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本編

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目覚めると大きいベッドに1人で寝ていた。

あれ?ここ何処だっけ?

あ、俺確か昨日アレンと……。

アレンに想いを伝え、そのまました行為を思い出し全身が真っ赤になる。
まだ一糸まとわぬ姿のままだった。

あれ?アレンは?
ふと窓を見ると太陽が高く昇っていた。

「やばい!寝過ごした!朝ごはん……。」

今日から騎士団の料理人になった筈なのに初日からすっぽかしてしまい絶望する。

とりあえず、アレンのとこに行こう。

近くには昨日着ていた服が綺麗になって置かれていた。

アレンが綺麗にしてくれたんだろうな…。
そんな優しさにもキュンとしていまう。
まぁ、おろしたての服を汚したのはアレンなんだけど……。


急いで支度をして部屋を出た。

浄化の魔法?だっけ?
すごく便利だな。
使えたら洗い物が一瞬で終わりそうだ。

1番初めに魔法を覚えるならあれにしたいな…。
そう言えば、昨日、初めて自分の意思で魔法を使った。

アレンの傷を治したいって思っただけなんだけど。
想像を現実に具現化する。

その意味が少しだけわかった気がする。

しばらく考えながら廊下を歩き、気づく。

「アレンってどこにいんの……?
でもって、ここ何処だ?」

やばいまた迷子だ。
ラインハルトにまた揶揄われてしまう。

前を金色の髪をした騎士服を着ている青年?が歩いて行くのが見えた。


走って近づく。


「あ、あの!すみません。団長は普段どちらにいますか?」

突然俺に話しかけられた彼は、驚きながら振り向く。
彼は金色の瞳で俺を捉えて何故か一瞬固まった。

驚かせちゃったかな……。

少しあどけない顔立ちをしていて童顔なのか、それとも俺より年下なのか判断に苦しむ。

でも、俺よりも背が高かった。

「あ、あの、驚かせちゃってすみません。」
反応が無いためまた少しだけ首をかしげながら話しかけた。


彼は少し赤い顔をしながらぎこちなく答える。

「え?あぁ、こちらこそ驚いてしまってすまない。団長?アレンか?
この時間なら鍛錬場か、執務室だと思うぞ。君は、見習いでは無いよな?見ない顔だ。」

あ、そうか、今は普通に私服だ。
怪しまれたのか。

「あ、すみません、俺、今日からこちらでお世話になる料理人のトオルと言います。
よろしくお願いします!」


「トオルか……。
私はライリーだ。よろしく頼む。」
そう言って優雅に騎士の礼をしてくれた。

かっこいい人だな。
いや、アレンの方が何倍もかっこいいけど。

というか、騎士団にはイケメンしか居ないのかな…。
なんか話し方も優雅だしマンガとかに出てくる王子様みたい。

「丁寧にありがとうございます。
あの、執務室ってどこにありますか?」

鍛錬場は、昨日行ったからなんとなくわかる。

執務室の場所はわからないな…。

「あぁ、そうか。まだ、わからないのか。
執務室は、今来た道を戻って右の突き当たりだ。一緒にいこうか?」

「いや、大丈夫です!引き止めちゃってすみませんでした。じゃあ俺はこれで。」

踵を返そうとするがライリーに呼び止められてしまう。

「あ、な、なぁ、トオル。」

「え?なんですか?」
早くアレンの所に行きたかったが振り返る。


「そ、その、また会えるか?」
ライリーは少し赤い顔で聞いてきた。
赤みがかった顔は、少年そのものだった。

「え?料理人なので厨房には居ると思いますけど?」
意図がわからずそれだけ返した。

「厨房か。食堂にはあまり行ったことが無かったんだ。今度行かせて貰おう。」

何故か、彼は嬉しそうにそう言った。

「あ、はい。お待ちしてます。
ライリーさん、ありがとうございました!
じゃあ、また会いましょう。」

そうライリーに伝えると走って執務室に向かう。


「ライリーさんか…。そんな呼ばれ方初めてしたな…。」
ライリーの呟きはトオルには届かなかった。





ライリーに教えられた通りに道を進むとすぐに執務室についた。

コンコンコンッ

「はい?」

ノックをするとラインハルトの声が聞こえる。


「ラインハルト?俺だよ。トオル。入って大丈夫?」
入っていいものかわからず扉越しに声を掛けた。
すぐに扉が開き、ラインハルトが顔を出す。

「トオル?どうしたんだ?
アレンに買ってもらった服見せに来たのか?
似合ってるじゃねぇか。とりあえず入れよ。」

そう言いながら中に入れてくれる。

「え?ありがとう……。って違うよ。
アレン探しに来たんだけど?」

「アレン?あいつなら鍛錬場で騎士達を扱いてるんじゃないか?
ちなみに、ヴェインは魔法講義に行ってるぞ。」

鍛錬場のほうだったか……。

「そっか……。
俺、今日から料理人として働く予定だった筈なのに寝過ごしちゃって……。
あ、でも鍛錬場に行っても邪魔になるよね…。」

そんなことを言うとラインハルトが笑いだす。

「あぁ、それな。
アレンもヴェインもトオルに伝え忘れてたらしいけど、明後日には陛下とお茶会があるから仕事はそ3日後まで延期だぞ?
明日には服が出来るってリールから連絡がきた。」

「え?そうなの?よかった……。
アンナさんの娘さん元気になったんだね。」
俺は安心してその場にへたり込む。

「あぁ、昨日、治療師を派遣したからな。
とりあえず、お茶淹れてやるから座れよ。」

そう言ってソファーを勧めてくれた。

「あ、いや、悪いよ。仕事中でしょ?
部屋でアレンが仕事終わるの待ってるから大丈夫。」

「一段落したから休憩するとこだったんだよ。
アレンもヴェインも居なくて話し相手が居ないから暇だったんだ。
アレンなら1度ここに顔出す筈だから待ってろよ。」
そう言いながら積み上がった書類を見た。

え?この量を1人で終わらせたの?
いや、仕事の内容自体は知らないからわからないけど量が凄い。

ラインハルトってやっぱ有能なんだなぁ。

「なら、お言葉に甘えようかな。」


「ついでにの話も聞かせろよ。
朝から面白いことになってたぞ?」

突然の言葉に固まる。
面白いこと?え?なに?

「朝来たら、アレンが幸せそうにニヤニヤしててな、ヴェインが凄い剣幕で怒ったたんだよ。もう、面白すぎて腹がよじれるかと思ったぜ。」


その話を聞いて顔が青くなる。

え?何処まで知ってんの?

てか、ヴェインさんやっぱ怒ってたんだ…。
アレン、一緒に怒られようって言ったのにごめん…。

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