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本編
155
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更新が出来てなくてすみません…。
♦♦♦♦♦
「ん…。」
「トオル?起きたか?」
アレンが俺の顔を心配そうに覗き込む。
「アレン…?あ、俺……。」
指輪の怨念が解放されて直ぐに意識を手放したんだっけ?
辺りは既に夕暮れ時で、日が傾き始めていた。
鍛錬場の隅で寝かされている。
「ラインハルトは?それにアイリーンちゃんも!?」
2人の様子が気がかりで身体を起こそうとしたが、上手く力が入らなかった。
「無理をするな…。
あれだけ大量の魔力を短時間に消費したんだ。
疲れて動けなくなるのは当たり前だ…。
まだ、横になっていろ…。」
アレンがまた心配そうな顔をする。
確かに、彼の言う通り、身体はだるいし、頭は痛い……。
魔法を使いすぎると魔力が無くなるだけじゃなくて疲労感も凄いのか…。
「ラインハルト達は?」
辺りを見渡しても皆の姿は見えなかった。
鍛錬場の地面は、所々抉れて居て、酷い有様だ。
俺の問いかけに彼は更に表情を暗くしながら答える。
「レオンとヒューガが治療の為に部屋に連れて行った…。
レオンのおかげで最悪の事態にはならなかったが、まだ危ない状態ではある……。」
アレンの言葉に、異形の姿になったラインハルトを思い出した。
アイリーンちゃんを救う為に、彼女の纏う穢れを自分に移したのだ。
あのレオンと言う青年のおかげで身体は元に戻ったということ迄は覚えてる。
確か、泣きながらシュークリームを頬張っていたのが印象的だった。
「そう言えは、あのレオンくん?って誰?
初めて見る人だよね?」
と言うよりも、色々ありすぎて聞きそびれて居たが何故、アレンがここに居るんだろう?
「ああ、あいつは、サザンカンフォードの騎士だ。
レオンの協力のおかげで早く戻って来れたんだ。」
サザンカンフォードの騎士?
また色んな疑問が浮かぶ。
でも、まずアレンに言わないといけないことがあるよな。
「アレン、おかえりなさい。
会いたかった…。」
俺の言葉にアレンが笑顔になった。
「あぁ、トオル、ただいま。
俺も会いたかった…。」
そう言いながら彼は俺を抱き上げて抱きしめてくれた。
まだ動かない身体を必死に彼に寄せて背中に手を回す。
アレンの温もりを感じ、抑えていた感情が一気に吹き出した。
頬に涙が伝う。
「アレン…。助けてくれてありがとう…。」
正直、本当に死ぬかと思った。
実際、アレン達が来てくれなければ孤児院で俺も、カイルくんもリオルくんもあのまま死んで居ただろう。
涙を流す俺を更に強く抱きしめて背中をさすってくれた。
「トオルが生きていてくれて本当によかった…。」
そう優しく囁く彼の胸でひとしきり泣いた。
しばらく目一杯泣き、涙も枯れた頃に、彼に声をかけた。
「アレン、お願いがある。」
俺の言葉にアレンが真剣そうな顔で俺の顔を見た。
「どうしたんだ?」
「俺を…ラインハルトの所に連れて行って欲しい…。」
アレンは、一瞬顔を顰めてから言った。
「トオル…。白魔法を使うのは負担が大きいんだろ?
これ以上は……。」
「それでも……。
ラインハルトを助けたい。
大切な親友だから…。」
アレンは、俺が折れないと分かるとため息をつく。
「わかった……。
でも、約束しろ。絶対に無理はするなよ?」
アレンは、そう言うと俺を抱き上げて歩き出した。
-———
ラインハルトの部屋の前に着くと、扉から漏れ出ている光に気づいた。
アレンが扉を開けて中に入る。
中では、レオンと言う青年とヒューガさんが苦しむラインハルトに魔法を使って治療をしていた。
扉から漏れ出ていた光は、どうやらレオンくんの使っている光魔法のようだ。
光の上位属性とアレンが言っていたから、彼の炎魔法の様な協力なものだろうか?
しかし、状況はあまり芳しくない様だった。
魔法を受けたラインハルトは、苦しみながらうめき声を出し、のたうち回っている。
それを傍らに居るヴェインさんが必死に抑えていた。
「トオル?
大丈夫なのか?」
ラインハルトを押さえつけているヴェインさんが、俺たちに気づいて声をかけてきた。
「うん。
俺にもラインハルトの治療を手伝わせて欲しい…。」
俺の言葉にヴェインさんは驚いた顔をした。
「お前、そんな状態で魔法を使うつもりか……?」
アレンに抱えられている俺を見ながら彼は怒ったような顔をする。
やっぱりそうなるよね…。
「あの……。」
レオンくんがそんな俺たちの様子を見ながら不思議そうな顔をしながら声を出した。
「トオルさん?でしたよね?
彼が作ったシュークリームは、彼には効果無いんですか?」
ん?
シュークリーム?
どう言うこと?
突然の彼の言葉にその場に居た全員が首を傾げた。
「レオン、どう言う意味だ?」
アレンが彼に聞く。
「え?皆さん気づいて無かったんですか?
あのシュークリームには魔法が付与されてましたよね?」
シュークリームに魔法?
「そうなのか?
確かに、トオルの作った料理には、トオルの魔力が宿ってるが…。」
「はい。あのシュークリームには、体力回復の魔法が付与されてましたよ?
あのおかげで、私は魔法が使えてます。」
確かに、俺が作った料理には無意識のうちに魔力がこもっているって言われてたけど、詳しい効果までは知らなかった…。
「アレン、まだシュークリームある?」
「あぁ、まだ1個だけあったはずだ…。」
彼は、俺をソファーに座らすと腰のカバンからシュークリームの入った包みを差し出してくれた。
それを受け取ろうとするが思った様に手が動かせない。
それを察してアレンが包みを開け口元まで食べやすいように、生地をちぎってクリームを掬った状態で近づけてくれる。
口を開けると彼がそれを中に入れてくれた。
ラインハルトの魔法が付与されたマジックバックのおかげで作りたての、生地のサクサクの食感と甘いクリームの味が口に広がる。
不思議な事に1口食べただけなのに、身体が軽くなった様な気がした。
実際、手が思い通りに動かせる様になったのだ。
アレンから残りのシュークリームを受け取り全て平らげると身体に力が漲る様な感覚があった。
「トオル、どうだ?」
アレンが俺の変化に驚きながら聞いてくる。
「うん…。なんか、本当に身体が軽くなった…。
普通に歩けそう…。」
ソファーから立ち上がり身体を調べてみる。
まだ、しんどいと言えばしんどかったが、動くのに支障は無さそうだった。
シュークリーム1つでここまで回復するのか?
俺の変わりように様子を見ていたヴェインさんもヒューガさんも驚いている。
「トオルさん、相談があります。」
俺が元気になったのを見ていたレオンくんが声をかけて来た。
「レオンくん?だったよね?
俺に出来る事があるなら何でも言って!」
彼は少し考えたあと口を開いた。
「ラインハルトさんの身体にある穢れを全て浄化しないと危ない状態です。
例えるなら、毒が全身に回っている状態だと思ってください。
今、ヒューガさんと共にその毒が暴れるのをギリギリ抑えているんです。
でも、穢れが強すぎてそれが限界です。」
レオンくんの言葉にヒューガさんも頷く。
「身体の内部から浄化するのが1番早いです。
だから、トオルさんの料理でそれが出来ませんか?」
「つまり、何か、ラインハルトの浄化の助けになるものを作ればいいんだね?」
それなら俺の得意分野だ。
「はい、お願い出来ますか?」
「もちろん!」
でも…。
身体の中から穢れを浄化する料理なんて見当がつかない……。
一体なにを作れば……?
♦♦♦♦♦
「ん…。」
「トオル?起きたか?」
アレンが俺の顔を心配そうに覗き込む。
「アレン…?あ、俺……。」
指輪の怨念が解放されて直ぐに意識を手放したんだっけ?
辺りは既に夕暮れ時で、日が傾き始めていた。
鍛錬場の隅で寝かされている。
「ラインハルトは?それにアイリーンちゃんも!?」
2人の様子が気がかりで身体を起こそうとしたが、上手く力が入らなかった。
「無理をするな…。
あれだけ大量の魔力を短時間に消費したんだ。
疲れて動けなくなるのは当たり前だ…。
まだ、横になっていろ…。」
アレンがまた心配そうな顔をする。
確かに、彼の言う通り、身体はだるいし、頭は痛い……。
魔法を使いすぎると魔力が無くなるだけじゃなくて疲労感も凄いのか…。
「ラインハルト達は?」
辺りを見渡しても皆の姿は見えなかった。
鍛錬場の地面は、所々抉れて居て、酷い有様だ。
俺の問いかけに彼は更に表情を暗くしながら答える。
「レオンとヒューガが治療の為に部屋に連れて行った…。
レオンのおかげで最悪の事態にはならなかったが、まだ危ない状態ではある……。」
アレンの言葉に、異形の姿になったラインハルトを思い出した。
アイリーンちゃんを救う為に、彼女の纏う穢れを自分に移したのだ。
あのレオンと言う青年のおかげで身体は元に戻ったということ迄は覚えてる。
確か、泣きながらシュークリームを頬張っていたのが印象的だった。
「そう言えは、あのレオンくん?って誰?
初めて見る人だよね?」
と言うよりも、色々ありすぎて聞きそびれて居たが何故、アレンがここに居るんだろう?
「ああ、あいつは、サザンカンフォードの騎士だ。
レオンの協力のおかげで早く戻って来れたんだ。」
サザンカンフォードの騎士?
また色んな疑問が浮かぶ。
でも、まずアレンに言わないといけないことがあるよな。
「アレン、おかえりなさい。
会いたかった…。」
俺の言葉にアレンが笑顔になった。
「あぁ、トオル、ただいま。
俺も会いたかった…。」
そう言いながら彼は俺を抱き上げて抱きしめてくれた。
まだ動かない身体を必死に彼に寄せて背中に手を回す。
アレンの温もりを感じ、抑えていた感情が一気に吹き出した。
頬に涙が伝う。
「アレン…。助けてくれてありがとう…。」
正直、本当に死ぬかと思った。
実際、アレン達が来てくれなければ孤児院で俺も、カイルくんもリオルくんもあのまま死んで居ただろう。
涙を流す俺を更に強く抱きしめて背中をさすってくれた。
「トオルが生きていてくれて本当によかった…。」
そう優しく囁く彼の胸でひとしきり泣いた。
しばらく目一杯泣き、涙も枯れた頃に、彼に声をかけた。
「アレン、お願いがある。」
俺の言葉にアレンが真剣そうな顔で俺の顔を見た。
「どうしたんだ?」
「俺を…ラインハルトの所に連れて行って欲しい…。」
アレンは、一瞬顔を顰めてから言った。
「トオル…。白魔法を使うのは負担が大きいんだろ?
これ以上は……。」
「それでも……。
ラインハルトを助けたい。
大切な親友だから…。」
アレンは、俺が折れないと分かるとため息をつく。
「わかった……。
でも、約束しろ。絶対に無理はするなよ?」
アレンは、そう言うと俺を抱き上げて歩き出した。
-———
ラインハルトの部屋の前に着くと、扉から漏れ出ている光に気づいた。
アレンが扉を開けて中に入る。
中では、レオンと言う青年とヒューガさんが苦しむラインハルトに魔法を使って治療をしていた。
扉から漏れ出ていた光は、どうやらレオンくんの使っている光魔法のようだ。
光の上位属性とアレンが言っていたから、彼の炎魔法の様な協力なものだろうか?
しかし、状況はあまり芳しくない様だった。
魔法を受けたラインハルトは、苦しみながらうめき声を出し、のたうち回っている。
それを傍らに居るヴェインさんが必死に抑えていた。
「トオル?
大丈夫なのか?」
ラインハルトを押さえつけているヴェインさんが、俺たちに気づいて声をかけてきた。
「うん。
俺にもラインハルトの治療を手伝わせて欲しい…。」
俺の言葉にヴェインさんは驚いた顔をした。
「お前、そんな状態で魔法を使うつもりか……?」
アレンに抱えられている俺を見ながら彼は怒ったような顔をする。
やっぱりそうなるよね…。
「あの……。」
レオンくんがそんな俺たちの様子を見ながら不思議そうな顔をしながら声を出した。
「トオルさん?でしたよね?
彼が作ったシュークリームは、彼には効果無いんですか?」
ん?
シュークリーム?
どう言うこと?
突然の彼の言葉にその場に居た全員が首を傾げた。
「レオン、どう言う意味だ?」
アレンが彼に聞く。
「え?皆さん気づいて無かったんですか?
あのシュークリームには魔法が付与されてましたよね?」
シュークリームに魔法?
「そうなのか?
確かに、トオルの作った料理には、トオルの魔力が宿ってるが…。」
「はい。あのシュークリームには、体力回復の魔法が付与されてましたよ?
あのおかげで、私は魔法が使えてます。」
確かに、俺が作った料理には無意識のうちに魔力がこもっているって言われてたけど、詳しい効果までは知らなかった…。
「アレン、まだシュークリームある?」
「あぁ、まだ1個だけあったはずだ…。」
彼は、俺をソファーに座らすと腰のカバンからシュークリームの入った包みを差し出してくれた。
それを受け取ろうとするが思った様に手が動かせない。
それを察してアレンが包みを開け口元まで食べやすいように、生地をちぎってクリームを掬った状態で近づけてくれる。
口を開けると彼がそれを中に入れてくれた。
ラインハルトの魔法が付与されたマジックバックのおかげで作りたての、生地のサクサクの食感と甘いクリームの味が口に広がる。
不思議な事に1口食べただけなのに、身体が軽くなった様な気がした。
実際、手が思い通りに動かせる様になったのだ。
アレンから残りのシュークリームを受け取り全て平らげると身体に力が漲る様な感覚があった。
「トオル、どうだ?」
アレンが俺の変化に驚きながら聞いてくる。
「うん…。なんか、本当に身体が軽くなった…。
普通に歩けそう…。」
ソファーから立ち上がり身体を調べてみる。
まだ、しんどいと言えばしんどかったが、動くのに支障は無さそうだった。
シュークリーム1つでここまで回復するのか?
俺の変わりように様子を見ていたヴェインさんもヒューガさんも驚いている。
「トオルさん、相談があります。」
俺が元気になったのを見ていたレオンくんが声をかけて来た。
「レオンくん?だったよね?
俺に出来る事があるなら何でも言って!」
彼は少し考えたあと口を開いた。
「ラインハルトさんの身体にある穢れを全て浄化しないと危ない状態です。
例えるなら、毒が全身に回っている状態だと思ってください。
今、ヒューガさんと共にその毒が暴れるのをギリギリ抑えているんです。
でも、穢れが強すぎてそれが限界です。」
レオンくんの言葉にヒューガさんも頷く。
「身体の内部から浄化するのが1番早いです。
だから、トオルさんの料理でそれが出来ませんか?」
「つまり、何か、ラインハルトの浄化の助けになるものを作ればいいんだね?」
それなら俺の得意分野だ。
「はい、お願い出来ますか?」
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