料理人は騎士団長に食べさせたい

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本編

15

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騎士団の宿舎の中をアレンさんに案内されながら進む。

「トオル、ここが談話室だ。
くつろいでくれ。さっきはヴェインのやつがすまなかったな……。」

アレンさんにソファーを勧められて座る。
何故かすぐ隣にアレンさんも腰を下ろした。
向かい空いてるのに……。
さっきまで抱かれながら移動していてドキドキしっぱなしで、やっと離れられたのに……。
さっきとは違う近さにまたドキドキしてしまう。

「あ、ありがとう。
いや、俺の方こそびっくりしちゃってごめんなさい。それにしても、ヴェインさんとは仲良いんだね?」


「まぁ、ガキの頃からの腐れ縁だからな。」

「幼なじみってやつなんだね!そりゃ仲良いわけだね。
それと、ヴェインさん凄い綺麗な髪の色してたね。」

その言葉を聞いて明らかにアレンさんが不機嫌になった。

「トオルは、ああいうのが好きなのか?」

「ん?かっこいいなぁと思うよ?
アレンの髪もすごく綺麗だよね!
俺の国は、大体黒髪の人が多かったから、いろんな色の髪の人が新鮮でさ…。」

アレンさんは、納得したような顔をする。
あ、よかった機嫌直ったみたい。


不意にアレンさんの手が俺の髪に触れる。

「俺からしたら、トオルの黒い髪の方が綺麗だけどな。黒い髪は珍しい…。
伸ばしたら綺麗だろうな。」

「ひゃっ……くすぐったい……。」
突然触れられて変な声が出てしまった……。

そんな俺の顔をみてアレンさんが固まり、息を飲むのがわかった。

「ん?アレン?どうしたの?」

アレンさんは、何も言わなかった。

不意に顔が近づいてくる。

アレンさんの綺麗な瞳に目が釘付けになる。

距離がだんだん近くなり、お互いの唇が重なりそうになる…………。




バタンッ!



突然、談話室の扉が開き、ヴェインさんがトレーをもって入ってきた。


びっくりして、アレンさんと俺はお互い反対を向く。

鼓動が早鐘のようにうるさい。
顔が真っ赤になってる気がする。

「アレン、トオル、待たせたな!
ん?どうした?トオル、顔赤くないか?

アレンも、なんでそんなトオルの近くに座ってんだよ。」

ヴェインさんの陽気な声が談話室に響く。

「あ、いや、なんでもないです。」

「そうか?おい、アレンなんでこっち睨んでんだよ?」
首をかしげながらアレンさんに聞く。

「なんでもねぇよ!」

アレンさんは、不機嫌そうにヴェインさんに怒鳴っていた。

またしても首をかしげながらヴェインさんはお茶をいれてくれた。

「まぁ、とりあえず飲め。」

「ヴェインさん、ありがとうござます!」
心を落ち着ける為にいれてくれた紅茶に口をつける。

「あ、美味しい…。」
アールグレイみたいな風味の爽やかな味だった。
ついつい頬が緩んでしまう。
「そうか?それは良かった。」

「はい!故郷にも似たような紅茶があって…。
ケーキとか焼いたら美味しいんだろうなぁ…。」

シフォンケーキ、マドレーヌ、フィナンシェなんかも美味しいだろうし、鶏肉を燻製にしても美味しそうだ。
柑橘とも相性良さそうだから鶏肉の燻製に柑橘のソースかな……。


「トオル?おーい、トオルどうした急に黙り込んで?
ケーキってトオルお菓子作れるのか?」

ヴェインさんが声をかけてくる。

あ、やばい、料理のこと考えると周りが見えなくなるのは悪い癖だな……。

「あ、すみません、この紅茶をお菓子とか料理に使ったら美味しそうだなぁって考えたらいろいろ出てきちゃって笑」

「ヴェイン、トオルは、料理人らしい。」
アレンさんが伝えてくれた。

「そうなのか!あ、よかったらお菓子もあるぞ?
ちょうど、珍しいお菓子をもらったんだ。」
ヴェインさんは、そう言ってお菓子の入ったお皿を差し出してくれる。

「ありがとうござます。」

お皿の上には、黒いお菓子が乗っていた。

あれ?これって……。
1つ手でとって口に放り込む。
口の中に甘くてほろ苦い味が広がっていく。
「あ!チョコレートだぁ!」

異世界にもチョコレートがあるんだな。

「お?知ってるのか?
ちょうどアレンの代わりに仕事を手伝ってくれてる奴からもらったんだ。
そいつはショコレって言ってたけど。美味いよな。」

「ラインハルトか?
珍しいもん持って来たんだな。初めてみた。」

アレンさんも1つ口にいれる。
すごく美味しそうに頬を緩ませていた。
アレンさん、甘いもの好きなのかな?






♦♦♦♦♦♦
14話の誤字のご指摘、ありがとうございましたm(_ _)m
直させて頂きました。

お陰様でお気に入り登録が3000件を突破致しました。
BLランキング1位
全体ランキング28位です。
皆様、応援本当にありがとうございます。

3000件突破記念に何かしようかなと検討中です。
御要望等ありましたら是非教えてください!

今後とも、料理人は騎士団長にたべさせたいをよろしくお願いしますm(_ _)m
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