の手を掴み驚いたように叫んだ
「誰がなんと言おうと、俺の決めた道に指図するのは許さん」
言い終わると手を話した、源田は苦しそうにゴホッゴホッと咳き込んだ後一息置いてからまた声を張り上げた
「そんなやり方じゃあいつか身を滅ぼしますよ!」
「いいんだよ・・・俺の人生なんかよりも桃にはもっと輝かしいものがあるんだから、嫌になったか?こんな頼りない頭は」
奏斗は睨むでもなく怒るでもなく悲しく憂いを帯びた表情を源田に見せた
「そんな訳・・・」
「よくよく考えりゃヤクザが一般市民と一緒に暮らすなんて馬鹿げてるよな、それを受け入れてくれただけでも俺は嬉しいよ、桃は婆さんらに任せるか、それがあの子の為だろう」
「それは・・・」
そんなことを言われた源田は何も言えない、奏斗がどんな思いでおばあさん達桃を引き取ったか知っているから、ましてやその理由が自分にも大切な人が関わるならすべき事は決まっているのに、なんとも酷いことを言った
「頭、俺はあの子が嫌いだ」
「あぁ?なん・・・」
「あの子はもうこちら側なのに、なのに今更怖いなんて許されない・・・。俺も兄さんの願いを叶えたいからあの子を組に置くのは賛成する、他のやつだってそうだ、ただ俺が嫌いなのは・・・」
「源田ぁ、おめーも随分イカれてんなぁ。お前が桃を嫌いなのは前から知ってたよ」
「そ、そうですか・・・」
「だがなぁ・・・」
奏斗は源田に近ずきぶん殴った、鈍い音が路地裏に響き源田はよろよろと座り込んだ。
「あのなぁ、源田」
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結


ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした
瀬名。
恋愛
大学1年生の冬。母子家庭の私は、母に逃げられました。
家も取り押さえられ、帰る場所もない。
まず、借金返済をしてないから、私も逃げないとやばい。
…そんな時、借金取りにきた私を買ってくれたのは。
ヤクザの若頭でした。
*この話はフィクションです
現実ではあり得ませんが、物語の過程としてむちゃくちゃしてます
ツッコミたくてイラつく人はお帰りください
またこの話を鵜呑みにする読者がいたとしても私は一切の責任を負いませんのでご了承ください*


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる