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本編

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少し短めなので後ほどまた更新します。

♦♦♦♦♦

赤い顔で去っていくカイルくんの様子を呆然としながら眺めてしばらく経った頃、厨房にアレンが戻ってきた。


「トオル?どうしたんだ?なんかぼーっとしてないか?」

矢継ぎ早に聞かれる。

「いや、なんでもないよ?」

今のカイルくんとの話をしたら何だか絶対に怒られるような気がしてついつい隠してしまう。

まぁ、俺の考えすぎだろうけど……。

「そうか?まぁ、いいか。
……今日も俺の部屋で寝るよな?」

アレンは不思議そうな顔をした後に、突然俺の身体を抱き上げてそのまま自分の部屋に歩き出す。

「え!?アレンちょっと待って……」

俺の言葉はアレンに届いてないようでそのまま身体を揺さぶられながら彼に運ばれた。


部屋までつくとそのままベッドの上に押し倒される。


「トオル……。」

甘い声で俺の名前を呼ぶと深い口付けをくれた。
ほのかに香るアルコールの香りがどちらのものなのか分からなかった。

アレンは、いつもよりもちょっと強引でやっぱり彼も酔ってるんだと悟る。

「はぁ…はぁ…アレン…待って…俺……。」

「嫌か?」
少し寂しそうな顔で聞いてくる。

違うんだ。
嫌なんじゃなくて……。

突然抱えられて揺さぶられたからさっきまで平気だったのに急に酔いが回ってしまい気持ち悪くなってくる…。

やばい……吐きそう……。

「アレン……やばい……吐く……。」
俺の突然の言葉に

「吐くほど嫌だったのか……。」
と悲しそうに声を出す。

否定したいけど今はそれどころじゃなくてアレンを押しのけて何とかトイレまでたどり着いた。



アルコールは吐いた方がすっきりするから……。

あ、やばい…眠くなってきた……。

すっきりしてから口をゆすいで歯磨きをしてから、ウトウトしながらまだ落ち込んでるアレンの元に戻る。

「アレン、いきなり抱き上げられて揺さぶられたら酔いが回るからダメだよ……。」

俺の言葉に納得したらしく少しシュンとしながら謝ってくれた。

落ち込んでるアレンを慰めるために抱きつくと、彼は嬉しそうに優しく抱きしめ返してくれた。

「トオル…すまなかったな。具合は大丈夫か?」

「うん、もう平気……。でも眠い……。」

目を開けてるのすら精一杯でアレンの身体に体重を預けると彼の心地よい体温を感じて更に眠気がましてくる。

無意識に彼の胸元に頭を擦り寄せて居たらしく頭にキスを落とされた。

彼を見上げると愛しそうに唇にキスをくれる。

「トオル……。」

そのまま深いキスをしてくるがもう応える元気も無く快感に身を委ねながらそのまま彼に抱かれながら意識を手放した。



次の日の朝、目を覚ますとアレンに抱きしめられながら寝ていた。
お互い、服を着ていなくて驚いてしまう。

「トオル!起きたのか?体調は平気か?」

俺が動いた時に彼も起こしてしまったらしい。

「え?うん、平気……。
なんで裸なの……?」

俺の質問にキスをしながらアレンが答えてくれた。

「あぁ、昨日、あのままトオルが寝てしまってな。
トオルの着替えを取りに行こうとしたら『行かないで……』って俺の服を掴んで離さなかったから仕方なくそのまま服を脱がして寝たんだ。
ちゃんと下着は履いてるだろ?」

俺、寝ぼけてそんなことしたの?
恥ずかしい……。

確認すると確かに2人ともパンツは履いていた。

恥ずかしくて俯いていると耳元で
「寝ぼけて甘えてくるトオルも可愛かったぞ?」
と囁かれる。


「じゃ、じゃあ、な、なんでアレンまで裸なんだよ!」

「お、俺は、いつもこの格好で寝てるからな。」

ちょっと待て!
今、明らかに目を逸らしただろ?


………昨日、酔いが回って迷惑かけちゃったから、まぁ、いいか。


「あ、トオル、今日、コアの所に呼ばれたから朝ごはん食べれなそうだ。」

ふいにアレンが思い出したように言う。

「コア様のところ?
こんなに朝早くからいくの?」

疑問に思い聞いてみる。
というか、そもそもどうやって呼ばれたってわかったんだろう?

アレンも今起きたところだよね?

「あぁ、昨日コアが夢の中に来てな。
急ぎの頼みがあるらしい。
直接、内容を話したいから朝一で来いって言われてな。
深刻そうだったから行ってくる。
俺も聞きたいことあるからちょうどよかったんだけどな。」


コア様が夢に出てきたのか……。
そう話すアレンは真剣そうな顔をしていて冗談を言って居るようには思えなかった…。
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