料理人は騎士団長に食べさせたい

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本編

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王様とのお茶会は色々な話を聞けてすぐに時間が過ぎてしまった。

アルバさんが
「そろそろ執務に戻らないと。」
とディアミド様に言うが

「まだ良いでは無いか!」
と話を続けようとする。


「では、明日、今日の分も込で朝から晩までずっと執務室に閉じ込めますね。」
とアルバさんがいい笑顔で言うとディアミド様はなんとも言えない表情でお茶会の終わりを宣言した。

ラインハルトはクスクス笑ってたけど、アレンはヴェインさんとのやり取りを思い出したようでディアミド様のようになんとも言えない表情をしていた。


「トオル、またゆっくり話そう。」

去り際にディアミド様が言ってくれてアルバさんも笑顔で頷いてくれた。

「ライリー、お前も一緒に騎士団に戻るか?」
アレンがライリーくんに聞く。


「いや、私はまだ王宮に用事があるから1度部屋に戻る。
トオル、これからもよろしく頼む。」

そう言い残してサロンから去っていった。

偉い人達が居なくなり3人でひと息ついた。

「はぁ……。楽しかったけどちょっと疲れたよ…。」
俺のつぶやきにラインハルトが笑う。

「まぁ、まさか王子に求婚されるとは思わなかったもんな。
しかし、いつライリー殿下に会ったんだ?」

アレンもそれは気になっていたらしくラインハルトの言葉に頷く。

「あぁ、あの俺が寝坊した日あったでしょ?」

2人が俺の言葉に頷く。

「あぁ、トオルがな。」

「その言い方はやめろよ!」
あの日の事を思い出して恥ずかしくなりラインハルトに八つ当たりで拳を放つ。

それをひょいと躱しながらラインハルトは笑っている。

「それで、その日に何があったんだ?」

ラインハルトとじゃれているとアレンが話の続きを促した。

「特に何も無いよ?
ただ、道に迷って執務室までの道を聞いただけ。」

その言葉にラインハルトとアレンは苦笑いをした。

「それだけでライリー殿下に惚れられたのか……?」

「……たぶん。一目惚れって言ってたし本当にそれだけだと思うよ。」

ラインハルトの言葉にそう返す。


「それだけで求婚されるなんて……。
カイルが正式に騎士になったらトオルから常に離れないように言わないといけないな…。」
アレンが独り言のように呟いた。

俺、10歳年下の子にお目付け役になられるのか……。

想像してちょっと凹んだ。

「あ、ラインハルト、正式に騎士団所属おめでとう!何かお祝いしないとね!」


「おぉ!ありがとな。
でも、正直、今更感あるし祝うほどのことでもねぇよな。」

まぁ、そう言われると俺が来てからはラインハルトはずっと騎士団にいる訳だから今更感は否めないし、俺が歓迎会をするって言うのもなんか違う気がするな…。

「まぁ、ラインハルト、そう言うな。
トオルの歓迎会も兼ねて今日は皆で酒でも飲むか?」

アレンがちょっと残念そうにしていた俺に見兼ねて提案してくれた。

「歓迎会!?いいの?
じゃあ、俺、今日は張り切って料理するね!」

「酒は呑みたいから俺も大歓迎だぜ!
トオル、騎士団に戻ったら一緒に料理作ろうな!」 

俺たちの言葉にアレンが苦笑いしながら

「歓迎される2人が料理を作るんだな…。
まぁ、楽しそうならいいか。」

と言ってくれた。


「よし、じゃあ、そろそろ帰るか!」
ラインハルトの先導で馬車に向い、騎士団の宿舎に帰った。


帰り際に執事さんが
「こちらを陛下からトオル様へと預かっております。
西の暑い国でとれる珍しい香辛料らしいのですが、トオル様はこういう物の方が喜ぶだろうと仰っておりました。」

と言って紙袋をくれた。

帰りの馬車で確認してみると色々な種類のスパイスが入っていた。

シナモンやターメリック、クミンなどや、見たことないスパイスもいくつかある。

凄い!
これだけ種類があれば色々な料理が作れそうだ!


今日は、皆で飲み会かぁ……。

なにを作ろうかな?
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