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本編

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もちだと!?」

ヴェインさんは、目を丸くして俺を見つめた。
アレンさんは頷く。
「あぁ。俺も驚いたがな。」

「違う世界から来たって話も驚いたがまさか資格もちとは……。陛下には?」

「まだ、伝えてない。
明日、王宮へ向うと門番に伝えてもらった。」

「そうか…。
とりあえず明日まで保留だな。
だが、本当に資格もちなら尚更、陛下や守護竜様の許可無しに食堂で働かせるなんて出来ないだろ?」

「いや、その逆だ。
資格もちはもれなくコアが気に入ってるってことだ。
トオルに何かあってみろ。
下手したらこの国が滅ぶぞ。」

黙って2人の話を聞いていた俺は思いもよらない方向に話が進み驚いてしまった。

「え?アレン、国が滅ぶってどういうこと?」
アレンさんに問いただす。

「トオル、さっきも言っただろ?
資格もちはもれなくコアに気に入られてるって。
あ、コアって言うのは来る時に話したあの山の竜だ。
王様ももちなんだが、王様は偉いから護衛がいっぱいいるし、本人もそれなりに強い。
俺は何かあっても自分でどうにか出来る。

だが、トオルは戦えないだろ?
もし、仮に俺らと敵対してる国の奴がトオルに何かしでかしたら国が滅ぶ危機ってことだ。
それだけ資格もちは竜に愛されてるのさ。
愛した人間が死んだら国を滅ぼしてしまう程に……。」

「そ、そんな…。
じゃあ、どうすれば…。」

俺のせいで国が滅ぶかもしれない。
いつ爆発するかわからない爆弾を常に抱えてるみたいなものだ。
俺は違う世界に来ても他人に迷惑をかけてしまうのか…。

身体が震えて目の前が白くなっていく。
不意に抱きしめられた。
落ち着く暖かさに身体が包まれる。

「トオル、すまない。 
脅かし過ぎたな。
まぁ、そんなことになることは有り得ないけどな。」
アレンさんは、さっきまでの真剣な声とは違い柔らかい声で言う。

「え?」

あまりの違いに理解が追いつかず気の抜けた声が出た。
アレンさんを見上げると

「言っただろ?俺が護るって?」
不敵な笑みを浮かべていた。

なんだよ、この人。
かっこよすぎる。

「まぁ、確かにそれなら騎士団に居た方がいいかもな。」

ヴェインさんから声がかかる。

「トオル、安心しろ。
こんなのでも、こいつはこの国最強の騎士だ。こいつに武力で勝てるやつなんて居ない。むしろ、こいつだって1歩間違えばこの国を滅ぼせるだけの力があるからな。」

アレンさんってそんな強いの?

「トオル、俺にお前を護らせてくれないか?」
アレンさんが俺に聞いてくる。
吸い込まれそうなくらい綺麗なオレンジゴールドの瞳は力強く、俺だけを写している。

その瞳を見ていたらさっきまでの不安や恐怖は全く無くなっていた。

「よろしくお願いします。騎士様。」

俺は無意識にそう呟いていた。

アレンさんは俺を抱きしめている手に更に強く力をいれて仰々しく応える。

「仰せのままに。俺の主様。」

更にヴェインさんには聞こえないように耳元で

「頼まれたってもう離してやらないから。」
と呟いた。


俺の顔が耳まで真っ赤になったのは言うまでもない。


♦♦♦♦♦

拙い文章ですが、読んでいただきありがとうございます。

気ままに書いておりますので
誤字、脱字、おかしな日本語等あると思います。
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