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本編
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しおりを挟む更新遅くなってしまいすみません。
今日も少し短めです…。
♦♦♦♦♦
「アレン!」
屋敷の中からヴェインさんとラインハルトが走ってこちらに駆け寄って来る。
先に向かっていたカイルくんも一緒だった。
「カイルから話は聞いた。
一体、何が起こっている?」
ヴェインさんは不安そうに聞く。
ラインハルトも顔色が悪い。
「アイリーンの行方は?」
アレンの問いかけに3人は首を振った。
「アイリーン様の部屋に穢れの残滓がありました。
でも、微かにしか残ってない状態で…。」
カイルくんが悔しそうな表情をする。
「俺も手伝おう。
他の皆は直ぐに動けるように準備を…。
トオルとアレンさんは、さっきの話をラインハルトに聞いておいてくれ。」
あの呪いの言っていた、「この国に対する恨み」ことだろう。
ヒューガさんがカイルくんの案内でアイリーンちゃんの部屋に向かう。
「ヒューガ、頼む…。」
ラインハルトは、ヒューガさんの後ろ姿を不安そうに見つめて声をかけた。
「あぁ、任せろ。」
ヒューガさんは、ラインハルトを安心させるように言った。
「さっきの話ってなんだ?」
2人のやり取りを見ていたヴェインさんが俺とアレンに聞いた。
「アイリーンに取り付いた怨念は、この国に恨みがあるらしい。
それと、はるか昔に白魔法で封印された可能性がある。
ラインハルトなら何かこの国の歴史について知ってるんじゃないか?」
アレンの話を聞いて、ヴェインさんとラインハルトは驚いた顔をする。
「白魔法に封印されただと?
ラインハルト、何か知ってるか?」
ヴェインさんの言葉にラインハルトは首を傾げた。
「トオルより前にも実際に白魔法を使える人間が居たって事だよな…。
待てよ…。かなり昔に城の書庫で何か読んだ気が…。」
ラインハルトは、記憶を探るように目を閉じて考えを巡らす。
「……確か…建国のおとぎ話だ…。
守護竜様から加護を受けるよりもっと前の時代に2つのいがみ合っていた国があったらしい…。
その2つの国の争いはどんどん熾烈を極めて行って…一方の国に災いを起こす研究を始めたみたいな話があった……。」
うろ覚えな記憶を辿りながら教えてくれた。
「災いを起こす研究?」
ヴェインさんが顔をしかめる。
「何か知ってるのか?」
アレンが聞くと、ヴェインさんは暗い顔をしながら「あんまり気分のいい話じゃないからな…?」と前置きする。
皆で頷き、彼の話を促す。
「そのおとぎ話では無いんだが…。
昔、他の国でラインハルトの言っていたのとおそらく、同じ研究をしていたのを聞いたことがある。
その研究では、生きている人間に負荷を与え、負の感情で満ちている状態のまま命を絶つんだ。
それを繰り返し行うことでその場に魔力とは違う禍々しい力が満ちていくらしい…。
しかも、その対象は、若ければ若いほど強い禍々しい力を生むそうだ…。」
ヴェインさんの語る内容を想像しただけで背筋冷たいものが走った。
人を呪う為に、何人もの子供に恐怖を与えて殺しまくったってこと?
しかも、もしかしたら、それを国が主体で積極的に実行してたかもしれないなんて……。
話を聞いたアレンとラインハルトも複雑な顔をしている。
「トオル、さっき、ヒューガが呪具を作るためには忌むべき行為をするって言ってたよな?」
アレンが聞いていた。
「うん…。まさに、ヴェインさんの話がそれなのかな?」
「あぁ、ラインハルト、続きを…。」
俺の言葉にアレンが頷きながらラインハルトにおとぎ話の続きを促した。
「あぁ、確か…。
その研究で沢山の犠牲が出たらしい。
そして、ある時、両国に満ちた禍々しい力が1つになり意志を持って暴れだした。
空は黒雲に覆われ、大地は朽ち果て、川は枯れて行った。
そこに仲間と共に旅をしていた初代の国王が鎮めたって話だったと思う。」
あれ?白魔法の話出てこなくない?
白魔法に封印されたって話は?
俺が聞く前にアレンが口に出す。
「戦いの内容については書かれてなかったのか?
奴は、白魔法によって封印されたって言ってたようだが?」
アレンの言葉にラインハルトはさらに記憶を辿った。
「……いや、わからない。
確か、初代国王の仲間が聖なる光で悪しき者を封印したってくらいしか…。
あ、それが白魔法なのか?」
「考える限りそうだろうな…。
まぁ、そもそも、建国のおとぎ話なんだから初代国王を中心に物語を書くだろうから仕方ないか…。」
ラインハルトの話を聞いていたヴェインさんが呟いた。
「確か、ヒューガさんが呪具を作る時の人柱になった人の人格が強く残ってるんじゃないか?って言ってたけど…。」
思い出したように皆に言う。
「じゃあ、つまり、アイリーンに取りついてる奴は封印された時の恨みを晴らそうとしてるってことか?」
俺の言葉にラインハルトが苦々しい顔で反応した。
でも、2つの国はもう滅びてるんだろうし…。
それなら封印した白魔法の使い手?
いや、あいつの口ぶりからしてもうその白魔法の使い手は居ないとわかっているはずだ。
初代国王の時代からまだ残っている恨みの対象って……?
「もしかして…。」
俺に視線が集まった。
「あいつが恨みを晴らそうとしてるのって……。
初代国王の血筋なんじゃ…?」
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