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本編
152
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※ヴェイン視点
♦♦♦♦♦
異形の姿になり暴れるラインハルトを幾重もの結界で必死に抑え込んだ。
しかし、ラインハルトは元々魔力が強いほうであり、その魔力が穢れの禍々しい力によって増幅されており、抑えるのも精一杯だった。
もう既に何枚も結界が壊されている。
唯一の救いは、魔物化により理性が無くなっているため、彼がみせた固有魔法を使わないでいることだろうか?
しかし、彼が得意な風の魔法で繰り出される刃は、幾度となく結界にひびを入れていた。
「くっ…このままでは…。」
結界が割られていく度に己の魔力が削られて行く。
「ヴェインさん、待たせた!」
ヒューガの声が後ろから響くが振り返る余裕はなかった…。
「すみません、お待たせしました。」
知らない声が聞こえた。
誰だ?
たしか、アレンがレオンと呼んでいた青年だったはずだ。
「ヴェインさん、この人は光の上位属性らしい。
ラインハルトの穢れを浄化出来るかもしれない…。」
ヒューガの言葉に絶望仕切って冷えた心に一筋の希望が芽生えた。
ラインハルト…。
異形の姿に変わってしまった愛する人を見ながら呟いた。
「絶対、絶対に死なせてたまるか…。
俺を置いて行くなんて許さないからな…。」
知らず知らずのうちに自分の頬がまた濡れているのを感じた。
「ヴェインさん?でいいんですよね?
ヒューガさんの合図で結界を解いてください。」
レオンと言う青年が言う。
「くっ……、結界を解いてどうするんだ?」
彼に問う。
穢れに纏われたラインハルトは、本能からか、聖なる力を恐れて攻撃している様な気がしていた。
結界をとけば、一目散に指輪を浄化しているトオルを狙うだろう。
アレンが護っているとはいえ、広範囲攻撃をラインハルトが放とうとすればアレンは、トオルを護る為にラインハルトを切るしか無くなる。
そうなれば彼は…。
「俺がラインハルトを縛る…。」
ヒューガが答えた。
「その隙に、私が彼の穢れの核となっている部分を煌魔法で攻撃します。
それを彼の中から壊せれば少なくとも穢れが増えるのを阻止できます。」
つまり、ラインハルトがこれ以上は化け物にならなくなる?
しかし…。
「だが、それでどうなる?
ラインハルトは、元に戻れるのか?」
背中越しにレオンに聞いた。
予想通り、レオンは暗い声で答える。
「すみません…。
現状では何とも言えません。
これだけ穢れを纏ってしまったら…。
少しずつ、時間を掛けて浄化していくしかありません。
後は、本人の精神力しだいです…。」
やはり、そうか…。
でも、今はその可能性に縋るしか無いことはわかっていた。
「…わかった。
レオン…ラインハルトを…俺の恋人を頼む…。」
俺の言葉にレオンが息を飲んだ。
「……わかりました。
私の力全てをもって彼を助けます…。」
ラインハルトの攻撃で更に結界にひびが入る。
時間が無い……。
ヒューガはラインハルトの周りに札を設置していく。
「この地を護りし、竜神よ…。
我、願い奉るは、凶悪を断拒し不浄を祓除する力。
悪しき者を縛り拘束せよ…。」
彼の呪文により、配置された札が光輝く。
「ヴェインさん!今だ、結界を!」
ヒューガの合図と共に全ての結界を解いた。
その瞬間、結界に阻まれていた禍々しい気配が解放され、直接身に降り注ぐ。
威圧ですら、立って居るのがやっとな程のプレッシャーが襲いかかる。
「ぐっ…こんな…ところで…お前を手放してやるものか!」
怯みそうな身体に喝を入れて持ちこたえた。
結界が解けて直ぐにヒューガが用意していた術式が発動した。
札から鎖が飛び出し、ラインハルトの身体を幾重にも巻き取り拘束する。
「レオン、後は頼む!」
ヒューガがレオンに叫んだ。
「はい!」
レオンは、目にも止まらぬ速さでラインハルトの前に躍り出ると彼に手をかざしながら呪文を詠唱した。
「光り輝く力、聖なる力、慈しみの力により悲しき定めを打ち破ろう。
悲しき運命により泣くものがあるならば、我が命を糧としその宿命を打ち破らん。
古より灯りし、聖なる光よ、悪しき力を身に秘めしかのものに安寧と浄化を!
そして、悪しき力には断罪を!
〖バニッシュメント・レクイエム!〗」
それは歌う様な詠唱だった。
彼が一節、一節を歌いあげる事に周りの穢れに飲まれた空気が澄んでいくようだった。
全て歌いあげる様に詠唱を終えると、天からラインハルトの元に光が差す。
その光の先からは、白い羽根の生えた女性が舞い降りた。
幻想的な光景に、戦いの場だと言うことを忘れただ見蕩れてしまう。
彼女は、空から半透明の弓矢を取り出すと拘束されたラインハルトに向かって矢を絞る。
そして、祈りの様な歌と共に彼にその矢を放った。
放たれた矢は、吸い込まれる様にラインハルトの心臓を貫く。
「ラインハルト!?」
矢に貫かれ痙攣した後、そのまま動かなくなる彼を見て、身体中の血液が凍りついたかと錯覚する程の恐怖に襲われた。
「お前!?何を……!?」
咄嗟にレオンの胸ぐらを掴んでいた。
彼は、今の魔法でかなりの魔力を消費したのか、真っ青な顔をしながら言う。
「ヴェインさん、安心してください。
あの矢は、肉体には影響を及ぼしません…。
彼の穢れの根源を貫きました…。
これで彼は、その身に穢れを溜め込むことは出来ないはずです……。」
取り乱す俺をいつの間にか近づいてきていたカイルがレオンから引き離した。
狼の力を身に宿したカイルは、小柄な身体からは想像もつかない程の怪力で抵抗出来なかった。
「レオン…この後はどうすればいい?」
事の成り行きを見守っていたヒューガがレオンに問いかけた。
「はぁ…はぁ…あとは、彼の身に宿る穢れを少しずつ浄化して行きます…。
ヴェインさん、安心してください。
ほら、彼を見て?」
レオンがラインハルトを指差しながら俺に言った。
指差された方を見るとラインハルト身体に生えていた角や、翼が黒い靄となり霧散していく。
「ラインハルト!」
ヒューガの拘束から解放され支える物が無くなり、彼の身体が地面に崩れた。
咄嗟に彼の元に駆け寄り、身体と地面の間に割り込み彼を支える。
呼びかけても返答が無かった。
しかし、小さくではあるが彼の鼓動と息遣いを感じる。
彼の身体に触れた途端、穢れが自分の身体に流れ込んできて、負の感情が満ちていくが気にしない。
思いっきり彼の身体を抱きしめた。
「ヴェインさん!?」
レオンの焦った様な声が後ろから聞こえる。
「ヴェインさん、彼の身体を寝かせて離れてください。
そのままでは、貴方まで穢れが…。」
頭では理解していたが、心はレオンの忠告に従う事が出来なかった。
愛しいラインハルトから離れたくない…。
動こうとしない俺に、レオンは諦めた様に魔法を展開した。
暖かな光が俺の身体に纏わりつく。
「わかりました…。
その魔法が続いている間は、貴方に穢れは移りません…。」
彼の言葉通り、先程まで流れ込んできた負の感情が静まっていく。
「レオン…ありがとう…。」
彼の方を向いて礼を言うと、彼は照れた様に笑う。
「ヒューガさん、ラインハルトさんの穢れを浄化します。
力を貸してください。」
レオンは、ヒューガに頭を下げる。
「わかった。何からすればいい?」
彼らはラインハルトの浄化を始める為に話をし始めた。
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異形の姿になり暴れるラインハルトを幾重もの結界で必死に抑え込んだ。
しかし、ラインハルトは元々魔力が強いほうであり、その魔力が穢れの禍々しい力によって増幅されており、抑えるのも精一杯だった。
もう既に何枚も結界が壊されている。
唯一の救いは、魔物化により理性が無くなっているため、彼がみせた固有魔法を使わないでいることだろうか?
しかし、彼が得意な風の魔法で繰り出される刃は、幾度となく結界にひびを入れていた。
「くっ…このままでは…。」
結界が割られていく度に己の魔力が削られて行く。
「ヴェインさん、待たせた!」
ヒューガの声が後ろから響くが振り返る余裕はなかった…。
「すみません、お待たせしました。」
知らない声が聞こえた。
誰だ?
たしか、アレンがレオンと呼んでいた青年だったはずだ。
「ヴェインさん、この人は光の上位属性らしい。
ラインハルトの穢れを浄化出来るかもしれない…。」
ヒューガの言葉に絶望仕切って冷えた心に一筋の希望が芽生えた。
ラインハルト…。
異形の姿に変わってしまった愛する人を見ながら呟いた。
「絶対、絶対に死なせてたまるか…。
俺を置いて行くなんて許さないからな…。」
知らず知らずのうちに自分の頬がまた濡れているのを感じた。
「ヴェインさん?でいいんですよね?
ヒューガさんの合図で結界を解いてください。」
レオンと言う青年が言う。
「くっ……、結界を解いてどうするんだ?」
彼に問う。
穢れに纏われたラインハルトは、本能からか、聖なる力を恐れて攻撃している様な気がしていた。
結界をとけば、一目散に指輪を浄化しているトオルを狙うだろう。
アレンが護っているとはいえ、広範囲攻撃をラインハルトが放とうとすればアレンは、トオルを護る為にラインハルトを切るしか無くなる。
そうなれば彼は…。
「俺がラインハルトを縛る…。」
ヒューガが答えた。
「その隙に、私が彼の穢れの核となっている部分を煌魔法で攻撃します。
それを彼の中から壊せれば少なくとも穢れが増えるのを阻止できます。」
つまり、ラインハルトがこれ以上は化け物にならなくなる?
しかし…。
「だが、それでどうなる?
ラインハルトは、元に戻れるのか?」
背中越しにレオンに聞いた。
予想通り、レオンは暗い声で答える。
「すみません…。
現状では何とも言えません。
これだけ穢れを纏ってしまったら…。
少しずつ、時間を掛けて浄化していくしかありません。
後は、本人の精神力しだいです…。」
やはり、そうか…。
でも、今はその可能性に縋るしか無いことはわかっていた。
「…わかった。
レオン…ラインハルトを…俺の恋人を頼む…。」
俺の言葉にレオンが息を飲んだ。
「……わかりました。
私の力全てをもって彼を助けます…。」
ラインハルトの攻撃で更に結界にひびが入る。
時間が無い……。
ヒューガはラインハルトの周りに札を設置していく。
「この地を護りし、竜神よ…。
我、願い奉るは、凶悪を断拒し不浄を祓除する力。
悪しき者を縛り拘束せよ…。」
彼の呪文により、配置された札が光輝く。
「ヴェインさん!今だ、結界を!」
ヒューガの合図と共に全ての結界を解いた。
その瞬間、結界に阻まれていた禍々しい気配が解放され、直接身に降り注ぐ。
威圧ですら、立って居るのがやっとな程のプレッシャーが襲いかかる。
「ぐっ…こんな…ところで…お前を手放してやるものか!」
怯みそうな身体に喝を入れて持ちこたえた。
結界が解けて直ぐにヒューガが用意していた術式が発動した。
札から鎖が飛び出し、ラインハルトの身体を幾重にも巻き取り拘束する。
「レオン、後は頼む!」
ヒューガがレオンに叫んだ。
「はい!」
レオンは、目にも止まらぬ速さでラインハルトの前に躍り出ると彼に手をかざしながら呪文を詠唱した。
「光り輝く力、聖なる力、慈しみの力により悲しき定めを打ち破ろう。
悲しき運命により泣くものがあるならば、我が命を糧としその宿命を打ち破らん。
古より灯りし、聖なる光よ、悪しき力を身に秘めしかのものに安寧と浄化を!
そして、悪しき力には断罪を!
〖バニッシュメント・レクイエム!〗」
それは歌う様な詠唱だった。
彼が一節、一節を歌いあげる事に周りの穢れに飲まれた空気が澄んでいくようだった。
全て歌いあげる様に詠唱を終えると、天からラインハルトの元に光が差す。
その光の先からは、白い羽根の生えた女性が舞い降りた。
幻想的な光景に、戦いの場だと言うことを忘れただ見蕩れてしまう。
彼女は、空から半透明の弓矢を取り出すと拘束されたラインハルトに向かって矢を絞る。
そして、祈りの様な歌と共に彼にその矢を放った。
放たれた矢は、吸い込まれる様にラインハルトの心臓を貫く。
「ラインハルト!?」
矢に貫かれ痙攣した後、そのまま動かなくなる彼を見て、身体中の血液が凍りついたかと錯覚する程の恐怖に襲われた。
「お前!?何を……!?」
咄嗟にレオンの胸ぐらを掴んでいた。
彼は、今の魔法でかなりの魔力を消費したのか、真っ青な顔をしながら言う。
「ヴェインさん、安心してください。
あの矢は、肉体には影響を及ぼしません…。
彼の穢れの根源を貫きました…。
これで彼は、その身に穢れを溜め込むことは出来ないはずです……。」
取り乱す俺をいつの間にか近づいてきていたカイルがレオンから引き離した。
狼の力を身に宿したカイルは、小柄な身体からは想像もつかない程の怪力で抵抗出来なかった。
「レオン…この後はどうすればいい?」
事の成り行きを見守っていたヒューガがレオンに問いかけた。
「はぁ…はぁ…あとは、彼の身に宿る穢れを少しずつ浄化して行きます…。
ヴェインさん、安心してください。
ほら、彼を見て?」
レオンがラインハルトを指差しながら俺に言った。
指差された方を見るとラインハルト身体に生えていた角や、翼が黒い靄となり霧散していく。
「ラインハルト!」
ヒューガの拘束から解放され支える物が無くなり、彼の身体が地面に崩れた。
咄嗟に彼の元に駆け寄り、身体と地面の間に割り込み彼を支える。
呼びかけても返答が無かった。
しかし、小さくではあるが彼の鼓動と息遣いを感じる。
彼の身体に触れた途端、穢れが自分の身体に流れ込んできて、負の感情が満ちていくが気にしない。
思いっきり彼の身体を抱きしめた。
「ヴェインさん!?」
レオンの焦った様な声が後ろから聞こえる。
「ヴェインさん、彼の身体を寝かせて離れてください。
そのままでは、貴方まで穢れが…。」
頭では理解していたが、心はレオンの忠告に従う事が出来なかった。
愛しいラインハルトから離れたくない…。
動こうとしない俺に、レオンは諦めた様に魔法を展開した。
暖かな光が俺の身体に纏わりつく。
「わかりました…。
その魔法が続いている間は、貴方に穢れは移りません…。」
彼の言葉通り、先程まで流れ込んできた負の感情が静まっていく。
「レオン…ありがとう…。」
彼の方を向いて礼を言うと、彼は照れた様に笑う。
「ヒューガさん、ラインハルトさんの穢れを浄化します。
力を貸してください。」
レオンは、ヒューガに頭を下げる。
「わかった。何からすればいい?」
彼らはラインハルトの浄化を始める為に話をし始めた。
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