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本編
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スワンシューを完成させるとラインハルトがアレンに声の魔法を送ってくれた。
街の見回りから帰ってきたら部屋まで顔を出してくれるらしい。
「じゃあ、トオルの部屋で待つか?」
ラインハルトがそう提案してくれた。
「うん。………あ、ラインハルト、俺の部屋まだソファーとか無いんだよ。
ラインハルトにベッドに座って貰う訳にもいかないから、やっぱりダメだ…。」
「は?まだ用意してないのか?
欲しいもの無かったんじゃないのかよ……。
じゃあ、俺の部屋で待つか?
アレンには伝えとくぞ?」
彼の有難い提案に頷き、そのままラインハルトの部屋まで移動した。
「ソファーと机、俺が用意してやろうか?
それとも、アレンのほうがいいか?」
ラインハルトの部屋のソファーで寛いでいるとそう言われる。
「いや、今すぐに無いと困るってものでも無いし、ちゃんと自分の給料が入ったら買うよ?」
そう答えるとラインハルトにため息をつかれる。
「現にさっき困ったじゃないか?
それに、アレンが部屋に尋ねてくる度にベッドに2人で座るのか?
襲われるぞ?」
まぁ、確かにそれはちょっと困るかも……。
「それはそうなんだけどさ…。
俺、皆にいろいろして貰いすぎてるからちょっとくらい自分で頑張んないとなぁって。」
「トオル、いいか?
ここはトオルの職場兼家でもあるんだ。
雇い主である騎士団にはトオルが過ごしやすくする義務があるんだぞ?
……わかった。俺たち3人でトオルに贈るよ。」
「はぁ!?ダメだよ!悪いって!」
3人ってすごいお金持ちじゃん?
その3人が用意した家具なんて絶対高いものに決まってるよ。
そんな高価な家具なんて貰ったら気が休まらない……。
「いや、これは確定事項だ!
トオルの就職祝いってとこだな。」
抗議するがラインハルトは何処吹く風のようにひょうひょうとしてた。
何を言っても無駄だと悟る。
「せ、せめて、高くない普通の庶民が使うやつでお願いします……。」
「おう!任せとけ!いいやつ選んでやるからな?
それに、多分俺も入り浸るから気にするな!」
ニコニコと笑いながらそう言ってくる。
ラインハルト、本当にわかってる?
あ、でも、友達とダラダラ部屋で過ごすなんて高校の時ぶりだから少しだけ楽しみかも……。
ラインハルトと談笑していると扉をノックする音が聞こえた。
「トオル!迎えに来たぞ!」
アレンが帰って来たらしい。
ラインハルトは扉を開けるとアレンを招き入れる。
「一応、俺の部屋なんだけどな?」
ちょっとだけ不満そうにアレンに抗議している。
「ラインハルト、すまん。
トオルを早く抱きしめたくてな。」
アレンはそう言いながら俺を抱き寄せてくる。
「アレン、おかえり!」
「あぁ、トオル、ただいま。」
アレンと俺のやり取りを見てラインハルトが深いため息をつく。
「はぁ、お前ら人の部屋なんだからイチャイチャするの自重しろよ?」
「ヴェインも帰ってきたら羨ましいならラインハルトも行ってこいよ?
王宮に出発するの待って置いてやるぞ?」
アレンは、揶揄うわけでもなく本心で言っているようだった。
「………お前、ヴェインになんか聞いたか?」
ラインハルトが訝しげにアレンを見る。
「まぁ、あれだけ凹んでるヴェインを見たらなぁ……?」
アレンは、ヴェインさんを思い出してか苦笑いをした。
「え?ラインハルト、ヴェインとケンカしたの?
朝、あんなに甘い雰囲気醸し出してたのに?」
朝の光景を思い出したら信じられない。
まぁ、ちょっと喧嘩腰ではあったけど……?
ラインハルトは恥ずかしそうに俺から目を逸す。
「朝ごはん食べたあと……ヴェインが盛ってきやがったんだよ…。」
俺の視線に耐えきれなくなったのか小さな声で呟いた。
隣でアレンが盛大に吹き出す。
「あぁ、それで魔法を使って反撃したのか?………クスクス。」
悪いと思ったのか笑いを必死に堪えながらラインハルトに聞いた。
ラインハルトは、恥ずかしそうに頷いた。
あぁ…だから朝の厨房に来るの早かったのか…。
ヴェインさん、昨日の今日でそうなるって……。
愛がとめどなく溢れちゃってるよ。
「もういっそ、魔法で拘束して襲ってやれば良かったんだ。」
アレンが突然凄いことを言いだす。
「んなこと出来るわけないだろ!」
ラインハルトが叫ぶようにアレンを睨む。
まぁ、そうだよね。
恋人にそんなこと出来ないよね。
「あのヴェインだぞ!
全部レジストされて失敗したわ!」
「そっちかよ!
ラインハルト、試したんだ……。」
彼の言葉についつい突っ込んでしまう。
アレンは、ちょっと可哀想な目でラインハルトを見ていた。
「悪いかよ!出来るもんならやってみろって煽ったのは向こうだからな?合意のうえだ!」
「まぁ、確かに朝も煽ってたもんね…。
ヴェインに襲われそうになって、魔法を使って襲おうとしたら失敗したと?」
続きはアレンが引き継いでくれる。
「で、攻撃魔法を使って逃げたんだな?
『しばらくこういう事は禁止だからな!』って宣言して。」
「うぅ……。頼むからみなまで言うな…。」
顔を真っ赤しながら言う。
「なんて言うかさ……ねぇ、アレン。」
「あぁ、どっちもどっちだな。」
2人で呆れながら笑った。
「とりあえず、俺、着替えてくるから。
アレン手伝ってくれる?」
「あぁ。もちろん。
ラインハルトも準備してくれよ。」
俺たちは、ラインハルトに声をかけて自分の部屋に移動した。
街の見回りから帰ってきたら部屋まで顔を出してくれるらしい。
「じゃあ、トオルの部屋で待つか?」
ラインハルトがそう提案してくれた。
「うん。………あ、ラインハルト、俺の部屋まだソファーとか無いんだよ。
ラインハルトにベッドに座って貰う訳にもいかないから、やっぱりダメだ…。」
「は?まだ用意してないのか?
欲しいもの無かったんじゃないのかよ……。
じゃあ、俺の部屋で待つか?
アレンには伝えとくぞ?」
彼の有難い提案に頷き、そのままラインハルトの部屋まで移動した。
「ソファーと机、俺が用意してやろうか?
それとも、アレンのほうがいいか?」
ラインハルトの部屋のソファーで寛いでいるとそう言われる。
「いや、今すぐに無いと困るってものでも無いし、ちゃんと自分の給料が入ったら買うよ?」
そう答えるとラインハルトにため息をつかれる。
「現にさっき困ったじゃないか?
それに、アレンが部屋に尋ねてくる度にベッドに2人で座るのか?
襲われるぞ?」
まぁ、確かにそれはちょっと困るかも……。
「それはそうなんだけどさ…。
俺、皆にいろいろして貰いすぎてるからちょっとくらい自分で頑張んないとなぁって。」
「トオル、いいか?
ここはトオルの職場兼家でもあるんだ。
雇い主である騎士団にはトオルが過ごしやすくする義務があるんだぞ?
……わかった。俺たち3人でトオルに贈るよ。」
「はぁ!?ダメだよ!悪いって!」
3人ってすごいお金持ちじゃん?
その3人が用意した家具なんて絶対高いものに決まってるよ。
そんな高価な家具なんて貰ったら気が休まらない……。
「いや、これは確定事項だ!
トオルの就職祝いってとこだな。」
抗議するがラインハルトは何処吹く風のようにひょうひょうとしてた。
何を言っても無駄だと悟る。
「せ、せめて、高くない普通の庶民が使うやつでお願いします……。」
「おう!任せとけ!いいやつ選んでやるからな?
それに、多分俺も入り浸るから気にするな!」
ニコニコと笑いながらそう言ってくる。
ラインハルト、本当にわかってる?
あ、でも、友達とダラダラ部屋で過ごすなんて高校の時ぶりだから少しだけ楽しみかも……。
ラインハルトと談笑していると扉をノックする音が聞こえた。
「トオル!迎えに来たぞ!」
アレンが帰って来たらしい。
ラインハルトは扉を開けるとアレンを招き入れる。
「一応、俺の部屋なんだけどな?」
ちょっとだけ不満そうにアレンに抗議している。
「ラインハルト、すまん。
トオルを早く抱きしめたくてな。」
アレンはそう言いながら俺を抱き寄せてくる。
「アレン、おかえり!」
「あぁ、トオル、ただいま。」
アレンと俺のやり取りを見てラインハルトが深いため息をつく。
「はぁ、お前ら人の部屋なんだからイチャイチャするの自重しろよ?」
「ヴェインも帰ってきたら羨ましいならラインハルトも行ってこいよ?
王宮に出発するの待って置いてやるぞ?」
アレンは、揶揄うわけでもなく本心で言っているようだった。
「………お前、ヴェインになんか聞いたか?」
ラインハルトが訝しげにアレンを見る。
「まぁ、あれだけ凹んでるヴェインを見たらなぁ……?」
アレンは、ヴェインさんを思い出してか苦笑いをした。
「え?ラインハルト、ヴェインとケンカしたの?
朝、あんなに甘い雰囲気醸し出してたのに?」
朝の光景を思い出したら信じられない。
まぁ、ちょっと喧嘩腰ではあったけど……?
ラインハルトは恥ずかしそうに俺から目を逸す。
「朝ごはん食べたあと……ヴェインが盛ってきやがったんだよ…。」
俺の視線に耐えきれなくなったのか小さな声で呟いた。
隣でアレンが盛大に吹き出す。
「あぁ、それで魔法を使って反撃したのか?………クスクス。」
悪いと思ったのか笑いを必死に堪えながらラインハルトに聞いた。
ラインハルトは、恥ずかしそうに頷いた。
あぁ…だから朝の厨房に来るの早かったのか…。
ヴェインさん、昨日の今日でそうなるって……。
愛がとめどなく溢れちゃってるよ。
「もういっそ、魔法で拘束して襲ってやれば良かったんだ。」
アレンが突然凄いことを言いだす。
「んなこと出来るわけないだろ!」
ラインハルトが叫ぶようにアレンを睨む。
まぁ、そうだよね。
恋人にそんなこと出来ないよね。
「あのヴェインだぞ!
全部レジストされて失敗したわ!」
「そっちかよ!
ラインハルト、試したんだ……。」
彼の言葉についつい突っ込んでしまう。
アレンは、ちょっと可哀想な目でラインハルトを見ていた。
「悪いかよ!出来るもんならやってみろって煽ったのは向こうだからな?合意のうえだ!」
「まぁ、確かに朝も煽ってたもんね…。
ヴェインに襲われそうになって、魔法を使って襲おうとしたら失敗したと?」
続きはアレンが引き継いでくれる。
「で、攻撃魔法を使って逃げたんだな?
『しばらくこういう事は禁止だからな!』って宣言して。」
「うぅ……。頼むからみなまで言うな…。」
顔を真っ赤しながら言う。
「なんて言うかさ……ねぇ、アレン。」
「あぁ、どっちもどっちだな。」
2人で呆れながら笑った。
「とりあえず、俺、着替えてくるから。
アレン手伝ってくれる?」
「あぁ。もちろん。
ラインハルトも準備してくれよ。」
俺たちは、ラインハルトに声をかけて自分の部屋に移動した。
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