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本編
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更新遅くなってしまいすみません……。
♦♦♦♦♦
穢れを浄化する食材なんて見当もつかなかった。
悩む俺にヒューガさんが助け舟を出してくれた。
「トオル、もし手に入るなら桃がいい。
桃には、破邪退魔の力がある。」
「桃?」
ヒューガさんの言葉に、街で買ったドライフルーツの桃があることを思い出した。
カバンの中から、桃のドライフルーツを取り出す。
「これとか?」
ヒューガさんに見せると、彼は頷く。
「あぁ、だが、出来れば生の桃の方が効果が高いだろう。
あとは、ハーブなんかにも魔除けや退魔の力があるものがある。」
そう言って彼は、幾つか退魔の効果のあるハーブを教えてくれた。
生の桃…もしかしたらドライフルーツを売っていた彼女の元にならあるかもしれない。
「生の桃が手に入る所に心当たりがある!
直ぐに行ってくるよ!」
「わかった。
トオル、その乾燥桃に魔力を込めてラインハルトに食べさせてやってくれ。
少しでも効果があるかもしれない…。」
ヒューガさんの言葉に頷き、魔法を込めた桃をラインハルトの口の中に入れる。
少しでもラインハルトの助けになりますように……。
彼の口に桃を入れた途端、苦しんでいたラインハルトの表情が楽そうになる。
意識は戻らないままではあるものの、悪かった顔色が少しだけ良くなった気がした。
彼の様子に安堵しながらアレンと共に厨房に向かった。
とりあえず、ヒューガさんに言われたハーブを探しに行く。
厨房では、ヴェインさんの働きかけでいくつかのハーブを鉢植えで育てている。
ヒューガさんに言われたハーブは、向こうの世界で言うバジル、ミント、ローズマリー、ラベンダー等だった。
確か、ヴェインさんとヒューガさんの話だと薬草系は新芽の方が効力が高いんだっけ?
アレンと共に厨房のハーブを確認していると、厨房に1人の騎士が入ってきた。
「アレン様!トオルさんにリリアンと言う女性が訪ねてきてますがどうしますか?」
騎士さんの言葉にアレンが明らかに眉をひそめた。
「トオル、リリアンって誰だ?」
ハーブを摘み取っていた俺を不機嫌そうに引き寄せ抱きしめてくる。
「ちょっ……アレン離して…。
リリアンさん!こっちから行くつもりだったのに来てくれたのか!
タイミングよかった!」
アレンの腕から抜け出そうともがくが力が強すぎてじたばたしただけだった。
「行くつもりだった?
俺より女の方がいいのか?」
ポツリとアレンがもらす。
「え?いや、誤解だよ!
リリアンさんは、さっきラインハルトに食べさせたドライフルーツを作った人!
リリアンさんなら生の桃も持ってるかも知れないから聞きに行こうと思ってたんだよ!」
俺の説明にアレンが少し安心したように息をついた。
「そういう事か……。」
「うん、そうだよ…。
お、俺が好きなのは…アレンだけだよ…。」
面と向かって言うと何だか恥ずかしくなってしまい、声が小さくなってしまった。
でも、アレンにはちゃんと聞こえていたみたいで嬉しそうに微笑む。
「あ…あの…アレン様…リリアン嬢をお通ししても?」
俺たちの様子に伝えにきた騎士さんが凄く気まずそうに聞いてくる。
あ!見られてた…。
恥ずかしい……。
「あぁ、ここまで連れてきてくれ。」
アレンは、俺の様子に笑いながら騎士さんに指示を出す。
しばらくしてから騎士さんがリリアンさんを案内してきてくれた。
「トオルさん!お会い出来てよかったです……。
トオルさんに教えて貰ったレシピを試してみたら凄く美味しくてトオルさんに味見してもらおうと思って来たんです…。
でも、来たら騎士団が大変な事になってて…。」
リリアンさんは、俺の顔を見るなり泣きそうな顔をした。
そうだったのか…。
リリアンさんの後ろから、コルムくんとカベロくんが一緒についてきていた。
「トオルさん!無事でよかったです…。」
「リオルが怪我をしたって聞いたから心配してたんですよ!?」
2人は、俺の顔を見るなり駆け寄ってきて言葉をかけてくる。
「2人とも!無事でよかった……。
でも、なんでリリアンさんと?」
「彼女がトオルさんを訪ねてきた時に俺たちが呼ばれて出ていったんです。
その後直ぐに襲撃を受けて……。」
カベロくんが説明してくれた。
「3人で騎士さんが守ってくれてたから無事で居られました。」
コルムくんが付け足す様に言う。
「そっか…。
怪我しなくてよかった…。」
3人の無事な顔を見れて心から安堵する。
「それで、トオルさんは何を?」
俺が摘んだハーブを持っているのを見たカベロくんが聞いてくる。
「実は…。」
3人に事情を説明する。
「桃なら家にありますよ!
直ぐに取ってきます!」
話を聞いたリリアンさんが厨房から飛び出して行った。
「コルム、カベロ、2人ともついて行ってやってくれ。」
リリアンさんの勢いに圧倒されていた2人にアレンが指示を出す。
「「はい!」」
アレンの指示に従って2人は直ぐにリリアンさんを追って厨房から飛び出して行った。
リリアンさんのおかげで桃が手に入りそうだ。
とりあえず、材料が手に入る事に安堵した。
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穢れを浄化する食材なんて見当もつかなかった。
悩む俺にヒューガさんが助け舟を出してくれた。
「トオル、もし手に入るなら桃がいい。
桃には、破邪退魔の力がある。」
「桃?」
ヒューガさんの言葉に、街で買ったドライフルーツの桃があることを思い出した。
カバンの中から、桃のドライフルーツを取り出す。
「これとか?」
ヒューガさんに見せると、彼は頷く。
「あぁ、だが、出来れば生の桃の方が効果が高いだろう。
あとは、ハーブなんかにも魔除けや退魔の力があるものがある。」
そう言って彼は、幾つか退魔の効果のあるハーブを教えてくれた。
生の桃…もしかしたらドライフルーツを売っていた彼女の元にならあるかもしれない。
「生の桃が手に入る所に心当たりがある!
直ぐに行ってくるよ!」
「わかった。
トオル、その乾燥桃に魔力を込めてラインハルトに食べさせてやってくれ。
少しでも効果があるかもしれない…。」
ヒューガさんの言葉に頷き、魔法を込めた桃をラインハルトの口の中に入れる。
少しでもラインハルトの助けになりますように……。
彼の口に桃を入れた途端、苦しんでいたラインハルトの表情が楽そうになる。
意識は戻らないままではあるものの、悪かった顔色が少しだけ良くなった気がした。
彼の様子に安堵しながらアレンと共に厨房に向かった。
とりあえず、ヒューガさんに言われたハーブを探しに行く。
厨房では、ヴェインさんの働きかけでいくつかのハーブを鉢植えで育てている。
ヒューガさんに言われたハーブは、向こうの世界で言うバジル、ミント、ローズマリー、ラベンダー等だった。
確か、ヴェインさんとヒューガさんの話だと薬草系は新芽の方が効力が高いんだっけ?
アレンと共に厨房のハーブを確認していると、厨房に1人の騎士が入ってきた。
「アレン様!トオルさんにリリアンと言う女性が訪ねてきてますがどうしますか?」
騎士さんの言葉にアレンが明らかに眉をひそめた。
「トオル、リリアンって誰だ?」
ハーブを摘み取っていた俺を不機嫌そうに引き寄せ抱きしめてくる。
「ちょっ……アレン離して…。
リリアンさん!こっちから行くつもりだったのに来てくれたのか!
タイミングよかった!」
アレンの腕から抜け出そうともがくが力が強すぎてじたばたしただけだった。
「行くつもりだった?
俺より女の方がいいのか?」
ポツリとアレンがもらす。
「え?いや、誤解だよ!
リリアンさんは、さっきラインハルトに食べさせたドライフルーツを作った人!
リリアンさんなら生の桃も持ってるかも知れないから聞きに行こうと思ってたんだよ!」
俺の説明にアレンが少し安心したように息をついた。
「そういう事か……。」
「うん、そうだよ…。
お、俺が好きなのは…アレンだけだよ…。」
面と向かって言うと何だか恥ずかしくなってしまい、声が小さくなってしまった。
でも、アレンにはちゃんと聞こえていたみたいで嬉しそうに微笑む。
「あ…あの…アレン様…リリアン嬢をお通ししても?」
俺たちの様子に伝えにきた騎士さんが凄く気まずそうに聞いてくる。
あ!見られてた…。
恥ずかしい……。
「あぁ、ここまで連れてきてくれ。」
アレンは、俺の様子に笑いながら騎士さんに指示を出す。
しばらくしてから騎士さんがリリアンさんを案内してきてくれた。
「トオルさん!お会い出来てよかったです……。
トオルさんに教えて貰ったレシピを試してみたら凄く美味しくてトオルさんに味見してもらおうと思って来たんです…。
でも、来たら騎士団が大変な事になってて…。」
リリアンさんは、俺の顔を見るなり泣きそうな顔をした。
そうだったのか…。
リリアンさんの後ろから、コルムくんとカベロくんが一緒についてきていた。
「トオルさん!無事でよかったです…。」
「リオルが怪我をしたって聞いたから心配してたんですよ!?」
2人は、俺の顔を見るなり駆け寄ってきて言葉をかけてくる。
「2人とも!無事でよかった……。
でも、なんでリリアンさんと?」
「彼女がトオルさんを訪ねてきた時に俺たちが呼ばれて出ていったんです。
その後直ぐに襲撃を受けて……。」
カベロくんが説明してくれた。
「3人で騎士さんが守ってくれてたから無事で居られました。」
コルムくんが付け足す様に言う。
「そっか…。
怪我しなくてよかった…。」
3人の無事な顔を見れて心から安堵する。
「それで、トオルさんは何を?」
俺が摘んだハーブを持っているのを見たカベロくんが聞いてくる。
「実は…。」
3人に事情を説明する。
「桃なら家にありますよ!
直ぐに取ってきます!」
話を聞いたリリアンさんが厨房から飛び出して行った。
「コルム、カベロ、2人ともついて行ってやってくれ。」
リリアンさんの勢いに圧倒されていた2人にアレンが指示を出す。
「「はい!」」
アレンの指示に従って2人は直ぐにリリアンさんを追って厨房から飛び出して行った。
リリアンさんのおかげで桃が手に入りそうだ。
とりあえず、材料が手に入る事に安堵した。
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