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本編
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「……米があれば食べれるように出来るのか?」
ヒューガさんが少し考えたあと口を開く。
「用意出来るの?」
ヒューガの言葉についつい身を乗り出して食いつく。
「……1週間くらい頑張れば?」
ヒューガさんが自分から言い出したのに何故か疑問系だった。
彼は何か考えながら再び目の前の料理に目を向ける。
「…後で考える。」
そう呟くとまた料理を食べ始めた。
1週間かぁ!
1週間あれば米が手に入る?
その頃にはアレンも帰って来てるだろうか?
帰って来てるならいっぱいご飯と合うおかずを作って上げたいなぁ…。
アレン、どうしてるかな…。
ちゃんとご飯食べてるかな…。
「トオル?どうした?食わないのか?」
隣に座っているラインハルトが心配そうに聞いてくる。
「いや、大丈夫だよ。」
口に出したら更に寂しさが込み上げてくる気がして何となく口を噤んだ。
「……そうか?」
ラインハルトは、多分気づいてるけど何も言わないでいてくれる。
「さぁ、食べよう!」
無理矢理気を取り直して食事を進めた。
「ふぅ……美味かった。」
ヒューガさんが目の前の皿を全て平らげて一息つく。
「満足したか?」
ヴェインさんが苦笑いをしながら聞いた。
「8分目くらいだ。」
「こんだけ食っても8分目なのかよ!」
ラインハルトが愕然としながら突っ込む。
8分目って…。
さっきの夕食から合わせて軽く20人前は食べてるのに…。
本当にヒューガさんのお腹は四次元空間なのか?
「トオル。
これはお前が考えたのか?」
呆然としている俺にヒューガさんが聞いてきた。
「いや、考えたのは俺じゃないよ?
教えたのは俺だけど……。」
「どこで学んだ?」
「えっと…言いそびれてたんだけどさ、俺、渡り人なんだ。」
俺の言葉を聞いたヒューガさんが胡散臭そうにまじまじと俺を見た。
「渡り人?お前がか?」
「うん…。」
そこで俺は、ヒューガさんにこちらの世界に来てからこれまでの経緯を話す。
アレンに助けられたこと。
コア様から加護をもらっていること。
騎士団の料理人になったこと。
「ほう?守護竜が言うなら本当なのか。
だが、お前は弱そうだ。」
納得して貰えたはずなのに何故かバカにされてる?
「それは否定出来ないかも……。」
確かに争いとは無縁な世界から来たからなぁ…。
「知っている渡り人はとても強かった…らしい…。」
「へ?」
ヒューガさんの言葉に素っ頓狂な声が出た。
「ち、ちょっとまて!ヒューガ、お前渡り人に会ったことあるのか?」
ヴェインさんも驚きの声をあげる。
「いや、会ったことはない。
だが、昔から沢山話を聞いた。」
「どういう意味だ?」
ラインハルトが怪訝そうに聞く。
「俺の生まれた国、アマテラスは渡り人が創った国だ。」
「「「はっ!?」」」
ヒューガさんの爆弾発言に3人で言葉がハモる。
「食ったら眠くなった。
寝る……。」
ヒューガさんは俺達の言葉を気にせずに談話室から出ようとする。
「いやいや、ヒューガ待てよ!」
急いでラインハルトが駆け寄りヒューガさんを止めようとするが、するりと手から抜けてそのまま自分の部屋に戻ってしまった。
え?ヒューガさんの生まれ故郷は渡り人が創った国?
混乱も治まらないまま夕食はお開きになる。
「まぁ、ヒューガはしばらくここに居るんだ。
焦らずゆっくり話を聞いてみよう。」
ヴェインさんはヒューガさんの態度に慣れてるみたいで、呆れたようにそう言ってくれた。
3人で食器を片付けてから部屋に戻る。
ベッドに横になりながら1人で考えを巡らす。
アマテラス…。
ヒューガさんの故郷で、渡り人が創った国。
米があるってことは日本人だったのかな?
なら、醤油とか、味噌とかもある?
もしあるなら作れる料理のレパートリーが増える。
そうしたらアレンにもっともっと美味しい料理を作ってあげられるよな。
目を閉じて愛しい人を思う。
早く逢いたいな…。
そう考えたらもう寂しさが限界だった。
ふと、ラインハルトに言われた言葉を思い出す。
「別にアレンの部屋で寝ていいって言われたんだろ?」
あの時は1人であの部屋に居るのは寂しいって答えたっけ……。
でも今は、少しでも近くにアレンを感じたかった。
部屋を出てアレンの部屋に向かう。
「ん?トオル?」
後ろからラインハルトの声がした。
「ラ、ラインハルト!?」
突然声をかけられて声がうわずってしまう。
「なんだよ、そんな驚いて…?
どっかいくのか?」
「いや、その……。」
前はアレンの部屋で寝ないって言った手前、彼の部屋に行くと言うのは少し恥ずかしかった。
ラインハルトは、俺の行こうとしていた方向をみて察したようで
「あ……。ふーん?
ほら、行くなら早く行け!
こんな寒いとこに居たら風邪ひくだろ?」
そう言いながら背中を押した。
「わっ…。ありがとう、ラインハルト。
じゃ、おやすみ!」
彼の優しさを感じて少し心がほんわかする。
お礼に今度、ラインハルトの好物でも作ってあげよう。
「あぁ、おやすみ!
あ、一応言っとくけどシーツは汚すなよ?」
一瞬、なにを言われたのか分からなかった。
ニヤニヤ笑いながら最後に言われた言葉の意味を察した時にはラインハルトの姿はもう無く、1人顔を赤くする。
「くっそー!前言撤回。
ラインハルト、嫌いな物のフルコース作ってやる……。」
アレンの部屋に入り1人ベッドに潜る。
いつもは暖かいこの部屋も主が不在のためひんやりとした空気が漂っていた。
アレンが貸してくれた上着を来てきたお陰かそこまで寒くは感じなかった。
しかし、どうしても顔は冷たくて、顔まで毛布に包まる。
毛布に顔を埋めるとアレンの匂いがして、このベッドでした情事も思い出し身体が火照ってくる。
まるで、アレンに抱きしめられてるみたいだった。
ラインハルトに揶揄われた言葉を思い出して逆に意識してしまっているせいだろうか?
「アレン…。」
彼の名前を口にしてみる。
心から愛おしい気持ちが込み上げてきた。
「アレン…逢いたいよ……。
早く帰ってきて…。」
♦♦♦♦♦
次回の更新はR18の内容を含みます。
地雷の方はご注意ください。
18:00頃に更新予定です。
ヒューガさんが少し考えたあと口を開く。
「用意出来るの?」
ヒューガの言葉についつい身を乗り出して食いつく。
「……1週間くらい頑張れば?」
ヒューガさんが自分から言い出したのに何故か疑問系だった。
彼は何か考えながら再び目の前の料理に目を向ける。
「…後で考える。」
そう呟くとまた料理を食べ始めた。
1週間かぁ!
1週間あれば米が手に入る?
その頃にはアレンも帰って来てるだろうか?
帰って来てるならいっぱいご飯と合うおかずを作って上げたいなぁ…。
アレン、どうしてるかな…。
ちゃんとご飯食べてるかな…。
「トオル?どうした?食わないのか?」
隣に座っているラインハルトが心配そうに聞いてくる。
「いや、大丈夫だよ。」
口に出したら更に寂しさが込み上げてくる気がして何となく口を噤んだ。
「……そうか?」
ラインハルトは、多分気づいてるけど何も言わないでいてくれる。
「さぁ、食べよう!」
無理矢理気を取り直して食事を進めた。
「ふぅ……美味かった。」
ヒューガさんが目の前の皿を全て平らげて一息つく。
「満足したか?」
ヴェインさんが苦笑いをしながら聞いた。
「8分目くらいだ。」
「こんだけ食っても8分目なのかよ!」
ラインハルトが愕然としながら突っ込む。
8分目って…。
さっきの夕食から合わせて軽く20人前は食べてるのに…。
本当にヒューガさんのお腹は四次元空間なのか?
「トオル。
これはお前が考えたのか?」
呆然としている俺にヒューガさんが聞いてきた。
「いや、考えたのは俺じゃないよ?
教えたのは俺だけど……。」
「どこで学んだ?」
「えっと…言いそびれてたんだけどさ、俺、渡り人なんだ。」
俺の言葉を聞いたヒューガさんが胡散臭そうにまじまじと俺を見た。
「渡り人?お前がか?」
「うん…。」
そこで俺は、ヒューガさんにこちらの世界に来てからこれまでの経緯を話す。
アレンに助けられたこと。
コア様から加護をもらっていること。
騎士団の料理人になったこと。
「ほう?守護竜が言うなら本当なのか。
だが、お前は弱そうだ。」
納得して貰えたはずなのに何故かバカにされてる?
「それは否定出来ないかも……。」
確かに争いとは無縁な世界から来たからなぁ…。
「知っている渡り人はとても強かった…らしい…。」
「へ?」
ヒューガさんの言葉に素っ頓狂な声が出た。
「ち、ちょっとまて!ヒューガ、お前渡り人に会ったことあるのか?」
ヴェインさんも驚きの声をあげる。
「いや、会ったことはない。
だが、昔から沢山話を聞いた。」
「どういう意味だ?」
ラインハルトが怪訝そうに聞く。
「俺の生まれた国、アマテラスは渡り人が創った国だ。」
「「「はっ!?」」」
ヒューガさんの爆弾発言に3人で言葉がハモる。
「食ったら眠くなった。
寝る……。」
ヒューガさんは俺達の言葉を気にせずに談話室から出ようとする。
「いやいや、ヒューガ待てよ!」
急いでラインハルトが駆け寄りヒューガさんを止めようとするが、するりと手から抜けてそのまま自分の部屋に戻ってしまった。
え?ヒューガさんの生まれ故郷は渡り人が創った国?
混乱も治まらないまま夕食はお開きになる。
「まぁ、ヒューガはしばらくここに居るんだ。
焦らずゆっくり話を聞いてみよう。」
ヴェインさんはヒューガさんの態度に慣れてるみたいで、呆れたようにそう言ってくれた。
3人で食器を片付けてから部屋に戻る。
ベッドに横になりながら1人で考えを巡らす。
アマテラス…。
ヒューガさんの故郷で、渡り人が創った国。
米があるってことは日本人だったのかな?
なら、醤油とか、味噌とかもある?
もしあるなら作れる料理のレパートリーが増える。
そうしたらアレンにもっともっと美味しい料理を作ってあげられるよな。
目を閉じて愛しい人を思う。
早く逢いたいな…。
そう考えたらもう寂しさが限界だった。
ふと、ラインハルトに言われた言葉を思い出す。
「別にアレンの部屋で寝ていいって言われたんだろ?」
あの時は1人であの部屋に居るのは寂しいって答えたっけ……。
でも今は、少しでも近くにアレンを感じたかった。
部屋を出てアレンの部屋に向かう。
「ん?トオル?」
後ろからラインハルトの声がした。
「ラ、ラインハルト!?」
突然声をかけられて声がうわずってしまう。
「なんだよ、そんな驚いて…?
どっかいくのか?」
「いや、その……。」
前はアレンの部屋で寝ないって言った手前、彼の部屋に行くと言うのは少し恥ずかしかった。
ラインハルトは、俺の行こうとしていた方向をみて察したようで
「あ……。ふーん?
ほら、行くなら早く行け!
こんな寒いとこに居たら風邪ひくだろ?」
そう言いながら背中を押した。
「わっ…。ありがとう、ラインハルト。
じゃ、おやすみ!」
彼の優しさを感じて少し心がほんわかする。
お礼に今度、ラインハルトの好物でも作ってあげよう。
「あぁ、おやすみ!
あ、一応言っとくけどシーツは汚すなよ?」
一瞬、なにを言われたのか分からなかった。
ニヤニヤ笑いながら最後に言われた言葉の意味を察した時にはラインハルトの姿はもう無く、1人顔を赤くする。
「くっそー!前言撤回。
ラインハルト、嫌いな物のフルコース作ってやる……。」
アレンの部屋に入り1人ベッドに潜る。
いつもは暖かいこの部屋も主が不在のためひんやりとした空気が漂っていた。
アレンが貸してくれた上着を来てきたお陰かそこまで寒くは感じなかった。
しかし、どうしても顔は冷たくて、顔まで毛布に包まる。
毛布に顔を埋めるとアレンの匂いがして、このベッドでした情事も思い出し身体が火照ってくる。
まるで、アレンに抱きしめられてるみたいだった。
ラインハルトに揶揄われた言葉を思い出して逆に意識してしまっているせいだろうか?
「アレン…。」
彼の名前を口にしてみる。
心から愛おしい気持ちが込み上げてきた。
「アレン…逢いたいよ……。
早く帰ってきて…。」
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