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本編
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ラインハルトがアルバさん(ラインハルトの父)に声の魔法を送ってディアミド陛下から渡されているお金について聞いてくれた。
「銀行に金庫を用意してあるらしいから自由に使ってくれって言ってたぞ?
タグはトオルに既に渡してあるそうだ。」
「タグ?なにそれ?」
特に思い当たる物がなくてラインハルトに聞き返す。
俺の言葉にラインハルトは、自分の腰にある道具袋を漁り、金属で出来たトランプ位のカードを取り出して見せてくる。
「こういうのだ。陛下から貰ってないか?」
ラインハルトの見せてくれたタグを見ながら考える。
何処かで見覚えがあるような……。
「あ!それって銀行で使うやつだったの?」
「心当たりがあるのか?」
ラインハルトが安心したように聞いてくる。
「前、陛下にお会いした時の帰りに貰った香辛料の袋の中に別に入ってたんだよ。
特に何も聞いてなかったから保存を良くするものかな?ってそのまま入れてた気がする………。」
俺の言葉にラインハルトが呆れたような目をする。
リオルくんもカイルくんも苦笑いだ。
だって、なんにも言われなかったし、アレンが服とかは買ってくれたから、今までお金が必要になったこと無かったんだもん……。
「で、それは何処にあるんだよ?」
「多分、食材庫に……。」
「馬鹿、今すぐ取りに行くぞ!」
ラインハルトが焦ったように急かしてくる。
「え、でも朝食の途中だし…?」
カイルくんに助けを求めるが
「トオルさん今すぐ行ってください。
僕達が見ときますから…。」
「そうですよ!
流石に不用心過ぎます…。」
リオルくんまで一緒になってそんなことを言われてしまった。
確かに、通帳をそこら辺に放置してるようなものだもんな…。
ラインハルトに半ば無理矢理引っ張られながら厨房に取りに行ったのだった。
無事タグを見つけて食堂に戻ってきた。
コルムくんとカベロくんにまで苦笑いされたよ…。
「でもさ、陛下も酷くない?
教えてくれてもいいと思うんだよ!」
ラインハルトに愚痴を言う。
「確かにそうだな。
あ、もしかして……。
トオル、タグにちょっとでいいから魔力を流して見ろ。」
ラインハルトが言うには、タグは魔道具の1種らしく最初に魔力を流し、それを記録して本人にしか使えなくするらしい。
言われた通りに、ほんの少しだけ魔力を流してみる。
「こう?」
「あぁ、じゃあ、次は魔力無しで額に当ててみろ。」
最初に魔力を登録してしまえば次からは魔力無しでも使えるそうだ。
言われた通りに額に当ててみるとタグに文字が浮かび上がってきた。
「なんか、出てきたよ?」
「認識阻害がかかってるから俺達には見えない。
数字が出てるはずだ。なんて書いてある?」
「え?1000万ガド
チーニュを模した菓子、誠に美味であった。 その代金だと思うと良い。」
俺の言葉にラインハルトがはぁ、とため息をついた。
リオルくんとカイルくんは、「1000万ガド!?」と目を丸くしながら驚いている。
ガドはこの国のお金の単位だ。
確か、100ガド=100円位の認識であって……!?
「いっ1000万円!?」
俺もその金額の異常さを理解して飛び上がった。
チーニュを模した菓子ってスワンシューのことだよな?
スワンシュー1個で1000万円とか……。
返そう。
詐欺にも程がある。
「ラインハルト、王宮に行こう。
こんな大金要らない。
返す。」
席から立とうとする俺をラインハルトが止める。
「いやいや、流石に今から王宮に行くのは無理があるだろ?
こうなることまで見越して陛下は黙ってタグを渡したのか…。」
「でも、シュークリーム1個に1000万はありえないでしょ!」
「まぁ、それは正式に抗議しとこう。」
その場で直ぐにラインハルトがアルバさんに再度魔法を送ってくれた。
直ぐに返ってきたアルバさんからの言葉をラインハルトが教えてくれる。
「父上も金額に関しては知らなかったみたいだな。
国庫からじゃなくてディアミド陛下の私財からのお金らしい。
父上の声も相当怒ってたから向こうで何とかしてくれると思うぞ……。」
ラインハルトの言葉に一安心した。
「まぁ、とりあえず、今日必要なお金はヴェインに掛け合ってみるか。
それに、ヴェインもなにか用事があったみたいだしな。」
「うん、わかった。執務室に行ってみるよ。」
食事を食べ終えて1人ヴェインさんのいる執務室に向かった。
執務室に入るとヴェインさんがお茶を飲みながら書類を見ていた。
「ヴェイン、おはよう、今、大丈夫?」
「トオル、おはよう。
部屋にいなかったからびっくりしたが、アレンの部屋で寝てんだな。
よく寝れたみたいでよかった…。」
ヴェインさんは俺の顔色を見て嬉しそうに微笑んでくれた。
心配かけちゃったかな。
ごめん……。
「そう言えば、なんで朝起こしに来てくれたの?
なにか用事あった?」
普段、ヴェインさんが起こしに来ることなんか無いんだけど……。
「あぁ、昨日、ラインハルトから街に行くって聞いてな、お金持ってないんじゃないかって心配になったんだよ。
だから、これを渡しておこうと思ってな。」
ヴェインさんは、机の引き出しから革袋を取り出して置いた。
中からはジャラと、金属質な音が響く。
「これは?」
「給料だよ。
というか、特別報酬と言った方が正しいな。給料とはまた別だ。」
特別報酬?
というか、給料の日付はまだ先じゃなかったっけ?
「助かるけど、これ幾らあるの?」
正直、この世界のお金自体見るのがほぼ初めてだから検討もつかない。
さっきの陛下からのこともあるしちょっと不安になった。
「20万ガドだ。
一応言っておくがこれはお前の仕事に対する正当な報酬だからな?
高すぎるとかは聞かんぞ?むしろ、もっと出してもいいくらいだ。」
「20万!?待って、そんなに仕事してないよ!」
まだ2週間くらいしか仕事してないのに給料とは別に20万も貰えないよ……。
俺の言葉にヴェインさんが真剣な顔になる。
「トオル、お前が来てから騎士団の食環境は一気に好転した。
騎士や見習いの栄養状態も士気もかなり良くなったんだぞ?
これは、お前がした仕事への正当な報酬だ。
トオル、本当にありがとうな。」
「そうなんだ……。
そっか…。俺、ちゃんと騎士団の役に立ててるんだね…。」
俺がした仕事への正当な報酬。
ヴェインさんからの言葉が胸に響いた。
「あぁ、だから、素直に受け取って貰えると有難い。
じゃないと、他の騎士へも示しがつかないからな。」
お金が全てとは思わないけど、自分のした仕事がちゃんと評価して貰えて、それが収入になるのが嬉しく思えた。
休暇が終わったらもっともっと頑張って騎士団の為に美味しい料理を作ろう……。
「ヴェイン、ありがとう。
有難く使わせて貰うよ。」
手に取った革袋は、ずっしり重くてその重さがそのまま評価だと思うと更に嬉しく感じた。
「あぁ、でも、そのまま持ち歩くには少し重いよな……?
えーと、確かこの辺に……。」
ヴェインさんは、棚を漁ると腰につけるカバンを引っ張り出してきた。
「あった、あった。
トオル、これ貸してやる。
マジックバックだ。」
渡されたカバンを受け取る。
「いいの?」
「あぁ、そこまで量が入るやつじゃないから今は使って無いんだ。
と言っても限界まで詰めれば1週間くらいは生活に困らない物が入るけどな。」
1週間分の食料が入るくらいって…。
俺には十分過ぎる気がする。
「ヴェイン、ありがとう!」
俺は早速お金の入った革袋をマジックバックに入れる。
マジックバックに入れると不思議なことにお金の重さを感じなくなった。
うわ、これ、凄い便利なバックだ…。
高いのかな?
お金貯めたら買いに行こう…。
「あ、トオル、あと、これも持って行け。」
ヴェインさんは、2枚の紙切れ?を差し出してきた。
ちょうど御札みたいな大きさで見たことない文字が書かれている。
「なにこれ?」
受け取りながら聞いた。
「ヒューガが作った魔道具みたいな物だ。
危険があったら護ってくれるからマジックバックじゃなくてポケットに入れておけ。」
ヒューガさんが作った魔道具みたいなもの?
みたいなってことは、魔道具じゃないのかな?
詳しく聞きたかったけど、ラインハルト達を待たせてるし早く準備して行かないと…。
また今度詳しく聞くことにして執務室を後にする。
「ヴェイン、ありがとう!
ヒューガにもお礼言っておいて。
じゃあ、行って来ます!」
「あぁ、気をつけて楽しんでこいよ!」
「銀行に金庫を用意してあるらしいから自由に使ってくれって言ってたぞ?
タグはトオルに既に渡してあるそうだ。」
「タグ?なにそれ?」
特に思い当たる物がなくてラインハルトに聞き返す。
俺の言葉にラインハルトは、自分の腰にある道具袋を漁り、金属で出来たトランプ位のカードを取り出して見せてくる。
「こういうのだ。陛下から貰ってないか?」
ラインハルトの見せてくれたタグを見ながら考える。
何処かで見覚えがあるような……。
「あ!それって銀行で使うやつだったの?」
「心当たりがあるのか?」
ラインハルトが安心したように聞いてくる。
「前、陛下にお会いした時の帰りに貰った香辛料の袋の中に別に入ってたんだよ。
特に何も聞いてなかったから保存を良くするものかな?ってそのまま入れてた気がする………。」
俺の言葉にラインハルトが呆れたような目をする。
リオルくんもカイルくんも苦笑いだ。
だって、なんにも言われなかったし、アレンが服とかは買ってくれたから、今までお金が必要になったこと無かったんだもん……。
「で、それは何処にあるんだよ?」
「多分、食材庫に……。」
「馬鹿、今すぐ取りに行くぞ!」
ラインハルトが焦ったように急かしてくる。
「え、でも朝食の途中だし…?」
カイルくんに助けを求めるが
「トオルさん今すぐ行ってください。
僕達が見ときますから…。」
「そうですよ!
流石に不用心過ぎます…。」
リオルくんまで一緒になってそんなことを言われてしまった。
確かに、通帳をそこら辺に放置してるようなものだもんな…。
ラインハルトに半ば無理矢理引っ張られながら厨房に取りに行ったのだった。
無事タグを見つけて食堂に戻ってきた。
コルムくんとカベロくんにまで苦笑いされたよ…。
「でもさ、陛下も酷くない?
教えてくれてもいいと思うんだよ!」
ラインハルトに愚痴を言う。
「確かにそうだな。
あ、もしかして……。
トオル、タグにちょっとでいいから魔力を流して見ろ。」
ラインハルトが言うには、タグは魔道具の1種らしく最初に魔力を流し、それを記録して本人にしか使えなくするらしい。
言われた通りに、ほんの少しだけ魔力を流してみる。
「こう?」
「あぁ、じゃあ、次は魔力無しで額に当ててみろ。」
最初に魔力を登録してしまえば次からは魔力無しでも使えるそうだ。
言われた通りに額に当ててみるとタグに文字が浮かび上がってきた。
「なんか、出てきたよ?」
「認識阻害がかかってるから俺達には見えない。
数字が出てるはずだ。なんて書いてある?」
「え?1000万ガド
チーニュを模した菓子、誠に美味であった。 その代金だと思うと良い。」
俺の言葉にラインハルトがはぁ、とため息をついた。
リオルくんとカイルくんは、「1000万ガド!?」と目を丸くしながら驚いている。
ガドはこの国のお金の単位だ。
確か、100ガド=100円位の認識であって……!?
「いっ1000万円!?」
俺もその金額の異常さを理解して飛び上がった。
チーニュを模した菓子ってスワンシューのことだよな?
スワンシュー1個で1000万円とか……。
返そう。
詐欺にも程がある。
「ラインハルト、王宮に行こう。
こんな大金要らない。
返す。」
席から立とうとする俺をラインハルトが止める。
「いやいや、流石に今から王宮に行くのは無理があるだろ?
こうなることまで見越して陛下は黙ってタグを渡したのか…。」
「でも、シュークリーム1個に1000万はありえないでしょ!」
「まぁ、それは正式に抗議しとこう。」
その場で直ぐにラインハルトがアルバさんに再度魔法を送ってくれた。
直ぐに返ってきたアルバさんからの言葉をラインハルトが教えてくれる。
「父上も金額に関しては知らなかったみたいだな。
国庫からじゃなくてディアミド陛下の私財からのお金らしい。
父上の声も相当怒ってたから向こうで何とかしてくれると思うぞ……。」
ラインハルトの言葉に一安心した。
「まぁ、とりあえず、今日必要なお金はヴェインに掛け合ってみるか。
それに、ヴェインもなにか用事があったみたいだしな。」
「うん、わかった。執務室に行ってみるよ。」
食事を食べ終えて1人ヴェインさんのいる執務室に向かった。
執務室に入るとヴェインさんがお茶を飲みながら書類を見ていた。
「ヴェイン、おはよう、今、大丈夫?」
「トオル、おはよう。
部屋にいなかったからびっくりしたが、アレンの部屋で寝てんだな。
よく寝れたみたいでよかった…。」
ヴェインさんは俺の顔色を見て嬉しそうに微笑んでくれた。
心配かけちゃったかな。
ごめん……。
「そう言えば、なんで朝起こしに来てくれたの?
なにか用事あった?」
普段、ヴェインさんが起こしに来ることなんか無いんだけど……。
「あぁ、昨日、ラインハルトから街に行くって聞いてな、お金持ってないんじゃないかって心配になったんだよ。
だから、これを渡しておこうと思ってな。」
ヴェインさんは、机の引き出しから革袋を取り出して置いた。
中からはジャラと、金属質な音が響く。
「これは?」
「給料だよ。
というか、特別報酬と言った方が正しいな。給料とはまた別だ。」
特別報酬?
というか、給料の日付はまだ先じゃなかったっけ?
「助かるけど、これ幾らあるの?」
正直、この世界のお金自体見るのがほぼ初めてだから検討もつかない。
さっきの陛下からのこともあるしちょっと不安になった。
「20万ガドだ。
一応言っておくがこれはお前の仕事に対する正当な報酬だからな?
高すぎるとかは聞かんぞ?むしろ、もっと出してもいいくらいだ。」
「20万!?待って、そんなに仕事してないよ!」
まだ2週間くらいしか仕事してないのに給料とは別に20万も貰えないよ……。
俺の言葉にヴェインさんが真剣な顔になる。
「トオル、お前が来てから騎士団の食環境は一気に好転した。
騎士や見習いの栄養状態も士気もかなり良くなったんだぞ?
これは、お前がした仕事への正当な報酬だ。
トオル、本当にありがとうな。」
「そうなんだ……。
そっか…。俺、ちゃんと騎士団の役に立ててるんだね…。」
俺がした仕事への正当な報酬。
ヴェインさんからの言葉が胸に響いた。
「あぁ、だから、素直に受け取って貰えると有難い。
じゃないと、他の騎士へも示しがつかないからな。」
お金が全てとは思わないけど、自分のした仕事がちゃんと評価して貰えて、それが収入になるのが嬉しく思えた。
休暇が終わったらもっともっと頑張って騎士団の為に美味しい料理を作ろう……。
「ヴェイン、ありがとう。
有難く使わせて貰うよ。」
手に取った革袋は、ずっしり重くてその重さがそのまま評価だと思うと更に嬉しく感じた。
「あぁ、でも、そのまま持ち歩くには少し重いよな……?
えーと、確かこの辺に……。」
ヴェインさんは、棚を漁ると腰につけるカバンを引っ張り出してきた。
「あった、あった。
トオル、これ貸してやる。
マジックバックだ。」
渡されたカバンを受け取る。
「いいの?」
「あぁ、そこまで量が入るやつじゃないから今は使って無いんだ。
と言っても限界まで詰めれば1週間くらいは生活に困らない物が入るけどな。」
1週間分の食料が入るくらいって…。
俺には十分過ぎる気がする。
「ヴェイン、ありがとう!」
俺は早速お金の入った革袋をマジックバックに入れる。
マジックバックに入れると不思議なことにお金の重さを感じなくなった。
うわ、これ、凄い便利なバックだ…。
高いのかな?
お金貯めたら買いに行こう…。
「あ、トオル、あと、これも持って行け。」
ヴェインさんは、2枚の紙切れ?を差し出してきた。
ちょうど御札みたいな大きさで見たことない文字が書かれている。
「なにこれ?」
受け取りながら聞いた。
「ヒューガが作った魔道具みたいな物だ。
危険があったら護ってくれるからマジックバックじゃなくてポケットに入れておけ。」
ヒューガさんが作った魔道具みたいなもの?
みたいなってことは、魔道具じゃないのかな?
詳しく聞きたかったけど、ラインハルト達を待たせてるし早く準備して行かないと…。
また今度詳しく聞くことにして執務室を後にする。
「ヴェイン、ありがとう!
ヒューガにもお礼言っておいて。
じゃあ、行って来ます!」
「あぁ、気をつけて楽しんでこいよ!」
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