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本編
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しおりを挟むそんな話をしているとある建物にたどり着いた。
レンガ造りのでっかい建物だ。
やっとアレンさんは俺を下ろしてくれた。
「ここが宿舎だ。とりあえずどうするか…。
部屋が用意できるまで、俺の部屋でまってるか?」
「ダメに決まってんだろ!」
後ろから突然怒鳴り声が聞こえてアレンさんの頭がぶん殴られる。
「ひっ……アレン、大丈夫?」
いきなりびっくりして、身構えながらアレンさんに近づく。
アレンさんは、意外にケロッとした顔で後ろの人を睨みつけた。
「おい!ヴェイン!いきなり何すんだよ!
トオルがびっくりして震えてるじゃねぇか。」
自分でも気づかないうちに震えていたらしい。
よく先輩達に後ろから殴られていたことを思い出してしまったようだ。
「おい、トオル?大丈夫か?顔が青いぞ?」
そう言いながらアレンさんは俺を抱きしめて頭を撫でてくれる。
暖かい…。
そっか。もうひとりじゃないんだ。
そう思うと身体の震えが止まってきた。
落ち着くと、俺はアレンさんの後ろでオロオロしてる人に目を向ける。
「アレン、この人がヴェインさん?」
「いや、しらん。こんなやつどうでもいい。
おい、トオルが怖がるからどっかいけ。」
そう言いながら手をシッシッとヒラヒラさせる。
いや、さっきヴェインって呼んでたじゃん……。
「あ、いや、アレン、すまなかった。
早とちりだったんだよ。
守護竜様の頼み事を聞きに行ったお前が知らない子供連れてきて自分の部屋にあげようとしてたんだぞ?勘違いもするだろ……。」
「うるせぇ、今は、お前の顔みたくない。」
アレンさんは、後ろを一切見ず俺を抱きしめて頭を撫で続ける。
ヴェインさん?は困った顔でオロオロしていた。
仕方ない、元はと言えば俺が必要以上に怖がったせいだし助け舟を出してやるか……。
「アレン、謝ってくれてるんだし、そんな大人気ないこと言ってないでちゃんと話聞いてあげなよ?」
「でも、こいつはトオルを怖がらせたんだぞ?」
真剣な顔で俺を見つめてくる。
あ、かっこいい…………じゃない。
「それは、ヴェインさんのせいだけじゃないから。それにアレンのおかげでもう平気だから。ね?」
「だが……。」
「あー、もう、しつこいなぁ。
俺がいいって言ったらいいの。
それ以上言ったら野菜だけのフルコースになるよ?」
俺がそう言った瞬間にアレンさんは顔を引き攣らせて、ヴェインさんに向き直り
「今回はトオルに免じて許してやろう」
っていいだしたから、俺は吹き出してしまった。
ヴェインさんは、何がなんやらわからないって顔をしていた。
まぁ、でしょうね。
俺はフードを外し黒を基調とした服に身を包む青い髪の男性、ヴェインさんに向き直る。
この服、騎士団の服なのかな?
アレンさんが着たらかっこいいんだろうな。
早く見てみたい。
「ヴェインさん?ですよね?さっきはすみませんでした。初めましてトオルっていいます。
アレンには、知らずの森で助けて貰って王都まで連れてきて貰ったんです。
泊まるとこがなくて今日1日はこちらに泊めていただけるって聞いてお邪魔しました。
よろしくお願いします。」
「あ、いや、こちらこそ怖がらせてしまって悪かった。
俺がヴェインだ。
話はわかった。
あまりもてなしてはやれないがゆっくりしていってくれ。」
そう言って手を差し出してくれる。
握手に応じようと手を出した所で後ろからアレンさんに抱き込まれてしまった。
「ふぇ!?アレン、何してんの?」
「トオルは、俺の大切な客人だ。
ヴェイン、気安く触るな。」
「何言ってるんだ?
お前が年端もいかない子を抱きしめる変態だなんて知らなかったぞ?」
「ヴェインさん!
俺、24ですよ!」
「え!?あ、いや、すまん。
いや、その可愛らしい見た目をしているな。」
もう諦めたよ…。
「疲れた……。」
「あ、トオル、立ち話をさせてすまなかった。
中に入ってくれ、談話室にお茶を用意させる。アレン談話室だからな?
ちゃんと案内するんだぞ?
俺はトオルの部屋を準備させたら行く。」
「わかってるわ!
お前は、俺の母親か!
あ、そうだ、あとで相談がある。」
「相談?先に言っとくがお前とは別の部屋だからな?なんなら1番遠くの部屋にするから。」
「ちげぇよ!」
アレンさんは顔を真っ赤にして抗議している。
2人のやり取りが面白すぎて吹き出してしまったのは言うまでもない。
でも、アレンさんと遠くの部屋はちょっと寂しいなぁ……。
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