料理人は騎士団長に食べさせたい

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本編

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大体話がまとまってからは、3人で談笑した。
「あれ?そう言えばヴェインさんお仕事いいんですか?」
気になって聞いてみる。

「ああ、大丈夫だ。
宰相様が今日から凄く優秀な人を遣わしてくれたんだ。
彼のおかげで今日の仕事はほぼ終わった。」

「今日の分もう終わったのか?」
アレンさんが驚きの声を出す。

「あぁ、ラインハルトが居ればお前はもう必要ないな。ずっといて欲しいぜ。」

「ひでぇ言い草だな。」

「事実を言ったまでだ。
お前は夜に1時間くらい団長を通さないといけない書類だけ見てくれればそれでいいから。」

「そうか!ラインハルト本当にありがとう……。」

「ラインハルトさんって凄く優秀な人なんですね?」

名前が何回か上がっていたがどんな人なんだろう?

あと、アレンさん、必要ないって言われてるのに凄く嬉しそうなのは団長としてどうかと思うよ……。
そんなに書類仕事が嫌だったんだね笑

「あ、トオル、俺にもアレンみたいに砕けた口調でいいぞ?
むしろ、アレンは貴族だが、俺は平民だから立場的にはトオルと変わらない。」

え?アレンさんやっぱり貴族なんだ。

「トオル、勘違いしないように言っとくが、俺も元々平民だぞ?
団長に任命されるにあたって仕方なく騎士伯の地位をもらっただけだ。1代限りだから俺が死んだら返す地位だし。」

「そうなんですか?」
ヴェインさんに聞いてみる。

「あぁ、間違いない。
俺もアレンも元々孤児院の出身だからな。
だから名前は2人とも孤児院の名前をもらってブランを名乗ってるんだ。
つまり、兄弟みたいなもんだな。」

「何故ヴェインに聞くんだ?
あと、ヴェイン、お前と兄弟ってのはなんか嫌だな。」

「俺だって嫌だわ。」

「あ、そういえば、アレンのフルネーム知らなかったかも。ブランってファミリーネームなのか。
あと、アレンは本当のこと教えてくれないから聞かない。」

そういうと、アレンさんは悔しそうな顔でヴェインさんをみていた。

ヴェインさんは、吹き出しながら自業自得だなって言ってた。
全くもってその通りだ。

「で、話を戻すがラインハルトは宰相の息子さんで公爵家の次男だ。あ、トオルと同い年じゃないか?」
アレンさんは、ヴェインさんに確認をとる。

「あぁ、そうだな。
小さい頃から俺たちの孤児院によく遊びに来てたんだ。俺たちからしたら弟みたいなもんだな。」

「そうなんですね!」

「だから、トオル、硬いって。
せめて、私的な場では楽に話していいぞ?」

「え?あ、わかったよ。」

「なんでヴェインにはすんなりタメ口なんだよ……。」
横でアレンさんが呟くのが聞こえた。

「え?ヴェインさんは、お兄ちゃんって感じだから?」

「じゃあ、俺は?」

「大切な友達?」
そういうとアレンさんはガックリ頭を落としてしまった。

「俺がトオルの兄貴か!
そうだな!いっぱい甘えていいからな。」
何か懐かしそうな顔で言うヴェインさんが印象的だった。

「ヴェイン、お前はラインハルトでも甘やかしてろ!トオルを甘やかすのは俺だ!」
そういいながら俺を抱きしめる。

なにこの状況……。

なんか、もう既にアレンさんに抱きしめられるの慣れたから抵抗もせずされるがままになっている。

「ラインハルト、もっと頑張れよ。」
アレンさんがヴェインさんには聞こえない声で呟いていた。


ラインハルトさん、本当にどんな人なんだろ?


「トオル、腹減らないか?」
アレンさんが突然言い出す。

窓を見るともう日が沈み始めていた。

「あ、確かに今日朝ご飯以外食べてなかったもんね。」

それを聞いたヴェインさんは
「何か用意させるか?」って聞いてくれた。

「あ、なら俺が何か作ろうか?」
正直、料理がしたくてうずうずしている。
異世界ってどんな食材があるんだろ?

それを聞いてアレンさんが目を輝かせる。
「おう!頼む!」
直ぐにアレンさんが俺を厨房に連れていこうと立ち上がって引っ張った。


「トオル、いいのか?
疲れてないか?」
ヴェインさんは、心配そうに聞いてくる。

「うん!料理は好きだから平気!」

「ならお願いしようかな。
食堂で働いて貰うなら料理の腕も知りたいし。4人分いいか?せっかくだからラインハルトも呼んでくるから。」

「え?あ、そこまで期待しないでね?
何が食べたい?」
そう聞くとアレンさんが
「肉!」っ応えた。

しってたよ。

ヴェインさんは
「野菜もしっかり使えよ?」って言ってる。

それに対してアレンさんが怒っているがヴェインさんに耳元で何かを呟かれて顔をひきつらせた。
「わ、わかったよ。」

ヴェインさん、野菜嫌いのアレンさんに何を言ってその言葉を引き出したんだろう…。

後で聞いてみよう。

こうして異世界で初めての料理(実技試験)が始まった。



♦♦♦♦♦

拙い文章ですが、読んでいただきありがとうございます。



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