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本編
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しおりを挟む「じゃあ、俺のこの力はトオルを護る為にあるんだな?」
アレンは小さく呟く。
「あぁ、翼は、私の魔力を大量に使って己の精神を魔法としてトオルが現れる時代に向けて放ったのだ。
過去に干渉するよりも未来に干渉する方が容易だ。だがそれでも大量の魔力が必要だった。
私の魔力が無いと無理だっただろうな。
そして、アレン、あの日お前を見つけたのだ。」
「あの日?」
アレンは、いつのことかわからずに聞き返した。
「そうか。お前には、あの日のことを忘れさせていたな。
ドラゴンに襲われた日さ。」
前半は、呟くように小さな声で俺たちには届かなかった。
でも、多分、ヴェインさんに聞いた記憶のない部分のことだと察した。
やはり、アレンの記憶喪失にはコア様が絡んでいるのかもしれない。
「つまり、俺はあの時にコアから加護をもらったおかげで生きながらえることが出来たのか……。」
アレンは、独り言のように呟く。
「そうなるな。正しくは私ではなく翼だがな。」
「じゃあ…。トオルの師匠は俺の命の恩人でもあるのか…。だが、なぜ俺だったんだ?
それにあれは20年前だ。あの時にはトオルがこの世界にくるなんてわからなかったはずだ。なぜ、俺に加護を?」
「さぁな。そればっかりは翼にしかわからん。
ただの気まぐれか。あいつは言い方はきついが面倒見がいい性格だったからな。
もしかしたら、たまたま死にかけてるアレンに出くわして放って置けなかっただけかも知れん。
アレンに加護を与えた今、魔法は消えて精神も無くなってしまったから聞くに聞けんからな。」
確かに、師匠は、なんだかんだ言って面倒見が良かった。
たまたま見つけたアレンを助けるくらい師匠ならしてしまいそうだ。
そもそも、コア様は頭が良かったみたいに言ってたが、師匠は、どっちかと言うと体が先に動いてしまうタイプだったし…笑
どちらにせよ、師匠のおかげで俺はアレンに逢えたのだから良しとしよう。
難しいことを考えるのは辞めだ。
俺には魔法のことなどわからないのだから。
話を聞き終えたアレンは俺に向き直る。
「トオル、初めてお前に会ったときに、俺はトオルを護りたいと思った。
それは、トオルの師匠の思いでもあったんだな。
今は、それだけじゃなく俺自身が心からトオルを求めて護りたいと思っている。
だから、これからも俺にトオルを護らせてくれ。」
真剣な顔でそう告げるアレンは、とてもかっこよくて見惚れてしまう。
「はい、よろしくお願いします。」
俺がそう答えるとアレンは、コア様の前だと言うのに俺を抱きしめた。
俺も応えるようにアレンの背中にうでをまわす。
「トオル、愛してる。
これからは、トオルの師匠の分までお前を愛し護り抜くと誓うよ。」
耳元でそう呟き、俺の額にキスを落とした。
俺は、今まで以上に幸せだった。
師匠が消えゆく運命だった俺達を助けてくれて、アレンと出会い、その彼がこんなに愛してくれている。
俺もアレンの気持ちに応えたい。
口を開こうとした瞬間。
ゴホンッ!!
前からコア様の咳払いが聞こえた。
「お前ら、そういうのは家に帰ってからやれ。」
完全に存在を忘れられていたコア様は少し不機嫌そうに俺たちを見る。
「あ、あぁ、すみませんでした!」
恥ずかしくなりアレンを離してコア様に向き直る。
「コア、いいところなんだから邪魔するなよ...。」
アレンは悪びれなくそんなことを言っていた。
「あ、あの、コア様!
師匠の話を聞かせてくれてありがとうございます。
俺、この世界に来れた理由を知れて良かったです。」
おかげでやっとアレンの気持ちに応えられるのだから……。
「あぁ、やっと会えてよかった。
今度私にもトオルの料理を食べさせてくれ。
翼がべた褒めしてた料理を是非とも私も食べたい。」
師匠が?
俺をべた褒めだって?
想像がつかない…。
お世辞を言う人では無かったから、嘘ではないのだろうが…。
「あ、ありがとうございます。
是非機会があったらお持ちします。」
そう答えるとコア様は
「楽しみだ!」
と笑ってくれた。
長い話で冷めてしまったお茶をコア様が入れ直してくれてしばらく談笑をした。
この世界のこと、俺の世界のこと、師匠のこと。アレンの昔話。
いろいろ聴かせてもらえてとても楽しかった。
ふと、アレンがコア様に言い出す。
「コア、そういえば、トオルの力ってなんだかわかるか?」
あぁ、そういえば、コア様に聞こうって朝言ってたね。
「いや、先も言ったようにトオルとアレンへの加護は翼が渡したものだ。
発現するまで私にもわからん。」
「やっぱりそうだよな。」
アレンは残念そうにそう言った。
「ただ、私が使える力なのは間違いがないから兆しが現れたら教えてやれるからいつでも来い。」
コア様は、俺を見ながらそう言う。
「はい!ありがとうございます!」
コア様が使える力ならやはりチート級の力なのかもしれない…。
「トオルは、不思議な魔力を持っているな?違う世界の人間だからかもしれないが…。」
俺を見つめてコア様は呟くように言った。
不思議な魔力?
「それってどう言う意味だ?」
アレンが聞く。
「いや、アレンの炎の魔力のようなものだ。ただ、私には何の魔力かわからんが…。」
アレンの炎の魔力のようなもの?
それってつまり?
「!?つまり、トオルにも固有魔法があるかもしれないのか?」
アレンが俺の考えをそのまま言葉にしてくれた。
「まぁ、そうだな。
そちらもこの先、発現するだろう。
ただ、身体の割に魔力の量が少ないのが不思議だ。
何かあったらすぐにここに連れてくるのだぞ?」
「あぁ、宜しく頼む。」
アレンは、頭を下げてそう言った。
♦♦♦♦♦
Twitterにてアンケート第2弾実施中です。
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①守護竜 39%
②ヴェイン 11%
③ラインハルト 36%
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コア様とラインハルトがとても拮抗しております。
作者プロフィールからTwitterにとべますのでご参加よろしくお願いいたしますm(_ _)m
連載作品の続きを書いてたはずなのに何故か短編小説が出来ちゃいました笑
〖思春期男子2人を密室に閉じ込めた結果〗
ちょっぴりえちえちな短編です。
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