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本編
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しおりを挟む「アレン、そろそろ、服きないと本当に風邪ひいちゃうよ?」
アレンに抱きついたままだった俺は彼がまだ裸だったことを思い出し伝える。
もちろん、下はちゃんと履いていたが上は裸だ。
「そうだな…本当は離したくないが、コアの所にいかないといけないもんな。」
彼はそう言って俺を離す。
さりげなく、おでこにキスを落とされた。
「は!?……。」
アレンの柔らかい唇の感触に先程のキスが思い出され身体が熱を持った。
「名残惜しそうにしてたのはトオルだぞ?」
イタズラな笑みを浮かべながらドキドキしている俺を放置して着替えに行ってしまう。
くそぉ……かっこいい……。
アレンへの気持ちを自覚してから彼が今まで以上にキラキラと輝いて見えた。
守護竜様のいる山へ向かう。
昨日のように後ろからアレンに抱きしめられながら馬に乗っているが、アレンへの気持ちを認めてしまった今、腰に回された手や、後ろから伝わる体温に今まで以上にドキマギした。
馬から落ちそうで怖く、離れるに離れられない。
ふいにアレンの楽しそうな笑い声が聞こえる。
「なんだよ?…。」
「いや、トオルがやっと俺を男として意識してくれたのが嬉しくてな。」
呟くように言われたその声は、優しさと嬉しさを孕んでいる。
「………アレンは、俺の何処がそんなにいいんだ?」
零すように出た言葉。
「全部だ。初めて会った時からトオルを護ってあげたかった。
ちゃんとした芯の強さがあって、俺のために料理を作ってくれて……。
気づいたらトオルの事が好きになっていた。」
そして俺の耳元でまた囁くように「トオル、好きだ。」と言った。
わざとだ!
俺、耳弱いの知ってて……。
耳から背中に向かって電気のように快感が走る。
悔しくて声を出さないように口を手で押えた。
「なんだ?声聞かせてくれないのか?」
アレンは、意地悪な声でそんなことを言ってくる。
「ア…レン、なんか、性格変わってない?」
「そんなことないぞ?
我慢しないと決めただけだ。
まぁ、こんなふうになるのはトオルにだけだがな。」
俺だけ…。
その言葉に少しだけ優越感に浸る。
30分ほど馬を走らせて山につく。
頂上にはあの樹があり、確かに王都に来る間に見た山だと分かった。
「トオル、ここがコアがいる山の麓だ。」
「ここからは徒歩?
結構、高い山だから大変そうだね。」
山登り用の準備とかしてきた方が良かったかな?
「いや、大丈夫だ。コアは優しいからな。」
そう言いながら近くの木を指さす。
その木には、複雑な模様が描かれており、朝ヴェインさんが描いてた魔法陣にも似た模様もあった。
「魔法陣?」
アレンは頷きながら教えてくれる。
「あぁ、コアが用意した転移の魔法陣だ。
資格があるものにしか使えない。
あれがないと山を登るのに2日はかかるからな…。」
「転移?転移って瞬間移動?
凄い!ファンタジーって感じだ!」
瞬間移動なんて、憧れ中の憧れだった。
朝ギリギリまで寝ていてもすぐ職場までいけるのだから……。
まぁ、この世界に来たからもう関係ないのだが……。
チラとアレンを見やり想う。
アレンと離れたくない。
彼にちゃんと好きだと言いたい。
守護竜様なら、俺がこの世界に来た理由が分かるだろうか?
元の世界に帰れなくてもいい。
突然来てしまったのだから、突然帰ってしまうなんてことが無いとも言いきれない…。
俺はもうこの世界に大切な物が出来てしまったんだから……。
「トオル行くぞ?」
アレンは、馬に魔法を使って襲われないようにすると俺の手を握る。
手を繋ぐなんてもう既にデートみたいだな…。
なんて場違いなことを考えていた。
触れた彼の手は大きくゴツゴツとして男らしい手だった。
手すらも愛おしくて、離れたくなくて必死に手を繋いでしまう。
「怖いか?」
アレンは、勘違いしたらしくそう聞いてくる。
「いや、大丈夫だよ?
アレンが一緒にいるから平気。」
「そうか、コアはいいやつだから大丈夫さ。行こう。」
そう言って彼は魔法陣に触れた。
次の瞬間、景色がグルンと乱れ、切り替わる。
目の前には、麓で見たあの樹が広がっていた。
想像した10倍は大きかった。
「おぉ、アレン、意外に早かったでは無いか。ちゃんと見つけられたのだな。」
ふいに声が響く。
声の主は、羽の生えた巨大な蛇に似た竜?だった。
♦♦♦♦♦
Twitterにてアンケート第2弾実施中です。
いつ書くかは未定ですがご意見お願いします。
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①守護竜
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④カイル
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