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本編
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玉ねぎのスープは、スライスした玉ねぎをバターで飴色になるまで炒めて、甘味を引き出した後に鶏の出汁を入れて煮込んだシンプルなスープだ。
サラダのドレッシングは、リンゴを使ったヴィネグレットにする。
食材庫にあった品種は、向こうの世界でいう紅玉に似た酸味の強いものだった。
刻んだものとすり卸したものを合わせてドレッシングに入れようと思う。
主菜は、厚切りにした燻製肉を焼いたものと、オムレツだ。
オムレツと言っても100個作るわけにはいかないからスパニッシュオムレツのように具材を入れてオーブンで焼いてしまおうと思う。
コルムくん、カベロくん、リオルくんは流石料理人と言う感じでメモを見ながら班に分かれた見習い騎士の子達と一緒に食材の下ごしらえを始めてくれる。
見習い騎士の子達も、もう慣れたように大量の野菜の皮を剥いたり、切ったりをスムースにしてくれた。
その様子を見て3人は少し驚いたようだった。
こっちの方が早く剥けるとか、こうするとやり易いよなど、お互いが知らない情報を教え合いながら作業を進めていく様子はちょっと微笑ましかった。
俺が教えることも特に無いかも…。
そんなことを考えながら皆のところを回っていると、スープ担当のコルムくんがメモを見ながら聞いてくる。
「トオルさん、この玉ねぎを炒めるときに先に塩を振るのはどうしてですか?」
「あぁ、それは、塩を野菜に振ると水分が出てくるでしょ?
水分を飛ばして玉ねぎの甘みを引き出すのが目的だからその方が早く炒められるんだよ。」
コルムくんはメモを取りながら、俺の言葉を一言も聞き逃さないようにと真剣な顔で聞いていた。
なんか、恥ずかしいな……。
「ありがとうございます!
勉強になります!」
「疑問に思うことがあったらなんでも聞いてね!
俺で答えられることならなんでも答えるから!」
皆を見ながらそう言うと、遠慮がちにリオルくんが声をかけてくれた。
「あの……、トオルさん、すみません、質問いいですか?」
「リオルくん、もちろんいいよ!」
「ありがとうございます!
オムレツ?って料理はオーブンで焼くのにどうして先に具材を炒めるんですか?」
「あぁ、それは、生のまま具材を入れちゃったら野菜から水分がでて一部分だけ固まらなかったり、生焼けになったりしちゃうから先に火を通して水分を抜いておくんだよ。
それに水分を飛ばした方が野菜の旨みが凝縮されて美味しくなるし…。」
リオルくんは、俺の言葉に納得したようにメモを取っていた。
「トオルさん、俺も質問いいですか?」
カベロくんはメモとにらめっこしながら聞いてくる。
「何か分かりにくいとこあった?」
メモは急いで書いた走り書きだったから字が汚かったかな……?
「アポムを切ってから塩水につけとくのってどうしてですか?
あと、レタスとかの葉物野菜は包丁で切っちゃダメなのもどうしてですか?」
アポムはこっちの世界のリンゴの名前だ。
「色止めって言うんだけど、塩水につけとくと色がかわらないから綺麗な色のまま料理に使えるんだよ。
塩味がつくから今回はドレッシングの塩を減らしてあるよ。
ちなみに、レモンを絞った水でも代用出来る。
野菜は、金属に弱いからあんまり刃を入れない方が長持ちするし美味しいんだよ。
それに、手でちぎった方が切り口がギザギザになるからドレッシングが絡みやすくなるんだ。」
「そうなんですね!
ありがとうございます!」
カベロくんもメモを取りながら真剣に話を聞いてくれた。
3人とも真面目なんだなぁ……。
ちなみに、メモは後で3人で共有して勉強に使うみたいだ。
その後も3人からのいろいろな質問に答えていく。
今まで俺自身、師匠に教えられて疑問に思わずに習慣としてやっていた事を何故?と聞かれて自分でもその理由を考え直すいい機会になった。
教えてるはずなのに、俺もまだまだ学ぶことが多いな……。
3人からの質問のおかげで、「あ、この工程をあの料理にも使えるかも?」と思いつくことが出来てよかった。
3人が中心となってくれたおかげで騎士団の皆の分の食事が予定より早く出来上がった。
騎士見習いの子達は、余った時間でヴェインさんの魔法講義の予習が出来ると嬉しそうに戻って行く。
「皆ありがとう!
予定よりずっと早く作り終わったよ!」
「いや、トオルさんの教え方がわかり易かったおかげで初めての料理もサクサク作れました!」
カベロくんが楽しそうに笑う。
リオルくんもコルムくんもその言葉に頷いていた。
「時間結構余ったし、デザートでも作ろうか?」
予定の半分の時間で終わったおかげで朝食の時間まで1時間くらい余ってしまったからもう1品作れそうだ。
「デザートですか!?是非お願いします!」
リオルくんが嬉しそうに言う。
「じゃあ、そうしようか?
リオルくん甘いもの好きなの?」
「僕も甘い物は好きですけど、それ以上にソランジール家の皆様が甘い物好きなんです。
だから、うちの料理長にお菓子の作り方を特に学んでこい!って言われました。」
あぁ、確かにラインハルトもアルバさんもジークムントさんも甘い物好きだもんなぁ…。
簡単に作れるからプリンにしてみようかな?
「ソランジール家の皆様も甘い物好きなんだな!
陛下も珍しい甘味が好きだからいっぱい教えて貰ってこい!って陛下直々にお言葉を頂いたよ…。」
ディアミド様に言われた時を思い出したのか、コルムくんとカベロくんが苦笑いしながらリオルくんに話しかけていた。
なんでも、王宮の厨房にわざわざ足を運んでまで声をかけたらしく、その後すぐに探しに来たアルバさんに執務室に引きづられて行かれたらしい……。
なんかあの2人、アレンとヴェインさんに似てるよね……。
「トオルさん、何を作るんですか?」
リオルくんが興味津々に聞いてくる。
「プリンって言う、卵と生乳で出来るお菓子を作ろうかな。」
プリンなら特別な材料は要らないし、器さえあれば大量に作れる。
3人は聞いた事ないお菓子の名前にイメージが出来なくて首を傾げたが、すぐに楽しそうな顔をする。
とりあえず、カラメルソースから作る。
「じゃあ、まずは少しの水と砂糖を鍋に入れて焦がしてソースを作るよ。」
「「「え!?焦がしちゃうんですか!?」」」
3人が驚いた顔をする。
「うん!焦がしてカラメルって言うほろ苦いソースを作るんだ。
逆にちゃんと焦がさないと全体的に甘ったるくなってあんまり美味しくないから……。」
3人が俺の言葉に納得してくれる。
先にお手本で鍋に水と砂糖を入れて焦がしていく。
厨房に甘い匂いが広がった。
もうこれ以上は、まっ黒焦げになってしまうと言う寸前で水を入れて温度を下げてとろみが出るまで煮詰めたら完成だ。
「こんな感じかな?
じゃあ、皆もやってみようか。
凄く熱いから飛んだら大火傷するから気をつけてね。」
俺の言葉に3人は少し緊張しながらカラメルソースを作っていく。
じーっと鍋を見つめて焦がしすぎないように注意している。
ちょうどいいタイミングで俺が声をかけて皆が水を入れて、いい色のカラメルソースが出来た。
「うん!皆いい感じだね!」
俺の言葉に3人は緊張をといて安堵する。
「じゃあ、次はプリンの本体を作ろうか!」
俺の言葉に3人はまた少し緊張をしたような顔をしていた。
♦♦♦♦♦
いつも応援ありがとうございます!
最近更新が遅くて申し訳ありません……。
皆様の応援のおかげでついに本編が100話を突破しました!
本当にありがとうございます!
感想、御要望お待ちしております。
Twitterもやってますので是非フォローお願いします。
作者プロフィールからTwitterへ飛べます。
今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m
サラダのドレッシングは、リンゴを使ったヴィネグレットにする。
食材庫にあった品種は、向こうの世界でいう紅玉に似た酸味の強いものだった。
刻んだものとすり卸したものを合わせてドレッシングに入れようと思う。
主菜は、厚切りにした燻製肉を焼いたものと、オムレツだ。
オムレツと言っても100個作るわけにはいかないからスパニッシュオムレツのように具材を入れてオーブンで焼いてしまおうと思う。
コルムくん、カベロくん、リオルくんは流石料理人と言う感じでメモを見ながら班に分かれた見習い騎士の子達と一緒に食材の下ごしらえを始めてくれる。
見習い騎士の子達も、もう慣れたように大量の野菜の皮を剥いたり、切ったりをスムースにしてくれた。
その様子を見て3人は少し驚いたようだった。
こっちの方が早く剥けるとか、こうするとやり易いよなど、お互いが知らない情報を教え合いながら作業を進めていく様子はちょっと微笑ましかった。
俺が教えることも特に無いかも…。
そんなことを考えながら皆のところを回っていると、スープ担当のコルムくんがメモを見ながら聞いてくる。
「トオルさん、この玉ねぎを炒めるときに先に塩を振るのはどうしてですか?」
「あぁ、それは、塩を野菜に振ると水分が出てくるでしょ?
水分を飛ばして玉ねぎの甘みを引き出すのが目的だからその方が早く炒められるんだよ。」
コルムくんはメモを取りながら、俺の言葉を一言も聞き逃さないようにと真剣な顔で聞いていた。
なんか、恥ずかしいな……。
「ありがとうございます!
勉強になります!」
「疑問に思うことがあったらなんでも聞いてね!
俺で答えられることならなんでも答えるから!」
皆を見ながらそう言うと、遠慮がちにリオルくんが声をかけてくれた。
「あの……、トオルさん、すみません、質問いいですか?」
「リオルくん、もちろんいいよ!」
「ありがとうございます!
オムレツ?って料理はオーブンで焼くのにどうして先に具材を炒めるんですか?」
「あぁ、それは、生のまま具材を入れちゃったら野菜から水分がでて一部分だけ固まらなかったり、生焼けになったりしちゃうから先に火を通して水分を抜いておくんだよ。
それに水分を飛ばした方が野菜の旨みが凝縮されて美味しくなるし…。」
リオルくんは、俺の言葉に納得したようにメモを取っていた。
「トオルさん、俺も質問いいですか?」
カベロくんはメモとにらめっこしながら聞いてくる。
「何か分かりにくいとこあった?」
メモは急いで書いた走り書きだったから字が汚かったかな……?
「アポムを切ってから塩水につけとくのってどうしてですか?
あと、レタスとかの葉物野菜は包丁で切っちゃダメなのもどうしてですか?」
アポムはこっちの世界のリンゴの名前だ。
「色止めって言うんだけど、塩水につけとくと色がかわらないから綺麗な色のまま料理に使えるんだよ。
塩味がつくから今回はドレッシングの塩を減らしてあるよ。
ちなみに、レモンを絞った水でも代用出来る。
野菜は、金属に弱いからあんまり刃を入れない方が長持ちするし美味しいんだよ。
それに、手でちぎった方が切り口がギザギザになるからドレッシングが絡みやすくなるんだ。」
「そうなんですね!
ありがとうございます!」
カベロくんもメモを取りながら真剣に話を聞いてくれた。
3人とも真面目なんだなぁ……。
ちなみに、メモは後で3人で共有して勉強に使うみたいだ。
その後も3人からのいろいろな質問に答えていく。
今まで俺自身、師匠に教えられて疑問に思わずに習慣としてやっていた事を何故?と聞かれて自分でもその理由を考え直すいい機会になった。
教えてるはずなのに、俺もまだまだ学ぶことが多いな……。
3人からの質問のおかげで、「あ、この工程をあの料理にも使えるかも?」と思いつくことが出来てよかった。
3人が中心となってくれたおかげで騎士団の皆の分の食事が予定より早く出来上がった。
騎士見習いの子達は、余った時間でヴェインさんの魔法講義の予習が出来ると嬉しそうに戻って行く。
「皆ありがとう!
予定よりずっと早く作り終わったよ!」
「いや、トオルさんの教え方がわかり易かったおかげで初めての料理もサクサク作れました!」
カベロくんが楽しそうに笑う。
リオルくんもコルムくんもその言葉に頷いていた。
「時間結構余ったし、デザートでも作ろうか?」
予定の半分の時間で終わったおかげで朝食の時間まで1時間くらい余ってしまったからもう1品作れそうだ。
「デザートですか!?是非お願いします!」
リオルくんが嬉しそうに言う。
「じゃあ、そうしようか?
リオルくん甘いもの好きなの?」
「僕も甘い物は好きですけど、それ以上にソランジール家の皆様が甘い物好きなんです。
だから、うちの料理長にお菓子の作り方を特に学んでこい!って言われました。」
あぁ、確かにラインハルトもアルバさんもジークムントさんも甘い物好きだもんなぁ…。
簡単に作れるからプリンにしてみようかな?
「ソランジール家の皆様も甘い物好きなんだな!
陛下も珍しい甘味が好きだからいっぱい教えて貰ってこい!って陛下直々にお言葉を頂いたよ…。」
ディアミド様に言われた時を思い出したのか、コルムくんとカベロくんが苦笑いしながらリオルくんに話しかけていた。
なんでも、王宮の厨房にわざわざ足を運んでまで声をかけたらしく、その後すぐに探しに来たアルバさんに執務室に引きづられて行かれたらしい……。
なんかあの2人、アレンとヴェインさんに似てるよね……。
「トオルさん、何を作るんですか?」
リオルくんが興味津々に聞いてくる。
「プリンって言う、卵と生乳で出来るお菓子を作ろうかな。」
プリンなら特別な材料は要らないし、器さえあれば大量に作れる。
3人は聞いた事ないお菓子の名前にイメージが出来なくて首を傾げたが、すぐに楽しそうな顔をする。
とりあえず、カラメルソースから作る。
「じゃあ、まずは少しの水と砂糖を鍋に入れて焦がしてソースを作るよ。」
「「「え!?焦がしちゃうんですか!?」」」
3人が驚いた顔をする。
「うん!焦がしてカラメルって言うほろ苦いソースを作るんだ。
逆にちゃんと焦がさないと全体的に甘ったるくなってあんまり美味しくないから……。」
3人が俺の言葉に納得してくれる。
先にお手本で鍋に水と砂糖を入れて焦がしていく。
厨房に甘い匂いが広がった。
もうこれ以上は、まっ黒焦げになってしまうと言う寸前で水を入れて温度を下げてとろみが出るまで煮詰めたら完成だ。
「こんな感じかな?
じゃあ、皆もやってみようか。
凄く熱いから飛んだら大火傷するから気をつけてね。」
俺の言葉に3人は少し緊張しながらカラメルソースを作っていく。
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「うん!皆いい感じだね!」
俺の言葉に3人は緊張をといて安堵する。
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