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本編

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「トオル様!野菜の皮剥き終わりました!」
ギレスくんが声を掛けてくれた。
鶏肉は、アレンが全部捌いてくれている。

トマトの湯むきもカイルくんが嬉しい教えていたみたいですんなりと終わっていた。

カイルくんもメキメキと料理スキルを上げているようだ。

将来はラインハルトといい、カイルくんといい、良いお嫁さんになりそうだな?

ラインハルトに言ったら俺は夫だ!って怒りそうな気もするけど…。

……カイルくんが結婚?
相手は俺やアレン、ヴェインさん、ラインハルトが精査しまくるんだろうなぁ。

「じゃあ、野菜は食べやすい大きさに切ってね。
ニンニクは、みじん切りでソースに使う玉ねぎもみじん切りでお願い。」

「はい!わかりました!」
それにしてもギレスくん、すごいかしこまった言葉だな…。

「ギレスくん、俺はアレン達と違って偉いわけじゃないからもっと砕けた言葉で大丈夫だよ?」

「い、いえ、そう言う訳には行きません…。
トオル様は近い将来、アレン様の伴侶となられる方ですから……。」

アレンの顔を伺いながらギレスくんが言う。

「は、伴侶!?」

俺って騎士団の皆からそう言う認識なの?
こら、アレン、嬉しそうにニヤニヤしない!

確かに、もし結婚するとしたらアレン以外には考えられないけど…。

流石に第三者に面と向かって言われるのは恥ずかしすぎるよ……。

「ギレス、トオルは、恥ずかしがり屋なんだ。
だから、あんまり直接そう言う事を言ってやるな?」
ギレスくんを諌めながらも顔が緩みまくっている。

「は、はい!アレン様申し訳ありません。
今後は気をつけます。」

俺の知らないところでどんどん話が進んでるよ…。

とりあえず、現実逃避の為に一心不乱にギレスくんが剥いてくれた玉ねぎを刻もうかな。


アレンが捌いた鶏肉も見習いの子に渡して1口大に切ってもらう。

「トオル、鳥は捌き終わったぞ?次は俺は何する?」

全て捌き終わったアレンが聞いてくる。

「じゃあ、俺たちのご飯ように牛肉をこの前みたいに刻んで置いてくれるかな?」

「あぁ、わかった。」
アレンと並んで料理をしてるとさっきの話も相まって新婚さんみたい…。
なんて思ってしまう。

なんだろ?俺だんだん思考が乙女化してない?
考えれば考えるほどドツボにハマりそうで辞めといた。

「俺たちのご飯は何を作るんだ?」
ふと、アレンが聞いてきた。

「今日は、ハンバーグにしようかなって。」

「どんな料理なんだ?」

「お肉を細かくして玉ねぎとかを入れて焼いた料理?かな。
普通のお肉の塊よりも柔らかいし肉汁が溢れてきて美味しんだよ。」

ハンバーグを半分に割った時の流れ出てくる肉汁を想像してついつい頬が緩んだ。
ハンバーグは大好きなんだよなぁ…。
トマトソースも美味しいし、デミグラスソースはもちろん、おろしポン酢だってあう。

ハンバーグなら2~3日続いても全然苦じゃない。

「トオルがそんな顔するなんて珍しいな?
そのハンバーグ?とやらはそんなに美味いのか?」
肉の塊が好きなアレンとしてはどうしても刻むのが勿体ないみたいだ。

ちなみに、ハンバーグ用のミンチは機械や道具を使うよりも塊を包丁で叩いた方が圧倒的に美味しかったりする。

所々にムラがあるほうが圧倒的に肉感が残って美味しいのだ。

「うん!俺は大好きだよ!
ソースを変えたらいろんな味を楽しめるし、何日か続いても全然平気なくらい好き。」

「そうなのか!楽しみだな!」

アレンもハンバーグに興味を持ってくれたみたい。

玉ねぎが刻み終わったからとりあえず、トマトを煮込んでホールトマトの缶詰の状態まで持っていこうとおもう。

せっかくだから昨日作ったフォン・ブランでトマトを煮込んで煮詰めていく。
大量のトマトを鍋に入れて軽く潰したらフォン・ブランをトマトが浸るくらいまで入れて火にかける。

ホールトマトが出来るまでに、玉ねぎを炒めていく。

大きな鍋に油とニンニクを入れて香りが経つまで炒めたら刻んだ玉ねぎとローリエを入れて炒めていく。
弱火でじっくりと焦がさないように注意する。

隣で小さなフライパンを用意してハンバーグ用の玉ねぎを飴色になるまでじっくりと炒めた。

「トオル様!野菜とお肉が切り終わりました。
次は何をすれば宜しいですか?」
ギレスくんから声がかかった。

「じゃあ、鍋に油を引いて暖めたら鶏肉の皮目を焼いてくれるかな?
この後煮込むから焦げ目が付けばそれでいいから。
1度お肉を取り出して野菜を固い順に入れてしんなりするまで炒めたら教えて。」


「はい!ありがとうございます!」



俺はトマトの鍋が沸いてきたのでそこに炒めたニンニクと玉ねぎを加えて煮込んでいく。

これを煮詰めて味を調整したらトマトソースの出来上がりだ。

トマトソースが煮詰まって来ると焦げやすくなるからよく混ぜながら煮込まないといけない……。
はねて火傷をしやすくなるから注意も必要だ。

「さてと、今日の主食は何にしようかな?」

俺が呟くとアレンが
「そう言えばトオルは、あんまりパンを食べようとしないよな?」
と聞いてくる。

あぁ、うん……。
正直この世界のパンを避けているのがバレてたみたいだ。

「実は、ここのパンあんまり得意じゃないんだよ…。
いかにも小麦と水を混ぜて焼いたって感じだからさ…。固くて……。」

「確かにパンは、硬いよな…。
トオルの世界は違ったのか?」

あ、アレンには言って無かったっけ?

「うん。向こうのパンはイーストって言う菌を使って発酵させたふわふわなパンが一般的だったんだよね…。
昨日、カイルくんと一緒に天然酵母って言うのを作り始めたから上手くいけば2~3日でふわふわなパンが作れるかも……。」

「本当か?楽しみだな!」

アレンは、ふわふわなパンをあんまり想像出来ないみたいで余計に楽しみにしてくれていた。

天然酵母、上手くいくといいな…。
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