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一章 ヤクザとの出会い
家族
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結局桂吾が来たことにより二人ともホッとして別れた、そして桂吾が連れてきた案内人は奥田だった
「奥田さん、すいませんわざわざ」
「いや、良いってことよ、これでしばらくは安全だろう」
きっと奏斗の事だろうと察し本当にこの人達は大変なんだなぁと改めてそう思った、
「あ、ここですね」
「あっはい!」
そして目的の数学の教材を見つけ奥田と一緒に歩いていた、
ふと水が出ている音を耳にしたので聞いてみた
「奥田さん、ここの近くに水道ってありますか?」
「水道?洗面所なら近くにあるぞ」
「あの、水の音が聞こえてくるんですが、出しっぱなしとかありますか?」
「え・・・あ、本当だ、誰だ出しっぱなしにしたやつ、ちょっと行ってくる」
「あ、私もいきますよ!」
腕を捲る仕草をして歩いていく奥田の後を追いかけた、洗面所と思われる扉からは小さな光が漏れていた
「?誰かいるんでしょうか」
すると奥田ははぁ、とため息を着くと呆れ顔で中に入っていった、私も気になり中を覗いた、すると中には奥田ともう一人いた
「み、源さん?」
「?!え、あっ、もも、桃ちゃん・・・」
片方の手で口を押さえながら私を見るなり目を見開き焦ったようにもう片方の手で制す、ただ源はすぐに後ろを向いたのでその手は少し右に寄っていた
「あの、大丈夫ですか?」
「だっ、大丈夫大丈夫!ゴボッ、ちょっと喉乾いたから水飲んでてむせただけだからゴホッ、ゴホッ」
私から顔を背けたまま咳き込んだ、以外とドジなんだなぁと思いつつ出しっぱなしは良くないので水道を止めた、そしてふと目にとまったのは
「コレ、何ですか?」
小さな小瓶に『抗・・・』と途中までしか読めなかった、私が全部を読みきる前に源ではなく奥田が取り上げたからだ
「奥田さん?それは、何なんですか?抗う?」
「ヤクザの痛み止だ、気にするな」
とポケットにしまわれた、ヤクザ、と言う時点で普通の薬局では売っていないような物なんだと分かった
「す、すいません。勝手に触ろうとして」
「いや、良い、行こうかお嬢さん」
「え、あの、源さんは大丈夫なんですか?」
「あぁ大丈夫さ、行こう」
そう言って源の事が気になったがその部屋から出され源の事を聞けずに門前まで送られた
「わざわざありがとうございました、またそのうちお邪魔しますね」
「おお、また来い」
と、手を振ってくれた、笑顔なのにどこか悲しそうな目をしていたのはきっと見間違いだと思い家まで帰る、外はもうすっかり暗くなったがほんの少し空がまだ明るい
「走れば真っ暗なのは避けられるかな、でも、疲れたしたまにはいっか」
走ろうとする足を止めゆっくりと歩いた、前にナンパされて以来外を歩くのが少し怖くなり外には出ないようにしていた、しかし、時間が経つに連れ恐怖心もなくなり多少暗くても平気になった
家に着くとすぐに学校の鞄へ数学を突っ込み夕食の準備をした、たまには、と大好物のパスタを買った、お金はお婆ちゃんが「親戚があなたの事を大切に思ってるから生活費は出してくれるらしいわ、学費は将来あんたが稼いで返しなさい」と言っているので生活費はある程度貰えている、ある程度遣り繰りして貯金を作ってはいるが最近はその親戚が奏斗さんなのではと考えているのだが聞こうにも本当にそうだとしたら今私が使っているお金はきっと綺麗なものではないので聞く勇気がない、学費は高すぎる訳では無いがそれが数年続くと流石に多額になるので祖母も相手の親戚も私の借金として背負わせた、私も無理に払ってもらうのは申し訳無いから祖母にその話を聞いたときは良かったとか将来頑張らないと、と子供ながらに責任を感じた、とは言え小中は義務教育期間だから無料だが高校や大学の分だけでいいのだがそれも場所や将来の職業によるなと考えている
(将来・・・まだやりたいこと何も無いけど医者や看護師になるなら学力ないといけないよね、お母さん達は、ううん、今は自分のしたいことを考えよ)
親が亡くなる前に仕事の話なんて聞かされなかったが将来について考えていたある日祖母がお母さんは専業主婦、お父さんはサラリーマンだったけど高給取りだったらしい、一般的な家庭とそう違いなかった、ただ今の私にはとてもじゃないけどそんな生活手に入らない、授業参観だって運動会だって私を見てくれる人は誰一人いない、友達は親と喧嘩したなんて言って怒ってるけど私から見ればそれも良いものだと羨んでしまう、私も・・・普通でいたかった、今はもう叶わなくとも普通になりたいと願う。
「パスタ、美味しいな」
出来上がったパスタを口一杯に頬張り飲み込んだ後ポツリと呟く、目の前が霞み味なんて分からないのに、食べる度に涙がこぼれる
食べ終わる頃には涙は引いていたが目の下が赤い、蒸れタオルを目に当て多少はましになった、布団に潜り込みながら奏斗の言葉を思い出した
「奥田さん、すいませんわざわざ」
「いや、良いってことよ、これでしばらくは安全だろう」
きっと奏斗の事だろうと察し本当にこの人達は大変なんだなぁと改めてそう思った、
「あ、ここですね」
「あっはい!」
そして目的の数学の教材を見つけ奥田と一緒に歩いていた、
ふと水が出ている音を耳にしたので聞いてみた
「奥田さん、ここの近くに水道ってありますか?」
「水道?洗面所なら近くにあるぞ」
「あの、水の音が聞こえてくるんですが、出しっぱなしとかありますか?」
「え・・・あ、本当だ、誰だ出しっぱなしにしたやつ、ちょっと行ってくる」
「あ、私もいきますよ!」
腕を捲る仕草をして歩いていく奥田の後を追いかけた、洗面所と思われる扉からは小さな光が漏れていた
「?誰かいるんでしょうか」
すると奥田ははぁ、とため息を着くと呆れ顔で中に入っていった、私も気になり中を覗いた、すると中には奥田ともう一人いた
「み、源さん?」
「?!え、あっ、もも、桃ちゃん・・・」
片方の手で口を押さえながら私を見るなり目を見開き焦ったようにもう片方の手で制す、ただ源はすぐに後ろを向いたのでその手は少し右に寄っていた
「あの、大丈夫ですか?」
「だっ、大丈夫大丈夫!ゴボッ、ちょっと喉乾いたから水飲んでてむせただけだからゴホッ、ゴホッ」
私から顔を背けたまま咳き込んだ、以外とドジなんだなぁと思いつつ出しっぱなしは良くないので水道を止めた、そしてふと目にとまったのは
「コレ、何ですか?」
小さな小瓶に『抗・・・』と途中までしか読めなかった、私が全部を読みきる前に源ではなく奥田が取り上げたからだ
「奥田さん?それは、何なんですか?抗う?」
「ヤクザの痛み止だ、気にするな」
とポケットにしまわれた、ヤクザ、と言う時点で普通の薬局では売っていないような物なんだと分かった
「す、すいません。勝手に触ろうとして」
「いや、良い、行こうかお嬢さん」
「え、あの、源さんは大丈夫なんですか?」
「あぁ大丈夫さ、行こう」
そう言って源の事が気になったがその部屋から出され源の事を聞けずに門前まで送られた
「わざわざありがとうございました、またそのうちお邪魔しますね」
「おお、また来い」
と、手を振ってくれた、笑顔なのにどこか悲しそうな目をしていたのはきっと見間違いだと思い家まで帰る、外はもうすっかり暗くなったがほんの少し空がまだ明るい
「走れば真っ暗なのは避けられるかな、でも、疲れたしたまにはいっか」
走ろうとする足を止めゆっくりと歩いた、前にナンパされて以来外を歩くのが少し怖くなり外には出ないようにしていた、しかし、時間が経つに連れ恐怖心もなくなり多少暗くても平気になった
家に着くとすぐに学校の鞄へ数学を突っ込み夕食の準備をした、たまには、と大好物のパスタを買った、お金はお婆ちゃんが「親戚があなたの事を大切に思ってるから生活費は出してくれるらしいわ、学費は将来あんたが稼いで返しなさい」と言っているので生活費はある程度貰えている、ある程度遣り繰りして貯金を作ってはいるが最近はその親戚が奏斗さんなのではと考えているのだが聞こうにも本当にそうだとしたら今私が使っているお金はきっと綺麗なものではないので聞く勇気がない、学費は高すぎる訳では無いがそれが数年続くと流石に多額になるので祖母も相手の親戚も私の借金として背負わせた、私も無理に払ってもらうのは申し訳無いから祖母にその話を聞いたときは良かったとか将来頑張らないと、と子供ながらに責任を感じた、とは言え小中は義務教育期間だから無料だが高校や大学の分だけでいいのだがそれも場所や将来の職業によるなと考えている
(将来・・・まだやりたいこと何も無いけど医者や看護師になるなら学力ないといけないよね、お母さん達は、ううん、今は自分のしたいことを考えよ)
親が亡くなる前に仕事の話なんて聞かされなかったが将来について考えていたある日祖母がお母さんは専業主婦、お父さんはサラリーマンだったけど高給取りだったらしい、一般的な家庭とそう違いなかった、ただ今の私にはとてもじゃないけどそんな生活手に入らない、授業参観だって運動会だって私を見てくれる人は誰一人いない、友達は親と喧嘩したなんて言って怒ってるけど私から見ればそれも良いものだと羨んでしまう、私も・・・普通でいたかった、今はもう叶わなくとも普通になりたいと願う。
「パスタ、美味しいな」
出来上がったパスタを口一杯に頬張り飲み込んだ後ポツリと呟く、目の前が霞み味なんて分からないのに、食べる度に涙がこぼれる
食べ終わる頃には涙は引いていたが目の下が赤い、蒸れタオルを目に当て多少はましになった、布団に潜り込みながら奏斗の言葉を思い出した
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