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本編
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食事が終わるとヴェインさんがお茶をいれてくれて皆で少しだけ談笑した。
その後は、1度厨房に戻って食器を洗う。ラインハルトさんが手伝ってくれたから、すぐに終わってしまったけど。
公爵家の人に皿洗いなんて手伝わせてよかったのかな?
初めてやったって、はしゃいでいたラインハルトさんは、子供みたいで可愛かったけど。
あ、ラインハルトさんの話だと3人とも甘いものが大好きなんだって。次はデザートまで作りたいなぁって思う。
あと、やっぱりじゃがいも料理の作り方聞かれた。
今度ヴェインさんに内緒で作って驚かせようって話になった。
後片付けを済ませるとヴェインさんが部屋に案内してくれた。
アレンさんの部屋の場所が分からないから近いのか本当に1番遠い部屋なのかはイマイチわからない。
ちなみにアレンさんは、俺と一緒に来たがったがラインハルトさんに「アレンは書類仕事だ!」って連行されて行った。
たしか、1時間くらい夜にって言われてたもんね。
ただ、「俺はまだ休暇中だ」って言いながら引きづられていくアレンさんはちょっと可哀想だったし、ラインハルトさんもあのアレンさんを無理矢理引きづっていくって力強すぎない?
「トオルここがとりあえず今日の部屋だ。
明日以降は、もしかしたら違う部屋になるかもしれないがゆっくり休んでくれ。」
「ヴェインさんありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうな。
あんなに美味しい晩飯食べたの初めてだった。それに穏やかで楽しい時間だった。」
「こちらこそ、明日の朝も作ろうか?」
「いいのか?
じゃあ、3人分でもいいか?
たぶんラインハルトは家に帰ると思うから。」
あ、ラインハルトさんは宿舎の住みじゃないんだもんな。
残念だ…。
さっきいろいろな話を出来て仲良くなれた。
元の世界では、職場は基本的に年上ばっかりだったから同い年の友達は少なかった。
ラインハルトさんは大人になってから出来た初めての同い年の友達だ。
是非、ヴェインさんとのことを詳しく聞いてみたい。
「わかった!何作ろうかな……。」
「トオル、少しだけ中に入っていいか?
話したいことがあるんだ。」
ヴェインさんは、意を決したように言ってくる。
「え?大丈夫だよ?」2人で部屋に入る。
部屋はベッドと椅子とテーブルがあるだけの質素な作りだった。
ヴェインさんは、俺にベッドに腰を下ろすようにいい自分はテーブルから椅子を持ってきた。
そして、向かい合う形で座った。
話ってなんだろ……。
「トオルは、いろいろ察しが悪いと言うか鈍いから率直に聞くがアレンのことをどう思ってる?」
「アレンのこと?
……この世界に来て1番初めに出会っていろいろ良くしてくれて……大切な友達だと思ってる。」
「友達か?本当に?
なら、もし、俺とアレンが結婚するって言ったら祝福してくれるか?」
「え!?え!?ヴェインさん、アレンと結婚するの?」
びっくりしてついつい大きな声が出てしまった。
アレンさんとヴェインさんが……。
そうか、この世界では普通に同性同士が結婚出来るのか。
普通に恋愛をして普通に結婚が出来る。
いい世界なんだなって思う。
それに大好きなアレンさんとヴェインさんが結婚するなら喜んで祝……祝……あれ?なんで俺こんなにモヤモヤしてるんだろ?
アレンさんが幸せになるならその方がいいって分かってるのに何故かすんなり言葉が出せない。
無理矢理にでも引き出そうとしてしまえば胸が張り裂けそうになってしまう。
そんな気がした。
ズキっと胸が痛んだ。
「トオル?どうした?祝福してくれないのか?」
「ヴェインさん、俺……祝福するよ?」
言えた。何とか振り絞った言葉はとてもか細く弱々しかった。
「クスクス……バーカ。そんなにに弱々しく涙を流しながら言われても信用できねぇよ。」
え?ヴェインさんに言われて自分の顔に触れ、初めて涙を流してることに気づく。
気づいてしまえば次から次へと溢れ出てきて自分の意思では、もうどうしようもなかった。
「トオル、お前今なんで泣いてるのか分かってるか?」
「わ…わかん……ない…だって……2人が結婚するって……祝福……しないと…って……。」
「トオル、嘘だよ。アレンと結婚?死んでも嫌だわ。」
え?嘘なの?
なんで嘘なんて?
「今、心の底からホッとしただろ?」
そうだ。正直、凄くホッとした。
「う……ん。ごめん……なさい…凄く…ホッと……しちゃった……。」
「そうだな。
俺も嘘をついて悪かった。
さっきトオルが皿をラインハルトと洗ってる時にアレンと少し話をしたんだ。
トオルの世界だと、同性同士の恋愛って無かったんだろ?」
「無かった訳じゃないんだよ。
俺自身、縁がなかったってだけで、してた人は少数だけど居たと思う。
ただ、結婚は、俺の住んでた国だと出来なかった。
他の国で、出来るところはあったけど……。」
「そうか。
あんまり身近じゃないならトオルの反応も仕方ないか。
でも、この世界では普通にあるってのを覚えて置いてくれ。
それとも向こうに恋人がいたのか?」
「恋人は、18の時に別れて以来、居無かった。
ずっと仕事ばっかりだったから……。」
なんだよ、その、え!?居たことあるのみたいな意外そうな顔……。
俺だって恋人くらい居たことあるよ。
「そうか。ならちょうどいいな。
さっきの涙の理由と合わせて考えろ。
俺が教えてもいいがこれはトオル自身が自分で気づくべきだ。」
「うん……。」
涙の理由……。
俺は、アレンさんをヴェインさんに取られたく無かった……のかな?
ヴェインさんだけじゃない。
今日、街であった人達にも。
アレンさんは、人気者だ。
俺とは、たまたま知らずの森で出会ったから助けてくれてるだけなのに……。
でも、考えてしまう。
都合がいいように。
もし…もしも、あの時、知らずの森で出会ったのが俺じゃなくてもアレンさんは、こんなに親切にしたのだろうか……。
♦♦♦♦♦
読んでいただきありがとうこざいます!
昨夜の23話の誤字ですが、仕事終わりに寝ぼけながら最終の確認作業してたら予測変換にえらいことされてました笑
口アレンたりって………笑
透、どんだけアレン好きなんだよ……笑
お恥ずかしい限りです………(//∇//)
沢山の方に指摘頂いてましたのでこの場を借りてもう一度お礼を申し上げます。
本当にありがとうこざいます!
今後とも宜しくお願いしますm(_ _)m
本日は、3話更新予定です。
その後は、1度厨房に戻って食器を洗う。ラインハルトさんが手伝ってくれたから、すぐに終わってしまったけど。
公爵家の人に皿洗いなんて手伝わせてよかったのかな?
初めてやったって、はしゃいでいたラインハルトさんは、子供みたいで可愛かったけど。
あ、ラインハルトさんの話だと3人とも甘いものが大好きなんだって。次はデザートまで作りたいなぁって思う。
あと、やっぱりじゃがいも料理の作り方聞かれた。
今度ヴェインさんに内緒で作って驚かせようって話になった。
後片付けを済ませるとヴェインさんが部屋に案内してくれた。
アレンさんの部屋の場所が分からないから近いのか本当に1番遠い部屋なのかはイマイチわからない。
ちなみにアレンさんは、俺と一緒に来たがったがラインハルトさんに「アレンは書類仕事だ!」って連行されて行った。
たしか、1時間くらい夜にって言われてたもんね。
ただ、「俺はまだ休暇中だ」って言いながら引きづられていくアレンさんはちょっと可哀想だったし、ラインハルトさんもあのアレンさんを無理矢理引きづっていくって力強すぎない?
「トオルここがとりあえず今日の部屋だ。
明日以降は、もしかしたら違う部屋になるかもしれないがゆっくり休んでくれ。」
「ヴェインさんありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうな。
あんなに美味しい晩飯食べたの初めてだった。それに穏やかで楽しい時間だった。」
「こちらこそ、明日の朝も作ろうか?」
「いいのか?
じゃあ、3人分でもいいか?
たぶんラインハルトは家に帰ると思うから。」
あ、ラインハルトさんは宿舎の住みじゃないんだもんな。
残念だ…。
さっきいろいろな話を出来て仲良くなれた。
元の世界では、職場は基本的に年上ばっかりだったから同い年の友達は少なかった。
ラインハルトさんは大人になってから出来た初めての同い年の友達だ。
是非、ヴェインさんとのことを詳しく聞いてみたい。
「わかった!何作ろうかな……。」
「トオル、少しだけ中に入っていいか?
話したいことがあるんだ。」
ヴェインさんは、意を決したように言ってくる。
「え?大丈夫だよ?」2人で部屋に入る。
部屋はベッドと椅子とテーブルがあるだけの質素な作りだった。
ヴェインさんは、俺にベッドに腰を下ろすようにいい自分はテーブルから椅子を持ってきた。
そして、向かい合う形で座った。
話ってなんだろ……。
「トオルは、いろいろ察しが悪いと言うか鈍いから率直に聞くがアレンのことをどう思ってる?」
「アレンのこと?
……この世界に来て1番初めに出会っていろいろ良くしてくれて……大切な友達だと思ってる。」
「友達か?本当に?
なら、もし、俺とアレンが結婚するって言ったら祝福してくれるか?」
「え!?え!?ヴェインさん、アレンと結婚するの?」
びっくりしてついつい大きな声が出てしまった。
アレンさんとヴェインさんが……。
そうか、この世界では普通に同性同士が結婚出来るのか。
普通に恋愛をして普通に結婚が出来る。
いい世界なんだなって思う。
それに大好きなアレンさんとヴェインさんが結婚するなら喜んで祝……祝……あれ?なんで俺こんなにモヤモヤしてるんだろ?
アレンさんが幸せになるならその方がいいって分かってるのに何故かすんなり言葉が出せない。
無理矢理にでも引き出そうとしてしまえば胸が張り裂けそうになってしまう。
そんな気がした。
ズキっと胸が痛んだ。
「トオル?どうした?祝福してくれないのか?」
「ヴェインさん、俺……祝福するよ?」
言えた。何とか振り絞った言葉はとてもか細く弱々しかった。
「クスクス……バーカ。そんなにに弱々しく涙を流しながら言われても信用できねぇよ。」
え?ヴェインさんに言われて自分の顔に触れ、初めて涙を流してることに気づく。
気づいてしまえば次から次へと溢れ出てきて自分の意思では、もうどうしようもなかった。
「トオル、お前今なんで泣いてるのか分かってるか?」
「わ…わかん……ない…だって……2人が結婚するって……祝福……しないと…って……。」
「トオル、嘘だよ。アレンと結婚?死んでも嫌だわ。」
え?嘘なの?
なんで嘘なんて?
「今、心の底からホッとしただろ?」
そうだ。正直、凄くホッとした。
「う……ん。ごめん……なさい…凄く…ホッと……しちゃった……。」
「そうだな。
俺も嘘をついて悪かった。
さっきトオルが皿をラインハルトと洗ってる時にアレンと少し話をしたんだ。
トオルの世界だと、同性同士の恋愛って無かったんだろ?」
「無かった訳じゃないんだよ。
俺自身、縁がなかったってだけで、してた人は少数だけど居たと思う。
ただ、結婚は、俺の住んでた国だと出来なかった。
他の国で、出来るところはあったけど……。」
「そうか。
あんまり身近じゃないならトオルの反応も仕方ないか。
でも、この世界では普通にあるってのを覚えて置いてくれ。
それとも向こうに恋人がいたのか?」
「恋人は、18の時に別れて以来、居無かった。
ずっと仕事ばっかりだったから……。」
なんだよ、その、え!?居たことあるのみたいな意外そうな顔……。
俺だって恋人くらい居たことあるよ。
「そうか。ならちょうどいいな。
さっきの涙の理由と合わせて考えろ。
俺が教えてもいいがこれはトオル自身が自分で気づくべきだ。」
「うん……。」
涙の理由……。
俺は、アレンさんをヴェインさんに取られたく無かった……のかな?
ヴェインさんだけじゃない。
今日、街であった人達にも。
アレンさんは、人気者だ。
俺とは、たまたま知らずの森で出会ったから助けてくれてるだけなのに……。
でも、考えてしまう。
都合がいいように。
もし…もしも、あの時、知らずの森で出会ったのが俺じゃなくてもアレンさんは、こんなに親切にしたのだろうか……。
♦♦♦♦♦
読んでいただきありがとうこざいます!
昨夜の23話の誤字ですが、仕事終わりに寝ぼけながら最終の確認作業してたら予測変換にえらいことされてました笑
口アレンたりって………笑
透、どんだけアレン好きなんだよ……笑
お恥ずかしい限りです………(//∇//)
沢山の方に指摘頂いてましたのでこの場を借りてもう一度お礼を申し上げます。
本当にありがとうこざいます!
今後とも宜しくお願いしますm(_ _)m
本日は、3話更新予定です。
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