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本編
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しおりを挟むしばらくすると着替えに行ったライリーくんが落ち着いた様子で戻ってきた。
「トオル、先ほどは取り乱してすまなかった。」
俺を見るなり申し訳なさそうに謝ってくる。
先ほどの様な幼さは無くて王族としての風格を感じた。
まぁ、さっきのを見ちゃったからもうかっこいい王子ってイメージは持てないけどね…。
どっちかと言うとカイルくんや騎士見習いの子達みたいに可愛がってあげたくなるイメージだ。
そんなことしたら確実にアレンの機嫌が悪くなるだろうからしないけど…。
とりあえず、落ち着いたようでよかった。
執事さんが席に着いたライリーくんにスワンシューを持って来てくれて、彼も嬉しそうに食べ始める。
笑顔でお菓子を食べる姿はカイルくんのようで可愛く思えてついつい頬が緩んでしまう。
グッ……アレン……笑顔で俺の手を強く握るの辞めて……。
痛いから……。
そして、目が笑ってないから……。
「アレン…大丈夫だって。
心配するなよ…。」
小声で彼に話しかけた。
「分かってる。分かっては居るが腹は立つぞ…。
それにトオル子供好きだろ?」
まぁ、確かに子供というか自分よりも年下は甘やかしたくなるが…。
「好きだけど、そういう対象にはならないよ?
そもそも、アレンじゃなきゃ男と付き合ってないからね?」
アレンは、俺の言葉に少し安心したみたいで手を弛めてくれた。
「2人ともイチャイチャするのは帰ってからにしろよ……?」
ディアミド様やアルバさん、ライリーくんを気にしながら、俺たちを見てラインハルトが言う。
「イチャイチャはしてないよ…。」
彼に小声で答えると苦笑いをした。
そんな俺たちを見てディアミド様が
「お前達、なにをヒソヒソと話しておるのじゃ?」と聞いてくる。
「「い、いえ、なんでもありません!」」
ラインハルトと声を揃えて答えると不思議そうな顔をしたあと、楽しそうに笑った。
「お前達は本当に仲がいいのじゃな。
あの引っ込み思案で大人しかったラインハルトがそんなに心を開くとはのぅ……。」
ディアミド様はそんなことを言う。
引っ込み思案?
ラインハルトが?
アルバさんを見ると彼は嬉しそうに頷いた。
ラインハルトは恥ずかしそうに笑っている。
「トオル殿、ラインハルトは優秀すぎるが故に周りの人間と上手くいかないことが多くてですね…。
昔から1人で居ることばかりだったのですよ。」
「ち、父上!?恥ずかしい話はやめてください……。」
ラインハルトがアルバさんの言葉に項垂れる。
「ラインハルトがですか!?」
人当たりが良くて文武両道でイケメンな今のラインハルトからは想像が出来無かった。
「トオル、ラインハルトは元々はカイルみたいに人見知りだったんだぞ?」
アレンが教えてくれる。
「え?そうなの!?」
アレンとラインハルト交互に見る。
「そうですよ。公爵家の人間がそれでは困るからと孤児院に慰問を兼ねて連れて行ったのがアレンやヴェインとの出会いでしたか。
同年代の子が多く集まる孤児院なら少しは人と打ち解けるかと思いまして……。」
アルバさんは、昔を思い出しながら懐かしそうに言った。
「アルバ様、あの頃のラインハルトは今と違って可愛かったですよね……。
私やヴェインの後を雛みたいについて回って……。
今じゃ私には容赦ないですからね。」
アレンとアルバさんが楽しそうに笑っている。
「おい、アレン、辞めろよ!
それに俺はアレンの後をついてまわっては無い。
ヴェインの後をついていってたんだよ!」
ラインハルトが顔を真っ赤にしながら抗議する。
「いや、ラインハルト、そこは重要じゃないと思うよ?」
むしろ、その時にはもう既にヴェインさんのことが好きだったのか…。
「結局、孤児院の子供たちとは打ち解けたんですが、貴族の子供たちとは相変わらずで……。」
アルバさんが苦笑いしながら言う。
「そうじゃな。
たまには、私に顔を見せてくれって言っておるのに王宮には近寄ろうともせんかったからな。
それなのに、トオルと一緒になら普通に王宮まで来るとは……。」
ディアミド様も苦笑いしながら言った。
ん?ラインハルトとディアミド様ってどういう関係?
ディアミド様が教えてくれる。
「トオル、私父上とアルバの母は姉弟なのじゃ。
だから私とラインハルトは親戚なのじゃ。」
えっと…アルバさんとディアミド様が従兄弟だからラインハルトからしたらディアミド様は大叔父なのか?
つまりラインハルトは、少しだけ王族の血を引いてるってことか!
「いや、トオル、冷静に考えてみろ。
めちゃくちゃ遠縁だからな?
だからそのキラキラした目で見るのやめろ?」
ラインハルトをキラキラした目で見ていたら即突っ込まれた。
まぁ、そうだよね…。
俺、父さんの従兄弟の息子とか会ったことないもん…。
ラインハルトの言葉にディアミド様が苦笑いした。
「トオル殿、陛下はそんなことを言って優秀なラインハルトを近くに置いておきたいだけなので気にしなくていいですよ?
陛下は、ジークムントで我慢してください。」
アルバさんが冷たくディアミド様に言い放った。
アルバさん、その言い方だとジークムントさんが可哀想だよ……。
ジークムントさんの方を見ると………。
あれ?頭に?マークが浮いてるように見える。
「トオル、兄貴は多分、陛下が大叔父ってことから理解してないから気にするな……。」
ラインハルトが苦笑いしながら教えてくれた。
「ジークムントさん……。」
確かにこんがらがる話ではあるけどさ…。
ジークムントさんそれでいいのか……?
「トオル!この菓子凄く美味しかったぞ!」
スワンシューをゆっくり味わって食べていたライリーくんが声をかけてくれた。
無くなるのが寂しそうにちょっとずつ食べていてカイルくんを思い出して可愛かったんだよね。
「本当?気に入って貰えてよかったよ!」
「あぁ、毎日でも食べたい味だった!」
満面の笑みで言ってくれる。
「たまに騎士団でもデザートに作ろうかな?」
そう呟くと嬉しそうに喜んでくれた。
ちなみにライリーくんと話をしている間は、アレンが机の下で俺の手を取って手を絡めてきている……。
話してるだけだろ?
そして、騎士団でたまに作ろうかな?と呟いた時にディアミド様が「私も遊びに行くぞ!」と言い出してアルバさんに睨まれていた……。
♦♦♦♦♦
いつも応援ありがとうございます。
昨日は、更新が出来ず申し訳ありませんm(_ _)m
今日は、少し多めに更新できそうです!
お楽しみにお待ちください。
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