料理人は騎士団長に食べさせたい

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本編

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「で、何処まで行ったんだ?」
ラインハルトがあけすけに聞いてくる。

「言うわけないだろ!というか逆に何処まで知ってるんだよ!」
俺はそこまでオープンじゃないんだよ!

「何処まで?さぁな…。
朝までアレンと2人で同じベッドで過ごしたことくらいかな。」
ニヤニヤと笑いながら言った。


「くぅ……。恥ずかしすぎて穴に埋まりたい…。」

「おい、トオル。痕が付いてるぞ?」
ラインハルトは、自分の首筋を指さしながら言った。


付いてる?ま、まさか…。
俺は反射的に首筋を抑えた。
「は?嘘だろ?」
彼に問いかける。

ラインハルトは、ニヤニヤしながら
「まぁ、嘘だけどな。つまり、痕がつくようなことしたんだな?」と聞いてきた。

く、くそぉ!!
カマかけられた……。
もう開き直ってやる。

「く……そ、そうだよしたよ!恋人とが出来たんだから当たり前だろ!羨ましいだろ?」

仕返しがてら嫌味たっぷりにラインハルトに自慢してみた。

正直、こんな話ラインハルト以外に出来ないし、めいいっぱい自慢させてもらおう。

案の定、ラインハルトは開き直って自慢してくると思わなかったらしくちょっと凹んでいた。

「お、俺だって、本当はヴェインとそう言うことしてぇよ……。」
ちょっと泣きそうなラインハルトが可哀想にみえてきた。

「あ、ラインハルト、なんかごめん。
俺もできる限り協力するから頑張ろ?」

そう言うとラインハルトが俺の元に駆け寄って来て手を握りしめてくる。

「トオル~!ありがとう…。」
今にも抱きついてきそうな勢いだった。


「おい、ラインハルト。トオルに何してんだ?」

いきなり開いた扉越しに凍りつくような冷たく低い声が部屋の中に響く。

錆び付いた機械のようにゆっくりとそちらを向くと俺の恋人が不機嫌そうに立っていた。

「ア、アレン。おかえり……。」

「おう、アレン。思ったよりも早かったな~!お茶飲むか?」

恐る恐る声を出した俺とは違い、ラインハルトは何事も無かったかのように楽しそうな声を出していた。

ラインハルト、メンタル強すぎでしょ……。


「とりあえず、その手を離せ!」
アレンは、素早い身のこなしで俺の元に来ると俺を引き寄せて腕のなかに包んだ。

「んだよ!友達の手を握るくらいするだろ?
束縛が強い男は嫌われるぞ?」

ラインハルトのその言葉が刺さったらしく不安そうに俺を見下ろしてくる。

「いや、別に俺は嬉しいけど?」
アレンが嫉妬してくれるのは素直に嬉しい。

その言葉にアレンは頬を緩ませてキスをしてきた。
「ばっ…ラインハルトがみてるだろ!?」

「大丈夫だ。むしろ、見せつけてるんだから。」

 

「はぁ、バカップルめ。い、今にみてろよ!
俺だってすぐにそうなってやるからな!」

ラインハルトが悔しそうにそう叫ぶ。


「どうしたんだ?」
今度はヴェインさんの声が部屋に響く。

ちょうど戻って来たらしい彼は、首をかしげながらラインハルトを見つめていた。

「え!?、ヴ、ヴェイン!?」
ラインハルトは、突然の想い人の登場にテンパっている。

なんでもサラッとこなして、いつも飄々としてるラインハルトの心を簡単に乱してしまうヴェインさんってある意味最強だよな……。

「ヴェイン、おかえり。なんでもないんだ!」
すぐに心を落ち着けたようでラインハルトは、ヴェインさんを迎え入れた。

変わり身の速さに呆れたアレンがため息を落とす。
その後、少しイタズラっぽい笑みを浮かべて爆弾を落とした。

「なんでも無くないだろ。
ヴェイン、ラインハルトが幸せそうな俺たちを羨ましがってな。
明日の休みに想い人を誘ってデートにでもいくらしいぞ?」

あ、明日、ラインハルト、休みなんだ。
ヴェインさんも休みってこと?

「はぁ!?アレン、お前何言って…!?」

突然の言葉に口をパクパクさせながらラインハルトが抗議をした。

「デ、デート?そ、そっか……。ラインハルト、楽しんでこいよ。」
ヴェインさんは、凄く寂しそうに落ち込んでいた。

あれ………?
あ、もしかして、ラインハルトが別の人を誘うと思って凹んでるのかな?


ラインハルト、脈アリなんじゃないかな?
2人の恋を応援したいとさらに思った。
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