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一章 ヤクザとの出会い
ヤクザ
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そこに立っていたのは
「すまんな。俺の親族に手ぇ出してる輩をシメてるだけだ」
そう言って桃の腕を掴んでいた方の手を掴み投げ飛ばした、その大柄の男はさっき見た奏斗だった、後ろには知らないがさっき式場に居た男が何人か立っていた、勿論源と言う男も
「頭、無茶しないでくだせぇ、前暴れたばかりでしょう」
「桃に触れる輩は許さん」
そう喋っている顔は陽気なおじさんの顔ではなくさっき見た怖い顔だった
「頭はほんっと過保護ですねぇ」
呆れたように話す源や後ろの人達を見て普通ではないと思ったがお礼が言いたくて口を開いた
「あの、ありがとうございます」
「桃!大丈夫か?何かされたか?」
心配していることは伝わってくるスーツなのに片膝付いて掴まれていた腕や顔に触られた、驚いて震えているとまた源が助け船を出してくれた
「頭、また震えてますよ」
「おっと!すまんな、桃。しかし源、仕事上多少の威圧感があるかもしれんが怖がられる程か?」
「頭は笑顔は良いですが真顔とかでも威圧的なのでそのせいかと」
「そうか、桃、俺は顔が怖くても危害が及ぶようなことは絶対しない、だから家まで送らせてくれないか?不安だ、またさっきみたいなやつが居たら大変だから頼む」
流石に怖くなりまたあんなことになるくらいなら怖くても親戚に頼りたくなる
「私こそお願いします」
そして歩いて車まで行くことになった、歩いている途中奏斗は手を引こうとしてくれたが何故か源の方に行ってしまった
「おっ、何ですかお嬢?」
「そんな・・・桃!奏斗おじさんの方においで!」
「えっと」
急に自分の事をおじさんと呼び必死に両手を広げている姿を見て余計怖くなった
「はは、頭また逃げられてますね」
源は笑いながら言った
「また?」
「ええ、実はね桃ちゃん」
急に桃ちゃんと呼ばれたが話を聞くと何故だか分かった
「昔、頭は桃ちゃんの世話をしててたまに私も着いていったんです、そしたらいつも頭にくっついていたのに私が来る度に頭を無視して私に寄ってきたんですよ、そしたら頭は奏斗おじさんの方においで!と毎回言ってて、それでも無視されてたから行く度に頭に睨まれてやした、でもその時の桃ちゃんも可愛くて私が飲み物を運ぶのを手伝ったりトイレに行くといっつもついてきてて、だから寄ってこられて嬉しかったですよ」
昔を懐かしむかのように頭を撫でられた、奏斗の時にはなかった安心感のような今まで知らなかったものを感じた
「桃ー・・・」
名前を呼ぶ声は捨てられた子犬の様だった、流石に可哀想だと思い奏斗の近くにも行った
「桃!やっぱり可愛いなぁ、なにもせずとも好かれる源には分からんだろうが桃の可愛さは俺だけ知ってれば良いんだ!」
「頭の避けられる理由ってそう言う所じゃないですか?」
等と冗談を言い合っておりほんの少し警戒心が緩んだ、後部座席に源、奏斗、私の順番で座った、しかし以外にも広いのでゆったりとしているとふと外に目をやろうとしたら窓の脇に「木ノ葉組」と書かれていた、それは桃のすんでいる場所ではそこそこ有名なヤクザの名前だった〔木ノ葉を見たら逃げろ〕等と言われるほどの暴力集団
「あの、奏斗さんってヤクザ?」
血の気が引くのを感じながら恐る恐る聞いてみた
「ん?おう!そうだぞ、だから嫌な輩が居たら教えてくれよな!」
隣に座りおじさん笑顔をしているが言っていることはヤクザっぽい、また震えて身を強ばらせた、すると源は
「頭、一般人からしたらヤクザ、ってだけで怖かったり喧嘩好きなんて思われますよ」
「なっ、俺達はシマを荒らすやつらをシメてるだけだぞ!別に悪いことはっ」
気を荒立てて怖い顔を見せた、ヤクザだから怖かったのかなとようやく納得した一方で源は奏斗の口を押さえながら話し出した
「そりゃ、私達は悪くないですよ、でも一般論ではそうはいかんのですよ」
「ヤクザってだけで一括りにされんのは気に食わんな」
「仕方ないですよ、そもそもヤクザなんて今から一昔前のモンですよ」
「止めろや・・・」
そう言って頭を抱えて奏斗は落ち込んでしまった
「アハハ、大丈夫ですって!」
「おい、源頭をからかうんじゃねぇぞ」
声を発したのは今まで黙っていた運転手だった、スキンヘッドでいかにもヤクザらしい人だった、しかし声色は優しく服装を見る限りではキッチリしてそうだった
「すんません奥田さん、でも家族だし良いじゃないですか」
「え、家族?」
「俺は貶しても良いが幼馴染みだからって頭を落ち込ませんな」
「幼馴染み?」
訳が分からない単語が飛び交って混乱した、すると奏斗が体を起こし
「あー・・・桃、勘違いしないように言っておくが俺達は一緒に居るんだから家族のように親しくなろう、ってことだから皆義理の家族なんだ、あと源は俺の親父、つまり大親分が拾ってきたんだ」
「頭、私捨て犬じゃありませんよ」
「大・・・親分?」
「あぁ、桃には難しいか?んー、会社とかで言う社長だ!」
「な、なるほど・・・?」
分かるような分からないような例えだがなんとなく理解したので大丈夫だと思った、それにしてもこの人達は本当にヤクザなのだろうか?明るくて本当の家族のようにも見えてくる、私もこんな面白い家族がいれば良かったのに、そう考えて落ち込んでいる桃を源は見ていた。
「すまんな。俺の親族に手ぇ出してる輩をシメてるだけだ」
そう言って桃の腕を掴んでいた方の手を掴み投げ飛ばした、その大柄の男はさっき見た奏斗だった、後ろには知らないがさっき式場に居た男が何人か立っていた、勿論源と言う男も
「頭、無茶しないでくだせぇ、前暴れたばかりでしょう」
「桃に触れる輩は許さん」
そう喋っている顔は陽気なおじさんの顔ではなくさっき見た怖い顔だった
「頭はほんっと過保護ですねぇ」
呆れたように話す源や後ろの人達を見て普通ではないと思ったがお礼が言いたくて口を開いた
「あの、ありがとうございます」
「桃!大丈夫か?何かされたか?」
心配していることは伝わってくるスーツなのに片膝付いて掴まれていた腕や顔に触られた、驚いて震えているとまた源が助け船を出してくれた
「頭、また震えてますよ」
「おっと!すまんな、桃。しかし源、仕事上多少の威圧感があるかもしれんが怖がられる程か?」
「頭は笑顔は良いですが真顔とかでも威圧的なのでそのせいかと」
「そうか、桃、俺は顔が怖くても危害が及ぶようなことは絶対しない、だから家まで送らせてくれないか?不安だ、またさっきみたいなやつが居たら大変だから頼む」
流石に怖くなりまたあんなことになるくらいなら怖くても親戚に頼りたくなる
「私こそお願いします」
そして歩いて車まで行くことになった、歩いている途中奏斗は手を引こうとしてくれたが何故か源の方に行ってしまった
「おっ、何ですかお嬢?」
「そんな・・・桃!奏斗おじさんの方においで!」
「えっと」
急に自分の事をおじさんと呼び必死に両手を広げている姿を見て余計怖くなった
「はは、頭また逃げられてますね」
源は笑いながら言った
「また?」
「ええ、実はね桃ちゃん」
急に桃ちゃんと呼ばれたが話を聞くと何故だか分かった
「昔、頭は桃ちゃんの世話をしててたまに私も着いていったんです、そしたらいつも頭にくっついていたのに私が来る度に頭を無視して私に寄ってきたんですよ、そしたら頭は奏斗おじさんの方においで!と毎回言ってて、それでも無視されてたから行く度に頭に睨まれてやした、でもその時の桃ちゃんも可愛くて私が飲み物を運ぶのを手伝ったりトイレに行くといっつもついてきてて、だから寄ってこられて嬉しかったですよ」
昔を懐かしむかのように頭を撫でられた、奏斗の時にはなかった安心感のような今まで知らなかったものを感じた
「桃ー・・・」
名前を呼ぶ声は捨てられた子犬の様だった、流石に可哀想だと思い奏斗の近くにも行った
「桃!やっぱり可愛いなぁ、なにもせずとも好かれる源には分からんだろうが桃の可愛さは俺だけ知ってれば良いんだ!」
「頭の避けられる理由ってそう言う所じゃないですか?」
等と冗談を言い合っておりほんの少し警戒心が緩んだ、後部座席に源、奏斗、私の順番で座った、しかし以外にも広いのでゆったりとしているとふと外に目をやろうとしたら窓の脇に「木ノ葉組」と書かれていた、それは桃のすんでいる場所ではそこそこ有名なヤクザの名前だった〔木ノ葉を見たら逃げろ〕等と言われるほどの暴力集団
「あの、奏斗さんってヤクザ?」
血の気が引くのを感じながら恐る恐る聞いてみた
「ん?おう!そうだぞ、だから嫌な輩が居たら教えてくれよな!」
隣に座りおじさん笑顔をしているが言っていることはヤクザっぽい、また震えて身を強ばらせた、すると源は
「頭、一般人からしたらヤクザ、ってだけで怖かったり喧嘩好きなんて思われますよ」
「なっ、俺達はシマを荒らすやつらをシメてるだけだぞ!別に悪いことはっ」
気を荒立てて怖い顔を見せた、ヤクザだから怖かったのかなとようやく納得した一方で源は奏斗の口を押さえながら話し出した
「そりゃ、私達は悪くないですよ、でも一般論ではそうはいかんのですよ」
「ヤクザってだけで一括りにされんのは気に食わんな」
「仕方ないですよ、そもそもヤクザなんて今から一昔前のモンですよ」
「止めろや・・・」
そう言って頭を抱えて奏斗は落ち込んでしまった
「アハハ、大丈夫ですって!」
「おい、源頭をからかうんじゃねぇぞ」
声を発したのは今まで黙っていた運転手だった、スキンヘッドでいかにもヤクザらしい人だった、しかし声色は優しく服装を見る限りではキッチリしてそうだった
「すんません奥田さん、でも家族だし良いじゃないですか」
「え、家族?」
「俺は貶しても良いが幼馴染みだからって頭を落ち込ませんな」
「幼馴染み?」
訳が分からない単語が飛び交って混乱した、すると奏斗が体を起こし
「あー・・・桃、勘違いしないように言っておくが俺達は一緒に居るんだから家族のように親しくなろう、ってことだから皆義理の家族なんだ、あと源は俺の親父、つまり大親分が拾ってきたんだ」
「頭、私捨て犬じゃありませんよ」
「大・・・親分?」
「あぁ、桃には難しいか?んー、会社とかで言う社長だ!」
「な、なるほど・・・?」
分かるような分からないような例えだがなんとなく理解したので大丈夫だと思った、それにしてもこの人達は本当にヤクザなのだろうか?明るくて本当の家族のようにも見えてくる、私もこんな面白い家族がいれば良かったのに、そう考えて落ち込んでいる桃を源は見ていた。
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