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本編
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片付けを終えてラインハルトと一緒に部屋に戻る。
アレンは、騎士達の鍛錬に向かった。
ヴェインさんとカイルくんは、魔法の特訓だ。
「ヴェイン、気合い入ってたね?」
「あぁ、来週、カイルくんの昇進試験らしいからな。
合格したら、最年少の騎士になるんじゃないか?」
ラインハルトが教えてくれる。
「え?最年少!?カイルくん凄い!」
「あぁ、確か、今の最年少記録は1年前に15歳で騎士になったこの国の第2王子だったと思う。」
「そうなの?
ん?王子様なのに騎士?」
疑問に思って聞いてみる。
「あぁ、元々は普通に王族だったんだが、2年前のドラゴン襲撃の時に婚約者を亡くしてな…。
それからは王位継承も辞退してずっと鍛錬をしたらしい。
婚約者を護れなかったことを悔いたんだろうな…。
当時14歳だぞ?
ドラゴンに太刀打ち出来るわけないって分かってただろうけど、心は耐えられ無かったんだろうな……。」
そっか……。
王子様も辛い経験をしたんだな…。
それで、王様になることよりも強くなることを選んだんだ。
「すごい話だね。
でも、ドラゴンはアレンが倒したんでしょ?
なら、余計に気持ちのやり場がなさそうだね…。」
「あぁ、だから、本人は、アレンより強くなる事を目標にしてるみたいだぞ?
まぁ、アレンより強くなんて無理にも程があるが……。
あいつは人間辞めてる強さだからな…。」
「アレンが強いのはわかるけど、人間辞めてるは酷くない?」
なんだか恋人を貶された気分で口を尖らせて抗議する。
「いや、悪い。
トオルの彼氏様を貶したつもりはないぞ?
だが、実際問題、固有魔法の炎魔法に加えて守護竜様の加護で無限の魔力を持ってて、さらに剣術は国で1番だぞ?
あいつがその気になれば国を滅ぼすことも、他の国を1人で制圧する事だって出来る。
だから、アレンは最強なんだよ。」
「確かに、そう言われるとアレンって……。
それに挑む王子様もちょっと可哀想な気が…。
というか、恥ずかしいから彼氏様はやめてよ……。」
戦いのことは俺にはよく分からないけど王子様が無謀なのは少しだけ理解した。
でも、それでも、その気持ちが王子様の生きる糧になってるならいいんだと思う。
それを理解した上でアレンより強くなりたいって思って居るんだろうから。
それよりも、ラインハルトに「彼氏」とアレンの事を言われて、改めて自覚してしまい、恥ずかしくなった。
「なんだよ?そこ恥ずかしがるとこかよ?
どうせもっとすごいことしたんだろ?」
ニヤニヤしながら揶揄うようにラインハルトが言ってくる。
その言葉でこの前の事を思い出して身体が熱くなった。
「わぁー、う、うるさい!
そう言うラインハルトはどうなんだよ?
ヴェインとなんかいい感じじゃん?」
そう聞くと今度はラインハルトが顔を真っ赤にする。
「いや、その…。
トオル、あのさ…。」
ラインハルトが恥ずかしそうに言う。
「ん?なに?」
「………俺…いや、俺達、付き合う事になった。」
突然の告白に驚く。
「は!?え?いつの間に?おめでとう!」
「あぁ、ありがとう。昨日、改めて告白したんだ。」
そっか…。
10年越しの片想いが実ったんだね。
「ラインハルト、本当におめでとう。
何かお祝いしないとね。」
「いや、ちょっと嬉しすぎてまだ自覚出来てないからしばらくは、そっとしといてくれ…。
でも、トオルのおかげだよ。本当にありがとう。」
俺のおかげ?
「俺は何もしてないよ?」
首を傾げながら聞く。
「いや、トオルのおかげだよ。
トオルが来てから全部がいい方向に動いてる。
アレンは、よく笑うし野菜も食えるようになった。
まぁ、まだ、トオルが作ったもの限定だけどな?
ヴェインは、何があったかは知らないが止まってた時間が動き出したみたいだ。
他の人のことばっかだったのに自分の事も考えれるようになった。
カイルは、胸のつかえが取れたみたいに魔法を使えるようになった。
全部トオルが来てからトオルが変えたことだ。」
俺としては自覚ないし、それは皆が頑張って自分で変わったんだと思う。
でも、そう言って貰えるならここに、この世界に来れて良かったって改めて思った。
「そんな、なんか、大袈裟だよ……。
むしろ、得体の知れない俺を騎士団に入れてくれて良くしてくれたのは皆じゃないか。
俺こそ皆に感謝してるよ。本当にありがとう!」
俺がそう言うとラインハルトは真剣な顔で俺を見た。
「トオル、この先、もしかしたらトオルのことをよく思わない貴族が出てくるかもしれない。
でもな、俺たちは何があってもトオルの味方だ。
だから、1人では悩むなよ?
こっちには、最強のアレンに魔帝ヴェイン、魔眼持ちのカイルだって居るんだ。
俺だってこう見えても公爵家の1人だから大抵の事はなんとかなる。
それに、トオルには守護竜様の加護だってある。」
そう言われると、俺の周りって凄い人ばっかりだな。
「ありがとう。そう言って貰えると心強いや。」
そんな話をしていると、ちょうど部屋に着く。
「あぁ、じゃあ俺は部屋に居るから。
アンナが来たらアレンが呼びに来るからゆっくりしてろよ。」
「わかった!じゃあ、また後でね!」
そう言って俺たちはそれぞれの部屋に戻った。
しばらく父さんのレシピを眺めて王様へのお菓子を考える。
珍しいお菓子か…。
アイスとか珍しいんだっけ?
ミルクジェラートとかもいいかな?
ラインハルトも一緒に行くなら溶けないように氷魔法で冷やして貰えるし……。
それだけじゃ寂しいからもう1品欲しいなぁ…。
そこでレシピ帳のあるページで目が止まる。
「シュークリームかぁ。
父さんが好きで母さんと小さい頃に作ったなぁ…。」
ふと、昔の記憶が蘇った。
母が作るシュークリームは、スワンシューと言う白鳥の形をもしたものだった。
可愛かったなぁ。
あれなら珍しいし王様に気に入って貰えるかな?
中にカスタードを入れた物とミルクジェラートを入れた物、2種類用意すれば見た目だけじゃなくて味の違いも楽しめるだろうか?
そこまで考えた所で扉からノックが聞こえた。
「はい?」
返事をすると扉が空いてアレンが入って来た。
「トオル、リールが来たぞ。」
「もう?待ってすぐ行くよ。」
「あぁ、早くトオルに渡したかったらしくてな。
ん?それって確かトオルの父さんの形見だったか?」
俺の手にあった、レシピ帳を見てアレンが聞いてくる。
「うん!これ、父さんが残してくれたレシピ帳なんだ。」
「レシピ帳?」
アレンは首を傾げる。
「えっと、いろんな料理の作り方が載ってるメモ?かな。王様に持っていくお菓子考えてたから。」
その説明で伝わったみたいで納得したように笑ってくれた。
「そうか。昨日は、あんまりトオルと居られなかったから寂しがらせてしまったかと心配だったんだ。」
そう言ってアレンは俺を抱きしめてきた。
もしかして、父さんの形見を見て寂しさをまぎらわせてたと思ったのかな?
俺もアレンを抱きしめかえす。
「ちょっと寂しかったのは本当だけど、別にこれでまぎらわせてた訳じゃないからね?」
「すまなかった。
本当は、片時も離れたく無かったんだが…。」
もう離さないとばかりに強く抱きしめられる。
「大丈夫だよ?アレンは騎士団長なんだからちゃんとお仕事してね?
騎士団の仕事してるアレンもかっこよくて好きだよ。」
彼を見上げながら伝える。
「くっ……このまま、俺の部屋に行かないか?」
「ダ、ダメに決まってるだろ?
リールさんが待ってるんでしょ?
ほら、早く行くよ?」
アレンの身体を押して引き離す。
俺もちょっと名残惜しかったが我慢だ。
「そんな顔でそんなこと言うのはずるいぞ?」
そう言ってアレンは俺にキスをくれた。
はぁ、もっとくっついていたくなる…。
でも、リールさんが待ってるし行かないと。
でも、もう1回くらい、いいよな?
今度は俺からアレンにキスをした。
「よし、行こうか?」
そう言うと
「トオル、それは本当にずるいぞ…。」
とアレンは、なんとも言えない顔をしていた。
しかし、アレンは1度深呼吸をしてから俺の手を取ってアンナさんの元へ向かう。
アレンと手を繋いで歩く時間は凄く幸せだった。
♦♦♦♦♦
いつも応援ありがとうございます!
服屋の主人の名前と娘の名前を間違えてました……。
訂正させていただきました。
申し訳ありません……。
母親がリール
娘がアンナ
です。
感想等お待ちしてます!
Twitterもやっていますのでよろしければフォローよろしくお願いします。
本日は、後、18時、21時、0時に更新予定です。
今度ともよろしくお願いしますm(_ _)m
アレンは、騎士達の鍛錬に向かった。
ヴェインさんとカイルくんは、魔法の特訓だ。
「ヴェイン、気合い入ってたね?」
「あぁ、来週、カイルくんの昇進試験らしいからな。
合格したら、最年少の騎士になるんじゃないか?」
ラインハルトが教えてくれる。
「え?最年少!?カイルくん凄い!」
「あぁ、確か、今の最年少記録は1年前に15歳で騎士になったこの国の第2王子だったと思う。」
「そうなの?
ん?王子様なのに騎士?」
疑問に思って聞いてみる。
「あぁ、元々は普通に王族だったんだが、2年前のドラゴン襲撃の時に婚約者を亡くしてな…。
それからは王位継承も辞退してずっと鍛錬をしたらしい。
婚約者を護れなかったことを悔いたんだろうな…。
当時14歳だぞ?
ドラゴンに太刀打ち出来るわけないって分かってただろうけど、心は耐えられ無かったんだろうな……。」
そっか……。
王子様も辛い経験をしたんだな…。
それで、王様になることよりも強くなることを選んだんだ。
「すごい話だね。
でも、ドラゴンはアレンが倒したんでしょ?
なら、余計に気持ちのやり場がなさそうだね…。」
「あぁ、だから、本人は、アレンより強くなる事を目標にしてるみたいだぞ?
まぁ、アレンより強くなんて無理にも程があるが……。
あいつは人間辞めてる強さだからな…。」
「アレンが強いのはわかるけど、人間辞めてるは酷くない?」
なんだか恋人を貶された気分で口を尖らせて抗議する。
「いや、悪い。
トオルの彼氏様を貶したつもりはないぞ?
だが、実際問題、固有魔法の炎魔法に加えて守護竜様の加護で無限の魔力を持ってて、さらに剣術は国で1番だぞ?
あいつがその気になれば国を滅ぼすことも、他の国を1人で制圧する事だって出来る。
だから、アレンは最強なんだよ。」
「確かに、そう言われるとアレンって……。
それに挑む王子様もちょっと可哀想な気が…。
というか、恥ずかしいから彼氏様はやめてよ……。」
戦いのことは俺にはよく分からないけど王子様が無謀なのは少しだけ理解した。
でも、それでも、その気持ちが王子様の生きる糧になってるならいいんだと思う。
それを理解した上でアレンより強くなりたいって思って居るんだろうから。
それよりも、ラインハルトに「彼氏」とアレンの事を言われて、改めて自覚してしまい、恥ずかしくなった。
「なんだよ?そこ恥ずかしがるとこかよ?
どうせもっとすごいことしたんだろ?」
ニヤニヤしながら揶揄うようにラインハルトが言ってくる。
その言葉でこの前の事を思い出して身体が熱くなった。
「わぁー、う、うるさい!
そう言うラインハルトはどうなんだよ?
ヴェインとなんかいい感じじゃん?」
そう聞くと今度はラインハルトが顔を真っ赤にする。
「いや、その…。
トオル、あのさ…。」
ラインハルトが恥ずかしそうに言う。
「ん?なに?」
「………俺…いや、俺達、付き合う事になった。」
突然の告白に驚く。
「は!?え?いつの間に?おめでとう!」
「あぁ、ありがとう。昨日、改めて告白したんだ。」
そっか…。
10年越しの片想いが実ったんだね。
「ラインハルト、本当におめでとう。
何かお祝いしないとね。」
「いや、ちょっと嬉しすぎてまだ自覚出来てないからしばらくは、そっとしといてくれ…。
でも、トオルのおかげだよ。本当にありがとう。」
俺のおかげ?
「俺は何もしてないよ?」
首を傾げながら聞く。
「いや、トオルのおかげだよ。
トオルが来てから全部がいい方向に動いてる。
アレンは、よく笑うし野菜も食えるようになった。
まぁ、まだ、トオルが作ったもの限定だけどな?
ヴェインは、何があったかは知らないが止まってた時間が動き出したみたいだ。
他の人のことばっかだったのに自分の事も考えれるようになった。
カイルは、胸のつかえが取れたみたいに魔法を使えるようになった。
全部トオルが来てからトオルが変えたことだ。」
俺としては自覚ないし、それは皆が頑張って自分で変わったんだと思う。
でも、そう言って貰えるならここに、この世界に来れて良かったって改めて思った。
「そんな、なんか、大袈裟だよ……。
むしろ、得体の知れない俺を騎士団に入れてくれて良くしてくれたのは皆じゃないか。
俺こそ皆に感謝してるよ。本当にありがとう!」
俺がそう言うとラインハルトは真剣な顔で俺を見た。
「トオル、この先、もしかしたらトオルのことをよく思わない貴族が出てくるかもしれない。
でもな、俺たちは何があってもトオルの味方だ。
だから、1人では悩むなよ?
こっちには、最強のアレンに魔帝ヴェイン、魔眼持ちのカイルだって居るんだ。
俺だってこう見えても公爵家の1人だから大抵の事はなんとかなる。
それに、トオルには守護竜様の加護だってある。」
そう言われると、俺の周りって凄い人ばっかりだな。
「ありがとう。そう言って貰えると心強いや。」
そんな話をしていると、ちょうど部屋に着く。
「あぁ、じゃあ俺は部屋に居るから。
アンナが来たらアレンが呼びに来るからゆっくりしてろよ。」
「わかった!じゃあ、また後でね!」
そう言って俺たちはそれぞれの部屋に戻った。
しばらく父さんのレシピを眺めて王様へのお菓子を考える。
珍しいお菓子か…。
アイスとか珍しいんだっけ?
ミルクジェラートとかもいいかな?
ラインハルトも一緒に行くなら溶けないように氷魔法で冷やして貰えるし……。
それだけじゃ寂しいからもう1品欲しいなぁ…。
そこでレシピ帳のあるページで目が止まる。
「シュークリームかぁ。
父さんが好きで母さんと小さい頃に作ったなぁ…。」
ふと、昔の記憶が蘇った。
母が作るシュークリームは、スワンシューと言う白鳥の形をもしたものだった。
可愛かったなぁ。
あれなら珍しいし王様に気に入って貰えるかな?
中にカスタードを入れた物とミルクジェラートを入れた物、2種類用意すれば見た目だけじゃなくて味の違いも楽しめるだろうか?
そこまで考えた所で扉からノックが聞こえた。
「はい?」
返事をすると扉が空いてアレンが入って来た。
「トオル、リールが来たぞ。」
「もう?待ってすぐ行くよ。」
「あぁ、早くトオルに渡したかったらしくてな。
ん?それって確かトオルの父さんの形見だったか?」
俺の手にあった、レシピ帳を見てアレンが聞いてくる。
「うん!これ、父さんが残してくれたレシピ帳なんだ。」
「レシピ帳?」
アレンは首を傾げる。
「えっと、いろんな料理の作り方が載ってるメモ?かな。王様に持っていくお菓子考えてたから。」
その説明で伝わったみたいで納得したように笑ってくれた。
「そうか。昨日は、あんまりトオルと居られなかったから寂しがらせてしまったかと心配だったんだ。」
そう言ってアレンは俺を抱きしめてきた。
もしかして、父さんの形見を見て寂しさをまぎらわせてたと思ったのかな?
俺もアレンを抱きしめかえす。
「ちょっと寂しかったのは本当だけど、別にこれでまぎらわせてた訳じゃないからね?」
「すまなかった。
本当は、片時も離れたく無かったんだが…。」
もう離さないとばかりに強く抱きしめられる。
「大丈夫だよ?アレンは騎士団長なんだからちゃんとお仕事してね?
騎士団の仕事してるアレンもかっこよくて好きだよ。」
彼を見上げながら伝える。
「くっ……このまま、俺の部屋に行かないか?」
「ダ、ダメに決まってるだろ?
リールさんが待ってるんでしょ?
ほら、早く行くよ?」
アレンの身体を押して引き離す。
俺もちょっと名残惜しかったが我慢だ。
「そんな顔でそんなこと言うのはずるいぞ?」
そう言ってアレンは俺にキスをくれた。
はぁ、もっとくっついていたくなる…。
でも、リールさんが待ってるし行かないと。
でも、もう1回くらい、いいよな?
今度は俺からアレンにキスをした。
「よし、行こうか?」
そう言うと
「トオル、それは本当にずるいぞ…。」
とアレンは、なんとも言えない顔をしていた。
しかし、アレンは1度深呼吸をしてから俺の手を取ってアンナさんの元へ向かう。
アレンと手を繋いで歩く時間は凄く幸せだった。
♦♦♦♦♦
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