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本編
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「おい!ライリー貴様なんのつもりだ!」
アレンが今にも斬りかかりそうな殺気を放ちながらライリー殿下を睨みつける。
「アレン、殿下に向かって流石に不味いでしょ!」
「アレン、落ち着けって!」
焦りながらラインハルトと協力してアレンをなだめる。
怒るアレンを見てライリー殿下は驚いたように声を出した。
「アレン、何故そなたが怒るのだ?
私はトオルに求婚してるのだぞ?
アレンには関係ないでは無いか。」
やめて…。
お願いだからこれ以上アレンを煽らないでください…。
心無しか部屋の温度が上がった気がする。
「関係ないだと!?
ふざけるな!トオルは俺の恋人だ!」
アレンの言葉にライリー殿下はキョトンとする。
「こ…恋人だと……?」
アレンの言葉を繰り返しながらその意味を理解したようにその場に崩れた。
「え?ラ、ライリー殿下?」
突然石像のように固まった彼を心配して声をかけた。
「ト、トオル……。今の話は本当か……?」
生気のない声に語りかけられた。
ディアミド様や、アルバさん、ジークムントさんの視線が俺に集まりとても気まずい。
「はい……。私はアレンと付き合ってます…。」
恥ずかしい…。
なんでこんなに偉い人達の前でこんなこと言わないといけないんだ……。
「まぁ、トオル殿の服を見た時から察しはついてましたけど。ねぇ陛下?」
「そうじゃな?あの独占欲の塊みたいな服を贈ったのはアレンじゃろ?のう、アルバ?」
そこの2人、ヒソヒソ話の割にはバッチリ聞こえてますから……。
恥ずかしいから本当にやめてください…。
ちなみに、ジークムントさんは「え?マジで?」みたいな顔をしてた。
あのくらい能天気に生きたいよ…。
「ぐすん……。」
アルバさんとディアミド様の会話に気を取られていると、ライリー殿下の方からすすり泣く声が聞こえてくる。
「ラ、ライリー殿下?」
彼を見ると目から大粒の涙を落として泣いていた。
「ぐすん……やっと……運命の人に…会えたと思ったのに……。
やっと…アシュリンを…忘れられると……ぐすん……。」
運命の人?俺、ライリー殿下に何かしたっけ?
ラインハルト、「あーぁ、泣かしたー。」みたいにこっち見るの辞めて!?
アレンに助けを求めるが、彼はまだ殺気を放っていて下手したらこのまま殿下を永眠させそうな勢いだ。
何このカオスな状況……。
ヴェインさん助けて……。
「あ、あの、ライリー殿下?」
「もう……ライリーさんとは…呼んで…ぐすん…くれないのか…?」
泣いている彼はさっきまでの威厳はみじんもなく、ただの子供に見えた。
「ライリーさんっていうか、ライリーくんだよね……。
ライリーくん、なんで俺に求婚してくれたの?」
もう、どうにでもなれとライリーくんに聞いてみた。
「ライリー…くん?…そんな呼ばれ方初めてした……。」
流石に王子に君付けはまずかったか?
アルバさんとディアミド様を見るが暖かい目で見守ってくれてる。
「あ、ごめん、嫌だった?」
「…ぐすん……嫌じゃない…嬉しい…。」
ライリーくんは泣きながら笑ってくれた。
わぁ!隣の家が飼ってたドーベルマンに似てるかも。
普段かっこいいよくてツンとしてるのに餌をあげたらデレデレ甘えてくる感じ…。
「そう?よかった。」
グッ……。
アレン、痛いから手が肋にくい込んでるから!?
アレンの腕をタップすると無意識だったらしく「トオル、すまん…。」と緩めてくれた。
「一目惚れだったんだ。
トオルの笑顔が可愛くて…。
アシュリンを失ってから灰色だった世界がトオルの笑顔で色付くようだった。」
「アシュリンって?」
例のドラゴン襲撃で無くなった婚約者のことだろうか?
俺の言葉にライリーくんはまた顔を曇らせて涙を流しながらポツリポツリと話してくれた。
「……ぐすん………アシュリンは僕の婚約者だったんだ。
あの日……僕が守ってあげられなくて……。」
辛い事を思い出させてしまって反省する。
「そっか…。」
「トオル…僕じゃ…ダメか?
アレンじゃなくて…僕じゃ…。」
アレンがまた不機嫌そうに俺を抱きしめてくる。
アレンの手を握り
「大丈夫だから離して。」
とお願いする。
アレンは少し不安そうに俺を離してくれた。
「ライリーくんあのね、ライリーくんの気持ちは凄く嬉しいよ。ありがとう。」
「じ、じゃあ!」
「でも、ごめんね。俺はアレンが好きなんだ。
これから先ずっと居たいって思うのはアレンだけなんだよ。」
アレンの手を取り強く握りながら言った。
俺の言葉にライリーくんはまた涙を流してしまう。
俺、王族からの求婚とか断ってこの国で生きて行けるのかな?
少し不安になる。
でもさ……。
「ライリーくんあのね……。
アシュリンさんのことを忘れる為に無理に他の人を好きになる必要は無いと思うんだ…。
大好きな人との別れは悲しいし、辛くて忘れられたら気持ちは楽かもしれないけどさ…。
でも、ライリーくんが忘れちゃったらアシュリンさんがライリーくんを大好きだった気持ちまで無かった事になっちゃう…。」
ライリーくんは俺の言葉にハッとしたように顔をあげた。
「アシュリンの気持ちが!?
そんなの……嫌だ……。」
俺は彼をあやすように頭を撫でた。
「でしょ?
なら変わりに俺を好きになるなんて言っちゃダメだよ……。」
「で、でも、アシュリンを忘れる為だけじゃないんだ!
僕は…トオルのことが好きで…一緒にいて欲しいって…僕に笑って欲しいって……。
アレンじゃなきゃダメなのか?」
ライリーくんは本気で俺のことを好きでいてくれるんだ……。
「うん。ごめんね。俺はアレンが好きなんだ…。」
でも、俺もその気持ちに負けないくらいアレンが好きなんだ……。
「くぅ……ぐすん………。
わかった…。今は諦める……。
でも…もう少しの間だけ…トオルを好きで居させてくれ…。」
ライリーくんの言葉になんて返したらいいか迷ってしまう。
本当はバッサリ未練が残らないようにしてあげるべきなんだろうけど……。
目の前で泣いているライリーくんは王子ではなく普通の思春期の男の子に見えた。
俺が返答に困っているとディアミド様が口を開く。
「ライリー。お前も男ならアレンよりも強くなってもう一度トオルに告白するくらいの気概を持て。」
な!?ディアミド様なにを言い出すんだ!?
でも、ディアミド様は先ほどまでの王様の顔ではなく1人の息子を思う父親としてライリーくんに声をかけているようだった。
その言葉にライリーくんは涙を拭い顔を上げてアレンを見据える。
「父上……。わかりました。
アレン、いつか絶対にアレンより強くなってトオルに告白してやる!」
アレンは、ライリーくんの言葉を正面から受け止めると
「万に一つも可能性はないが、受けてやろうじゃないか。
だから、お前も明日から一緒に他の騎士達と鍛錬しろ。
まぁ、俺が絶対に勝つがな。」と言う。
アレン、一回り違う年下の子に大人げないよ……。
「わかった。
ならば父上。私も騎士団の宿舎に住まわせてください。
騎士として、毎日鍛錬をさせてください。」
え?それでいいの?
目の前の展開についていけずラインハルトを見る。
彼は楽しそうに笑っていた。
ラインハルト、絶対面白がってるじゃん!
「ライリー、お前の覚悟はしっかりと受け取った。
アレン、ライリーを頼んだぞ?
……しかし、ずるいな。私も騎士団の宿舎に住めばトオルの料理を毎日食べられ…グッ…アルバ痛い…冗談だからつねるな……。」
途中でアルバさんに手をつねられて痛そうにしているディアミド様のせいで空気が台無しだ。
とりあえず、よく分からない方向にまとまってしまったけどこれでよかったのだろうか……?
♦♦♦♦♦
いつも応援ありがとうございます!
感想、御要望お待ちしております。
Twitterもやってますので是非フォローお願いします。
作者プロフィールからTwitterへ飛べます。
今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m
登場人物が増えてきたので16~17時頃の更新は人物紹介3となります。
本編では書ききれていない設定などもありますので確認頂けると嬉しいです。
本編は0時頃に更新予定です。
アレンが今にも斬りかかりそうな殺気を放ちながらライリー殿下を睨みつける。
「アレン、殿下に向かって流石に不味いでしょ!」
「アレン、落ち着けって!」
焦りながらラインハルトと協力してアレンをなだめる。
怒るアレンを見てライリー殿下は驚いたように声を出した。
「アレン、何故そなたが怒るのだ?
私はトオルに求婚してるのだぞ?
アレンには関係ないでは無いか。」
やめて…。
お願いだからこれ以上アレンを煽らないでください…。
心無しか部屋の温度が上がった気がする。
「関係ないだと!?
ふざけるな!トオルは俺の恋人だ!」
アレンの言葉にライリー殿下はキョトンとする。
「こ…恋人だと……?」
アレンの言葉を繰り返しながらその意味を理解したようにその場に崩れた。
「え?ラ、ライリー殿下?」
突然石像のように固まった彼を心配して声をかけた。
「ト、トオル……。今の話は本当か……?」
生気のない声に語りかけられた。
ディアミド様や、アルバさん、ジークムントさんの視線が俺に集まりとても気まずい。
「はい……。私はアレンと付き合ってます…。」
恥ずかしい…。
なんでこんなに偉い人達の前でこんなこと言わないといけないんだ……。
「まぁ、トオル殿の服を見た時から察しはついてましたけど。ねぇ陛下?」
「そうじゃな?あの独占欲の塊みたいな服を贈ったのはアレンじゃろ?のう、アルバ?」
そこの2人、ヒソヒソ話の割にはバッチリ聞こえてますから……。
恥ずかしいから本当にやめてください…。
ちなみに、ジークムントさんは「え?マジで?」みたいな顔をしてた。
あのくらい能天気に生きたいよ…。
「ぐすん……。」
アルバさんとディアミド様の会話に気を取られていると、ライリー殿下の方からすすり泣く声が聞こえてくる。
「ラ、ライリー殿下?」
彼を見ると目から大粒の涙を落として泣いていた。
「ぐすん……やっと……運命の人に…会えたと思ったのに……。
やっと…アシュリンを…忘れられると……ぐすん……。」
運命の人?俺、ライリー殿下に何かしたっけ?
ラインハルト、「あーぁ、泣かしたー。」みたいにこっち見るの辞めて!?
アレンに助けを求めるが、彼はまだ殺気を放っていて下手したらこのまま殿下を永眠させそうな勢いだ。
何このカオスな状況……。
ヴェインさん助けて……。
「あ、あの、ライリー殿下?」
「もう……ライリーさんとは…呼んで…ぐすん…くれないのか…?」
泣いている彼はさっきまでの威厳はみじんもなく、ただの子供に見えた。
「ライリーさんっていうか、ライリーくんだよね……。
ライリーくん、なんで俺に求婚してくれたの?」
もう、どうにでもなれとライリーくんに聞いてみた。
「ライリー…くん?…そんな呼ばれ方初めてした……。」
流石に王子に君付けはまずかったか?
アルバさんとディアミド様を見るが暖かい目で見守ってくれてる。
「あ、ごめん、嫌だった?」
「…ぐすん……嫌じゃない…嬉しい…。」
ライリーくんは泣きながら笑ってくれた。
わぁ!隣の家が飼ってたドーベルマンに似てるかも。
普段かっこいいよくてツンとしてるのに餌をあげたらデレデレ甘えてくる感じ…。
「そう?よかった。」
グッ……。
アレン、痛いから手が肋にくい込んでるから!?
アレンの腕をタップすると無意識だったらしく「トオル、すまん…。」と緩めてくれた。
「一目惚れだったんだ。
トオルの笑顔が可愛くて…。
アシュリンを失ってから灰色だった世界がトオルの笑顔で色付くようだった。」
「アシュリンって?」
例のドラゴン襲撃で無くなった婚約者のことだろうか?
俺の言葉にライリーくんはまた顔を曇らせて涙を流しながらポツリポツリと話してくれた。
「……ぐすん………アシュリンは僕の婚約者だったんだ。
あの日……僕が守ってあげられなくて……。」
辛い事を思い出させてしまって反省する。
「そっか…。」
「トオル…僕じゃ…ダメか?
アレンじゃなくて…僕じゃ…。」
アレンがまた不機嫌そうに俺を抱きしめてくる。
アレンの手を握り
「大丈夫だから離して。」
とお願いする。
アレンは少し不安そうに俺を離してくれた。
「ライリーくんあのね、ライリーくんの気持ちは凄く嬉しいよ。ありがとう。」
「じ、じゃあ!」
「でも、ごめんね。俺はアレンが好きなんだ。
これから先ずっと居たいって思うのはアレンだけなんだよ。」
アレンの手を取り強く握りながら言った。
俺の言葉にライリーくんはまた涙を流してしまう。
俺、王族からの求婚とか断ってこの国で生きて行けるのかな?
少し不安になる。
でもさ……。
「ライリーくんあのね……。
アシュリンさんのことを忘れる為に無理に他の人を好きになる必要は無いと思うんだ…。
大好きな人との別れは悲しいし、辛くて忘れられたら気持ちは楽かもしれないけどさ…。
でも、ライリーくんが忘れちゃったらアシュリンさんがライリーくんを大好きだった気持ちまで無かった事になっちゃう…。」
ライリーくんは俺の言葉にハッとしたように顔をあげた。
「アシュリンの気持ちが!?
そんなの……嫌だ……。」
俺は彼をあやすように頭を撫でた。
「でしょ?
なら変わりに俺を好きになるなんて言っちゃダメだよ……。」
「で、でも、アシュリンを忘れる為だけじゃないんだ!
僕は…トオルのことが好きで…一緒にいて欲しいって…僕に笑って欲しいって……。
アレンじゃなきゃダメなのか?」
ライリーくんは本気で俺のことを好きでいてくれるんだ……。
「うん。ごめんね。俺はアレンが好きなんだ…。」
でも、俺もその気持ちに負けないくらいアレンが好きなんだ……。
「くぅ……ぐすん………。
わかった…。今は諦める……。
でも…もう少しの間だけ…トオルを好きで居させてくれ…。」
ライリーくんの言葉になんて返したらいいか迷ってしまう。
本当はバッサリ未練が残らないようにしてあげるべきなんだろうけど……。
目の前で泣いているライリーくんは王子ではなく普通の思春期の男の子に見えた。
俺が返答に困っているとディアミド様が口を開く。
「ライリー。お前も男ならアレンよりも強くなってもう一度トオルに告白するくらいの気概を持て。」
な!?ディアミド様なにを言い出すんだ!?
でも、ディアミド様は先ほどまでの王様の顔ではなく1人の息子を思う父親としてライリーくんに声をかけているようだった。
その言葉にライリーくんは涙を拭い顔を上げてアレンを見据える。
「父上……。わかりました。
アレン、いつか絶対にアレンより強くなってトオルに告白してやる!」
アレンは、ライリーくんの言葉を正面から受け止めると
「万に一つも可能性はないが、受けてやろうじゃないか。
だから、お前も明日から一緒に他の騎士達と鍛錬しろ。
まぁ、俺が絶対に勝つがな。」と言う。
アレン、一回り違う年下の子に大人げないよ……。
「わかった。
ならば父上。私も騎士団の宿舎に住まわせてください。
騎士として、毎日鍛錬をさせてください。」
え?それでいいの?
目の前の展開についていけずラインハルトを見る。
彼は楽しそうに笑っていた。
ラインハルト、絶対面白がってるじゃん!
「ライリー、お前の覚悟はしっかりと受け取った。
アレン、ライリーを頼んだぞ?
……しかし、ずるいな。私も騎士団の宿舎に住めばトオルの料理を毎日食べられ…グッ…アルバ痛い…冗談だからつねるな……。」
途中でアルバさんに手をつねられて痛そうにしているディアミド様のせいで空気が台無しだ。
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